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飲食料品製造業の特定技能|対象の事業所・試験・受け入れのポイント
最大の分野だからこそ、上限の残りを見て早めに動く。小さな水産加工場でも組める採用計画の作り方
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
食品製造の現場で人が足りない。特定技能を考えたいが、うちの工場は対象なのか、いつまでに動けばよいのか分からない。飲食料品製造業は特定技能で最も多くの人が働く分野ですが、受入れ見込数(上限)の76.3%まで在留者が増え、外食業のように新規の受け入れが止まる可能性も意識する時期に入りました。この記事では、対象になる事業所の確かめ方、試験と協議会、要件を整理し、上限を前提にした採用計画の立て方を、2026年10月時点の公的資料で示します。
- 上限の76.3%まで進んだ最大の分野:1号の在留者は101,922人(2026年7月末)。残りの枠は単純計算で約2年分です。採用は「早めに」「ルートを2つ」で計画します。
- 対象は事業所の産業分類で決まる:食料品製造業(09)のほか、清涼飲料・茶・製氷、製造を行うスーパーや食肉小売なども対象です。選別や包装だけの作業、酒類の製造は対象外です。
- 協議会の審査に2〜3か月かかる:食品産業特定技能協議会への加入は在留の申請の前に必要です。支援を任せる登録支援機関も構成員でなければなりません。
- 2027年4月に業務区分が2つに分かれる:「飲食料品製造業」と「水産加工業」になります。水産加工の工場は、どちらの区分で受け入れるかを確かめます。
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この記事の目次
結論:特定技能の食品製造は最大の分野。ただし上限の76.3%まで進んでいる
飲食料品製造業は、特定技能で最も多くの人が働く分野です。2026年6月末の1号の在留者は100,769人で、19分野の中で最多でした。2号も4,703人と、建設に次いで多くなっています。所管は農林水産省で、育成就労を含めた分野全体の見込数は194,900人です。
一方で、受入れ見込数(上限)の消化は進んでいます。2026年7月末の1号の在留者は101,922人で、2029年3月末までの見込数133,500人の76.3%に達しました。採用を考える会社は、上限の残りを意識して計画を立てる必要があります。
図1分野別の受入れ見込数の消化率(1号・2026年7月末速報)
- 外食業49,290人/50,000人(98.6%)
- 飲食料品製造業101,922人/133,500人(76.3%)
- 建設52,366人/76,000人(68.9%)
- 特定技能1号の合計432,016人/805,700人(53.6%)
- 工業製品製造業63,032人/199,500人(31.6%)
食品製造で先に押さえる4つのこと
1つ目は、事業所が対象の産業分類に入っているか。2つ目は、本人の試験か技能実習の修了。3つ目は、食品産業特定技能協議会への加入(審査2〜3か月)。4つ目が、上限の残りと採用の時期です。工業製品を作る工場なら工業製品製造業の特定技能が当てはまるので、まず分野を確かめてください。
上限76.3%が意味すること:残りの枠と、止まったときに起きること
残りの枠は、今の増え方が続けば約2年分です。見込数133,500人から2026年7月末の在留者101,922人を引くと31,578人。1年間の増加は15,567人でした。
図2飲食料品製造業の残りの枠(単純計算)
約2年分=残りの枠 31,578人133,500人−101,922人÷1年間の増加 15,567人2025年7月末→2026年7月末
上限に近づくと、海外からの新規が止まり得る
飲食料品製造業の運用方針には、受け入れを止めるしくみが書かれています。受入れ見込数を超えそうな場合などは、農林水産大臣が法務大臣に、在留資格認定証明書の交付の一時停止を求めます。認定証明書は、海外から呼ぶときに必要な書類です。
外食業で実際に起きたこと
外食業は2026年4月13日から認定証明書の交付が一時停止されました。2026年9月10日掲載の情報では、交付の対象は受付日が1月31日までの申請に限られています。4月13日以降に受け付けた、他の在留資格から外食業への変更も、一部の例外を除き原則不許可になりました。一方で、外食業の中での転職や在留期間の更新は、通常どおり審査されています。
協議会への加入にも注意が要ります。食品産業特定技能協議会は、飲食料品製造業と外食業が共同で運営しています。この協議会は外食業について、停止の後も加入申請は受け付けるものの、加入証が出ても受け入れができない場合があると案内しています。
止まったときに影響を受けやすいのは、海外から新しく呼ぶ採用と、他の在留資格からの切り替えです。すでに働いている人の更新は守られやすい、というのが外食業の例から読み取れることです。採用を考えているなら、2026年から2027年にかけて早めに動き、国内の候補者のルートも持っておきます。
なお、2027年4月1日に始まる育成就労にも、この分野の見込数(61,400人)が別に設けられています。育成就労は3年かけて1号の水準まで育てる制度で、すぐに即戦力を求める採用とは性格が違います。
採用計画の立て方:上限を前提にした6つの手順
計画は「いつまでに何人」から逆算します。協議会の審査(2〜3か月)と在留の審査(標準1〜3か月)を足すと、海外から呼ぶ場合は半年近くかかることがあるからです。
図3飲食料品製造業で特定技能の採用計画を立てる手順
- 繁忙期から逆算して人数と時期を決める
「来年の繁忙期の前に2人」のように、時期と人数を決めます。1人ずつ時期をずらすか、同時に迎えるかもここで決めます。
- 事業所が対象か確かめる
工場の産業分類と、任せる仕事が製造・加工かを確かめます(次の章)。
- 協議会への加入を最初に申し込む
食品産業特定技能協議会は当面無料で、審査に2〜3か月かかります。2人目以降の受け入れで申し込み直す必要はありません。
- 採用ルートを2つ持つ
国内(同じ分野で働く1号の転職希望者、関連職種の技能実習2号の修了者)と海外(試験の合格者)の両方で候補を探します。
- 公表される数字を定期的に見る
入管庁は、分野ごとの在留者数と見込数を公表しています。消化率の動きを、委託先と月に1回は確かめます。
- 2027年4月の変化に備える
業務区分が「飲食料品製造業」と「水産加工業」に分かれ、2号の日本語要件も加わる予定です。採用の時期が重なるなら、扱いを委託先と確かめます。
図4国内の人を雇う場合と海外から呼ぶ場合の流れ
国内に住む人を雇う
- 協議会に加入(審査2〜3か月)
- 面接・雇用契約・事前ガイダンス
- 在留資格の変更許可を申請(標準1〜2か月)
- 許可後に入社
技能実習から移る人は、実習が終わると許可まで働けないため、就労開始の2か月以上前に申請します。
海外から呼ぶ
- 協議会に加入(審査2〜3か月)
- 現地での試験合格者と面接・雇用契約
- 在留資格認定証明書を申請(標準1〜3か月、手数料なし)
- 査証を取り、交付から3か月以内に入国
上限に近づいたときに止まり得るのは、こちらのルートです。
公表される数字は、約2か月前の時点
分野ごとの在留者数と見込数の比較は、出入国在留管理庁が速報値として公表しています。ただし、2026年7月末の数字が掲載されたのは10月6日でした。手元の数字は2か月ほど前の状態なので、消化率が80%台に入ったら、計画を1段早めるくらいの構えで見ておきます。
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食品工場が特定技能の対象か:事業所要件の確かめ方
対象かどうかは、事業所の日本標準産業分類で決まります。食料品製造業(中分類09)の工場はもちろん、製造を行うスーパーや食肉小売、パン・菓子の製造小売なども対象に含まれます。
図5飲食料品製造業の対象になる事業所
| 産業分類 | 事業所の例 | 条件 |
|---|---|---|
| 09 食料品製造業 | 水産加工、惣菜、パン・菓子、食肉加工、漬物など | — |
| 101 清涼飲料製造業 | 清涼飲料の工場 | — |
| 103 茶・コーヒー製造業 | 製茶、コーヒーの焙煎 | 清涼飲料を除く |
| 104 製氷業 | 製氷工場 | — |
| 583 食肉小売業 | 食肉の加工も行う精肉店 | 食料品製造を行うものに限る(2026年4月15日追加) |
| 5621・5811 スーパーマーケット | 総合スーパー、食料品スーパーのバックヤード | 食料品製造を行うものに限る。販売業務は不可 |
| 5861・5863 製造小売 | 菓子店、パン店 | 製造小売に限る |
| 5896 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業 | 豆腐店、かまぼこ店 | その製造を行うものに限る |
スーパーのバックヤードは「販売しない」ことが条件
総合スーパーと食料品スーパーで受け入れる場合、関連業務としても販売業務には就かせられません。協議会への加入のときに、販売業務に従事させない旨の誓約書を出します。品出しやレジの手伝いを頼みがちな店舗では、配置の線引きを先に決めておきます。
対象外になりやすい3つの例
1つ目は、飲食店の厨房です。調理して客に出す飲食店(中分類76)は一覧になく、外食業の分野で扱われます。2つ目は、仕入れた食品の選別や袋詰めだけを行う作業場です。製造・加工に当たりません。3つ目は、日本酒やワインなど酒類の製造です。同じ「食品の会社」でも、事業所ごとに何をしているかで結論が変わります。
協議会に出す書類で、事業所を説明する
協議会への加入では、事業所が対象の産業に当たることを示す書類を出します。例として挙がっているのは、登記事項証明書、定款、決算書、保健所の営業許可などです。製品の売上や営業許可の業種が、どの産業分類に当たるかを説明できるようにしておきます。
飲食料品製造業の特定技能の要件:仕事・雇用・協議会
要件は「任せる仕事」「雇い方」「協議会」の3つに分けると整理できます。とくに協議会は、受入れ企業だけでなく、支援を任せる登録支援機関も構成員である必要があります。
図6飲食料品製造業で受入れ企業が満たす6つの要件
- 1仕事は製造・加工と安全衛生
飲食料品(酒類を除く)の製造・加工と安全衛生の確保が主な業務です。原料の受入れ、製品の納品、清掃、施設管理は付随的なら可、専らは不可です。
- 2直接雇用だけ
派遣で送ることも受けることもできず、違反すると以後5年間は特定技能の受け入れができません。
- 3日本人と同等以上の報酬
同じ仕事をする日本人と同等以上にします。2026年度の地域別最低賃金は全国加重平均1,177円で、10月1日から12月2日にかけて順次発効します。
- 4食品産業特定技能協議会に加入
在留の申請の前に加入します。当面は入会金・年会費がなく、審査は2〜3か月です。支援を任せる登録支援機関も構成員が必要です。
- 5キャリアアップの計画を示す
雇用契約の前に、典型的なキャリアパス、段階ごとの業務、必要な経験・資格、賃金の推移などを書面などで本人に示します。
- 6調査への協力と証明書の交付
協議会と農林水産省の調査や立入りに協力します。本人から求められたら、実務経験の証明書を出します。
2027年4月から、業務区分が2つに分かれる
今の業務区分は「飲食料品製造業全般」の1つです。2027年4月1日以降は「飲食料品製造業」と「水産加工業」に分かれます。水産加工業は、水産物の加工と安全衛生の確保を担う区分です。試験も、要領別冊は水産加工について「水産加工業特定技能1号評価試験」を挙げています。水産加工の工場は、どちらの区分で受け入れるか、移行の扱いを含めて農林水産省の案内で確かめてください。
派遣で受け入れられるのは農業と漁業だけで、繁忙期の人手の考え方は農業の特定技能が参考になります。受入れ企業が満たす分野共通の基準は、特定技能の受入れ機関の基準で確かめられます。
飲食料品製造業の試験:1号・2号の中身と技能実習からの免除
1号の技能は「飲食料品製造業特定技能1号評価試験」で確かめます。実施するのは一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)で、日本語で行われ、国内と国外で受けられます。
図7飲食料品製造業の評価試験(1号と2号)
| 項目 | 1号評価試験 | 2号評価試験 |
|---|---|---|
| 方式 | CBTまたはペーパー。日本語で、主に3択 | |
| 問題と配点 | 学科30問(100点)・実技10問(50点)、計150点 | 学科35問(125点)・実技15問(75点)、計200点 |
| 合格基準 | 学科と実技の合計で65%以上 | |
| 実施場所 | 国内と国外 | 国内のみ |
| 受験の条件 | 国内で受ける人は17歳以上で在留資格があること | 班長などとして複数の作業員を指導し工程を管理した実務経験2年以上 |
| 主な出題内容 | 食品の安全と品質管理、一般衛生管理、製造工程管理、HACCP、労働安全衛生 | 1号の内容に、生産・品質・原価の管理、トレーサビリティ、改善活動などが加わる |
日本語は、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)でA2.2相当以上か、日本語能力試験N4以上です。技能実習2号を良好に修了した人は、職種を問わず日本語の試験が免除されます。
技能実習2号の修了者は、技能の試験も免除
この分野に関する技能実習2号を良好に修了した人は、技能の試験が免除されます。対象職種には、缶詰巻締、食鳥処理加工業、牛豚食肉処理加工業、ハム・ソーセージ・ベーコン製造、パン製造などがあります。そう菜製造業、農産物漬物製造業、水産練り製品製造、加熱性・非加熱性水産加工食品製造業なども含まれます。2027年4月1日以降も、当面の間は免除が続きます。免除を受けるには、技能検定などの実技試験の合格証明書を出し、ない場合は評価調書で確かめます。
2号は「班長としての2年」がかぎ
2号には、2号評価試験の合格と、複数の作業員を指導しながら工程を管理する立場での2年以上の実務経験が要ります。担当部門長やライン長、班長などの立場で、辞令などで確認できることが求められます。指導する相手は国籍を問わず、日本人やアルバイトも含められます。2027年4月1日以降の在留資格認定証明書の申請からは、日本語のB1相当以上も確かめられる予定です。
小さな食品工場の受け入れ実務:衛生・安全・住まい・費用
従業員10人に満たない工場でも、支援を登録支援機関に全部任せれば受け入れられます。社内で決めておくのは、衛生と安全の教え方、住まい、そして費用の枠です。
衛生と安全は、本人の言語と写真で教える
2021年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者に、HACCPに沿った衛生管理が求められています。評価試験もHACCPを出題範囲にしているので、自社の衛生管理計画を本人と一緒に読み合わせると、試験で学んだことと現場がつながります。
外国人雇用管理指針は、安全衛生教育を母国語や視聴覚教材など、本人が理解できる方法で行うよう求めています。厚生労働省は、食料品製造業など向けの労働災害防止の表示(イラストと注意喚起文)や、11言語の漫画教材を公開しています。手洗い、異物の持ち込み禁止、刃物の扱い、冷凍庫での作業は、写真入りの手順書にして入社の初日に渡します。
住まいは「1人7.5㎡以上」が基準
住居を用意するなら、居室は1人あたり7.5㎡以上が必要です。社宅を使う場合は日本人と同等の条件で提供し、住居で利益を得てはいけません。水産加工のように早朝から始まる工場では、通勤の手段もあわせて考えます。
費用と助成金
在留資格の変更・更新の手数料は、2026年10月1日から在留期間に応じた額になりました(窓口で1年33,000円など)。在留資格認定証明書の申請は無料です。1号の在留期間は、3年を超えない範囲で個別に決まります。厚生労働省の人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は、2026年10月1日以降の計画から支給額が変わりました。雇用労務責任者の選任と就業規則などの多言語化で20万円、一時帰国の休暇制度も整えると25万円です。離職率15%以下などの要件があります。費用を抑える考え方は特定技能の費用を抑える方法、少人数の会社の進め方は中小企業が特定技能を受け入れる進め方にまとめています。
会社選び:紹介会社・登録支援機関に確かめること
食品製造の会社選びでは、分野の実績に加えて「上限に近づいたときの備え」を聞きます。海外からの採用だけを前提にした提案は、止まったときに計画ごと崩れるからです。
- 食品製造(できれば自社と同じ水産加工・惣菜など)で、何人を紹介・支援してきましたか。
- 協議会への加入の段取りを、どう手伝ってもらえますか。御社(登録支援機関)は構成員ですか。
- 国内の候補者(同じ分野の転職希望者、技能実習2号の修了者)も紹介できますか。
- 認定証明書の交付が止まった場合、進行中の採用をどう切り替えますか。
- 2027年4月の業務区分の分割について、当社の工場ではどう扱うと考えますか。
- キャリアアップの計画の書面づくりを手伝ってもらえますか。
- 2号を目指す人に、班長などの経験をどう積ませるのがよいと考えますか。
- 紹介料・月額の支援費・追加料金を、3年の合計で出せますか。
協議会は構成員名簿を公表しています(2026年10月5日更新)。委託を考えている登録支援機関の名前が載っているかは、自社でも確かめられます。
受けないほうがよい提案
- 派遣で人を送り込む提案(飲食料品製造業では認められていません)
- 選別や包装だけを担当させる前提の提案
- スーパーで販売やレジも手伝わせる前提の提案
- 「上限は当分関係ない」と、根拠を示さずに言い切る説明
国ごとの送出しの手続きは、インドネシアから受け入れる手続きやフィリピンから受け入れる手続きで確かめられます。
想定ケース:水産加工会社(従業員8人)の総務部長が、上限の数字を見て採用を前倒しした理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
水産加工会社で総務部長を務める60代の男性に、特定技能で2人を受け入れるまでと、その後の半年を聞きました。
- 秋の繁忙期の前に2人を迎え、出荷の遅れを前年の5回から0回にできた
- 協議会への申し込みから2人目の入社まで、7か月で終えた
- 国内の修了者1人と海外の試験合格者1人の2つのルートで採用し、片方の遅れに備えた
――2人を迎えて、何が変わりましたか。
秋の繁忙期に、出荷が遅れなくなりました。前の年は取引先に5回、遅れのお詫びをしています。今年はゼロです。社長と私が夜まで加工場に入る日も、ほとんどなくなりました。
――検討のきっかけは。
パートさんの平均年齢が65歳を超え、2人が今年で辞めると言ってきたことです。ハローワークに出した求人には、半年で問い合わせが1件だけでした。
――急いで動いたのはなぜですか。
委託先の候補から、飲食料品製造業は上限の76%まで来ていると聞いたからです。外食業では、海外から新しく呼ぶ手続きが止まった。それを聞いて、来年でいいか、と思っていた考えを改めました。協議会の審査に2〜3か月かかると知り、候補者を探す前に申し込みました。
――委託先は、何を決め手に選びましたか。
正直に言うと、最初は海外の人だけを勧める会社に気持ちが傾いていました。決め手は別の会社の一言です。「止まったときのために、国内の修了者も探しましょう」と。実際、近くの水産加工場で技能実習を終えた人を紹介してもらえました。うちは8人の会社なので、支援は全部任せています。その会社が協議会の構成員であることも確かめました。
――8人の会社で、社内の負担はどうでしたか。
正直、うちのような小さな会社に来てくれるのか、手続きを回せるのか、不安でした。実際には、会社の書類は私が集め、申請書類の作成は行政書士に頼みました。社長が出るのは面接と、3か月ごとの面談の報告を読むときだけです。私の手間は、繁忙期を除けば月に3〜4時間ほどです。
――2人には、どんな将来を示しましたか。
雇用契約の前に、キャリアアップの計画を書面で渡しました。1年目は下処理と加熱、2年目は冷凍と出荷前の検品まで、3年目からは班長として後輩に教える。班長の経験が2年あれば2号を目指せることも書きました。うちのような小さな会社でも、先が見えると本人の目つきが変わります。住まいは空いていた社宅を直し、1人7.5㎡以上あるかを委託先と測りました。
――受け入れてみて、つまずいたことは。
海外からの1人は、在留資格認定証明書の審査に2か月かかり、国内の1人より2か月遅れての入社でした。2つのルートにしておいて本当によかった。衛生の決まりは、手洗いの順番を写真にして作業場の入口に貼りました。来年4月から業務区分が「水産加工業」に分かれるので、扱いを委託先と一緒に確かめているところです。
相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。
よくある質問
食品製造の特定技能受け入れでおすすめの会社は?
どの食品工場にも合う1社はなく、製品(水産加工・惣菜・パンなど)、人数、国内在住者か海外からか、任せたい範囲で向く会社が変わります。比べるときは、同じ製品での実績、協議会の構成員かどうか、国内の候補者も探せるかを確かめます。特定技能のりあい窓口は、条件に合う会社を最大3社まで無料で紹介する相談窓口で、順位は付けず、選ぶのは御社です。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。
従業員が10人に満たない工場でも受け入れられますか?
受け入れられます。支援を登録支援機関に全部委託すれば、社内に支援の担当者を置かなくても進められます。ただし、雇用契約、報酬の支払い、届出、仕事の指導は会社に残ります。少人数での工夫は中小企業が特定技能を受け入れる進め方も参考にしてください。
スーパーの惣菜部門でも受け入れられますか?
食料品の製造を行う総合スーパー・食料品スーパーなら対象になります。ただし、関連業務としても販売業務には就かせられず、協議会への加入のときに販売業務に従事させない旨の誓約書を出します。
酒蔵やワイナリーでも受け入れられますか?
受け入れられません。飲食料品製造業の業務は、飲食料品のうち酒類を除くものの製造・加工です。清涼飲料や茶・コーヒー、製氷の事業所は対象に含まれます。
上限に達して受け入れが止まったら、働いている人はどうなりますか?
外食業の例では、止まったのは海外から呼ぶための認定証明書の交付と、他の在留資格からの変更(一部の例外を除き原則不許可)です。在留期間の更新と分野内の転職は、通常どおり審査されています(2026年9月10日掲載の情報)。食品で止まった場合の扱いは、その時点の公表で確かめる必要があります。
水産加工の技能実習生を、そのまま特定技能にできますか?
加熱性・非加熱性水産加工食品製造業などの技能実習2号を良好に修了していれば、試験が免除されて切り替えられます。実習が終わると許可まで働けないため、働き始める予定日の2か月以上前に変更を申請します。
2号に進むには、何年くらいかかりますか?
2号評価試験の合格に加え、班長やライン長などとして指導と工程管理を2年以上経験していることが必要です。1号のうちから、リーダー役を任せる時期と辞令の出し方を決めておくと、計画が立てやすくなります。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- 出入国在留管理庁「飲食料品製造業分野」(2026年9月4日現在)
- 出入国在留管理庁・農林水産省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(飲食料品製造業分野)」(2026年8月28日一部改正)
- 出入国在留管理庁「飲食料品製造業分野の運用方針(特定技能・育成就労)」(2026年10月確認)
- 農林水産省「飲食料品製造業分野における外国人材の受入れ(特定技能)」(2026年10月確認)
- 農林水産省「食品産業特定技能協議会」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度の飲食料品製造業分野に特有の事情に鑑みて定める基準の改正について」(2026年4月15日公布・施行)
- 農林水産省「飲食料品製造業特定技能評価試験実施要領」(出入国在留管理庁掲載)(2026年5月改正)
- 出入国在留管理庁「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年7月末時点・速報値)」(2026年7月末)
- 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和8年6月末)のポイント」(2026年6月末・速報値)
- 出入国在留管理庁「分野別運用方針の主要な記載事項」(2026年1月23日閣議決定)
- 出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」(2026年9月10日掲載)
- 農林水産省掲載「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」(2026年3月27日)
- 出入国在留管理庁「日本語能力水準『B1相当以上』の確認開始時期について」(2026年9月30日掲載)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
- 出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」(2026年10月)
- 厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額答申」(2026年9月3日公表)
- 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」(2026年10月1日改定)
- 厚生労働省「外国人労働者の安全衛生対策について」(2026年10月確認)
- 厚生労働省「HACCP(ハサップ)」(2026年10月確認)
- 厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(2026年5月29日改正を反映)
最終更新:(2026年10月版)
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