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受け入れ担当者の役割と社内体制|誰が何をするか
1人に任せきりにしない。誰が実行し、誰が最後に責任を持つかを1行ずつ決める、特定技能の社内体制の作り方
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
外国人を受け入れると、採用の手続、給与や社会保険、届出、生活の支援、現場での指導と、仕事が一気に増えます。そのすべてが1人の受け入れ担当者に集まり、休んだ週に届出が遅れる、といった話は珍しくありません。この記事では、特定技能の受け入れで生じる仕事を、経営者・現場責任者・事務担当・支援機関の4つの役に分けて示します。使うのは役割分担表(RACI)です。あわせて、支援責任者と支援担当者の違い、なれない人の条件、中小企業の規模別の体制、年間の仕事の予定を整理します。
- 仕事は4つの役に分ける:経営者は方針と最終責任、現場責任者は指導と安全、事務担当は契約・給与・届出、支援機関(または社内の支援担当者)は義務的支援です。
- 支援責任者と支援担当者は法令上の役:支援責任者は支援計画の実施の責任者、支援担当者は事業所ごとに1名以上置く支援の担い手です。兼任はできますが、本人を指揮命令する人や代表取締役はなれません。
- 委託しても責任は会社に残る:支援を登録支援機関に全部委託できても、雇用契約、報酬、労務管理、受入れ機関としての届出の責任は受入れ企業にあります。
- 2027年4月1日に基準が変わる:支援責任者・支援担当者は常勤の役員・職員から選び、支援業務に従事できるのはこの人たちに限られます。
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この記事の目次
外国人の受け入れ担当者は「4つの役」に分けて決める
外国人の受け入れは、1人の担当者に任せるより、仕事を4つの役に分けたほうが回ります。経営者、現場責任者、事務担当、支援機関(または社内の支援担当者)です。役ごとに「実行する人」と「最後に責任を持つ人」を決めておくと、休みや異動があっても仕事が止まりません。
図1受け入れの仕事を担う4つの役
- 1経営者
受け入れの方針・人数・予算を決め、雇用契約と届出の最終責任を持ちます。代表取締役は支援責任者・支援担当者にはなれません。
- 2現場責任者
仕事の指導、安全衛生、勤怠の確認を担います。本人を指揮命令する「監督者」として、定期面談を受ける側にもなります。
- 3事務担当
雇用契約書、給与・社会保険、入管とハローワークへの届出、申請書類の準備を担います。期限の管理役です。
- 4支援機関(社内の支援担当者)
事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談対応、定期面談など義務的支援を担います。全部委託なら登録支援機関です。
「担当がいない」は受け入れをためらう理由の上位
体制づくりで悩むのは、どの会社も同じです。岡山県が介護事業所に行った調査で、外国人を受け入れる予定がない理由を聞いています。1位は「外国人介護職員を指導できる職員がいない」41.6%でした。
図2外国人介護人材の受入れ予定がない理由(岡山県の介護事業所、複数回答)
- 指導できる職員がいない41.6%
- 利用者等とのコミュニケーションに支障32.4%
- 日本語の文章力・読解力の不足32.3%
- 文化・生活習慣の違い26.2%
- 受入制度が分からない22.5%
- 費用の相場が分からない18.4%
- どの監理団体・登録支援機関を選べばよいか分からない16.2%
指導する人がいない、制度が分からない。どちらも、誰が何をするかが決まっていないことの裏返しです。その状態をほどくのが、この記事の役割分担表です。
特定技能の担当者の役割:法令で決まる役と、社内で決める役
担当者の役割には、法令で決まっているものと、会社が自由に決めるものがあります。前者の代表が、自社で支援を行う場合の支援責任者と支援担当者です。後者は、経営者・現場責任者・事務担当の分担で、会社の規模や業種に合わせて決めます。
図3法令で決まる役と、社内で決める役
法令・指針で決まる役
- 支援責任者(自社支援の場合)
- 支援担当者(事業所ごとに1名以上)
- 受入れ機関としての届出の義務(会社)
- 雇用労務責任者(外国人を常時10人以上雇用する場合、指針)
支援を登録支援機関に全部委託すると、支援責任者・支援担当者は委託先が置きます。
社内で決める役
- 受け入れの方針と予算を決める人
- 現場で仕事を教える人
- 期限と書類を管理する人
- 外国人社員が最初に声をかけやすい人
名前を決めるだけでなく、不在のときの代わりの人も決めておきます。
支援責任者と支援担当者の違い
基準省令は、支援責任者を「支援計画の実施に関する責任者」と定めています。支援担当者は、事業所ごとに1名以上置く「支援計画に基づく支援を担当する者」です。支援責任者が全体に責任を持ち、支援担当者が日々の支援を担う関係になります。
| 項目 | 支援責任者 | 支援担当者 |
|---|---|---|
| 役割 | 支援計画の実施に関する責任者 | 支援計画に基づく支援を担当する者 |
| 人数 | 全体の責任者として選任 | 外国人が働く事業所ごとに1名以上 |
| 選ぶ範囲 | 役員または職員の中から。支援責任者は支援担当者を兼ねられる | |
| なれない人 | 本人を監督する立場の人(代表取締役、本人の部署を監督する長など縦のライン)、役員の配偶者・2親等内の親族、役員と社会生活上密接な関係を持つ人、欠格事由に当たる人 | |
| 2027年4月1日から | 事業所ごとに常勤の役員・職員から選ぶ。養成講習の受講が必要(当分の間は未修了でも差し支えない) | 事業所ごとに常勤の役員・職員から選ぶ。1人あたり1号特定技能外国人50人未満 |
自社支援には「実績か経験」も必要
自社で支援するには、人を選ぶだけでは足りません。基準省令は、次のどれかに当たることを求めています。
- 過去2年間に、就労が認められる在留資格など(入管法別表第一の一・二・五の表)の中長期在留者を適正に受け入れた実績がある
- 過去2年間に、そうした中長期在留者の生活相談の業務に従事した経験のある役員・職員から選ぶ
- これらと同程度に、支援を適正に行えると認められる人から選ぶ
あわせて、本人が十分に理解できる言語で支援できる体制も必要です。満たせない場合は、登録支援機関への全部委託が現実的です(登録支援機関とは)。
役割分担表(RACI):誰が実行し、誰が最後に責任を持つか
RACIは、仕事ごとに「R=実行する」「A=最後に責任を持つ」「C=相談を受ける」「I=結果を知らされる」を割り振る表です。Aは1つの仕事に1人だけにします。下の表は、支援を登録支援機関に全部委託した場合の例です。
| 仕事 | 経営者 | 現場責任者 | 事務担当 | 支援機関 |
|---|---|---|---|---|
| 受け入れの方針・人数・予算 | A・R | C | C | C |
| 雇用契約書・雇用条件書の作成 | A | C | R | C |
| 在留資格の申請書類の準備 | A | I | R | C |
| 協議会への加入・協力確認書 | A | I | R | C |
| 事前ガイダンス・生活オリエンテーション | A | C | I | R |
| 住居の確保と入居の準備 | A | I | R | R |
| 仕事の指導・安全衛生教育 | A | R | I | I |
| 勤怠・給与・社会保険の手続 | A | C | R | I |
| 定期面談(3か月に1回以上) | I | C(監督者として面談を受ける) | I | A・R |
| 相談・苦情への対応 | I | C | C | A・R |
| 法令違反を知ったときの通報 | I | I | I | A・R |
| 随時届出(14日以内) | A | I | R | C |
| 定期届出(年1回) | A | I | R | C |
| ハローワークへの外国人雇用状況の届出 | A | I | R | — |
表の読み方:Aがほとんど経営者になる理由
雇用契約、報酬、労務管理、受入れ機関としての届出は、支援を委託しても受入れ企業の責任です。だからAの多くは経営者に付きます。例外は定期面談・相談対応・通報です。定期面談と通報は、支援責任者または支援担当者が行うと定められています。相談対応も全部委託なら委託先が担うため、これらは支援機関がA・Rを持ちます。自社支援なら、「支援機関」の列を社内の支援責任者・支援担当者に読み替えてください。
申請書類を「誰が作るか」も決めておく
在留資格の申請書類を、報酬を得て作成できるのは行政書士です。2026年1月1日施行の改正行政書士法は、この点を明確にしました。行政書士でない者は、名目を問わず、報酬を得て官公署に出す書類を作れません。事務担当が社内で作るのか、行政書士に頼むのかを、表の欄外に書き添えておくと安心です。
自社支援にするなら、どの列が変わるか
自社支援では、「支援機関」の列を社内の支援担当者が担います。製造や接客の現場から見て指揮命令の外にいる総務・人事の社員が、候補になりやすい立場です。その場合、事務担当と支援担当者を同じ人が兼ねることもできます。ただし、1人に集めすぎると、相談対応の曜日や夜間の体制が組めなくなります。支援の一部だけを外部に委託する形もあります。
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中小企業の受け入れの社内体制:規模別の3つの型
外国人を雇う事業所の63.1%は、従業員30人未満です(2025年10月末、厚生労働省)。小さな会社ほど1人が何役も兼ねるため、「兼ねてよい役」と「兼ねてはいけない役」を先に知っておく必要があります。規模別に3つの型を示します。
図4規模別の社内体制の型(編集部の整理)
- 型A:従業員10人前後社長が経営と現場の指導を兼ね、事務担当が1人。社長は支援担当者になれないため、支援は登録支援機関に全部委託が基本。事務担当が窓口と期限管理を持ちます。
- 型B:従業員30〜100人総務・人事が窓口と届出、現場責任者が指導。支援は委託か、指揮命令系統の外にいる総務の社員を支援担当者にした自社支援。
- 型C:従業員100人以上・複数の事業所事業所ごとに支援担当者を置くか委託する。外国人を常時10人以上雇用するなら、指針にもとづき雇用労務責任者(人事課長など)を選びます。
小さな会社で兼ねてよい役、兼ねてはいけない役
経営者が事務担当を兼ねるのは問題ありません。支援責任者が支援担当者を兼ねることも認められています。一方、本人を指揮命令する人が支援担当者を兼ねることはできません。家族経営の会社では、役員の配偶者や2親等内の親族も支援責任者・支援担当者になれない点に注意が必要です。担当者がいなくても回す工夫は中小企業の進め方、10人未満の会社の実情は小規模事業者の記事で紹介しています。
業種によって、重くなる役が変わる
同じ4つの役でも、業種で負担の重い役が変わります。製造業や建設業では、現場責任者の安全衛生教育が中心です。外国人雇用管理指針は、母国語や視聴覚教材を使うなど、内容を理解できる方法で行うよう求めています。宿泊業や介護のようにシフト勤務が多い職場では、相談の最初の受け手を勤務帯ごとに決めておくと漏れが減ります。介護分野では、事業所の1号特定技能外国人の数が、日本人等の常勤介護職員の総数を超えてはなりません。事務担当が、この人数の上限も管理します。
担当者の仕事の年間カレンダー:毎月・3か月ごと・年1回・その都度
役割を決めたら、仕事を「頻度」で並べ替えます。期限のある仕事は、誰がいつまでに何をするかを年間の予定に入れておくと、担当者が休んでも止まりません。
| 頻度 | 主な仕事 | 期限・目安 |
|---|---|---|
| 毎月 | 勤怠の確認、給与・控除の説明、相談対応 | 相談は勤務日に週3日以上・休日に1日以上対応できる体制 |
| 3か月ごと | 定期面談(本人と監督者)、報告書の作成 | 3か月に1回以上 |
| 年1回 | 定期届出(前年度4月〜3月分) | 毎年4月1日〜5月31日 |
| 在留期間ごと | 在留期間の更新申請 | 6か月以上の在留期間なら満了の3か月前から申請できる |
| その都度(入管) | 契約の変更・終了、支援計画の変更などの随時届出 | 事由が生じた日から14日以内に到達 |
| その都度(ハローワーク) | 雇入れ・離職の外国人雇用状況の届出 | 雇用保険の被保険者は雇入れの翌月10日まで、離職は翌日から10日以内 |
随時届出は、消印ではなく地方出入国在留管理局に14日以内に届いている必要があります。期限を管理する人と、その人が不在のときに代わる人の2人を決めておきましょう。担当者の作業時間の目安は社内の手間の記事で整理しています。
月初の5分で「期限の一覧」を見る
期限の管理は、担当者の記憶ではなく一覧で行います。外国人社員ごとに、在留期限、次の更新申請の予定月、次の定期面談の月、最近出した届出を1行にまとめます。毎月の初めに経営者と事務担当がこの一覧を5分見るだけで、届出の遅れはぐっと減ります。Aを持つ経営者が状況を知る、という表の考え方にもかないます。
引き継ぎメモに書いておく5つのこと
- 外国人社員ごとの在留期限と、次の更新申請の予定月
- これまでに出した随時届出・定期届出の日付と控えの保管場所
- 支援委託契約の範囲、委託先の担当者と連絡先
- 次回の定期面談の予定と、前回の面談で出た課題
- 相談記録・面談報告書・同意書面を保存しているフォルダ
担当者を決めるときの注意点
担当者を決める段階の失敗は、受け入れ後に大きな手戻りになります。次のような決め方は避けてください。
- 現場の主任や工場長を、支援担当者に指名している
- 社長が自ら支援責任者になり、定期面談も行っている
- 担当者が1人だけで、休暇や退職のときの代わりがいない
- 外国人社員が使う言語で相談できる人や窓口がない
- 委託先に任せたつもりで、届出の期限を誰も管理していない
- 支援の記録が担当者個人のパソコンにしかない
記録は「会社のもの」として残す
基準省令は、支援の状況に関する文書を作り、支援を行う事業所に雇用契約の終了の日から1年以上備えて置くことを求めています。担当者が替わっても引き継げるよう、共有の場所に外国人ごとのフォルダを作りましょう。
登録支援機関に支援を全部委託すれば、支援体制の基準は満たせます。ただし、雇用契約、日本人と同等以上の報酬、労務管理、受入れ機関としての届出の責任は受入れ企業に残ります。委託先に任せる仕事と、社内に残る仕事を、契約の前に表で突き合わせておきましょう。
2027年4月1日の変更に備える
2027年4月1日からは、支援責任者・支援担当者を事業所ごとに常勤の役員・職員から選びます。支援業務に従事できるのも、この人たちに限られます。支援責任者には養成講習の受講も求められます。登録支援機関は、担当者1人あたり受入れ機関10未満・1号外国人50人未満に収める必要があります。委託先の準備状況の確かめ方は2027年の新基準の記事で解説しています。
図5自社支援で必要な支援担当者の人数(2027年4月1日から・計算例)
- 1号特定技能外国人40人40÷50=0.8 → 1人あたり50人未満なので支援担当者1人
- 1号特定技能外国人75人75÷50=1.5 → これを上回る支援担当者2人
- 1号特定技能外国人120人120÷50=2.4 → これを上回る支援担当者3人
支援機関に任せる範囲と、社内に残る仕事
委託できるのは義務的支援です。仕事の指導、給与、届出の責任は社内に残ります。境目をあいまいにすると、「委託先がやると思っていた」という抜けが生まれます。
図6委託できる仕事と、社内に残る仕事
登録支援機関に任せられる
- 事前ガイダンス・生活オリエンテーション
- 空港の送迎、住居や生活の契約の支援
- 役所の手続への同行、日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応(母語での対応を含む)
- 定期面談と行政機関への通報
登録支援機関は、受けた支援業務の全部を別の会社に再委託できません。
社内に残る
- 雇用契約と、日本人と同等以上の報酬
- 勤怠・給与・社会保険の手続
- 仕事の指導と安全衛生教育
- 随時届出・定期届出(会社が提出者)
- ハローワークへの外国人雇用状況の届出
定期面談では、現場責任者が監督者として面談を受けます。
委託契約で決めておく3つのこと
支援委託契約には、少なくとも受託する支援業務の内容と、費用の額・内訳を盛り込みます。そのうえで、次の3つを決めておきます。①報告の頻度と方法(面談報告書の写しを毎回もらうか)、②夜間・休日の連絡の流れ、③会社側の窓口になる人。これで、表の「C」と「I」が実際に回り始めます。登録支援機関は受けた支援業務の全部を再委託できないため、誰が実際に支援するのかも確かめておきます。
現場責任者には「相談の最初の受け手」を頼む
支援担当者になれない現場責任者にも、大切な役があります。シフト、仕事の覚え方、職場の人間関係など、仕事の相談の最初の受け手です。生活や制度の相談は支援機関へ、仕事の相談は現場へ。この線引きを本人にも伝えておくと、相談が迷子になりません。現場での教え方はOJTの進め方、入社後の生活の困りごとの分担は暮らしの困りごと支援の記事で紹介しています。
想定ケース:ビジネスホテル(従業員130人)の採用担当が、役割分担表を作った理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
- 外国人社員の手続と相談に採用担当が使う時間が、月約30時間から約12時間に
- 見直し後の1年間、随時届出の期限遅れは0件(見直し前は1件)
- 夜間・休日の相談の受付を、委託先の母語窓口に一本化
――役割を分け直して、何が変わりましたか。
私に集中していた仕事が分かれました。宿泊分野の特定技能で働く社員は6人で、フロントとレストランが中心です。以前は入社の手続から給与の質問、寮のエアコンの故障、夜中の体調不良の電話まで、全部私でした。月に30時間ほどかかっていたのが、今は12時間ほどです。
――以前の体制で、何に困っていましたか。
届出の遅れです。1人が別のホテルへ転職したとき、契約終了の届出が14日以内に間に合わず、理由書を付けて出しました。ちょうど私が研修で不在の週でした。担当が1人だと、こういうことが起きるんです。理由書を書きながら、私の頑張りではなく仕組みの問題だと痛感しました。
――どこから手を付けましたか。
仕事を全部書き出して、経営者・現場・事務・支援機関の4列の表に落としました。1行ずつ「誰がやって、誰が最後に責任を持つか」を決める。驚いたのは、フロント主任が支援担当者になれないと知ったことです。本人に指示を出す立場なので、中立ではないんですね。主任には代わりに、仕事の相談の最初の受け手という役をお願いしました。
――支援は委託のままにしたそうですね。決め手は。
自社支援も考えました。ただ、指揮命令の縦のラインから外れていて、母語で相談に乗れる社員がいない。委託先は、夜間の母語窓口の体制と、担当者1人が何社・何人を見ているかを数字で示してくれました。2027年4月の新しい基準に向けた準備も、こちらが聞く前に説明があった。そこで、委託を続けると決めました。契約書には、面談報告書の写しを毎回受け取ることも書き加えています。
――表を作るのに、どのくらいかかりましたか。
書き出しに2時間、関係する4人での話し合いに1時間半です。いちばん時間がかかったのは、どの行のAを誰にするかでした。社長に「届出の最終責任は社長にあります」と説明したら、「それなら期限の一覧を毎月見せてくれ」と。月初の会議の後に5分、在留期限と届出の予定を確かめる時間ができました。
――運用してみて、つまずいた点は。
現場に「相談は支援機関へ」と言いすぎたことです。主任が、シフトの悩みまで聞かなくなってしまいました。仕事のことは現場、生活と制度のことは支援機関、と線を引き直して、ようやく落ち着きました。
――これからの予定は。
来年度は外国人社員が10人を超える見込みです。指針では、外国人を常時10人以上雇うときは雇用労務責任者を選ぶことになっているので、人事課長に就いてもらう予定です。表は半年に1回、全員で見直しています。異動や退職があっても、表を見れば誰に何を引き継ぐかがすぐ分かります。
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よくある質問
外国人受け入れの担当者は1人で回せる?
制度上は、自社支援でも支援責任者が支援担当者を兼ねられるため、支援の担い手を1人にすることはできます。ただし、相談対応は勤務日に週3日以上・休日に1日以上の体制が求められ、届出には14日の期限があります。休暇や退職に備え、実務は少なくとも2人で回す体制にしておくのが安全です。
社長が支援責任者になれますか?
なれません。出入国在留管理庁のQ&Aは、代表取締役など組織図で縦のラインにある人を、外国人を監督する立場にあるとして不適格としています。役員の配偶者や2親等内の親族も同じです。
支援責任者と支援担当者は兼任できますか?
できます。基準省令に「支援責任者は支援担当者を兼ねることができる」とあり、Q&Aでも兼任は可能とされています。2027年4月1日以降も兼務は可能とされています。
担当者に資格や講習は必要ですか?
現在、資格は求められていません。自社支援では、過去2年間の中長期在留者の受入れ実績か、生活相談業務の経験などが必要です。2027年4月1日からは支援責任者に養成講習の受講が求められます(当分の間は修了していなくても差し支えないとされています)。
担当者が退職・異動したら、何をすればよいですか?
自社支援で支援責任者や支援担当者が替わったら、支援計画の変更に係る届出(参考様式第3-2号)を14日以内に出します。担当者が変わった後の初回の定期面談は、対面で行うことが望まれるとされています。
現場のリーダーには、どんな役割を任せればよいですか?
仕事の指導、安全衛生、勤怠の確認と、仕事の相談の最初の受け手です。本人を指揮命令する立場なので支援担当者にはなれませんが、定期面談では監督者として面談を受けます。
雇用労務責任者とは何ですか?
外国人雇用管理指針にもとづく役で、外国人を常時10人以上雇用するときに、人事課長などを選任するとされています。特定技能の支援責任者とは別の仕組みです。助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)でも、選任と3か月に1回以上の面談が要件の1つになっています。
受け入れ担当者は、日本語以外の言語ができる必要がありますか?
担当者本人が話せる必要はありません。求められているのは、本人が十分に理解できる言語で支援できる体制です。通訳の手配や、母語で相談できる窓口を持つ登録支援機関への委託で整えられます。
事業所が複数ある場合、担当者はどう置けばよいですか?
自社支援では、外国人が働く事業所ごとに支援担当者を1名以上選ぶ必要があります。2027年4月1日からは、支援を行う事業所ごとに、常勤の役員・職員から支援責任者・支援担当者を選ぶことになります。拠点が離れている場合は、全部委託と組み合わせることも検討します。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(第2条第2項)(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(Q67・Q96・Q97)(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
- 出入国在留管理庁「支援体制等の主な改正点」(2027年4月1日施行)
- 出入国在留管理庁「登録支援機関の支援体制要件の改正(令和9年4月1日施行)」(2026年7月28日掲載)
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年5月20日更新)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
- 厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(2026年5月29日改正を反映)
- 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】」(2025年10月末時点)
- 厚生労働省「「外国人雇用状況の届出」について」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」(2026年10月確認)
- 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」(2026年10月1日改定)
- 岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」(2026年10月確認)
- e-Gov法令検索「行政書士法」(2026年1月1日施行の改正を含む)
最終更新:(2026年10月版)
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