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特定技能が不許可になる理由と対策|再申請の進め方
原因は「会社・本人・書類」のどこかにある。直せる原因かを見極め、直してから出し直す
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
特定技能の在留資格の申請が不許可になると、入社の予定は数か月単位でずれます。しかも入管の不許可には不服申立ての制度がなく、取れる道は、原因を突き止めて直し、申請し直すことです。この記事では、特定技能が不許可になる理由を「会社側・本人側・書類」の3つに分け、審査で見られる点、理由の確かめ方、再申請の手順、申請前に確かめるチェックリストを、2026年10月時点の公表資料にもとづいて説明します。
- 原因は会社側・本人側・書類の3つ:社会保険や税の法令遵守・過去1年の離職などの受入れ機関の基準、本人の要件と在留状況、書類の説明不足や食い違いのどこかに原因があります。
- 不服申立てはなく、直して出し直す:認定・変更・更新のいずれも、手続ページの不服申立方法は「なし」です。理由を確かめ、直せる原因なら直した証拠をそろえて再申請します。
- 防ぐ鍵は申請の3か月前からの点検:保険料・税の納付、協議会への加入、報酬の根拠、本人の試験と在留状況を、申請日から逆算して3回に分けて確かめます。
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この記事の目次
特定技能の不許可は「会社側・本人側・書類」のどこかに原因がある
特定技能が不許可になる原因は、受け入れる会社の側、外国人本人の側、提出した書類の3つのどこかにあります。原因の場所が分かれば、直せるかどうかも、何を直すかも決まります。
審査は、申請の種類ごとに決められた基準と、出した資料から読み取れる事実で判断されます。在留資格の変更や更新では、在留状況や在留の必要性などを総合的に考えて判断すると、出入国在留管理庁は説明しています。書類1枚の誤りだけでなく、会社と本人の状況の全体が見られるということです。
図1不許可の原因がある3つの場所
- 会社側:受入れ機関の基準労働・社会保険・税の法令を守っているか。1年以内に同じ仕事の人を会社都合で辞めさせていないか。分野の協議会に入っているか。
- 本人側:要件と在留状況18歳以上で健康か。試験に合格しているか(または技能実習2号を良好に修了)。通算5年の範囲か。国内在住者は、これまでの在留状況や納税も見られます。
- 書類:説明と整合報酬が日本人と同等以上だと示せているか。仕事が分野の業務に当たるか。契約書・説明書・計画書の数字がそろっているか。
入管の不許可に「不服申立て」はない
在留資格認定証明書交付・在留資格変更許可・在留期間更新許可の3つの手続ページは、どれも不服申立方法を「なし」としています。行政不服審査法も、外国人の出入国に関する処分を審査請求の対象から外しています(7条1項10号)。会社が現実に取れる道は、原因を確かめて直し、申請し直すことです。
この記事での言葉の使い方
海外から呼ぶ在留資格認定証明書は「交付」か「交付されない」、国内の変更・更新は「許可」か「不許可」で結果が出ます。この記事では、交付されない場合も含めて「不許可」と書きます。
特定技能の審査で落ちる原因は、申請の種類で見られ方が違う
審査で見られる中身は、認定・変更・更新で少しずつ違います。海外から呼ぶ認定は「基準に合うか」が中心で、国内の変更・更新はそれに加えて「これまでの在留状況」が見られます。
| 申請の種類 | 審査の基準(手続ページ) | とくに見られる点 | 不許可のあとの本人 |
|---|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付(海外から呼ぶ) | 活動が虚偽でなく、在留資格に当たり、省令の基準に適合すること | 雇用契約・受入れ機関・支援計画の基準、試験の合格、健康状態 | 本人は海外にいるため、在留への影響はない。直してから申請し直せる |
| 在留資格変更許可(国内在住者を採用) | 在留資格に当たり、変更を適当と認める相当の理由があること | 上の基準に加え、今の在留資格での活動、素行、納税、届出 | 今の在留期限が残っていれば、その在留資格のまま。特例期間中なら、処分の時点で特例期間が終わる |
| 在留期間更新許可(入社後) | 在留資格に当たり、更新を適当と認める相当の理由があること | 契約どおりの報酬の支払い、会社と本人の保険料・税の納付、届出 | 元の在留期限までは在留できる。期限後の不許可は、その後の扱いを官署で確かめる |
特例期間とは、在留期限までに変更・更新を申請した人が、結果が出るまで(最長で期限から2か月)元の在留資格で在留できる期間です。不許可の処分が出ると、その時点で終わります。更新の進め方は特定技能の在留期間更新で説明しています。
ガイドラインに並ぶ8つの考慮事項
変更・更新について、出入国在留管理庁は「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(2026年6月最終改正)で考える事項を示しています。①在留資格に当たること、②上陸許可基準などに適合すること、③今の在留資格に応じた活動をしていたこと、④素行が不良でないこと、⑤生計が安定していること、⑥雇用・労働条件が適正であること、⑦納税義務等を果たしていること、⑧入管法の届出などの義務を果たしていること、の8つです。
①は許可に必要な要件、②は原則として適合が求められる基準で、③以降は代表的な考慮要素とされています。そして、すべてに当てはまっても不許可になることがある、とも書かれています。
試験に合格しても、許可は約束されない
運用要領は、試験に合格しても在留資格「特定技能」が与えられることを保証するものではない、としています。合格は入口にすぎません。会社の基準、雇用契約、支援計画、本人の在留状況がそろって、はじめて許可に近づきます。
特定技能が不許可になる理由① 会社側:受入れ機関の基準
会社側の理由は、省令が定める「受入れ機関の基準」に合わないことです。見落としやすいのは、社会保険・税、過去1年の離職、届出の3つです。
図2会社側で不許可につながりやすい6つの点
- 1社会保険・労働保険・税
加入義務があるのに未加入なら基準を満たさず、受け入れも就労もできません(Q&A Q43)。滞納は、年金事務所・税務署・市役所などに相談して手続きを進めます。
- 2過去1年の非自発的離職
雇用契約を結ぶ日の前1年以内と、それ以後に、同じ種類の仕事の労働者を会社都合で辞めさせていないこと。定年や自発的な退職などは除かれます。
- 3行方不明者
同じ期間に、会社の責めによる外国人の行方不明者を出していないこと。
- 4不正行為・欠格事由
契約前5年以内とその後の、出入国や労働の法令に関する不正・著しく不当な行為。一定の刑罰歴なども当たります。
- 5届出の不履行
随時届出・定期届出を出さない、虚偽の届出をする。定期届出を出さない場合などは、受け入れが原則認められません。
- 6分野の基準
申請の前に分野の協議会の構成員になっていない、分野の上乗せ基準を満たさない、など。
2の基準は「契約を結ぶ前1年以内」だけでなく「結んだ日以後」も対象です。特定技能の人を雇った後に、同じ仕事の日本人を会社都合で辞めさせると、その後の受け入れで基準を満たさなくなります。部署の縮小や配置換えを考えているときは、時期と方法を先に整理してください。
報酬・保証金・支援の費用
雇用契約の基準も、会社側の理由になります。報酬は、日本人が同じ仕事をする場合と同等以上が必要です。Q&Aは、賃金規定があれば規定で、なければ同じ仕事の日本人と、日本人もいなければ近隣の同業他社の特定技能外国人の報酬と比べる、と説明しています。保証金や違約金の契約がある場合や、支援の費用を本人に負担させている場合も基準に合いません。
協力確認書と支援の体制
2025年4月からは、働く事業所と住居の市区町村に協力確認書を出し、申請書に提出日と提出先を書きます。支援を自社で行うなら、過去2年間に中長期在留者の受入れや管理を適正に行った実績などが要件です。届出の期限は随時届出の記事、行方不明者を出さない工夫は失踪を防ぐ記事で扱っています。
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不許可になる理由② 本人側:要件とこれまでの在留状況
本人側の理由は、特定技能の要件を満たしていない場合と、国内在住者ならこれまでの在留状況に問題がある場合です。要件は書類で確かめられますが、在留状況は本人に聞かないと分かりません。
図3本人について確かめる4つの区分
- ① 年齢と健康18歳以上であること(Q&A Q45)。健康状態が良好であることを健康診断個人票で示します。海外からは申請日前3か月以内、国内での変更は1年以内に日本で受けた診断です。
- ② 技能と日本語分野の技能試験と日本語試験(JFT-BasicかN4以上)の合格、または関連する職種の技能実習2号の良好な修了。試験の不正が分かれば、在留資格の取消しなどの対象です(Q59)。
- ③ 在留できる期間1号は通算5年まで。前の会社で働いた期間や、移行準備の特定活動の期間も数えます。
- ④ 送出し国と契約の事情国によっては送出し手続きの書類が必要です(Q101)。本人や家族が保証金・違約金の契約を結ばされていないかも見られます。
国内在住者は「在留状況」が見られる
変更・更新では、ガイドラインの③〜⑧が本人の在留状況として見られます。ガイドラインは、失踪した技能実習生や、除籍・退学の後も在留を続けた留学生を、消極的に評価される例に挙げています。税の未納や、所属機関が変わったときの届出をしていないことも同じです。納税の項目は、国民健康保険料など法令で納めることになっているものの高額・長期間の未納も、悪質なら同じように扱うとしています。この項目には、関係機関から提供を受けた納付状況の情報を踏まえて許否を判断する場合がある、との注書きがあり、2026年6月の改正で注書きの追記などが行われました。
公表されている不許可事例
出入国在留管理庁が2020年9月に公表した不許可事例には、不法就労助長罪で罰金30万円を受けた、源泉徴収票の住所が届け出た住居地と違い虚偽の申請と分かった、資格外活動許可を受けずに長期間働いた、などがあります。特定技能に限った事例ではありません。それでも、事実と違うことを書かない、在留資格の範囲を守る、という基本が読み取れます。
採用面接で確かめておくこと
- 在留カードの在留資格・在留期限と、これまでの在留資格の流れ
- 住民税・国民健康保険料・国民年金保険料に未納がないか
- 住所や勤め先が変わったときに、届出をしてきたか
- 前の勤め先や学校をどう終えたか(技能実習生なら修了したか)
- 送出し機関などと、保証金や違約金の約束をしていないか
書類が原因になるケース:説明不足・食い違い・期限切れ
書類が原因の不許可は、要件を満たしているのに、それが資料から読み取れないときに起きます。審査は出した資料で行われるため、「実際は大丈夫」という事情は伝わりません。
図4書類が原因になる3つの型と直し方
| 型 | 起きやすい例 | 直し方 |
|---|---|---|
| 説明が足りない | 報酬が日本人と同等以上だと示す比較がない。仕事が分野の業務に当たるか読み取れない | 賃金規定や、同じ仕事の日本人の賃金表を添える。工程や作業内容を具体的に書く |
| 書類どうしが食い違う | 雇用契約書と雇用条件書で賃金や勤務地が違う。支援計画書と委託契約で委託の範囲が違う | 賃金・勤務地・業務・氏名を、全部の書類で1行ずつ照合する |
| 期限や順番が合わない | 健康診断が古い。事前ガイダンスを申請の後に行った。協議会に入る前に申請した | 申請日から逆算して、先に済ませる手続きを並べる |
仕事の中身は「分野の業務」として書く
特定技能の人は、分野の業務区分の仕事に就かせることが雇用契約の基準です。日本人が普段している関連の仕事を付随的に行うことはできます。ただ、宿泊・介護・木材産業などの分野別の運用要領は、関連業務だけに就かせることを認めていません。忙しいときに別の部署を手伝ってもらう、といった会社の都合を契約に書く前に、分野の業務に当たるかを確かめます。
支援計画と事前ガイダンス
支援計画書には義務的支援をすべて書き、日本語と本人が十分理解できる言語で作ります。事前ガイダンスは申請の前に、対面かテレビ電話で本人確認をして行います。3時間程度が必要と考えられるとされ、1時間に満たない場合は適切に行ったとはいえない、とされています。
追加資料の求めには期限内に応える
審査の途中で資料を求められたら、期限までに出します。間に合わない事情があれば、黙って遅れずに官署へ連絡します。2026年7月許可分の特定技能1号の平均処理日数は、認定64.1日・変更59.5日・更新41.0日で、追加資料を待つ日数も含まれます(認定と変更は外食業分野の申請を除いた数字)。全体の日数の目安は申請から就労開始までの期間にまとめています。
特定技能が不許可になったときの再申請の手順
不許可になったら、最初に本人の在留期限を確かめ、次に理由を確かめます。直せる原因なら、直したことを示す資料を添えて申請し直します。
- 通知の日付と、本人の在留期限を確かめる
国内在住者の変更・更新で、元の在留期限を過ぎて特例期間に入っていた場合、特例期間は処分の時点で終わります。その後どうするかを、通知を受けた官署ですぐに確かめます。
- 申請先の官署で理由を確かめる
通知の記載だけで原因が分からなければ、申請した地方出入国在留管理官署に問い合わせます。申請書類の控えを用意し、誰が問い合わせるか(本人・会社・取次者)を決めておきます。
- 原因を3つに分け、直せるかを決める
会社側・本人側・書類のどれかを決めます。説明不足や納付の遅れは直せますが、虚偽の申請や重い素行の問題は、短い期間では直りません。
- 原因を直し、直した証拠をそろえる
保険料や税を納めて納付の書類を取り直す、雇用条件書の業務や報酬を直す、説明書を作り直す、など。契約を変えたら本人に説明し、署名をもらい直します。
- 申請し直す
海外から呼ぶ場合は、在留資格認定証明書の交付申請をもう一度行います(手数料はかかりません)。国内在住者は、在留期限の範囲で変更を申請し直します。前回から何を変えたかを短い説明書にまとめて添えます。
- 本人と社内に新しい日程を伝える
標準処理期間(認定1〜3か月、変更1〜2か月)から入社日を置き直します。待つ間の本人の生活と気持ちにも目を配り、内定の辞退を防ぎます。
再申請の前に、採用の計画を見直す場面
原因が本人の虚偽の申請や刑事処分などなら、短い期間で状況は変わりません。会社側の「1年以内の非自発的離職」のように、期間が過ぎるまで直せない原因もあります。その場合は、申請の時期をずらすか、採用の計画そのものを見直します。今回確認した出入国在留管理庁の公表資料には、再申請までに待つ期間の定めは見当たりませんでした。
理由の示し方と、処分に不服があるとき
行政手続法の、申請に対する処分のルール(理由の提示など)は、外国人の出入国に関する処分には適用されません(同法3条1項10号)。原因が読み取れないときに官署へ問い合わせるのは、このためでもあります。処分そのものに不服があるときは、弁護士などの専門家に相談することになります。海外から呼ぶ申請の流れは在留資格認定証明書交付申請の手順、国内在住者は在留資格変更許可申請の手順で確かめられます。
不許可を防ぐチェックリスト:申請の3か月前から3回に分けて
不許可を防ぐ近道は、申請の前に「会社側・本人側・書類」を順番に点検することです。3か月前、1か月前、1週間前の3回に分ければ、見つかった問題を直す時間が残ります。
図5申請日から逆算した点検の流れ(目安)
- 3か月前:会社の基準を点検する社会保険料・労働保険料・税に未納がないか。過去1年の離職と行方不明者。協議会への加入の申込み。書類の省略を使うなら、オンライン申請・電子届出の利用者登録もこの時期に。
- 1か月前:本人の要件と在留状況を確かめる試験の合格証、在留期限、納税と保険料、これまでの届出。事前ガイダンスと健康診断を済ませ、市区町村に協力確認書を出します。
- 1週間前:書類どうしを照合する賃金・勤務地・業務・氏名を全部の書類で照らし合わせ、訳文と写真を確かめます。最新の提出書類一覧表とも突き合わせます。
会社側のチェック
- 健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険に、入るべき人が全員入っている
- 社会保険料・労働保険料・法人税・住民税などに未納がない
- 過去1年に、同じ仕事の人を会社都合で辞めさせていない
- 随時届出・定期届出を期限どおりに出してきた
- 報酬を、同じ仕事の日本人や賃金規定と並べて説明できる
申請書類を誰が作るかを決める
2026年1月1日施行の改正行政書士法は、行政書士でない者が、名目を問わず報酬を得て官公署に出す書類を作ることはできないと明記しました。登録支援機関の職員にできるのは、承認を受けたうえでの申請の取次など、提出の手続きです。支援を委託するときは支援委託契約書のチェックポイントで範囲と費用を確かめてください。受け入れ全体のつまずきはよくある失敗10にもまとめています。
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想定ケース:製材所(従業員130人)の店舗運営部長が、交付されなかった申請を3週間で出し直した理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
- 交付されないと分かってから3週間で再申請し、約9週間で在留資格認定証明書が交付された。最初の申請から約6か月で1人が入社した
- 製材工場の人員が計画どおりにそろい、直営店の欠品は月12件ほどから3件ほどに減った
- 会社側・本人側・書類の3区分で30項目の点検表を作り、2人目の申請では追加資料の求めがなかった
製材と木材の販売を手がける会社(従業員130人)で、直営店3店を統括する店舗運営部長(50代・女性)を想定したインタビューです。
――入社して、何が変わりましたか。
製材工場の人員が計画どおりになって、直営店への製品の供給が安定しました。以前は工場の人手が足りず、店に並べる板材や角材の欠品が月に12件ほど出ていました。今は3件ほどです。最初の申請で交付されなかったので、入社は予定より3か月遅れました。それでも2回目は一度で通りました。
――店舗運営部長のあなたが、なぜ担当になったのですか。
欠品でいちばん困っていたのが店だったからです。社長から、店と工場の両方が分かる人がやってほしい、と言われました。工場の求人は1年以上出していて、応募は2件だけ。木材産業の分野で特定技能が使えると知り、インドネシアで試験に合格した人を紹介してもらいました。
――最初の申請は、何がいけなかったのですか。
雇用条件書の仕事の中身です。忙しい時期は店も手伝ってもらおうと、「週2日は直営店で品出しと接客」と書いていました。でも木材産業で就けるのは、製材などの事業所での加工の仕事です。店での販売は分野の仕事に当たりません。協議会に入会していたのも、製材工場の事業所だけでした。報酬の説明も、工場の日本人の賃金と並べておらず、根拠が弱かったと思います。
――交付されなかったと知って、どう動きましたか。
正直、頭が真っ白になりました。本人は出国の準備まで進めていましたから。ただ、不服申立てはできないと聞き、それなら早く直そうと気持ちを切り替えました。官署に問い合わせて理由を確かめ、行政書士さんと3つに分けて整理しました。会社側も本人側も問題はなく、原因は書類、つまり仕事の書き方と報酬の説明でした。
――直すときに、迷ったことはありますか。
店で働いてもらう案を捨てるかどうかです。店も人が足りませんから。でも行政書士さんに、分野の仕事に当たらない業務は契約に入れられません、とはっきり言われました。都合のいい話より、できないことを先に言ってくれる人を信じようと思いました。店の人手は、店への異動を希望していた工場の日本人社員1人に移ってもらって埋めました。
――書類は、どう直しましたか。
雇用条件書の仕事を工場の製材作業に絞り、出荷の作業は付随的に行う、と書き直しました。報酬は、同じ工程で働く日本人2人の賃金表を添えて説明しました。本人には契約の変更をテレビ電話で通訳を入れて説明し、署名をもらい直しました。何を変えたかは、1枚の説明書にまとめて添えています。
――同じように困っている会社に、伝えたいことはありますか。
申請の前に、会社・本人・書類の3つで点検表を作ることです。うちは30項目にして、2人目の申請では追加資料も求められませんでした。もう一つは、会社の都合を制度に合わせて書き直す覚悟です。分野の仕事を正しく書くことが、結局はいちばんの近道でした。
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よくある質問
特定技能の不許可を防ぐには?
申請の3か月前から、会社側・本人側・書類の順に点検します。会社側は保険料・税の納付、過去1年の離職、協議会への加入。本人側は試験の合格、在留期限、納税と届出。書類は報酬の根拠、仕事の書き方、書類どうしの照合です。とくに社会保険への未加入は、受け入れそのものができない理由になります。
不許可の理由は、教えてもらえますか?
通知の記載で分からなければ、申請した地方出入国在留管理官署に問い合わせて確かめます。在留資格の処分には、行政手続法の申請に関する規定(理由の提示など)が適用されません(同法3条1項10号)。申請書類の控えを用意し、誰が問い合わせるかを決めてから連絡してください。
不許可に、不服申立てはできますか?
できません。在留資格認定証明書交付・変更・更新の各手続ページは、不服申立方法を「なし」としています。行政不服審査法も、外国人の出入国に関する処分を審査請求の対象から外しています(7条1項10号)。原因を直して申請し直すのが現実的な道です。
再申請は、いつからできますか?
今回確認した出入国在留管理庁の公表資料には、再申請までに待つ期間の定めは見当たりませんでした。ただし、原因を直さずに同じ内容で出しても、結果は変わりにくいと考えられます。直したことを示す資料と、前回からの変更点の説明をそろえてから出します。
不許可になったら、本人はすぐに帰国しなければなりませんか?
申請の種類で変わります。海外にいる人の認定申請なら、在留への影響はありません。国内で変更を申請し、今の在留期限が残っていれば、期限までは今の在留資格で在留できます。在留期限を過ぎた特例期間中の不許可は、処分の時点で特例期間が終わるため、通知を受けた官署で扱いを確かめてください。
試験に合格していれば、許可されますか?
許可されるとは限りません。運用要領は、試験に合格しても在留資格「特定技能」が与えられることを保証するものではないとしています。会社の基準、雇用契約、支援計画、本人の在留状況もあわせて審査されます。
会社に社会保険料の滞納があると、不許可になりますか?
加入義務があるのに未加入なら、基準を満たさないため受け入れができません(Q&A Q43)。滞納は、まず年金事務所・税務署・市役所などに相談して手続きを進めます。申請までに納付できないやむを得ない事情があれば、申請の前に地方出入国在留管理官署へ相談するよう案内されています(Q44)。
登録支援機関に支援を任せていれば、不許可になりませんか?
そうとは限りません。法令の遵守、報酬、届出などの受入れ機関の基準は、支援を委託しても会社に残ります。申請書類を報酬を得て作れるのは行政書士で、2026年1月1日施行の改正行政書士法で名目を問わないことが明記されました。誰が何を作り、誰が提出するかを申請前に決めておきます。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(2026年6月最終改正)
- 出入国在留管理庁「在留期間の更新許可申請及び在留資格の変更許可申請に係る不許可事例について」(2020年9月)
- 出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」(2026年10月確認)
- e-Gov法令検索「行政不服審査法」(2026年10月確認)
- e-Gov法令検索「行政手続法」(2026年10月確認)
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年5月13日施行分まで)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」(2026年8月20日一部改正版)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正版)
- 出入国在留管理庁「特例期間とは?」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「在留審査処理期間(日数)令和8年7月許可分」(2026年7月許可分)
- 出入国在留管理庁「通算在留期間」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領」(2026年1月26日掲載)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度における地域の共生施策に関する連携」(2026年3月23日様式改訂)
- 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(木材産業分野)」(2024年9月30日公表)
- e-Gov法令検索「行政書士法」(2026年1月1日施行の改正を含む)
最終更新:(2026年10月版)
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