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生活オリエンテーションの内容|時間の目安と進め方
入国や変更許可の後、遅滞なく8時間以上。全国共通の話は公的資料に任せ、地元の話は自社で伝える進め方
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
特定技能1号の外国人が日本で働き始めたら、すぐに「生活オリエンテーション」を行う必要があります。銀行や病院の使い方、ごみの出し方、役所の手続、災害のときの行動などを伝える義務的支援です。ところが、何をどこまで話し、何時間かけ、どんな資料を使えばよいかで迷う会社は少なくありません。この記事では、特定技能の生活オリエンテーションで説明する6分野の内容と、8時間以上という時間の目安、その配分例を示します。あわせて、国の動画やガイドブックと自社で作る地図を組み合わせた資料の作り方、誰が実施するかを整理します。
- 許可の後、遅滞なく8時間以上:入国後(国内の人は在留資格の変更後)、遅滞なく行います。少なくとも8時間以上が必要と考えられ、生活環境に変化がない場合でも4時間に満たなければ適切とはいえないとされています。
- 説明は6分野:生活一般、届出などの手続、相談・苦情の連絡先、医療、防災・防犯・急病時の対応、法令違反を知ったときの対応です。最後に確認書(参考様式第5-8号)に署名をもらいます。
- 資料は3層で作る:全国共通の内容は出入国在留管理庁の動画とガイドブック、ごみや避難場所は市区町村の資料、通勤路や連絡先は自社の地図とカードで伝えます。
- 実施するのは受入れ企業か委託先:自社支援なら社内の支援担当者など、全部委託なら登録支援機関です。費用を本人に負担させることはできません。
相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。
この記事の目次
特定技能の生活オリエンテーションとは:許可の後、遅滞なく8時間以上
特定技能の生活オリエンテーションは、日本で暮らすために必要なルールや手続を、働き始めた本人に伝える支援です。1号の義務的支援10項目の1つで、入国後、または在留資格の変更後に遅滞なく行います。時間は少なくとも8時間以上が目安です。終わったら確認書に署名をもらいます。
図1数字で見る生活オリエンテーションの基準
- 8時間以上時間の目安「少なくとも8時間以上」が必要と考えられる
- 4時間これを下回ると不適切生活環境に変化がない場合も同じ
- 6分野説明する事項の区分生活一般・手続・相談先・医療・防災・法令違反
- 第5-8号確認書の様式英語と9言語の版もある
事前ガイダンスとの違いは「時期」と「中身」
事前ガイダンスは在留資格の申請の前に、労働条件や入国の手続を伝えるものでした。生活オリエンテーションは許可の後、日本で暮らし始める本人に、生活のルールと困ったときの行動を伝えます。前者は「来る前の約束の確認」、後者は「来てからの暮らし方」と考えると整理しやすいでしょう(事前ガイダンスの記事)。
対象は新しく来た人だけではない
海外から来た人だけでなく、国内で在留資格を変更した人にも行います。転職して別の受入れ企業に移った場合も、改めて必要です。同じ会社で技能実習や留学から引き続き雇う場合も同じです。連絡先や緊急時の対応、法的な保護については、十分に理解させる必要があるとされています。
対面でなくてもよいが、質問に答えられる体制は必須
行い方は対面に限られず、テレビ電話やDVDなどの動画視聴でも差し支えないとされています。ただし、質問が出たときに適切に答えられる体制を整えることが必要です。言語は、本人が十分に理解できる言語で行います。
生活オリエンテーションの内容:説明する6分野と細かな項目
説明する事項は、運用要領に6つの分野として並んでいます。全国どこでも同じ内容と、住む地域で変わる内容が混ざっている点に注意してください。下の表の「伝え方の例」は編集部の整理です。
| 分野 | 運用要領に挙がる主な項目 | 伝え方の例 |
|---|---|---|
| ① 生活一般 | 金融機関・医療機関・交通機関の利用、交通ルール、ごみの出し方や騒音などの生活ルール、買い物、気象・災害情報の入手、違法となる行為の例、出産・子育ての制度 | 市区町村の分別表と収集日を配り、集積所を実際に見せる |
| ② 届出などの手続 | 所属機関に関する届出、住居地の届出、健康保険・年金・税・マイナンバー、自転車の防犯登録などの手続 | 期限を数字で示し、役所の窓口へ一緒に行く |
| ③ 相談・苦情の連絡先 | 支援担当者の氏名・電話・メール、地方出入国在留管理局、労働基準監督署、ハローワーク、警察署、市区町村、法テラス、大使館など | 財布に入る大きさの連絡先カードを渡す |
| ④ 医療 | 外国人患者の受入れ体制が整った病院の名称・所在地・連絡先、医療通訳費用などに備える民間医療保険の案内 | 通訳を使える病院を地図に印を付けて示す |
| ⑤ 防災・防犯・急病 | 災害への備え、火災予防、110番・119番・118番、避難場所、緊急速報メールの設定 | 本人のスマートフォンで、その場で設定を確かめる |
| ⑥ 法令違反を知ったとき | 入管法令・労働関係法令の知識、相談先、年金の受給権や脱退一時金 | 旅券の取上げや給与の不当な控除は相談してよいと伝える |
本人がする届出は、期限を数字で伝える
住居地の届出は、住居地を定めた日から14日以内に、住む市区町村の窓口で行います。転職や退職で所属機関との契約が変わったときは、本人が14日以内に「所属機関に関する届出」を出します。こちらは電子届出システムで24時間届け出られます。「すぐに」ではなく「14日以内」と数字で伝えるほうが確実です。
「違法となる行為」は身近な例で
交通では、2026年4月1日から16歳以上の自転車の違反に青切符(交通反則通告制度)が適用されています。信号無視、一時不停止、右側通行、ながらスマホなどが対象です。お金では、帰国などで使わなくなった口座の通帳やキャッシュカードを人に譲ることが、有償・無償を問わず犯罪になります。警察庁は、使わない口座は解約するよう呼びかけています。
医療と緊急時の準備は「その場で一緒に」
病院の情報は、厚生労働省と観光庁が「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト」を公表しています。掲載する医療機関は都道府県が選んでいます。最新のリストは2026年6月30日に公表され、8月6日と9月30日に一部が変更されました。住まいの近くの病院をリストで探し、地図に印を付けておきます。緊急速報メールは、運用要領も設定方法まで伝えるよう求めています。本人のスマートフォンで受信設定を確かめ、119番で住所をどう伝えるかも一度練習しておくと安心です。
生活オリエンテーションの時間:8時間の配分例
運用要領は、少なくとも8時間以上行うことが必要と考えられるとしています。4時間に満たないときは、生活環境に変化がない場合でも適切に行ったとはいえません。配分の決まりはないため、下の図は6分野と理解の確認を8時間に収める編集部の例です。
図28時間(480分)の配分例(編集部の例)
- ① 生活一般(お金・交通・ごみ・買い物)120分
- ② 届出・社会保険・税の手続90分
- ⑤ 防災・防犯・急病時の対応60分
- 質問と理解の確認60分
- ④ 医療機関の使い方45分
- ⑥ 法令違反を知ったとき・年金45分
- ③ 相談・苦情の連絡先30分
- 通勤路・集積所などの現地確認30分
1日で詰め込まず、2日に分ける
8時間を1日で行うと、後半はほとんど頭に入りません。来日直後は時差や移動の疲れもあります。現実的なのは、4時間ずつ2日に分ける形です。1日目は役所・銀行・携帯電話など、すぐ必要な手続を中心にします。2日目は医療や防災、法令違反を知ったときの対応など、困ったときの話に充てます。
生活環境が変わらない人は、どこを短くできるか
同じ地域で暮らしてきた人なら、買い物や交通機関の使い方は短くできます。それでも4時間を下回ってはいけません。相談先、緊急時の対応、法的な保護の3つは、会社や在留資格が変わると中身も変わります。ここは時間を削らず、改めて説明します。
通訳を入れるなら、時間は延びる前提で
逐次通訳を入れると、同じ内容でも説明の時間はおおむね延びます。動画を本人の言語で先に見てもらい、当日は地元の情報と質問に時間を使うと、8時間の枠に収まりやすくなります。支援計画書の記載例も、合計8時間を、テレビ電話や動画視聴で行う形で書いています。
相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。
生活オリエンテーションの資料の作り方:公的資料と自社の資料を組み合わせる
資料をすべて自社で作る必要はありません。全国共通の内容は国の資料、地域で変わる内容は市区町村の資料、職場と住まいに関わる内容は自社の資料。この3層に分けると、作る量はぐっと減ります。
図3資料の3層:何を、どこから用意するか
- 1国の資料(全国共通)
外国人生活支援ポータルサイト、生活・就労ガイドブック、生活オリエンテーション動画。制度・保険・税・相談先の説明に使います。
- 2市区町村の資料(地域ごと)
ごみの分別表と収集日、ハザードマップと避難場所、外国人向けの相談窓口。外国語版があるかを窓口で確かめます。
- 3自社の資料(職場・住まいごと)
住居・職場・病院・役所・集積所を載せた地図、連絡先カード、寮のルール、通勤路の注意点。
国の動画は章ごとに使える
出入国在留管理庁の生活オリエンテーション動画は、テーマごとの章に分かれています。英語、ベトナム語、インドネシア語、ネパール語、ミャンマー語など多くの言語で公開されています。6分野のどこに使えるかを対応させておくと、当日の時間割に組み込みやすくなります。
図4説明する6分野と、国の動画の章の対応
- ① 生活一般「交通ルール」「生活ルール(暮らし編)」「生活ルール(公共施設編)」の章。ごみの曜日など地元の話は自社で補います。
- ② 届出などの手続「入管の手続と住所の手続」「健康保険制度」「年金制度」「税金」の章。
- ③④ 相談先・医療「相談窓口の案内」「医療機関」の章。通訳を使える近くの病院は自社の地図で示します。
- ⑤⑥ 防災・法令違反「緊急・災害」「雇用・労働」の章。避難場所と、給与や旅券の困りごとの相談先を補います。
生活・就労ガイドブックは最新版を確認
生活・就労ガイドブックの最新版は、外国人生活支援ポータルサイトで確かめられます。日本語版とやさしい日本語版は、2026年2月26日公開の第8版が最新です。多言語版は、2025年12月8日に第7版が公開されています。手数料などの制度は改定されることがあります。印刷して配るなら、版と日付を確かめてからにしましょう。
自社の資料は「地図」と「連絡先カード」から
自社で作るものは、地図と連絡先カードの2つから始めます。地図には、住居、職場、通勤路の危ない交差点、ごみの集積所、最寄りの病院、役所、避難場所を書き込みます。連絡先カードには、支援担当者の名前と電話番号、相談できる曜日と時間、110番・119番を並べます。確認書(第5-8号)は英語と9言語のWord版が公開されているので、本人の言語のものを使います。
自社の資料は、やさしい日本語を添えて
母語の資料に、短い日本語を添えておくと、職場の日本人も同じ紙を見て説明できます。1文を短くし、「燃えるごみ:月・木 朝8時まで」のように曜日と時刻を数字で書きます。地図には写真を入れ、集積所や病院の入口の様子が分かるようにします。翻訳したら、本人に読んでもらい、伝わらない言葉を直してから配ります。
生活オリエンテーションの進め方:準備から確認書の署名まで
準備は入社の2〜3週間前から始めると、当日に慌てずに済みます(編集部の目安)。流れは次の6つです。
- 実施者・通訳・日程を決める
誰が何を話すかを決めます。委託している場合も、地元の情報は会社の人が話すと具体的になります。
- 市区町村の情報を集める
ごみの分別表、ハザードマップ、外国人向けの相談窓口を入手し、外国語版があるかを確かめます。
- 資料と時間割を用意する
国の動画とガイドブック、自社の地図と連絡先カードをそろえ、2日分の時間割を作ります。
- 説明し、必要な手続に同行する
住居地の届出、銀行口座、携帯電話などは、説明と同時に窓口へ一緒に行くと早く終わります。
- 理解を確かめる
「夜に熱が出たら、どこに電話しますか」のように、本人の言葉で答えてもらいます。
- 確認書に署名をもらい、備えて置く
確認書(第5-8号)を示して確認のうえ署名を得ます。支援を行う事務所に備えて置きます。
図5理解を確かめる質問の例(編集部作成)
- 手続のこと「住所が変わったら、何日以内に、どこへ届けますか」「会社を辞めたら、誰が何を届けますか」
- 暮らしのこと「缶とびんは何曜日に、どこへ出しますか」「夜、自転車に乗るときに必ずすることは何ですか」
- 医療・緊急のこと「夜に熱が出たら、誰に電話しますか」「地震のとき、どこへ避難しますか」
- 困ったときのこと「給料から知らないお金が引かれていたら、どこに相談しますか」「通帳を売ってほしいと言われたら、どうしますか」
| 時間帯 | 1日目(すぐ必要な手続) | 2日目(困ったときの行動) |
|---|---|---|
| 午前(2時間) | 届出・保険・税の説明、市役所で住居地の届出に同行 | 医療機関の使い方、通訳を使える病院の場所 |
| 午後(2時間) | 銀行口座と携帯電話の手続、お金と買い物、ごみの出し方 | 防災・急病時の連絡、法令違反を知ったとき、相談先、通勤路の現地確認と理解の確認 |
入社後の暮らしで実際に起きやすい困りごとは暮らしの困りごと支援の記事で場面別に整理しています。
誰が実施するか:自社支援・全部委託・一部委託
生活オリエンテーションを行うのは、受入れ企業か、支援の委託を受けた登録支援機関です。運用要領は実施者を「特定技能所属機関等」としています。どの形でも、費用を本人に負担させることはできません。
図6体制ごとの実施者と注意点
- 自社支援社内の支援責任者・支援担当者が行います。通訳を履行補助として入れることはできます。支援計画書に、実施予定時期、方法、時間、言語、担当者を書きます。
- 一部委託自社支援のまま、生活オリエンテーションなど一部の実施を外部に任せる形です。支援計画書に委託の範囲を書きます。
- 全部委託登録支援機関が行います。会社は、地元の情報や寮のルールなど、委託先が知らない情報を渡す役になります。
- 2027年4月1日から支援業務に従事できる人が、常勤の役員・職員から選んだ支援責任者・支援担当者に限られます。通訳などの扱いは今後の運用で確かめます。
委託していても、会社にしか話せないことがある
登録支援機関は制度や手続には詳しくても、寮の前のごみ集積所の場所や、冬に凍る坂道までは知りません。全部委託でも、2日目の午後だけ会社の人が加わる、といった分担が現実的です。支援計画の書き方は支援計画の作り方の記事で解説しています。
費用は会社か委託先が持つ
通訳料、資料の翻訳や印刷、役所への同行の交通費は、支援の費用です。直接・間接を問わず、本人に負担させることはできません。一方、携帯電話の毎月の料金のように、本人が結んだ契約の利用料は本人の生活費です。支援の費用と混ぜないよう、最初に本人へ説明しておくと誤解を防げます。委託費の中に生活オリエンテーションがどこまで含まれるかは、契約の前に確かめておきましょう。
よくある失敗と、実施前のチェックリスト
失敗の多くは「時間が足りない」「地元の話が抜けている」「理解を確かめていない」のどれかです。
- 動画を流しただけで、質問に答える人がその場にいない
- 1時間ほどの説明で済ませ、確認書に署名だけもらっている
- 全国共通の資料だけで、住む町のごみの曜日や避難場所が入っていない
- 入社前の研修で話したからと、許可後のオリエンテーションを省いている
- 転職してきた人に「前の会社で聞いているはず」と言って行っていない
- 本人が十分に理解できない日本語だけで説明している
よくある思い込み
- 動画を見せれば、それで終わり動画の視聴は認められていますが、質問に答えられる体制が必要です。時間の基準も満たし、確認書に署名をもらうところまでが実施です。
- 技能実習を経験した人には不要同じ会社で引き続き雇う場合も、連絡先や緊急時の対応、法的な保護は十分に理解させる必要があります。4時間を下回ると適切とはいえません。
- 入社前の研修で話したから省ける生活オリエンテーションは、入国後(または在留資格の変更後)に行うものです。入社前の研修とは別に実施します。
実施前のチェックリスト
- 実施者、通訳、2日分の日程を決めた
- 市区町村のごみの分別表とハザードマップを入手した
- 本人の言語の動画と、最新版のガイドブックを確かめた
- 住居・職場・病院・避難場所を載せた地図を作った
- 連絡先カードと、確認書(第5-8号)の本人の言語版を用意した
- 住居地の届出(14日以内)に同行する日を決めた
実施の記録として残すもの
確認書(第5-8号)のほかに、実施日、時間、方法、言語、実施者、使った資料の版を記録します。役所や銀行の手続に同行した日も書き添えます。半年後に「聞いていない」と言われたとき、何をどこまで説明したかを示せるのは、この記録だけです。
入社前に日本語や生活の研修を行う場合は、その内容と重ならないよう分担を決めます(入社前研修の記事)。説明した内容が身についているかは、3か月後の定期面談で確かめられます。
想定ケース:物流倉庫会社(従業員15人)の工場長が、生活オリエンテーションを2日に分けた理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
- 入社後1か月の生活の問い合わせが、1人目のときの18件から2人目は7件に減った
- ごみの出し間違いの指摘は、1人目の最初の1か月で3回、2人目は0回
- 住居地の届出、銀行口座、携帯電話の手続が、入社3日目までにすべて終わった
――2人目を迎えて、何が変わりましたか。
最初の1か月の問い合わせが半分以下になりました。うちは米の保管倉庫と精米工場を持つ会社で、精米工場で飲食料品製造業の特定技能の社員が2人働いています。1人目のときは、夜に私の携帯へ「ごみの日はいつ」「病院はどこ」と何度も電話が来ました。
――1人目のときは、どんなオリエンテーションでしたか。
委託先の登録支援機関が、事務所で動画を見せながら説明してくれました。時間は基準どおりで、制度の説明も丁寧でした。ただ、町のごみの曜日も、避難場所の小学校も出てこない。全国共通の話だけでは、この町では暮らせないんだと気づきました。
――見直すきっかけは何でしたか。
自治会長からの電話です。燃えるごみの日に缶が出ている、と。本人に聞くと「知らなかった」。同じ週に、夜に無灯火の自転車で通勤しているのを近所の方が見ていました。本人が悪いというより、こちらが伝えていなかったんです。冬は通勤の時間帯にどれだけ暗くなるかも、本人は知りませんでした。知らないことは、守りようがありません。
――2人目では、どう変えたのですか。
委託先から「8時間を2日に分けて、町のことは工場長が話しませんか」と提案されました。正直、60を過ぎて人前で話すのは気が重かった。でも、資料の作り方まで一緒に考えてくれたので引き受けました。市の分別表を集積所の写真と並べた1枚を作り、2日目の午後は通勤路を一緒に自転車で走りました。集積所、危ない交差点、避難場所の小学校まで、30分ほどです。
――理解の確かめ方で工夫したことは。
確認書に署名をもらう前に、10問ほど質問しました。「夜に熱が出たら、誰に電話しますか」「缶は何曜日ですか」。答えに詰まった2問は、その場で説明し直しました。署名は、全部答えられてからです。質問の紙は本人にも渡し、1か月後の面談でもう一度同じことを聞きました。
――資料づくりに、どのくらい時間がかかりましたか。
地図と分別表の1枚、連絡先カードで、私の時間は合計6時間ほどです。翻訳と動画の準備は委託先が受け持ってくれました。次の人からは、日付と名前を直すだけです。2日目の帰り道に「この交差点は、地図の赤い丸ですね」と言われたときは、作ってよかったと思いました。
――これからの計画は。
倉庫のほうも人が足りません。物流倉庫分野は2026年1月に対象に加わりましたが、国土交通省のページでは試験がまだ準備中です。受け入れが始まったら、同じ地図とカードを使い回すつもりです。全国共通の話は国の資料で足ります。でも、地元の話は地元の人間にしかできません。
相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。
よくある質問
生活オリエンテーションは誰が実施する?
受入れ企業か、支援の委託を受けた登録支援機関です。自社支援なら社内の支援責任者・支援担当者が行い、通訳を履行補助として入れられます。自社支援のまま一部だけを外部に任せる場合は、支援計画書に委託の範囲を書きます。
動画を見せるだけで済ませてもよいですか?
動画の視聴で行うこと自体は差し支えないとされています。ただし、質問が出たときに適切に答えられる体制が必要です。時間の基準(少なくとも8時間以上、4時間未満は不適切)も満たす必要があり、地元の情報は動画では補えません。
転職してきた人にも必要ですか?
必要です。別の受入れ企業に移った場合も、改めて生活オリエンテーションを行います。住む地域が変わらない場合でも、4時間に満たないと適切とはいえないとされています。
技能実習から同じ会社で特定技能に移る人にも必要ですか?
必要です。生活に慣れている人でも、連絡先や緊急時の対応、法的な保護については十分に理解させる必要があるとされています。買い物などは短くしても、相談先や届出の説明は省かないようにします。
いつまでに実施すればよいですか?
運用要領は、入国後(国内の人は在留資格の変更後)、遅滞なく実施するとしています。住居地の届出は住居地を定めた日から14日以内なので、入社の最初の週に手続の部分を終える計画にすると安心です(編集部の目安)。
生活オリエンテーションの費用を本人に負担させてもよいですか?
できません。生活オリエンテーションは義務的支援の1つで、支援の費用は直接・間接を問わず本人に負担させられません。通訳や教材の費用も同じです。
確認書はどこに保管しますか?
確認書(参考様式第5-8号)は、本人に示して確認のうえ署名をもらい、支援を行う事務所に備えて置きます。実施日、時間、方法、使った資料もあわせて記録しておくと、後で説明しやすくなります。
本人が日本語を話せるなら、日本語で行ってもよいですか?
本人が十分に理解できる言語であれば、日本語でも構いません。ただし、保険や税、法令違反の相談先などは専門的な言葉が多い分野です。理解を確かめる質問に本人の言葉で答えられるかを見て、必要なら通訳や母語の資料を補います。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
- 出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(参考様式第5-8号)(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援計画書 記載例(自社支援)」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「生活オリエンテーション動画」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「外国人生活支援ポータルサイト」(生活・就労ガイドブックの掲載情報を含む)(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「新規上陸後の住居地の届出(中長期在留者)」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「所属(契約)機関に関する届出」(2026年10月確認)
- 警察庁「自転車の新しい制度」(自転車ポータルサイト)(2026年10月確認)
- 警察庁「取締りについて」(自転車ポータルサイト)(2026年10月確認)
- 警察庁「通帳・キャッシュカードの譲渡は犯罪です!」(2025年1月10日)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度における地域の共生施策に関する連携」(2026年3月23日様式改訂)
- 出入国在留管理庁「支援体制等の主な改正点」(2027年4月1日施行)
- 厚生労働省「「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト」について」(2026年9月30日一部変更)
- 国土交通省「物流倉庫分野」(2026年9月)
最終更新:(2026年10月版)
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