特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/kurashi-shien/ 印刷日:2026年10月15日

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  • 支援・定着
  • 2026年10月版

特定技能外国人の暮らしの困りごと支援|病院・交通・ごみ・近所づきあい

病院、自転車、ごみ、近所づきあい。入社後に起きる困りごとを場面ごとに分け、会社と支援機関のどちらが動くかを先に決めておく

特定技能の外国人が働き始めると、仕事以外の困りごとが次々に起こります。夜に熱が出た、自転車で注意された、ごみの出し方で近所から苦情が来た。こうした相談を誰が受け、どこまで手伝えばよいのかで迷う会社は少なくありません。この記事では、特定技能の生活支援として、入社後に起きやすい困りごとを時期と場面ごとに整理します。病院の受診と通訳、交通ルール、ごみの出し方、近所づきあいの場面で、会社と登録支援機関の役割をどう分けるかを示します。公的な相談先と、やってはいけない支援もあわせて紹介します。

この記事の結論
  • 困りごとは場面ごとに担当を決める:相談への対応や役所への同行は義務的支援で、全部委託なら登録支援機関が担います。職場・寮・給与に関わることは会社が動きます。
  • 病院は「探す・伝える・付き添う」を分担:厚生労働省と観光庁の医療機関リストで通訳を使える病院を探し、必要に応じて受診に同行します。
  • 交通とごみは、地元のルールを実物で:2026年4月1日から16歳以上の自転車の違反に青切符が適用されています。ごみは市区町村の分別表と集積所を一緒に確かめます。
  • 支援と干渉を分ける:旅券や通帳を預かる、外出を不当に制限するといった行為は、定期面談でも確認される問題です。

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この記事の目次

特定技能の生活支援は「場面ごとに担当を決める」のが近道

特定技能の生活支援は、困りごとが起きてから考えるより、場面ごとに担当を決めておくほうが早く動けます。相談への対応、役所への同行、地域との交流の手伝いは、1号の義務的支援です。全部委託なら登録支援機関が担い、職場・寮・給与に関わることは会社が動きます。

図1数字で見る生活支援の基準と、最近の変化

  • 週3日以上相談に対応する体制勤務日に週3日以上、休日に1日以上。夜間なども
  • 14日以内住居地の届出の期限住居地を定めた日から。本人が市区町村へ
  • 2026.4.1自転車に青切符16歳以上の自転車の違反に反則金の手続
  • 110・119・118伝えておく緊急の番号警察・消防と救急・海上の事件事故
相談体制と緊急時の連絡先は運用要領、届出の期限と青切符は各省庁の案内によります。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)、同「新規上陸後の住居地の届出」(2026年10月確認)、警察庁「自転車の新しい制度」(2026年10月確認)

義務的支援のうち、暮らしに関わるもの

1号の義務的支援10項目のうち、暮らしに直接関わるのは6つです。住居の確保と生活に必要な契約の支援、生活オリエンテーション、役所などの手続への同行。そして、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、日本人との交流の促進です。入社直後の説明は生活オリエンテーションで行い、その後に起きる困りごとを相談対応で受け止める流れです。

支援は「代わりにやる」ではなく「できるようにする」

運用要領が求めているのは、情報の提供、手続の補助、必要に応じた同行です。本人の生活を会社が管理することではありません。何でも代わりにやると、本人が困ったときに自分で動けなくなります。2回目からは1人でできるように、1回目に一緒にやる。この考え方が、支援を続けやすくします。

図2生活支援の3つの段階(運用要領の考え方を編集部が整理)

  1. 情報を渡す窓口の場所、必要な書類、分別表、病院のリストなどを、本人が分かる言語で伝えます。
  2. 手続を手伝う申請書の書き方を一緒に確かめる、電話をかけるときに通訳をつなぐなど、本人が自分でできるよう補助します。
  3. 必要なら一緒に行く役所、病院、銀行などへの同行です。1回目に一緒に行き、2回目からは1人でできる形を目指します。
情報の提供、手続の補助、必要に応じた同行は、運用要領が各支援の内容として挙げているものです。3つの段階としての並べ方は編集部の整理です。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)をもとに編集部作成

入社後に起きやすい困りごと:時期と場面の一覧

困りごとには、起きやすい時期があります。入社直後は手続、1か月たつと日々の暮らし、3か月を過ぎると行動範囲が広がったことによる困りごと、と移っていきます。下の表は、よくある相談を時期で並べた編集部の整理です。

入社後の時期と、起きやすい生活の困りごと(編集部の整理)
時期起きやすい困りごと先回りの支援
入社1週目住居地の届出、銀行口座、携帯電話、部屋の設備の使い方窓口に同行し、1回で手続を終える
1か月までごみの分別、買い物、体調不良、給与明細の見方分別表と集積所を実物で確かめる。病院の場所を地図で示す
3か月ごろ自転車での注意、夜の外出、近所の騒音の苦情、お金の管理通勤路を一緒に確かめる。定期面談で暮らしの困りごとを聞く
半年〜1年季節の暮らし(暖房・灯油・暑さ)、一時帰国の計画、地域行事への参加季節の前に注意点を伝える。休暇の希望を早めに聞く
2年目住民税の天引きが始まり手取りが変わる、家族の呼び寄せの相談給与明細の変化を前もって説明する

「手取りが減った」は2年目に多い

個人住民税は、1月1日時点で日本に住所があり、一定額以上の給料などを受けている人に、住んでいる市区町村がかけます。日本で働き始めた次の年から給与の天引きが始まると、本人には「急に手取りが減った」と映ります。給与明細のどの欄が変わるかを、変わる前に説明しておくと安心です。

季節の困りごとは「1か月前」に伝える

暮らしの困りごとは、季節が変わる直前に増えます。冬は暖房の使い方、灯油の買い方、凍った路面での自転車。夏は暑さと体調、台風や大雨のときの行動です。気象情報や災害時の情報の入手方法は、運用要領でも伝える事項の1つです。季節が変わる1か月ほど前に、定期面談や朝礼で短く伝えておくと、慌てずに済みます。

外国人の病院受診:通訳の手配と同行の分担

外国人の病院受診で困るのは、「どこに行けばよいか」と「症状をどう伝えるか」の2つです。病院探しは公的なリストで、伝え方は通訳で補います。必要に応じて受診に同行するのも、相談対応の支援に含まれます。

図3体調が悪いときの受診の流れと担当(例)

  1. 症状の相談を受ける本人から支援担当者か職場に連絡。仕事を休むかどうかは職場に伝えます。
  2. 病院を選ぶ通訳を使える病院を、公的な医療機関リストや自社の地図から選びます。夜間や急な悪化なら119番です。
  3. 予約と通訳の手配電話通訳や病院の通訳サービスが使えるかを確かめます。
  4. 受診(必要なら同行)初めての病院や検査・入院の説明がある場合は、同行すると安心です。
  5. 薬・会計・職場への報告薬の飲み方を本人の言葉で確かめます。仕事や通勤中のけがなら労災保険の手続を案内します。
通院・入院への同行や労災保険の周知・手続の補助は、運用要領の相談対応の項に挙がっています。手順の順番は編集部の例です。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)をもとに編集部作成

通訳を使える病院の探し方

厚生労働省と観光庁は「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト」を公表しています。掲載する医療機関は都道府県が選び、最新のリストは2026年6月30日に公表され、8月6日と9月30日に一部が変更されました。日本政府観光局(JNTO)のサイトでは、日本語・英語・中国語・韓国語で検索できます。住まいと職場の近くで、内科・歯科・眼科の3つを先に調べておくと、いざというときに慌てません。

救急のときは119番、伝え方を練習しておく

総務省消防庁は、外国人からの119番通報に対応する取組を消防本部に進めています。電話通訳センターを介した三者間同時通訳や、多言語音声翻訳アプリの導入です。導入の状況は地域で違うため、住所を日本語で言えるように練習しておくのが確実です。部屋の壁に、住所と最寄りの目印を日本語とローマ字で貼っておく方法もあります。

仕事中・通勤中のけがは労災保険を確かめる

仕事中や通勤中のけが・病気は、労災保険の対象になり得ます。特定技能の受入れ機関には、労災保険の加入などの措置を講じていることが基準として求められています。受診の前に、職場で起きたけがかどうかを本人に確かめましょう。家族などに労災保険の制度を知らせ、手続を手伝うことは、運用要領が挙げる任意的支援の例の1つです。

医療通訳の費用への備え

生活オリエンテーションでは、医療通訳の費用などに備えられる民間の医療保険への加入も案内する、と運用要領にあります。会社や支援機関が支援として手配する通訳や同行の費用を、本人に負担させることはできません。病院が独自に定める通訳の料金などは、受診の前に病院へ確かめます。

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交通・ごみ・近所づきあい:生活ルールの伝え方

交通、ごみ、騒音は、運用要領が「生活ルール・マナー」として説明を求めている項目です。どれも国ごとに常識が違い、しかも地域でルールが変わります。紙で説明して終わりにせず、現地で実物を見せるのが近道です。

図4交通・ごみ・騒音を伝えるときの3点セット(編集部の例)

  • 1交通

    通勤路を一緒に走る。夜はライト、左側を通行、一時停止で止まる。青切符の対象になる違反を具体的に示す。

  • 2ごみ

    市区町村の分別表と収集日のカレンダーを渡す。集積所で出す時間と場所を見せる。迷った物は写真で相談してもらう。

  • 3騒音・近所

    入居時に両隣と自治会へあいさつする。夜の話し声や電話、洗濯機の時間に気をつける。苦情の連絡先を伝えておく。

交通・ごみ・騒音は、運用要領が生活ルール・マナーとして説明を求めている項目です。青切符は2026年4月1日から適用されています。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)、警察庁「取締りについて」(2026年10月確認)

外国人への交通ルールの説明:自転車の青切符と通勤路

2026年4月1日から、16歳以上の自転車の交通違反に青切符(交通反則通告制度)が適用されています。対象は信号無視、一時不停止、右側通行などの通行区分違反、ながらスマホ、傘差しなどです。酒気帯び運転などは刑事手続の対象になります。警察庁は、違反を見つけた場合は基本的に指導警告を行い、悪質・危険な違反を検挙するとしています。

説明は、通勤路を一緒に走るのが一番です。左側を走る、一時停止の標識で止まる、夜はライトをつける。危ない交差点で実際に止まって見せます。自転車の防犯登録も、運用要領が挙げる手続の1つです。

外国人へのごみの出し方の説明:分別表と集積所での実演

ごみの出し方は、市区町村ごとに分別の区分も収集日も違います。まず住む市区町村の分別表と収集日のカレンダーを入手し、外国語版があるかを窓口で確かめます。そのうえで集積所へ一緒に行き、出してよい時間、ネットのかけ方、出してはいけない物を見せます。分別に迷う物は、写真を撮って支援担当者に送ってもらう約束にしておくと、間違いが減ります。

騒音と近所づきあい:苦情の前に顔を合わせる

苦情の多くは、夜の話し声、電話、洗濯機の音です。入居のときに、会社の担当者と本人で両隣と自治会にあいさつしておくと、問題が起きても直接言ってもらいやすくなります。交流の促進も義務的支援で、地域の行事や交流の場の情報を伝え、参加の手続を手伝い、必要なら同行します。季節の行事などをとらえ、年間を通じて行うことが望まれる、というのが運用要領の考え方です。

生活の困りごとの役割分担:会社と支援機関

同じ困りごとでも、会社が動く部分と支援機関が動く部分があります。目安は、職場・寮・給与に関わることは会社、制度・手続・母語での相談は支援機関です。下の表は全部委託の場合の例で、自社支援なら「支援機関」を社内の支援担当者に読み替えます。

場面別の役割分担(全部委託の場合の例、編集部作成)
場面会社(職場・総務)支援機関公的な窓口
病気・けが休みの調整、労災かどうかの判断と手続病院探し、通訳、必要に応じた同行119番、医療機関リスト
交通違反・事故通勤路の安全の確認、事故時の連絡体制手続や支払いの説明警察(緊急は110番)
ごみ・騒音の苦情寮のルールの見直し、自治会への連絡本人への母語での説明市区町村の担当課
役所の手続必要な書類(在職証明など)の発行手続の説明、窓口への同行、書類作成の補助市区町村、年金事務所、税務署
住居の故障・トラブル社宅・借上げなら修理の手配大家や管理会社とのやりとりの補助—
お金の困りごと給与・控除の説明詐欺や借金の相談先の案内警察相談専用窓口(#9110)、法テラス
災害職場と寮の安否確認、避難の誘導母語での情報提供市区町村の避難情報

誰が何を受け持つかを社内で決める方法は受け入れ担当者の役割と社内体制で、表の作り方から解説しています。

夜間・休日の連絡ルートを1本にする

相談対応は、勤務日に週3日以上、休日に1日以上行い、夜間など就業時間外にも対応できることが求められます。運用要領は、事故などの緊急時の連絡先を設け、基本的にいつでも連絡を受けられる体制が望まれるとしています。連絡先が会社の誰か、支援機関の誰かでばらばらだと、本人は迷います。夜間・休日の連絡先を1つに決め、カードにして渡しておきましょう。

受けた相談は記録に残し、会社と共有する

相談に対応したら、相談記録書(参考様式第5-4号)に記録しておく必要があります。全部委託の場合も、職場や寮に関わる相談は会社に共有してもらう取り決めにしておきます。同じ困りごとが繰り返されていないかは、3か月ごとの定期面談で確かめられます。記録がたまると、次に受け入れる人の生活オリエンテーションの資料づくりにも使えます。

困ったときの公的な相談先

会社や支援機関だけで抱え込まず、公的な窓口も使います。本人が直接相談できる窓口を、生活オリエンテーションの段階から伝えておくと、会社に言いにくい困りごとも行き場ができます。

図5困りごと別の公的な相談先

  • 在留の手続・暮らし全般外国人在留総合インフォメーションセンター、各地のワンストップ型相談センター、外国人在留支援センター(FRESC、0570-011000)。
  • 働き方・給与労働基準監督署。給与の未払い、長時間労働、けがの扱いなど。
  • 警察への相談緊急は110番。緊急でない相談は警察相談専用窓口(#9110)。口座の売買の誘いなどもここへ。
  • 法律のトラブル・母国の手続法テラス、弁護士会、大使館・領事館。
運用要領は、生活オリエンテーションで伝える相談先として、地方出入国在留管理局、労働基準監督署、ハローワーク、法務局、警察署、市区町村、弁護士会・法テラス、大使館・領事館などを挙げています。出典:出入国在留管理庁「相談窓口」(2026年10月確認)、警察庁「通帳・キャッシュカードの譲渡は犯罪です!」(2025年1月10日)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)

住む市区町村の窓口を、受け入れ前に調べておく

特定技能の支援計画は、働く地域と住む地域の市区町村の共生施策を確かめてから作ります。確認した市区町村名・確認日・確認方法も書きます。この下調べのときに、外国人向けの相談窓口、外国語のごみの案内、日本語教室の有無も控えておきましょう。入社後の困りごとに、すぐ使えます。出入国在留管理庁の相談窓口のページには、各地のワンストップ型相談センターの案内もあります。

帰国の前の「口座」と「携帯電話」に注意

帰国などで使わなくなった銀行口座は、金融機関で解約する必要があります。警察庁は、有償・無償を問わず、通帳やキャッシュカードを人に譲ることは犯罪だと注意を呼びかけています。譲った口座が特殊詐欺などに使われる例があるためです。帰国の予定を聞いたら、解約の手続も一緒に確かめます。

生活支援でやってはいけないこと

善意の支援も、行き過ぎると本人の権利を侵すことがあります。定期面談の報告書には、次の3つを確かめる項目があります。旅券・在留カードを自分で保管しているか。通帳の管理など不当な財産管理を受けていないか。私生活上の自由を不当に制限されていないか。

  • 「なくすと困るから」と、旅券や在留カードを会社で預かる
  • 通帳やキャッシュカードを会社や寮の管理人が管理する
  • 休日の外出や交友関係を禁止する、門限を一方的に決める
  • 支援の費用(通訳・同行の交通費など)を本人に負担させる
  • 社宅の家賃で会社が利益を得る
  • 鍵を預かり、本人のいない間に部屋へ入る

住まいのルールは「日本人と同じ条件」で

寮や社宅をめぐる困りごとは、生活の不満の中でも大きなものです。運用要領は、居室の広さを1人あたり7.5㎡以上としています。社宅は日本人と同等の条件で提供し、住居で利益を得てはならないとも定めています。寮のルールを作るときは、日本人の社員寮と同じ内容か、外国人だけに厳しい決まりになっていないかを見直します。

支援と干渉の線引き

迷ったら「本人が頼んだか」「本人の安全や法令に関わるか」の2つで考えます。頼まれていないことは、提案にとどめます。ただし、命や健康に関わること、法令違反のおそれがあることは、本人の希望にかかわらず相談先につなぎます。

職場の日本人にも、相談の流れを伝えておく

外国人社員が最初に困りごとを打ち明ける相手は、同じ現場の日本人であることが少なくありません。「生活の相談は支援機関の窓口へ、仕事の相談は現場の責任者へ」という流れを、職場の全員に伝えておきましょう。聞いた人が抱え込まず、正しい窓口へつなげるようになります。

日本語が上達すると、困りごとの多くは本人だけで解決できるようになります。学習の機会の作り方は日本語学習支援、家賃や寮費の決め方は住居費用の記事で解説しています。暮らしの安心は定着にも直結します(定着率を上げる方法)。

想定ケース:製材所(従業員8人)の総務部長が、生活の困りごとの担当表を作った理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

  • 自治会からのごみの苦情が、最初の3か月の4件から、その後の6か月で0件に
  • 夜間・休日の連絡先を委託先の母語窓口に一本化し、私の携帯への夜の電話は月5回ほどから0回に
  • 2人とも、歯科と内科の受診を2回目からは自分で予約できるようになった

――担当表を作ってから、何が変わりましたか。

夜に私の携帯が鳴らなくなりました。うちは山あいの製材所で、木材産業の特定技能で2人が働いています。駅までは車で20分、2人は会社の近くの借上げのアパートから自転車で通っています。最初の3か月は、夜の電話が月に5回ほどありました。

――どんな電話でしたか。

歯が痛い、ストーブの灯油がない、ごみの日が分からない。冬の初めには、灯油の買い方が分からず、寒い部屋で過ごしていたこともありました。総務は私1人なので、全部私が受けていました。自治会長さんからは、ごみの出し方で4回連絡をいただきました。正直、こんなに生活のことで時間を取られるとは思っていませんでした。

――どこで考えを変えたのですか。

委託している登録支援機関との定期面談の打ち合わせで、「それは本来こちらが受ける相談です」と言われたんです。支援を全部委託しているのに、窓口が私になっていた。夜間・休日の連絡先を委託先の母語窓口にまとめ、会社が受けるのは職場とアパートのことだけ、と表にしました。

――ごみの苦情は、どう解決しましたか。

委託先の担当者と私と本人の3人で、朝の集積所に行きました。町の分別表は日本語だけでしたが、委託先が写真を入れた母語の1枚を作ってくれました。迷った物は写真を撮って送る、という約束にしてから、苦情はありません。自治会の草刈りにも2人で出てくれて、今では顔なじみです。

――病院のことでは、どんな工夫を。

最初の1回は、委託先が電話通訳をつないで私が付き添いました。2回目からは、予約の電話の言い方を紙に書いて渡しています。歯科と内科は、もう自分で予約しています。受診の後は、薬の飲み方を本人に説明してもらい、合っているかだけ確かめています。何でもやってあげるより、2回目から1人でできる形にするほうが、お互いに楽だと分かりました。

――会社と委託先の分担で、迷ったことはありますか。

冬にアパートの給湯器が壊れたときです。借上げの部屋なので修理の手配は会社、管理会社への状況の説明は委託先が通訳する、と分けました。表の「住居」の行は、このときに書き足したものです。困りごとが起きるたびに表を育てていく、という感覚です。

――これから受け入れる会社に伝えたいことは。

委託していても、地元のことは会社にしか分かりません。逆に、母語の相談は委託先にしかできない。その境目を表にしておくだけで、ずいぶん違います。春になったら、自転車の青切符のことを、もう一度一緒に確かめるつもりです。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

生活の困りごとは誰が対応する?

相談・苦情への対応は1号の義務的支援で、自社支援なら社内の支援責任者・支援担当者、全部委託なら登録支援機関が担います。そのうえで、職場・寮・給与に関わることは会社が動きます。場面ごとにどちらが動くかを表にしておくと、迷いがなくなります。

夜間や休日の相談にも対応しなければなりませんか?

相談対応は、勤務日に週3日以上、休日に1日以上行い、夜間など就業時間外にも対応できることが求められます。事故などの緊急時の連絡先を設け、基本的にいつでも連絡を受けられる体制が望まれるとされています。

病院の受診に付き添う必要はありますか?

必要に応じて同行します。通院・入院への同行は、運用要領でも相談対応に伴う支援として挙がっています。毎回付き添う決まりはないため、初めての病院や検査・入院の説明があるときに同行し、それ以外は通訳の手配で支える形が現実的です。

病院で使う通訳の費用は、誰が負担しますか?

会社や支援機関が支援として手配する通訳や同行の費用は、本人に負担させることはできません。病院が独自に定める通訳の料金や診察の費用の扱いは、病院に確かめます。民間の医療保険で医療通訳の費用に備える方法もあり、加入の案内は運用要領にも挙がる支援の1つです。

ごみの出し方で近所から苦情が来たら、どうすればよいですか?

まず、いつ、何が出されていたかを確かめます。そのうえで本人と集積所へ行き、分別表と実物で説明し直します。苦情を言ってくれた方には、会社の連絡先を伝えておくと、次からは直接相談してもらえます。

休日の過ごし方や交友関係に、会社が口を出してもよいですか?

不当に制限することはできません。定期面談の報告書にも「私生活上の自由を不当に制限されていないこと」という確認項目があります。安全上の注意を伝えるのは構いませんが、外出の禁止や一方的な門限は避けます。

家族を日本に呼びたいと相談されたら?

特定技能1号では、家族の帯同(在留資格「家族滞在」)は認められていません。2号に移れば認められますが、分野によっては2号がありません。将来の見通しとして、2号の有無や要件を正確に伝えます(2号の家族帯同)。

帰国するとき、銀行口座はどうすればよいですか?

使わなくなる口座は、金融機関で解約します。通帳やキャッシュカードを人に譲ることは、有償・無償を問わず犯罪だと警察庁が注意を呼びかけています。帰国の日程が決まったら、口座と携帯電話の解約を予定に入れておきます。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
  2. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
  3. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)
  4. 厚生労働省「「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト」について」(2026年9月30日一部変更)
  5. 総務省消防庁「外国人・障害者に円滑に対応するための取組」(2026年10月確認)
  6. 警察庁「自転車の新しい制度」(自転車ポータルサイト)(2026年10月確認)
  7. 警察庁「取締りについて」(自転車ポータルサイト)(2026年10月確認)
  8. 警察庁「通帳・キャッシュカードの譲渡は犯罪です!」(2025年1月10日)
  9. 出入国在留管理庁「相談窓口」(2026年10月確認)
  10. 出入国在留管理庁「外国人生活支援ポータルサイト」(2026年10月確認)
  11. 出入国在留管理庁「新規上陸後の住居地の届出(中長期在留者)」(2026年10月確認)
  12. 総務省「外国人の方の個人住民税について」(2026年10月確認)
  13. 出入国在留管理庁「定期面談報告書(1号特定技能外国人用)記載例」(2026年10月確認)
  14. 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
  15. 出入国在留管理庁「特定技能制度における地域の共生施策に関する連携」(2026年3月23日様式改訂)

最終更新:(2026年10月版)

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