特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/2026/10/15/chingin-shiharai/ 印刷日:2026年10月15日

特定技能の人材紹介会社・登録支援機関を比べて相談できる窓口 全国オンライン対応

外国人社員の賃金の支払い方法|口座振込・デジタル払いと控除のルール

振込にも同意、天引きには協定、明細には説明。給与が本人に届くまでの3つの関門を、特定技能の基準と合わせて確かめる

外国人社員の給与を銀行振込にするとき、本人の同意や労使協定は必要か。送金に便利なデジタル払いを希望されたらどうするか。寮費や食費を給与から差し引いてよいのか。給与の支払い方と控除は、国籍を問わず労働基準法のルールで決まりますが、特定技能には報酬を本人の口座に振り込むという受入れ企業の基準が加わります。この記事では、外国人の給与振込とデジタル払いの要件、控除に必要な労使協定、控除してはいけないもの、そして給与明細を本人にどう説明するかを、2026年10月時点の公的資料にもとづいて具体例つきで整理します。

この記事の結論
  • 口座振込にも本人の同意が要る:賃金は通貨で直接・全額を払うのが原則です。口座振込は本人の同意で行い、支払日には控除額などを書いた計算書を渡します。特定技能は本人名義の口座への振込が基本です。
  • デジタル払いは「希望者だけ」:労使協定と本人の個別の同意が必要で、銀行口座などの選択肢も示します。指定を受けた資金移動業者は4社(2026年7月1日現在)。特定技能では振込以外の支払いに入管への資料提出が伴います。
  • 天引きは法令か労使協定があるものだけ:税・社会保険料以外の寮費や食費などは、労使協定が必要です。支援の費用、違約金、前借金との相殺、強制的な貯金は控除できません。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

この記事の目次

結論:外国人の給与振込は「同意・協定・明細」の3点で整える

外国人社員の給与も、労働基準法24条のルールで支払います。賃金は通貨で、直接本人に、全額を、毎月1回以上・一定の期日に払うのが原則です。銀行振込はこの原則の例外として認められている方法で、本人の同意が前提になります。

特定技能の場合は、受入れ企業の基準が加わります。報酬は、本人が指定する本人の預貯金口座に振り込むか、実際の支払額を確認できる方法で払います。給与から差し引けるのは、法令で決まっている税・社会保険料と、労使協定で定めたものだけです。

図1給与が本人に届くまでの3つの関門

  • 支払い方法口座振込もデジタル払いも本人の同意が前提。特定技能は本人名義の口座への振込が基本です。
  • 控除税・社会保険料は法令で、寮費・食費などは労使協定で。支援の費用や違約金は差し引けません。
  • 説明支払日に計算書(給与明細)を渡し、控除の中身を本人が分かる言葉で説明します。
3つのどれかが欠けると、未払いや「知らない天引き」のトラブルにつながります。出典:e-Gov法令検索「労働基準法」第24条(2026年10月14日確認)、厚生労働省「賃金の口座振込み等について」(2022年11月28日)、e-Gov法令検索「基準省令」第2条第1項第12号(2026年10月14日確認)

外国人の給与振込の要件:同意・労使協定・支払日の午前10時

口座振込は、本人の書面または電磁的記録による同意で始めます。厚生労働省の通達(2022年11月28日)は、労使協定を結ぶこと、支払日に計算書を渡すこと、支払日の午前10時頃までに引き出せることなども示しています。

図2銀行振込とデジタル払いで必要なこと

銀行口座などへの振込

  1. 労使協定(対象者・対象の賃金と金額・金融機関の範囲・開始時期)
  2. 本人の同意書(希望する賃金の範囲と金額・口座・開始時期)
  3. 金融機関は1つに限らず、本人の便宜に配慮
  4. 支払日の午前10時頃までに引き出せる
  5. 支払日に計算書を交付

特定技能では、本人が指定する本人名義の口座への振込が基準に合う方法です。

デジタル払い(資金移動業者の口座)

  1. 左の協定に、対象の資金移動業者の範囲を入れる
  2. 銀行口座などの選択肢も示して説明する
  3. 本人から個別の同意(代替口座の情報も)
  4. 受入上限額・払い出しの上限を確かめる
  5. 支払日に計算書を交付

希望しない人に強制すると、労働基準法違反になり得ます。

同意を得るのは会社自身です。説明を業者に任せても、同意の取得は任せられません。出典:厚生労働省「賃金の口座振込み等について」(2022年11月28日)、厚生労働省リーフレット「賃金のデジタル払いの導入にあたって」(2026年10月確認)

特定技能は「本人名義の口座への振込」が基本

基準省令は、特定技能の報酬の払い方を決めています。「当該外国人の指定する」金融機関の「当該外国人の預金口座若しくは貯金口座への振込み」か、実際に支払われた額を確認できる方法です。振込以外で払った場合は、支払いの事実を裏付ける客観的な資料を出入国在留管理庁に出し、確認を受けます。定期届出の作成要領でも、振込以外で報酬を払う場合は報酬支払証明書(参考様式第5-7号)を添付書類にしています。

最初の給料日までに口座を開く

1号の人への義務的支援には、銀行口座の開設など生活に必要な契約の支援が含まれます。入社後すぐの給料日に口座が間に合わないと、現金払いとなって証明の手間が増えます。入社日から逆算して、口座開設の同行日を先に決めておきます。

同意書は、日本語と本人の言語の2つの欄で

同意書には、振込を希望する賃金の範囲と金額、口座の情報、開始の時期を書いてもらいます。日本人用の様式をそのまま使うと、本人は何に同意したのか分からないまま署名することになります。項目名に本人の言語を併記し、口座名義が本人であることをその場で通帳やキャッシュカードと照らし合わせます。取扱いの金融機関を1行に限らず、本人の生活圏で使いやすい銀行を選べるようにするのも通達の考え方です。

給与のデジタル払いと外国人:仕組みと導入の手順

賃金のデジタル払いは、2023年4月から通貨払いの原則の例外として認められました。厚生労働大臣が指定した資金移動業者の口座に限り、スマートフォンの決済アプリなどで給与を受け取れます。母国への送金に使いたいと希望する外国人社員もいますが、導入は会社の義務ではなく、使うのも希望者だけです。

図3賃金のデジタル払いの主な数字

  • 4社指定を受けた資金移動業者2026年7月1日現在
  • 10〜30万円業者ごとの受入上限額厚生労働省の一覧の記載
  • 100万円以下口座残高の上限超えた分は本人の銀行口座へ移すなどの仕組み
  • 月1回以上手数料なしの払い出し1円単位で出金できるようにする
業者が破綻した場合は、保証機関から口座残高が速やかに弁済される仕組みがあります。現金化できないポイントや暗号資産での賃金支払いは認められません。出典:厚生労働省「賃金のデジタル払いについて」(2026年7月1日現在)、厚生労働省「資金移動業者向けガイドライン」(2023年3月8日)、J-Net21「賃金のデジタル払い」(2023年11月15日)
  1. 指定業者の一覧を確かめる

    厚生労働省のサイトで、指定を受けた業者とサービスを確認します。受入上限額や1日の払い出し上限は、会社との交渉では上げられません。

  2. 使う業者を選ぶ

    社員の希望と、会社・本人の手数料、業者との契約の要否を見て選びます。複数でもかまいません。

  3. 労使協定を結ぶ

    対象者、対象の賃金と金額、業者の範囲、開始時期を定め、就業規則や給与規程の改定が要るかも確かめます。

  4. 本人に説明する

    銀行口座などの選択肢も示し、強制にならないようにします。説明は業者に任せられますが、怠れば会社の違反になります。

  5. 個別に同意を得る

    口座の情報、受け取りたい金額、代わりの預貯金口座を同意書に書いてもらいます。

  6. 支払いの事務を始める

    業者の手順と締め切りに合わせて振り込み、明細を渡します。

「一部だけデジタル」もできる

同意書には、デジタル払いで受け取りたい金額を書きます。業者の受入上限額や1日の払い出し上限を超えない範囲で希望額を決めるため、給与の全額ではなく「毎月3万円だけ」といった使い方が現実的です。残りは銀行口座に振り込みます。業者の指定が取り消されたり、業者が事業をやめたりした場合は、会社が速やかに本人に確かめ、本人が指定する別の方法で支払います。

特定技能の人に使う前に、入管の扱いを確かめる

資金移動業者の口座は、預金ではなく支払いや送金に使うものとされています。基準省令の文言では、特定技能の報酬は預貯金口座への振込が基本で、それ以外の方法で払えば支払いの事実を示す資料の提出と確認が必要です。特定技能の人にデジタル払いを使う場合は、あらかじめ地方出入国在留管理局に、どの資料で支払いを示すかを確かめてから始めるのが安全です。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

給与から控除するには労使協定が必要:控除できるもの

賃金は全額を払うのが原則です。差し引けるのは、法令に定めがあるものと、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)との書面の協定で定めたものに限られます(労働基準法24条)。

図4給与から差し引けるものの区分

控除の区分と必要なもの
区分主な例必要なもの
法令による控除所得税・住民税、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の保険料協定は不要。計算の根拠を説明する
協定による控除寮費、食事代、駐車場代、組合費、親睦会費、社内の購入代金、会社からの貸付金の返済労使協定。本人への説明と、金額の根拠
控除できない支援の費用、違約金・損害賠償の予定額、前借金との相殺、強制的な貯金協定があっても不可
協定があっても、何でも差し引けるわけではなく、内容が明らかなもの(事理明白なもの)に限られます。出典:厚生労働省・相模原労働基準監督署「賃金控除に関する労使協定」(2026年10月確認)、e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月14日確認)、出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)

協定に書くことと、労働基準監督署への届出

協定には、控除するものの種類、控除する時期(例:毎月の賃金支払時)、有効期間、破棄の方法などを書き、会社と労働者代表が署名します。この協定は労働基準監督署への届出は不要ですが、結んだら労働者に周知しなければなりません。外国人社員にも、本人が分かる言葉で中身を伝えます。

寮費・食費は「実費の範囲」で根拠を示す

1号の人に社宅を提供する場合は、日本人と同等の条件で提供し、住居で利益を得てはならず、保証会社の保証料は会社側が負担します。家賃を入居人数で割るなど、金額の根拠を書面で示します。家賃の決め方の試算は特定技能外国人の住居費用にあります。

特定技能で給与から差し引いてはいけないもの

協定を結んでも差し引けないものがあります。特定技能の制度と労働基準法の両方で禁じられているもので、知らずに続けていると受け入れそのものに響きます。

  • 登録支援機関への委託費など、義務的支援の費用(直接・間接を問わず本人に負担させられない)
  • 途中で辞めたときの違約金や、損害賠償の額をあらかじめ決めた契約(労働基準法16条)
  • 会社が貸した前借金と賃金との相殺(同17条)
  • 本人の意思によらない貯金や、会社による貯蓄金の管理の契約(同18条)
  • 保証金の徴収や、パスポート・在留カードを会社で預かること
  • 家賃に会社の利益を上乗せすること、保証会社の保証料を本人に負担させること
ミスへの「罰金」には上限がある

就業規則に定めた減給の制裁でも、1回の額は平均賃金の1日分の半額まで、総額は1回の賃金支払期の賃金総額の10分の1までです(労働基準法91条)。壊した部品の代金を一方的に天引きすることは、全額払いの原則に反します。弁償を求める場合も、給与から一方的に差し引かず、本人と話し合って別に決めます。

こうした禁止は、外国人雇用管理指針や特定技能の基準でも繰り返し示されています。不法就労につながる扱いの注意点は不法就労助長罪とはでも解説しています。

外国人社員への給与明細の説明:明細の読み方の例

口座振込では、支払日に計算書(給与明細)を渡し、賃金の種類ごとの金額、源泉徴収税額や社会保険料などの控除額、振り込んだ金額を示します。外国人雇用管理指針も、母国語など本人が理解できる言語や平易な日本語を使い、賃金や控除の内容を説明するよう求めています。

図5給与明細の主な行と、やさしい日本語での説明例

説明例は架空の会社のもの。金額は本人の明細で示す
明細の行何のお金か説明の例
基本給・手当決まった時間働いた分「毎月同じ金額です。手当の名前と金額はここです」
時間外・休日・深夜残業などの分(割増つき)「残業の時間はここ。1時間の給料の1.25倍です」
健康保険・厚生年金・雇用保険法律で決まっている保険料「病院、年金、仕事がなくなったときのためのお金です。会社も払っています」
所得税給料にかかる国の税金「12月に1年分を計算し直します」
住民税住んでいる市区町村の税金「日本に来た次の年から始まります。前の年の給料で決まります」
寮費・食費協定で決めた天引き「部屋代は〇円です。決め方は契約のときの紙に書いてあります」
振込額口座に入った金額「総支給額から控除の合計を引いた金額です」
控除が初めて増える月(住民税の開始、保険料の見直し)は、給料日の前に一言伝えておくと質問が減ります。出典:厚生労働省「賃金の口座振込み等について」(2022年11月28日)、厚生労働省「外国人雇用管理指針」(2026年5月29日改正を反映)、総務省「外国人の方の個人住民税について」(2026年10月確認)

法令の控除は「何のための、いくら」まで言う

税や保険料の控除は、協定がいらない分、説明が省かれがちです。「法律だから」で済ませず、何に使われるお金か、会社も保険料を負担していること、どんなときに給付を受けられるかまで伝えます。母国に同じ制度がない人には、病院の窓口で払う額が抑えられる、仕事を失ったときに給付を受けられる場合がある、といった場面で説明すると伝わりやすくなります。

最初の3回は一緒に読む

入社して最初の3回の給料日は、明細を本人と一緒に1行ずつ読みます。本人に「振込額はなぜこの金額か」を説明してもらうと、どこが分かっていないかが見えます。年金の保険料と帰国時の脱退一時金の説明は年金と脱退一時金、残業の時間数の示し方は特定技能外国人の労働時間・残業・36協定で扱っています。

支払日・休業・退職のときの支払いルール

給料日は毎月1回以上、一定の期日に決めます。「月末」「毎月25日(休日なら前日)」のように特定できる決め方にし、本人の生活費の計画が立つようにします。

会社の都合で休ませたら休業手当

会社の責任で休ませた場合は、平均賃金の6割以上の休業手当を払います(労働基準法26条)。生産調整で休みを入れるときは、どの理由が会社の責任に当たるかを、労働基準監督署などで事前に確かめておくと安心です。特定技能の人だけを先に休ませる、といった扱いは、国籍による差別的な取扱いと受け取られかねません。

退職・帰国のときは7日以内と口座の解約に注意

退職した人から請求があれば、7日以内に賃金を払い、本人に属する金品を返します(労働基準法23条)。帰国する人は口座を解約する前に最後の給与を受け取れるよう、支払日と振込先を確かめます。住民税は、退職時に残りを最後の給与などから一括して差し引く方法もあります。2020年4月1日以降に支払期日が来る賃金は、請求できる期間が5年(当分の間は3年)に延びています。解雇や雇止めの手続きは特定技能外国人の試用期間・解雇・雇止めで確認できます。

よくあるつまずきと、毎年の定期届出で見られる数字

特定技能の定期届出では、労働条件の月平均として、きまって支給する現金給与額、特別給与、控除額などを報告します。毎年4月1日〜5月31日に前年度(4月〜3月)分を出すため、控除が多すぎたり根拠があいまいだったりすると、数字として目に見える形で残ります。

よくあるつまずき

  • 口座振込の同意書を、日本人の様式のまま日本語だけで取っている
  • 寮費以外に、作業着や安全靴の代金を協定なしで差し引いている
  • 控除額を途中で変えたのに、本人に説明していない
  • デジタル払いを「便利だから」と全員に案内し、事実上の強制になっている
  • 帰国直前の最後の給与の支払日を決めておらず、口座の解約と重なる

1号の人との定期面談は3か月に1回以上あり、本人と監督者の両方から話を聞きます。支援を行う側は、労働関係法令の違反を知れば労働基準監督署などへ通報することになっています。説明のない控除の変更は、面談で最初に出てくる不満の1つと考えておきます。給与トラブルの防ぎ方は外国人社員の給与トラブルの防ぎ方、最低賃金の改定に合わせた見直しは特定技能と最低賃金で整理しています。

支援の委託先・相談先に確かめること

給与の支払いと控除の責任は、支援を登録支援機関に委託しても受入れ企業に残ります。委託先に頼めるのは、口座開設への同行や、明細の説明の通訳、定期面談での確認など、本人が理解するための手助けです。委託先を選ぶとき、見直すときは、次の点を聞いておきます。

  • 入社時の口座開設に、何日目までに同行してもらえますか。
  • 給与明細や控除の説明を、本人の言語で行えますか。最初の何か月まで対応しますか。
  • 定期面談で、控除や手取りへの不満が出たとき、会社にどう伝えてもらえますか。
  • 寮費などの控除の根拠を、支援計画書や本人への説明資料にどう書いていますか。

条件に合う委託先を比べたい場合は、特定技能のりあい窓口が人材紹介会社・登録支援機関を最大3社まで無料で紹介します。順位は付けず、選ぶのは御社です。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。

想定ケース:電子部品工場(従業員260人)の工場長が、天引きと明細の説明を見直した理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

電子部品工場(従業員260人)の工場長(40代女性)に、特定技能の6人を含む外国人社員の給与の支払い方を見直した経緯を聞きました。

  • 給与明細についての外国人社員からの質問が、月10件から月2件に減った
  • 協定に入っていなかった安全靴代の天引きを止め、過去分を本人に返した
  • デジタル払いを希望者だけの選択制にし、日本人を含む18人が一部の受け取りに使っている

――見直しで、何が変わりましたか。

給料日の後の質問が減りました。前は月に10件ほど、「なぜ先月より少ないのか」と聞かれていました。明細の読み方を2言語の1枚にして、最初の3回は一緒に読むようにしたら、月2件ほどです。

――きっかけは何でしたか。

特定技能の人たちから、給料をスマホの決済アプリで受け取れないかと相談されたことです。国の家族への送金に使いたいそうです。調べ始めたら、デジタル払いには労使協定と1人ずつの同意が要ると分かりました。ついでに今の協定を読み返したら、安全靴の代金が入っていなかったんです。

――気づいたとき、どう感じましたか。

正直、冷や汗が出ました。日本人の社員にも同じ扱いをしていました。協定を結び直す前の分は全員に返し、協定に入れるか、会社負担にするかを労働者代表と話し合いました。結局、安全靴は会社が持つことにしました。

――デジタル払いは、特定技能の人にも使っていますか。

いまは使っていません。特定技能は本人の口座への振込が基本で、それ以外の方法だと支払いを示す資料を入管に出す必要があります。登録支援機関とも相談して、入管に確かめるまでは銀行振込のままにしました。本人たちには理由を説明して、納得してもらっています。

――運用で工夫している点は。

控除が変わる月の予告です。住民税が始まる月の前と、保険料が変わる月の前に、ラインの班長から一言伝えてもらいます。明細を渡す前に知っているだけで、受け止め方がまったく違います。

――ほかの工場長に伝えたいことはありますか。

労使協定は、一度結ぶと何年も読み返さないものだということです。うちも、天引きの項目が増えていくのに協定は昔のままでした。デジタル払いの相談がなければ、気づかなかったと思います。年に1回、明細の控除の行と協定の項目を突き合わせるだけで、防げたことでした。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

外国人社員の給与から控除できるものは?

所得税・住民税と、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の保険料は法令にもとづいて控除できます。寮費や食事代などは、過半数労働組合か過半数代表者との労使協定があれば控除できます。義務的支援の費用、違約金、前借金との相殺、強制的な貯金は控除できません。

特定技能の人に、給与を現金で手渡ししてもよいですか?

労働基準法上、現金払いは原則の方法です。ただし特定技能の基準では、本人の口座への振込が基本で、振込以外で払った場合は支払いの事実を裏付ける資料を出入国在留管理庁に出して確認を受けます。定期届出では報酬支払証明書を添付します。

特定技能の外国人に、給与のデジタル払いはできますか?

デジタル払いは、労使協定と本人の個別の同意があれば、外国人にも使える方法です。ただし特定技能の報酬は預貯金口座への振込が基本とされているため、使う前に、支払いの事実をどの資料で示すかを地方出入国在留管理局に確かめてください。希望しない人に強制してはいけません。

「母国の家族の口座に振り込んで」と頼まれたら?

応じられません。賃金は直接本人に払うのが原則で、特定技能の基準も「本人の預貯金口座への振込」です。本人の口座に振り込み、送金は本人が行います。

寮費を給与から天引きするには、何が必要ですか?

労使協定を結び、労働者に周知したうえで、本人に金額と根拠を説明して合意を得ます。特定技能の社宅は日本人と同等の条件で提供し、住居で利益を得てはいけません。労働基準監督署への協定の届出は不要です。

仕事のミスで壊した部品代を、給与から引けますか?

一方的に引くことはできません。賃金は全額払いが原則で、損害賠償の額をあらかじめ決める契約も禁じられています。就業規則による減給の制裁でも、1回は平均賃金の1日分の半額、総額は賃金総額の10分の1が上限です。

給与明細は何語で渡せばよいですか?

求められているのは、明細の言語そのものより、本人が中身を理解できることです。外国人雇用管理指針は、母国語など本人が理解できる言語や平易な日本語で、賃金や控除の内容を説明するよう求めています。項目名に本人の言語を併記した読み方の表を1枚用意し、最初の数回は一緒に読むのが現実的です。

退職して帰国する人の、最後の給与はどう払えばよいですか?

本人から請求があれば、退職後7日以内に払います。口座を解約する前に受け取れるよう、支払日と振込先を事前に決めます。住民税の残りは、最後の給与から一括して差し引く方法があります。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. e-Gov法令検索「労働基準法」(第16条〜第18条・第23条・第24条・第26条)(2026年10月14日確認)
  2. 厚生労働省「賃金の口座振込み等について」(令和4年11月28日基発1128第4号)(2022年11月28日)
  3. 厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について」(2026年7月1日現在)
  4. 厚生労働省リーフレット「賃金のデジタル払いの導入にあたって」(福井労働局掲載)(2026年10月確認)
  5. 厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払に関する資金移動業者向けガイドライン」(2023年3月8日)
  6. 中小企業基盤整備機構 J-Net21「賃金のデジタル払い」(2023年11月15日)
  7. 厚生労働省・相模原労働基準監督署「賃金控除に関する労使協定」(2026年10月確認)
  8. 厚生労働省「労働条件・職場環境に関するルール」(2026年10月確認)
  9. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(第2条第1項第12号)(2026年10月14日確認)
  10. 出入国在留管理庁「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領」(2026年1月26日掲載)
  11. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
  12. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
  13. 厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(2026年5月29日改正を反映)
  14. 厚生労働省「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」(2020年4月1日施行分)
  15. 総務省「外国人の方の個人住民税について」(2026年10月確認)

最終更新:(2026年10月版)

自社に合う会社を、最大3社まで比べてから相談しませんか

条件(分野・人数・国内か海外か・任せたい範囲)をお聞きし、合う人材紹介会社・登録支援機関を最大3社まで、同じ形式の比較表つきでご紹介します。どの会社とも契約しない、という選択でも構いません。

  • 相談は無料です。入力は3分ほどで終わります
  • 会社に順位は付けません。最終的に選ぶのは御社です
  • LINEからのご相談も受け付けています

    送信後の流れ:内容を確認し、担当者からメールでご連絡します。自動返信メールが届かない場合は、迷惑メールフォルダもご確認ください。お急ぎの方はLINEからどうぞ。

    ご入力いただいた情報は、お問い合わせへの回答と、ご希望に合う会社のご紹介のためにだけ使います。

    ページの先頭へ戻る