特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/2026/10/15/shoukibo-jigyousha/ 印刷日:2026年10月15日

特定技能の人材紹介会社・登録支援機関を比べて相談できる窓口 全国オンライン対応

小規模事業者(従業員10人未満)の特定技能|受け入れの現実と工夫

従業員が少ないことは、受け入れの壁ではない。壁になるのは「社長1人ですべて抱えること」

従業員が10人に満たない小規模企業でも、特定技能の外国人は受け入れられます。個人事業主も受入れ機関になれます。ただ、事務の担当者がいない、教える人が限られる、1人あたりの費用が割高になりやすいなど、小さな会社ならではの現実もあります。この記事では、小規模企業や個人事業主が受け入れるための条件と、社長1人で抱えないために外部に任せる範囲の決め方を整理しました。社会保険の適用事業所でない場合の書類や、2027年4月の新基準の影響も、2026年10月時点の公的資料にもとづいて説明します。

この記事の結論
  • 規模や法人格は条件ではない:個人事業主も特定技能所属機関になれます。求められるのは、社会保険・税・労災などの法令を守り、雇用契約を続けて履行できる体制です。
  • 社会保険の適用外でも受け入れられる:健康保険・厚生年金の適用事業所でない場合は、日本年金機構の所定の申請書で保険料の納付状況を確かめる書類を請求し、在留の申請に添えます。
  • 支援は全部委託が現実的:自社で支援するには、外国人を監督する立場にない支援責任者などが要ります。少人数の会社では立てにくいため、全部委託から始めます。全部委託すれば支援体制の基準は満たしたものとみなされます。
  • 委託先は「小さな会社の受け入れ方」で選ぶ:2027年4月から担当者1人の受け持ちは受入れ機関10未満になり、1人だけの会社も1社と数えられます。小規模の受け入れを続けられる体制かを確かめます。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

この記事の目次

結論:小規模企業でも特定技能は受け入れられる。決め手は3つの条件

従業員が10人に満たない小規模企業でも、特定技能の外国人は受け入れられます。規模や法人格は条件ではなく、個人事業主も受入れ機関(特定技能所属機関)になれます。

出入国在留管理庁の届出の案内でも、届け出る特定技能所属機関は「受入れ企業又は個人事業主の方」と書かれています。外国人を雇う事業所全体で見ても、63.1%は従業員30人未満です(厚生労働省、2025年10月末)。小さな会社が受け入れること自体は、珍しくありません。

図1小規模企業が特定技能を受け入れる3つの条件

  • 基準を満たす社会保険・税・労災などの法令を守り、過去1年に同じ業務の社員を会社都合で離職させていないこと。報酬は日本人と同等以上にします。
  • 支える人を確保する仕事を教える人と、困りごとを聞く相談役を決めます。社長1人に集めないことが続けるこつです。
  • 任せる範囲を決める支援の実施は登録支援機関に全部委託し、会社に残る届出・契約・報酬の支払いを社長と家族や事務で分けます。
3本のうち1本でも欠けると、受け入れの途中で無理が出ます。出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月時点)、出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年10月)、厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(2025年10月末)

この記事は、従業員10人未満の会社や個人事業主を想定しています。30人前後の会社の進め方は中小企業が特定技能を受け入れる進め方で、1人だけ採用する場合の注意は特定技能を1人だけ採用したいで詳しく扱っています。

従業員が少ない会社が外国人を受け入れるときの3つの現実

従業員が少ない会社の受け入れには、3つの現実があります。費用が割高になりやすいこと、社長に仕事が集まりやすいこと、本人が孤立しやすいことです。どれも、知ったうえで手を打てば乗り越えられます。

図2従業員が少ない会社の3つの現実と打ち手

  • 11人あたりの費用が割高になりやすい

    紹介料や月額の委託費は1人ごとにかかり、届出などの手間は1人でも省けません。月額委託費は「2万円以上3万円未満」が31.5%で最も多い区分です(福岡県、令和7年度、在留資格を問わない)。3年の合計で予算を組みます。

  • 2社長に仕事が集まりやすい

    事務の担当がいないと、届出も面接も相談も社長に集まります。随時届出は事由が生じてから14日以内です。届出の書類の案を早めにもらう約束で、負担を減らします。

  • 3本人が孤立しやすい

    職場に同じ言葉を話す人がいないことが多くなります。転職した人の延べ66.0%は、都道府県をまたいで住む場所を移していました(2025年8月末・暫定値)。職場の外のつながりも用意します。

3つとも、規模が小さいからこそ起きることです。出典:福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(令和7年度)、出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末・暫定値)

教える人が限られることへの備え

岡山県の調査(2023年9月1日時点)は、外国人介護人材の受入予定がない事業所に理由を聞いています。1位は「外国人介護職員を指導できる職員がいない」41.6%でした。小規模の会社では、教える人が社長本人か、ベテラン1人に限られがちです。作業の手順を写真つきの1枚にまとめ、教える人が休んでも仕事が止まらないようにしておきます。

小さな会社だからこその強みもある

小規模の会社では、社長が本人の顔を毎日見られます。困りごとに気づいてから手を打つまでが早く、決裁も社長1人で済みます。3つの現実への備えと合わせて、この近さを受け入れの計画に生かします。

孤立を防ぐのは「職場の外」のつながり

義務的支援には、日本語学習の機会の提供と、日本人との交流の促進が含まれています。地域の日本語教室や行事への参加を、委託先と一緒に用意します。本人が母語で相談できる窓口も伝えておきます。母語での相談体制の比べ方は母国語で相談できる登録支援機関の選び方、地方ならではの住まいと交通の整え方は地方・郊外の企業の特定技能で紹介しています。

個人事業主でも特定技能の受け入れはできる:法人との違い

個人事業主も、法人と同じく特定技能の受入れ機関になれます。違いが出るのは、在留の申請で出す書類と、社会保険の扱いです。

図3法人と個人事業主の主な違い

法人と個人事業主の比較(2026年10月時点)
項目法人個人事業主
受入れ機関になれるかなれるなれる
在留の申請で出す会社側の書類法人用の一覧表に沿って出す個人事業主用の一覧表に沿って出す
健康保険・厚生年金事業主だけの法人も含め、適用事業所常時5人以上の従業員がいれば適用(農林漁業・サービス業などを除く)。それ以外も、従業員の半数以上の同意と認可で適用を受けられる
適用事業所でない場合―保険料の納付状況を確かめる書類を、日本年金機構の所定の申請書で請求して添える
届出・支援の委託会社が届け出る。支援は委託できる事業主が届け出る。支援は委託できる
個人事業主でも、届出の責任と支援の委託の仕組みは法人と同じです。出典:出入国在留管理庁「『特定技能』に係る提出書類一覧表」(2026年10月)、日本年金機構「適用事業所と被保険者」(2026年10月1日更新)、日本年金機構「特定技能所属機関(社会保険適用事業所以外の事業所)の書類が必要な場合の申請方法」(2026年4月16日更新)

社会保険の適用事業所でないときの書類

健康保険・厚生年金の適用事業所でない事業所が受け入れる場合、在留の申請では、社会保険関係の保険料の納付状況を確かめられる書類を出します。日本年金機構の「【特定技能・適用外事業所用】年金加入記録・国民年金保険料納付記録交付申請書」で、事業主が請求します。

書類は原則として事業主の住所に郵送され、代理人あてには送られません。特定技能担当係に郵送で請求した場合、受付から4営業日程度で交付されます。4月からは申請が集中して時間がかかっているため、申請の予定から逆算して早めに請求します(2026年4月16日更新の案内)。

本人の保険の手続きも入社前に確かめる

適用事業所でない場合は、本人が入る医療保険と年金の手続きも、入社前に確かめておきます。役所や社会保障の手続きへの同行と書類作成の補助は、義務的支援の1つです。委託先と、誰がいつ同行するかを決めておきます。

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小規模でも満たしたい基準:受け入れ前の確認表

規模は条件になりませんが、受入れ機関としての基準は大きな会社と同じです。受け入れる前に、次の項目を社長自身で確かめます。

  • 労働・社会保険・租税の法令を守っている(社会保険料や税の滞納がない)
  • 労災保険の保険関係成立の届出など、必要な措置をとっている
  • 雇用契約の前1年以内に、同じ業務の社員を会社都合で離職させていない(定年や自己都合の退職などは除く)
  • 会社の責任で、外国人の行方不明者を出していない
  • 報酬を、本人が指定する口座への振込など、支払った額を確かめられる方法で払える
  • 雇用契約を続けて履行できる体制がある
  • 分野の協議会に、在留の申請の前に入る準備ができている

基準の全体と、受け入れできない会社の条件は、特定技能の受入れ機関の基準で確認できます。

介護と建設は、人数の上限に注意

受け入れ人数に、会社ごとの上限は原則としてありません。ただし介護は事業所の常勤介護職員の総数まで、建設は常勤職員(技能実習生、育成就労外国人、1号特定技能外国人を除く)の総数までです。常勤の職員が少ない小規模の会社ほど、この上限に先に届きます。採用人数を決める前に、常勤職員の数え方を委託先と確かめます。

家族で営む会社は「社長が不在のとき」を決めておく

家族経営の会社では、届出や連絡が社長1人に集まりがちです。社長が入院や出張で不在のとき、誰が委託先からの連絡を受け、誰が届出の期限を確かめるかを決めておきます。報酬の振込の手続きや雇用契約書の保管場所も、家族の誰かと共有しておきます。

農業と漁業は派遣という選択肢もある

特定技能は直接雇用が原則ですが、農業と漁業は派遣での受け入れも認められています。繁忙期が短い個人の農家や漁業者は、直接雇用と派遣のどちらが合うかを比べる余地があります。

外部に任せる範囲の決め方:社長1人で抱えないために

小規模企業は、支援の実施を登録支援機関に全部委託するのが現実的です。全部委託すれば、会社が満たすべき支援体制の基準は満たしたものとみなされます。支援の一部だけを委託することもできますが、このみなしが認められるのは全部を委託した場合です。

自社支援が難しい理由

自社で支援するには、過去2年間に就労系の在留資格の外国人を受け入れた実績などの基準があります。さらに、支援責任者と支援担当者は、外国人を監督する立場にない中立的な人でなければなりません。社長と数人の社員で回す会社では、監督しない立場の人を立てること自体が難しくなります。

図4小規模企業が任せる仕事と、手元に残す仕事

  • ① 人を探す(外部)人材紹介会社に頼みます。日本にいる人か海外から呼ぶかで、頼む先の得意分野が変わります。
  • ② 書類を作る(外部)在留の申請書類の作成を頼むなら、行政書士です。会社は登記や納税、保険料の書類をそろえます。
  • ③ 生活を支える(外部)住まい・口座・役所の手続き、3か月に1回以上の面談、相談への対応は登録支援機関が行います。
  • ④ 届け出て、教える(会社)随時届出・定期届出の提出、雇用契約、報酬の支払い、仕事の指導は会社に残ります。
④だけは誰にも渡せません。社長が抱えるのはここに絞ります。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人に対する支援・登録支援機関」(2026年10月)、出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年10月)

人材紹介会社と登録支援機関の役割の違いは人材紹介会社と登録支援機関の違い、登録支援機関が担う10項目の支援は登録支援機関とは?で確かめられます。

2027年4月の新基準で、小さな会社も「1社」と数えられる

2027年4月1日から、登録支援機関の支援担当者の数は「受入れ機関の数÷10」と「1号外国人の数÷50」の両方を上回る必要があります。1人だけ受け入れる会社も、受入れ機関としては1社です。小規模の会社を多く受け持つ機関ほど、担当者を増やさなければなりません。

図5小規模の受入れ機関を多く支援する場合の担当者数(計算例)

  • 受入れ機関9社・1号9人(各社1人)9÷10=0.9、9÷50=0.18 → どちらも上回るには担当者1人以上
  • 受入れ機関20社・1号20人(各社1人)20÷10=2、20÷50=0.4 → 「2」を上回る必要があり担当者3人以上
  • 受入れ機関2社・1号40人2÷10=0.2、40÷50=0.8 → 担当者1人以上
支援する人数が少なくても、1人ずつの会社が多いほど担当者が多く要ります(20人で3人以上、40人で1人以上)。委託先に、小規模の受け入れを2027年以降も続けられる体制かを聞きます。出典:出入国在留管理庁「登録支援機関の支援体制要件の改正(令和9年4月1日施行)」(2027年4月1日施行)

新基準に対応できる委託先の見分け方は、2027年4月の新基準に対応できる登録支援機関の見分け方にまとめています。

小規模企業の受け入れ手順:入社までの7ステップと社長の出番

小規模企業の受け入れは、7つのステップで進めます。社長が自分で手を動かすのは、点検・決定・契約・届出の場面です。それ以外は外部に任せられます。

図6小規模企業・個人事業主が入社までに進める7ステップ

  1. 任せたい仕事の分野を確かめる(社長)

    仕事が19分野のどれに当たるかを確かめます。外食業のように、海外から新たに呼べない時期がある分野もあります。

  2. 基準を自分で点検する(社長)

    社会保険・税・労災の手続きと、過去1年の退職者の状況を、前の章の確認表で確かめます。

  3. 社会保険の適用を確かめる(社長)

    適用事業所でない場合は、日本年金機構への書類の請求を、在留の申請から逆算して早めに行います。

  4. 委託先と紹介会社を決める(社長)

    2〜3社に同じ質問をして比べます。支援は全部委託を基本にします。

  5. 協議会に入る準備をする(社長・委託先)

    多くの分野で、在留の申請の前に分野ごとの協議会の構成員になる必要があります。

  6. 面接し、雇用契約を結ぶ(社長・外部)

    報酬は日本人と同等以上にし、手取りの計算例を本人の言語で示します。事前ガイダンスは委託先と分担します。

  7. 在留の申請をし、入社後に届け出る(外部・社長)

    申請書類の作成を頼むなら行政書士です。ハローワークへの届出は、雇用保険の被保険者なら雇い入れの翌月10日まで、被保険者でない人は翌月末日までです。

社長の出番は、判断・点検・契約・届出に集まります。書類の作成、申請の準備、生活の支援は外部が担います。出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)、出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の審査状況」(2026年9月10日掲載)、厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(2026年10月)

日本にいる人か、海外から呼ぶかで期間が変わる

日本にいる人を雇うなら、在留資格の変更許可を申請します。海外から呼ぶなら、在留資格認定証明書の交付を受けてから、本人が現地で査証(ビザ)を申請します。海外からは国ごとの送出しの手続きも加わるため、時間がかかる傾向があります。繁忙期に間に合わせたいなら、その時期から逆算して始めます。

小規模企業が登録支援機関を選ぶときの7つの質問

小規模企業が委託先を選ぶときは、2つの点を軸に比べます。「小さな会社の受け入れ方を知っているか」と、「2027年以降も同じ条件で続けられるか」です。福岡県の調査(令和7年度)でも、受け入れで相談する先の1位は「登録支援機関」43.4%でした。委託先は、事実上の相談相手になります。

  • 従業員10人未満の会社や個人事業主の受け入れを、何件支援していますか。
  • 1人だけの受け入れでも、月額や初期費用は同じですか。最低の契約人数はありますか。
  • 担当者1人が、いま何社・何人を受け持っていますか。2027年4月以降の体制はどうなりますか。
  • 随時届出の書類の案は、期限の何日前にもらえますか。
  • 本人の言語で相談に乗れる人は何人いて、夜間や休日はどうしていますか。
  • 地域の日本語教室や行事への参加を、どう手伝ってもらえますか。
  • 社会保険の適用事業所でない場合の書類の準備に、慣れていますか。

答えが具体的な会社ほど、小さな会社の事情を分かっています。逆に「規模は関係ありません」とだけ答える会社には、同じ規模での受け入れ例を重ねて聞いてみてください。急いで採用したい場合のスケジュールの組み方は、特定技能を急いで採用したいが参考になります。

小規模企業が避けたい委託先のサイン

  • 1人だけの受け入れだと、担当者を決めない
  • 届出も「全部こちらで」と言う(届出は事業主しか出せません)
  • 費用を「一式」としか示さない
  • 支援の費用を本人に負担させる仕組みがある

費用の負担を軽くする制度も確かめる

厚生労働省の人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は、2026年10月1日の改定後、支給額が20万円です。一時帰国のための休暇制度の整備などの上乗せを行うと、25万円になります。雇用労務責任者の選任や3か月ごとの面談などの要件があるため、受け入れ前に要件を確かめておきます。県や市が独自の補助を設けている場合もあります。

想定ケース:農業(個人事業主・従業員3人)の園主が、1人目の受け入れを1人で抱えずに回した方法

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

家族と3人の従業員で果樹園を営む園主(60代)に、個人事業主として特定技能の1人を受け入れた経緯を聞きました。

  • 年金機構への書類の請求を申請の1か月前に済ませ、在留の申請は予定どおりに出せた
  • 園主が受け入れに使う時間は、面談の報告を読む時間と届出の確認で月2時間ほど
  • 本人は地域の日本語教室に月2回通い、収穫期の出荷作業を1人で回せるようになった

――受け入れて半年、何が変わりましたか。

収穫期の出荷作業を、彼に任せられるようになりました。前は私と妻が夜中まで箱詰めをしていました。受け入れに使う私の時間は、面談の報告を読むのと、届出の確認で月2時間ほどです。思っていたよりずっと少ないですね。

――検討を始めたのは、なぜですか。

パートさんの高齢化です。3人のうち2人が70代で、脚立に上る作業は頼めなくなりました。求人誌に半年出しても、電話は1本もありません。農協の会合で、特定技能で受け入れている農家の話を聞いたのがきっかけです。

――小さな事業所ならではの不安はありましたか。

個人事業主でも雇えるのか、が最初の疑問でした。うちは農業なので、健康保険や厚生年金の適用事業所ではありません。それで断られるのではないかと思っていました。委託先の担当者に、年金機構に請求する書類があると教えてもらい、申請の1か月前に郵送で請求しました。4月は混むから早めに、と言われたのが助かりました。

――委託先は、どう選びましたか。

2社に話を聞きました。決め手は、従業員が数人の農家の受け入れ例を、うまくいかなかった話も含めて聞かせてくれたことです。1人だけだと寂しくなって辞める人もいる、だから最初から地域の日本語教室につなぎます、と。うちの事情を分かったうえでの提案だと感じました。もう1社は、1人だけだと割高になるとはっきり言いました。それも正直だと思いましたが、費用の差より、孤立させない段取りがあるほうを選びました。

――実際に回してみて、工夫したことは。

届出は私の仕事だと最初に決めました。委託先から書類の案が届いたら、妻と2人で確かめて出します。作業の手順は、剪定や出荷の写真を貼った紙にまとめました。私が農協に出ている日でも、彼がそれを見て動けます。日本語教室のボランティアの方とは、いまでは家族ぐるみの付き合いです。

――費用の面は、どう感じていますか。

1人だけなので、割高なのは確かです。それでも、繁忙期に日雇いの人を探して毎日説明し直す手間を考えると、うちには合っていました。3年の合計で予算を組んだので、月々の支払いに驚くことはありません。助成金も、要件を確かめたうえで申請を考えています。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

小規模企業でも対応してくれる登録支援機関は?

あります。見分けるポイントは3つです。従業員10人未満の会社や個人事業主の受け入れ例があるか、1人だけでも担当者が固定されるか、2027年4月以降も同じ条件で続けられるかです。特定技能のりあい窓口では、条件に合う会社を最大3社まで無料で紹介し、順位は付けず、選ぶのは御社です。なお、掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。

社長1人で特定技能の受け入れに対応できる?

支援を登録支援機関に全部委託すれば、対応できます。社長に残るのは、届出の提出、雇用契約、報酬の支払い、仕事の指導です。自社で支援する場合は、外国人を監督する立場にない支援責任者などが要るため、社長1人では基準を満たせません。

個人事業主でも特定技能の外国人を雇えますか?

雇えます。出入国在留管理庁の案内でも、特定技能所属機関は「受入れ企業又は個人事業主」とされています。在留の申請では、個人事業主用の提出書類の一覧表に沿って書類をそろえます。

社会保険の適用事業所でなくても受け入れられますか?

受け入れられます。その場合は、保険料の納付状況を確かめる書類を、日本年金機構の所定の申請書で請求して、在留の申請に添えます。特定技能担当係に郵送で請求すると受付から4営業日程度で交付されますが、申請が集中する時期は通常より時間がかかります(2026年4月16日更新の案内)。

常勤の職員が少なくても、介護や建設で受け入れられますか?

受け入れられますが、人数に上限があります。介護は事業所の常勤介護職員の総数まで、建設は常勤職員(技能実習生、育成就労外国人、1号特定技能外国人を除く)の総数までです。採用人数を決める前に、常勤職員の数え方を確かめてください。

小規模企業でも、海外から人を呼べますか?

呼べます。在留資格認定証明書の交付を受けてから、本人が現地で査証(ビザ)を申請します。国ごとの送出しの手続きも加わるため、日本にいる人を雇うより時間がかかる傾向があります。外食業のように海外からの新たな受け入れが止まっている分野もあるので、分野の状況を先に確かめてください。

1人だけの受け入れで気をつけることは何ですか?

費用が割高になりやすいことと、本人が孤立しやすいことです。3年の合計で予算を組み、地域の日本語教室や母語の相談窓口など、職場の外のつながりを最初から用意します。詳しくは特定技能を1人だけ採用したいで解説しています。

拠点がいくつもある会社と、進め方は違いますか?

基準や届出のルールは同じです。違うのは管理の仕方で、複数の拠点がある会社は拠点ごとの届出や面談の管理表が要ります。拠点の多い会社の進め方は大企業・複数拠点の特定技能で整理しています。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年10月)
  2. 出入国在留管理庁「『特定技能』に係る提出書類一覧表」(2026年10月)
  3. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
  4. 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
  5. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人に対する支援・登録支援機関」(2026年10月)
  6. 出入国在留管理庁「登録支援機関の支援体制要件の改正(令和9年4月1日施行)」(2027年4月1日施行)
  7. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月時点)
  8. 日本年金機構「特定技能所属機関(社会保険適用事業所以外の事業所)の書類が必要な場合の申請方法」(2026年4月16日更新)
  9. 日本年金機構「適用事業所と被保険者」(2026年10月1日更新)
  10. 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」本文(2025年10月末)
  11. 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(2026年10月)
  12. 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」(2026年10月1日改定)
  13. 出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の審査状況」(2026年9月10日掲載)
  14. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末・暫定値)
  15. 福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(令和7年度)
  16. 岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)

最終更新:(2026年10月版)

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