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特定技能外国人が辞める理由|公的調査と現場で起きていること
退職理由の51.0%は「日本で転職」。止められない理由と、手を打てる理由を分けて考えます
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
仕事を覚えたころに辞めてしまう。理由を聞いても「家族のため」としか言わない。特定技能の外国人が辞める本当の理由が分からないままでは、次に採用した人でも同じことが起きます。この記事では、公的データをもとに、退職理由を「会社が手を打てる理由」と「打てない理由」に分けて整理しました。使うのは、日本政策金融公庫の調査、出入国在留管理庁の転職データと在留外国人基礎調査、福岡県の介護事業所調査です。現場で起きやすい場面と、辞めるサインに気づいたときの対応もまとめています。
- 退職理由の最多は「日本で転職するため」51.0%:「母国で働くため」30.2%、「家族の事情のため」26.0%が続きます。会社が手を打てるのは主に転職で、残りは時期を読んで備える理由です。
- 特定技能1号の転職経験者は22.4%:2021〜2024年に資格を得た341,253人のうち76,338人です。最初の転職の86.6%は2年以内で、延べ転職者の66.0%は都道府県をまたいで住所を移しています。
- 早期離職は「入社前の説明」と「最初の数か月」で決まりやすい:手取り・仕事内容・相談先のずれを、面談の記録と辞めるサインで早めにつかみます。
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この記事の目次
特定技能外国人が辞める理由は「転職」が半分。手を打てる理由から対策する
公的調査で最も多い退職理由は「日本で転職するため」で、51.0%を占めます。理由を「会社が手を打てる」「一部なら打てる」「打てない」に分けると、限られた時間で何をすべきかが絞れます。
「母国で働く」「家族の事情」のように会社では変えにくい理由もあります。その場合も、時期を早めに知って後任を育てれば、現場の痛手は小さくできます。
図1退職理由を4つに分ける(割合は複数回答)
- 手を打てる日本で転職するため51.0%。手取り・昇給の見通し・相談相手・評価で、比べられたときの差を縮められます。
- 一部なら打てる家族の事情のため26.0%、結婚や出産のため12.6%、病気のため4.1%。休暇・制度の説明・健康の声かけで、辞めずに済む人もいます。
- 打てない(備える)母国で働くため30.2%、日本で独立するため3.5%、母国以外の国で働くため2.9%、高齢のため1.9%。時期を早く知り、後任の準備を進めます。
- 分からない・その他わからない8.9%、その他13.2%。理由をつかめていないか、分類しにくい部分です。聞き方と記録の仕方を変えると、打てる手が見つかることがあります。
「辞める理由」と「辞めるきっかけ」は別のもの
本人が口にする理由と、辞めると決めたきっかけは、一致しないことがあります。「家族のため」と言った人が、実は寮の人間関係に疲れていた、ということも起こります。理由をそのまま記録するだけでなく、「いつ、何があって考え始めたか」を聞くと、会社が打てた手が見えてきます。
この記事で使う4つの公的データ
- 日本政策金融公庫の調査:2024年9〜10月、回答3,948社。会社から見た退職理由
- 出入国在留管理庁の転職の集計:2021〜2024年に特定技能1号の資格を得た341,253人。いつ、どこへ移ったか
- 出入国在留管理庁の在留外国人基礎調査:有効回答8,874人。本人から見た仕事の困りごと
- 福岡県の介護事業所調査:回答1,122事業所。介護の現場での退職理由(転職先など)
公的調査で見る外国人の退職理由:転職51.0%、母国30.2%、家族26.0%
日本政策金融公庫の調査では、外国人従業員の退職理由の1位は「日本で転職するため」51.0%でした。2位の「母国で働くため」30.2%の約1.7倍で、会社が手を打てる理由が最も多いことになります。
図2外国人従業員の退職理由(複数回答、484社)
- 日本で転職するため51.0%
- 母国で働くため30.2%
- 家族の事情のため26.0%
- 結婚や出産のため12.6%
- 病気のため4.1%
- 日本で独立するため3.5%
- 母国以外の国で働くため2.9%
- 高齢のため(定年を含む)1.9%
- その他13.2%
- わからない8.9%
誰に聞いた数字か
調査は2024年9〜10月、公庫の融資先のうち2019年以前に創業した法人1万6,000社に送られ、3,948社が回答しました。外国人を雇っている会社と過去に雇ったことがある会社の計893社のうち、最近5年間に外国人の退職が「ある」と答えた会社は54.5%です。答えたのは会社なので、本人が会社に伝えた理由、または会社がそう受け取った理由だという点に注意が要ります。
介護の現場では「県外の別法人」と「他業種」が34.0%ずつ
福岡県の調査(2025年7月)では、外国人介護職員の退職者がいた94事業所に退職理由を聞いています(複数回答)。「介護職として県外の別の法人に転職」と「介護職以外の他業種へ転職」を挙げた事業所がともに34.0%でした。「介護職として県内の別の法人に転職」は20.2%です。在留資格を問わない数字ですが、近くの同業者よりも、県外や別の仕事が比べる相手になっていることが分かります。
特定技能の離職率は?公表されているのは「転職経験者22.4%」
確認できた公的資料には、特定技能に限った「離職率」の統計は見当たりませんでした。最も近い数字は、出入国在留管理庁が公表した転職の集計です。2021〜2024年に1号の資格を得た341,253人のうち、転職を経験した人は76,338人(22.4%)でした。
図3特定技能1号の分野別の転職経験者
| 分野 | 資格取得者 | 転職経験者 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 農業 | 41,390人 | 13,618人 | 32.9% |
| 漁業 | 4,464人 | 1,253人 | 28.1% |
| 飲食料品製造業 | 90,368人 | 24,508人 | 27.1% |
| ビルクリーニング | 7,163人 | 1,697人 | 23.7% |
| 外食業 | 27,352人 | 6,063人 | 22.2% |
| 介護 | 50,740人 | 10,301人 | 20.3% |
| 工業製品製造業 | 57,447人 | 11,273人 | 19.6% |
| 宿泊 | 789人 | 141人 | 17.9% |
| 造船・舶用工業 | 11,930人 | 2,009人 | 16.8% |
| 自動車整備 | 3,669人 | 552人 | 15.0% |
| 建設 | 44,455人 | 4,789人 | 10.8% |
| 航空 | 1,485人 | 134人 | 9.0% |
| 全分野 | 341,253人 | 76,338人 | 22.4% |
図4資格を得た年別の転職経験者の割合(特定技能1号)
- 2021年に取得(37,310人)29.2%
- 2022年に取得(92,824人)28.7%
- 2023年に取得(101,240人)25.1%
- 2024年に取得(109,879人)12.2%
数字を読むときの3つの注意
- 「転職」は、特定技能1号で在留資格の変更許可を受けたことを指します。帰国した人や、連絡がとれなくなった人は入っていません
- 2024年の取得者の12.2%は、まだ在籍期間が短いための数字です。時間がたてば、前の年の取得者と同じ水準に近づくと考えておくほうが安全です
- 最初の転職は、資格取得から1年未満が44.5%、1〜2年が42.1%(編集部計算)で、2年以内に集中しています
技能実習から移った人と、試験で資格を得た人
同じ集計では、技能実習を修了して資格を得た人の転職経験者は20.7%、試験の合格などで資格を得た人は25.2%でした。差は4.5ポイントで、分野ごとの事情も重なります。入り方だけで定着を予測するより、本人の目的と自社の条件が合っているかを確かめるほうが確実です。
参考:特定技能に限らない早期の離職
厚生労働省の集計では、職業紹介を通じて就職した人の6か月以内の離職率は、介護19.9%、看護12.9%、保育14.5%でした。令和5年度の実績で、国籍を問わない数字です。入社直後の離職は、外国人に限った問題ではありません。
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「転職」の中身:お金・休み・扱われ方・地域
本人の側から見ると、仕事の困りごとの1位は「給料が低い」です。出入国在留管理庁の在留外国人基礎調査(2025年10〜11月)で、仕事について答えた7,706人のうち29.1%がこれを挙げました。2位以下を大きく引き離しています。
図5在留外国人が挙げる仕事の困りごと(複数回答、7,706人)
- 給料が低い29.1%
- 休みが取りにくい7.4%
- 労働時間が長い6.6%
- 雇用形態が不安定である5.6%
- 採用・配属・昇進面で日本人と比べ不利5.4%
- 毎月の給料の変動が大きい4.7%
- 職場での人間関係がうまくいかない4.6%
- スキルアップのための研修・支援が限られている4.4%
- 職場での日本語やマナーが分からない2.8%
お金は「額」だけでなく「変動」と「見通し」
「給料が低い」の次に、「休みが取りにくい」「労働時間が長い」「毎月の給料の変動が大きい」が並びます。残業が減った月に手取りが大きく下がると、それだけで他社の求人が魅力的に見えます。時給を上げられなくても、手取りの変動を先に説明し、昇給の条件を示すことはできます。
「不利に扱われている」と感じさせない
「採用、配属、昇進面で日本人と比べて不利に扱われている」は5.4%でした。同じ調査で差別を受けたと答えた人に相手を聞くと、職場関係者が35.9%を占めます。評価の基準を紙で示し、日本人と同じ物差しで判断していることを見せると、この不満は減らせます。
地方から都市へ、県境を越えて動く
出入国在留管理庁の集計では、延べ90,029件の転職のうち66.0%で住所が都道府県をまたいでいました。東京都・神奈川県・埼玉県・大阪府など大都市圏は転入が上回り、北海道は2,337人の転出超過です。地方の会社は、都市部の求人と並べて比べられていると考えておく必要があります。
会社が手を打てる理由・打てない理由の仕分け表
退職理由ごとに、会社が打てる手と、変えにくい部分を表にしました。「打てない理由」でも、準備しておけば損を小さくできます。
図6退職理由の仕分け表
| 退職理由 | 会社が打てる手 | 変えにくい部分 | 準備しておくこと |
|---|---|---|---|
| 日本で転職するため(51.0%) | 手取りの見本、昇給の条件、相談相手、評価の基準 | 都市部との賃金差、本人の希望する仕事 | 1年目の評価面談で次の目標と給料を示す |
| 母国で働くため(30.2%) | 将来の予定を面談で聞く | 母国での仕事や家族の事情 | 帰国の半年前を目安に後任の募集を始める |
| 家族の事情のため(26.0%) | まとまった休みの取りやすさ、2号で家族を呼べる道の説明 | 家族の病気や介護 | 一時帰国の時期を年の初めに聞く |
| 結婚や出産のため(12.6%) | 使える休暇や制度を母国語で説明する | 本人の人生の選択 | 相談先を決めておく |
| 病気のため(4.1%) | 体調の声かけ、病院のかかり方の案内 | 本人の病気 | 通訳を頼める医療機関を調べておく |
| 日本で独立・他国で働く(3.5%・2.9%) | 将来の希望を早めに聞く | 本人のキャリアの選択 | 引き継ぎの期間を決める |
| わからない(8.9%) | 母国語で、第三者を交えて聞く | — | 退職理由の記録の形を決める |
「打てない理由」でも、損は小さくできる
帰国や家族の事情による退職は止められません。それでも、時期が半年前に分かれば、採用と引き継ぎの段取りが組めます。紹介会社を通じて採用した場合は、早期退職のときの返金の条件も契約前に確かめておきます。詳しくは早期退職時の返金規定で解説しています。
手を打てる理由への具体策を、入社前・3か月・1年の時期別にまとめたのが特定技能外国人の定着率を上げる方法です。この表とあわせて使ってください。
外国人の早期離職の原因:入社前の説明と最初の数か月
早期離職の多くは、入社前に聞いた条件と実際の違い、最初の数か月の孤立、指示が伝わらないことへの叱責が重なって起きます。最初の転職の44.5%が資格を得てから1年未満、という数字はこの時期の重さを示しています。
受け入れた会社が感じている課題
福岡県の調査は、外国人介護人材を受け入れている(予定を含む)362事業所に、受入れ・雇用後の課題を聞いています(3つまで回答)。上位は「日本語のコミュニケーション」44.8%と、「日本語の読み書き・読解力の不足により業務に支障がある」44.2%でした。「日常生活支援(生活のマナーやルールの説明等)の労力が大きい」も27.3%あります。言葉と生活のつまずきは、本人にとっても会社にとっても負担になっています。
会社と本人で、困りごとの見え方が違う
会社は日本語を課題の上位に挙げます。一方、在留外国人基礎調査で本人が挙げる仕事の困りごとは「給料が低い」が最多で、「職場での日本語やマナーが分からない」は2.8%でした。調査の対象も聞き方も違うので単純には比べられません。それでも、会社が日本語の問題だけを見ていると、本人の不満の中心にあるお金や休みの話を見落とすおそれがあります。面談では、仕事の言葉のことと、給料・休みのことを分けて聞きましょう。
図7現場で起きやすい早期離職のきっかけ
- 1最初の給料明細
税金・社会保険料・寮費が引かれ、聞いていた額より少ないと感じる。説明がないと不信感に変わります。
- 2残業の増減
残業が多いと聞いて来たのに少ない、またはその逆。手取りが月ごとに大きく変わります。
- 3住まいの人間関係
相部屋や共同生活の小さな不満が、職場への不満と重なります。
- 4伝わらない指示と叱責
あいまいな指示でミスをし、人前で叱られる。本人は理由が分からないまま自信を失います。
- 5相談できる人がいない
面談が形だけで、困りごとを話しても返事がない。外の知人に相談し、他社の話を聞きます。
4つ目のきっかけには、言い方を変えるだけで効く対策があります。指示の言い換え例はやさしい日本語で伝える、学習の機会の作り方は日本語学習支援の記事で紹介しています。
辞めるサインに気づいたら:1週間以内に聞き、記録し、返事をする
辞めるサインは、話す量・休み方・お金の話題の変化に出やすいものです。気づいたら1週間以内に面談し、会社ができること・できないことを期限つきで返します。
見逃しやすいサイン
- 雑談や質問が急に減った。面談で「大丈夫です」としか言わない
- 有給休暇をまとめて取りたがる、急な休みが増えた
- 残業代や他社の時給など、お金の話題が増えた
- 同じ職場の外国人どうしで、仕事の後の集まりが減った、または急に増えた
- 在留カードの期限や、在留資格の変更の手続きについて聞いてくる
サインがあっても、辞めると決まったわけではありません。決めつけず、話を聞く機会として使います。
- 気づいたことをメモする
日付と、何を見て気づいたかを1行で残します。上司の印象だけで判断しないためです。
- 1週間以内に面談する
本人が十分に理解できる言語で行います。上司に言いにくい話もあるので、支援担当者や通訳を交えた場も選べるようにします。
- 理由を仕分ける
前の章の表を使い、手を打てる理由か、打てない理由かを分けます。きっかけになった出来事も聞きます。
- できること・できないことを返す
「来月から残業の見込みを毎月伝える」のように、期限と中身をはっきり伝えます。できないことも、理由と一緒に伝えます。
- 辞める場合は手続きを確かめる
雇用契約の終了などは、出入国在留管理庁への随時届出(事由が生じてから14日以内)が必要です。会社の都合で辞めてもらう場合は、転職の支援も義務的支援に含まれます。
してはいけない引き止め
- 違約金を定める、保証金を取るなど、辞めにくくする契約を結ぶ
- パスポートなどの書類を会社が預かる
- 退職の話をした本人を、ほかの社員の前で責める
特定技能1号は、同じ分野の中なら本人の意思で転職できます。連絡がとれなくなった場合の対応は失踪を防ぐには、業者や本人との間で起きやすい行き違いは特定技能の契約トラブル事例で扱っています。
見落としやすい「制度上の退職」:1号は通算5年まで
公庫の調査の退職理由には、在留期間の満了による退職は含まれていません。しかし特定技能1号は通算5年までなので、2号などへ移る準備をしなければ、5年で1号としては働けなくなります。
2号へ移る人は、まだ少ない
2026年6月末の在留者は、1号425,961人に対して2号は18,295人です。2号は在留期間の更新に上限がなく、要件を満たせば家族も呼べますが、熟練した技能の試験などが必要です。介護には2号がなく、介護福祉士を取って在留資格「介護」に移る道があります。公庫の調査でも、外国人雇用の困りごとに「在留できる年数が短い」を挙げた会社が24.2%ありました。
許可が出なければ、働く意思があっても続けられない
在留期間の更新や在留資格の変更が許可されなければ、本人に働く意思があっても仕事は続けられません。申請の準備が遅れたり、書類に不備があったりすると、手続きが間に合わないおそれもあります。不許可になりやすい点は特定技能が不許可になる理由と対策、申請書類を誰に頼むかは行政書士・社労士・登録支援機関の違いで確かめてください。
入社1年目から、5年後の話をする
2号の試験をいつ受けるか。介護なら、介護福祉士の受験に向けて何年目に何をするか。入社1年目の評価面談で話しておくと、本人は「この会社に先がある」と考えやすくなります。評価と昇給、資格取得の支援の組み立て方はキャリアアップの記事にまとめています。
想定ケース:介護施設(職員80人)の施設長が「退職理由の聞き方」を変えた理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
- 退職理由が「わからない」のまま終わった退職が、2年で3件から0件に
- 特定技能の6人のうち、2年目に入ってからの退職は0人
- 面談で出た要望14件のうち、9件に1か月以内で対応した
――2年前と比べて、何が変わりましたか。
辞めた理由が分からないまま、という退職がなくなりました。以前は3人が辞めて、記録には3人とも「家族の事情」と書いてありました。いまは6人とも2年目に入って、全員残っています。(介護施設・職員80人・施設長・40代)
――以前は、どのように理由を聞いていたのですか。
私とフロアの主任が並んで座って、日本語で「どうして辞めるの」と聞いていました。いま思えば、上司2人に囲まれて本当のことは言えません。あとで通訳を通して聞き直すと、1人は県外の施設の寮つき求人をSNSで見ていました。もう1人は、夜勤手当の計算が分からないまま不満をためていたんです。
――何を手がかりに、聞き方を変えたのですか。
公的な調査で、退職理由の半分が日本での転職だと知りました。うちの記録の「家族の事情」も、本当は転職だったのではないかと。それで、委託先の支援担当者に母国語で聞いてもらい、理由を「手を打てる」「打てない」に分けて記録する形にしました。担当の方が「全部は止められません。でも、打てる手のある理由は、だいたい半分です」と最初に言ってくれたのが、かえって信用できました。
――迷ったところはありましたか。
夜勤手当の説明を、どこまで細かくするかです。計算式をそのまま翻訳しても伝わらない。結局、実際の明細を1枚ずつ見せて「この夜勤が、この金額」と指で示すやり方にしました。1人30分ほどですが、そのあと手当についての質問がなくなりました。
――続けるうえでの工夫は。
面談で出た要望は、全部一覧にして、1か月以内に返事をすると決めました。14件のうち9件はすぐ対応できて、残りの5件は「できない理由」を説明しました。できないと伝えても、返事があること自体で表情が変わります。辞めるサインのメモも、主任たちが書くようになりました。
相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。
よくある質問
外国人社員が辞めるサインは?
話す量・休み方・お金の話題の変化に出やすくなります。雑談や質問が減って「大丈夫です」としか言わない、休みをまとめて取りたがる、他社の時給の話が増える、といった変化です。サインに気づいたら1週間以内に、本人が理解できる言語で面談し、会社ができること・できないことを返しましょう。
退職理由を聞いても、本当のことを言ってもらえません。
上司が日本語で聞くと、角の立たない理由しか出てこないことがあります。支援担当者や通訳を交え、母国語で聞く場をつくると話しやすくなります。理由だけでなく、「いつ、何があって考え始めたか」を聞くと、会社が打てた手が見えてきます。
辞めたいと言われたら、引き止めてもよいですか?
話し合って条件を見直すことは問題ありません。ただし、違約金や保証金で辞めにくくすることや、パスポートなどを預かることはしてはいけません。特定技能1号は、同じ分野の中なら本人の意思で転職できます。
退職するとき、会社がしなければならない手続きは?
雇用契約の終了などは、出入国在留管理庁への随時届出が必要で、期限は事由が生じてから14日以内です。会社の都合で辞めてもらう場合は、次の仕事探しを手伝う転職支援も義務的支援に含まれます。支援を委託している場合は、委託先と分担を確認しましょう。
特定技能の人が、ほかの分野の仕事に移ることはありますか?
あります。ただし特定技能のまま別の分野に移るには、移る先の分野で求められる試験などの要件を満たす必要があります。福岡県の介護事業所調査では、退職理由として「介護職以外の他業種へ転職」を挙げた事業所が34.0%ありましたが、これは在留資格を問わない数字です。
外国人は日本人より辞めやすいのですか?
公的調査からは、そうとは言えません。日本政策金融公庫の調査で、外国人正社員の定着率を同じ仕事の日本人正社員と比べてもらった結果です。「同じくらい」54.5%、「高い」26.4%、「低い」6.7%でした。ただし特定技能1号は同じ分野の中で転職できるため、条件の差が退職につながりやすい面はあります。
早く辞められた場合、紹介料は戻りますか?
戻るかどうかは、紹介会社との契約にある返金規定しだいです。何か月以内の退職なら何割戻るか、自己都合と会社都合で違うかを、契約前に書面で確かめておきましょう。詳しくは早期退職時の返金規定で解説しています。
辞めた理由の記録は、どう残せばよいですか?
1人1行で、「退職日・本人が言った理由・きっかけになった出来事・手を打てる理由か・会社が打った手」を残します。3人分たまると、自社で多い理由と時期が見えてきます。記録は、次の採用の説明内容や面談の時期を見直す材料になります。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表(調査は2024年9〜10月))
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末までの集計・暫定値)
- 出入国在留管理庁「令和7年度 在留外国人に対する基礎調査」概要資料(2026年5月公表(調査は2025年10〜11月))
- 福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(調査は2025年7月)
- 厚生労働省「地域ブロック別の職種別離職率について」(令和5年度実績)
- 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和8年6月末・速報値)」(2026年6月末)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日改正)
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年10月確認)
最終更新:(2026年10月版)
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