特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/career-up/ 印刷日:2026年10月15日

– 最適な人材選び – 自社にとっての正解が分かる 全国オンライン対応

  • 特定技能のりあい窓口|企業向けガイド
  • 支援・定着
  • 2026年10月版

特定技能外国人のキャリアアップ|評価・昇給・2号を目指す支援

評価表・昇給・資格の3点で「5年後の自分」を見せる。2号がない分野でもできる育て方

特定技能の外国人を採用した会社が次に悩むのが、評価と昇給、そして将来の見通しです。退職理由のデータでは「日本で転職するため」が最も多く、先が見えない職場ほど人は離れていきます。特定技能のキャリアアップは、1号の5年間を段階に分けた成長の道筋、日本人と共通の評価基準、評価に連動した昇給、2号の取得や資格取得への支援の4つで組み立てられます。この記事では、評価項目の例と昇給の決め方、届出のルール、2号がない分野での考え方まで、2026年10月時点の制度で示します。

この記事の結論
  • 5年間を段階に分け、評価は日本人と共通の基準で:安全・品質・生産性・日本語と報連相・チームの5項目を3段階で見ると、外国人社員にも伝わりやすい評価制度になります。国籍で基準を変えることは避けます。
  • 昇給は「同等報酬」と「届出」を押さえて決める:昇給で基本給が上がるだけなら随時届出は不要ですが、予定していた昇給の取りやめは届出が必要です。2年以上続けて受け入れている人の昇給率は、年1回の定期届出で報告します。
  • 2号の有無で支援の中身が変わる:2号がある分野は指導の立場と記録、試験の準備を支えます。木材産業・林業・介護などには2号がないため、資格取得と5年後の進路を早めに話し合います。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

この記事の目次

特定技能のキャリアアップは「5年の段階表」で示す:結論と全体像

特定技能のキャリアアップは、4つの道具で組み立てます。1号の5年間を段階に分けた成長の道筋、日本人と共通の評価基準、評価に連動した昇給、そして2号や資格の取得への支援です。この4つを入社時に見せられる会社は、本人にとって「ここで続ける理由」がはっきりします。

見通しが要るのは、辞める理由の多くが「次の職場」にあるからです。日本政策金融公庫の調査(2025年2月公表)は、外国人従業員の退職があった企業に退職理由を聞いています(複数回答)。最も多いのは「日本で転職するため」51.0%で、「母国で働くため」30.2%が続きました。

図1在留資格の区分ごとの賃金(令和7年賃金構造基本統計調査・一般労働者)

  • 専門的・技術的分野(特定技能を除く)313.2千円
  • 外国人労働者計254.3千円
  • 特定技能221.4千円
  • 技能実習190.3千円
特定技能の平均年齢は29.5歳、平均勤続年数は2.4年です。区分ごとに仕事の内容や年齢が違うため、同じ人の昇給の幅を示すものではありません。出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(在留資格区分別)」(令和7年調査)

転職は都道府県をまたいで起きている

出入国在留管理庁の集計(暫定値)では、特定技能の延べ転職者90,029人のうち59,387人(66.0%)が、都道府県をまたいで住居地を移していました。分野別に見た転職の割合は、低い航空で9.0%、高い農業で32.9%です。同じ分野の中なら、本人の意思で転職できます。地方の小さな会社ほど、賃金の額だけでなく「育ててもらえる」実感で選ばれる必要があります。

入社前に渡したい「キャリアの1枚」

評価表、昇給の決め方、5年間の段階表、取れる資格。この4つを1枚にまとめ、面接か内定のときに母語で渡します。求人票の給与だけで比べられると、都市部の会社には勝ちにくくなります。入社後に何ができるようになり、給料がどう変わるかを、先に見せることが選ばれる理由になります。

外国人社員の評価制度:5つの評価項目と3段階の基準

評価制度は、日本人と同じ項目・同じ基準で作るのが基本です。そのうえで、言葉を短くし、母語ややさしい日本語の版を用意します。現場の仕事に合わせるなら、次の5項目と3段階が使いやすい形です。

製造・加工の現場での評価表の例(編集部作成)
評価項目段階1:指示があればできる段階2:1人でできる段階3:人に教えられる
安全保護具と手順を守る危ない状態に気づき、すぐ報告できる新人に安全のルールを教えられる
品質手順書どおりに作業できる不良を見つけて直せる不良の原因を説明し、防ぎ方を提案できる
生産性決められた量をこなせる段取りを考えて動ける工程全体の順番を組める
日本語・報連相決まった言葉で報告できる自分から相談・報告できる申し送りや指示を人に伝えられる
チーム周りと協力して働ける後輩の作業を手伝える指導役として人を育てられる

国籍で基準を変えない

労働基準法3条は、国籍を理由に賃金や労働時間などの労働条件で差別的な取扱いをすることを禁じています。特定技能の基準省令も、国籍を理由に報酬・教育訓練・福利厚生施設の利用で差別しないことを、雇用契約の基準にしています。外国人だけの評価表を作るのではなく、全員の評価表を見直す機会にしてください。

日本語は「試験の点数」より「場面」で見る

日本語の項目を試験の級だけで決めると、現場で必要な力とずれます。報告・相談・申し送りなど、仕事の場面でできることを基準にします。外国人雇用管理指針も、日本語能力に配慮した教育訓練や、日本語学習の機会の提供を事業主に求めています。学習の支え方は特定技能外国人の日本語学習支援で詳しく扱っています。

評価の結果は書面で返す

口頭だけで伝えると、通訳を介しても受け止め方がずれます。項目ごとの段階、よかった点、次の半年の目標を1枚にまとめ、本人が読める言語で渡します。年2回の評価面談と、3か月に1回以上の定期面談を組み合わせると、目標の進み具合を確かめやすくなります。

特定技能の昇給の決め方:評価・同等報酬・届出の3つのルール

昇給は、評価の結果に連動させ、日本人と同等以上の報酬を保ち、届出のルールを守る。この3つで決めます。「様子を見て」で据え置くと、本人には評価されていないと伝わります。

図2昇給額の組み立て方(例)

昇給額=全員共通の定期昇給勤続による加算。日本人と同じ額+評価による加算5項目の段階の合計で決める+役割の手当指導役・班長の補佐など

3つに分けておくと、本人に「なぜこの額か」を説明できます。額そのものは、自社の賃金規定と日本人の昇給の実績に合わせて決めます。

ルール1:日本人と同等以上を保つ

特定技能の報酬は、日本人が同じ仕事をする場合と同等以上でなければなりません。賃金規定があれば規定で、なければ同じ仕事の日本人と比べて判断されます。日本人の社員が毎年昇給しているのに、特定技能の人だけ据え置くと、入社時は同等でも数年で差が開きます。最低賃金も改定され、2026年度の全国加重平均は時間額1,177円(前年度から56円増)です(発効は都道府県により2026年10月1日〜12月2日)。

ルール2:届出が要る場合と要らない場合を分ける

随時届出Q&Aによると、昇給で基本賃金が上がる場合は、雇用契約の変更の届出は要りません。一方、雇用条件書に書いていた昇給を取りやめる場合は届出が必要です。入社時に「1年後に昇給予定」と書いたなら、その約束を守れるかを評価の前に確かめておきます。

ルール3:昇給率は定期届出で報告する

年1回の定期届出では、届出書を作る年度の4月1日時点で、同じ在留資格のまま2年以上続けて受け入れている人について、賃金の昇給率を書きます。時間外の給与や家族手当などを除いた、きまって支給する給与の上昇率です。昇給がなければ「0%」と書きます。昇給の実績は、毎年入管に数字で見られているということです。

図3昇給の試算(架空の例・入社時の月給220,000円)

  • 1年目の評価:5項目の多くが段階2定期昇給3,000円+評価による加算3,000円 → 月給226,000円(+2.7%)
  • 2年目の評価:指導役の補佐を任せた定期昇給3,000円+評価による加算6,000円+役割の手当5,000円 → 月給240,000円(+6.2%)
  • 3年目の評価:班長の補佐として段取りを担当定期昇給3,000円+評価による加算6,000円+役割の手当の増額5,000円 → 月給254,000円(+5.8%)
数字はすべて架空の試算です。実際の額は、自社の賃金規定と、同じ仕事をする日本人の昇給に合わせて決めます。出典:編集部の試算(架空の数字)。昇給率の考え方は出入国在留管理庁「定期届出 作成要領」(2026年1月26日掲載)

分野によっては、契約や採用前に示すことが決まっている

建設分野の要領は、技能の習熟に応じて昇給することを契約に明記するよう求めています。飲食料品製造業分野の要領は、雇用契約の前に、典型的なキャリアパスや各段階の業務、必要な経験・資格、賃金の推移を示したキャリアアップの計画を書面などで示すよう求めています。自社の分野の要領も確かめてください。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

1号の5年間の成長ステップ:時期ごとの目標と会社の支援

1号の在留期間は1回につき3年を超えない範囲で決まり、通算で5年が上限です。この5年を5つの段階に分け、時期ごとに目標と会社の支援を決めておくと、評価面談で話す内容がぶれません。

図41号5年間の成長ステップ(製造・加工の現場の例)

  1. 安全に基本作業ができる

    母語の安全教育と、週ごとのOJT計画。指導役を1人決めます。

  2. 担当工程を1人で回せる

    年2回の評価面談を始め、品質と報連相を重点に見ます。日本語学習の機会も用意します。

  3. 複数の工程を担い、新人に教えられる

    業務に必要な資格(技能講習など)の取得を支えます。在留期間の更新に合わせて、次の3年の目標を話します。

  4. 班長の補佐として段取りを組める

    役割の手当を付け、指導の立場と期間を辞令などで記録します。2号がある分野は試験の準備を始めます。

  5. 次の進路を決める

    2号への移行、別の在留資格、帰国のどれを選ぶかを話し合い、実務経験の証明書を用意します。

時期は目安です。技能実習から移った人は、最初の段階を短くできます。出典:出入国在留管理庁「運用要領の一部改正について」(2025年9月30日)、出入国在留管理庁「通算在留期間」(2026年10月確認)

通算5年の数え方で気をつけること

1号の通算在留期間には、一時帰国などで再入国許可を使って出国していた期間も含まれます。産前産後休業・育児休業や、連続して1か月を超える病気・けがの休業(原則1年まで、労災は3年まで)などの期間は、休業の際に会社が遅滞なく受入れ困難の届出をしておき、満了の3か月前から満了までに申し出れば、通算から除けます。段階表の時期は、本人の残りの期間に合わせて調整してください。

在留期間の更新を「次の段階」を話す日にする

1号の在留期間の更新は、成長の節目と重なります。更新の手数料は2026年10月1日から、許可される在留期間に応じた額に変わりました。窓口なら1年で33,000円、1年超3年未満で48,000円、3年以上5年未満で64,000円です。誰が負担するかを事前に決めたうえで、更新の手続きと一緒に、次の在留期間の目標と昇給の見通しを話し合いましょう。

最初の3か月の育て方は別に計画する

入社直後は評価より、安全と基本作業の習得が先です。週ごとの教え方は特定技能外国人の教育・OJTの進め方、時期ごとの定着の工夫は特定技能外国人の定着率を上げる方法が参考になります。

特定技能2号を目指す人に会社ができる支援

2号がある分野では、2号への移行がキャリアアップの大きな節目です。2号になれば在留期間の更新に上限がなく、要件を満たせば家族も呼べます。ただし、試験に合格するだけでは足りず、多くの分野で指導や管理の立場での2〜3年の実務経験が求められます。会社の配置と記録がなければ、要件を満たせません。

図52号を目指す人に会社ができる5つの支援

  • 1指導の立場を任せる

    班長・ライン長など、分野が求める立場に就けます。指導する相手がいる配置かも確かめます。

  • 2立場と期間を記録する

    辞令や組織図で、いつからその立場かを示せるようにします。

  • 3実務経験の証明書を出す

    多くの分野で、本人から求められたら会社が証明書を交付する義務があります。

  • 4試験の時間と費用を支える

    受験日・会場・受験料を確かめ、勤務の調整や教材の費用を決めます。

  • 5日本語の学習を続ける

    2027年4月1日以降の在留資格認定証明書の申請から、2号にはB1相当以上の日本語の確認が始まります。

2号の試験で合格基準点の8割以上を取るなどの要件を満たせば、1号のまま通算6年まで在留できる特例もあります(当分の間)。出典:出入国在留管理庁「通算在留期間」(2026年10月確認)、出入国在留管理庁「運用要領の一部改正について」(2025年9月30日)、出入国在留管理庁「日本語能力水準「B1相当以上」の確認開始時期について」(2026年9月30日掲載)

求められる立場と年数は分野ごとに違う

たとえば飲食料品製造業は、ライン長・班長など作業員を指導しながら工程を管理する立場で2年以上、宿泊は複数の従業員を指導しながらフロントや接客などに従事して2年以上です。農業は、指導・工程管理の立場で2年以上か、現場での3年以上の実務経験が求められます。自社の分野の要件を先に確かめ、段階表の3〜4年目にその立場を置いてください。

2号に移った後の役割と待遇も決めておく

2号の人には、指導や管理などの役割が求められます。移行が決まったら、役割の手当や評価の項目も見直します。分野ごとの試験と実務経験の要件は特定技能2号への移行、1号との違いは特定技能1号と2号の違いで一覧にしています。家族を呼ぶときに会社が相談を受けやすい点は特定技能2号の家族帯同と生活支援にまとめました。

2号がない分野のキャリアアップ:資格取得と5年後の進路

2026年10月時点で、介護、木材産業、林業、リネンサプライ、物流倉庫、自動車運送業、鉄道、資源循環には2号がありません。工業製品製造業も、2号の対象は一部の区分だけです。こうした分野では、2号の代わりに「資格」と「5年後の進路」を軸にキャリアアップを組み立てます。

介護は介護福祉士という道がある

介護には2号はありませんが、介護福祉士の資格を取れば在留資格「介護」に移る道があります。国家試験の学習時間をどう確保するかが、会社の支援の中心になります。

製造・木材などは安全衛生の資格が足がかりになる

現場で任せられる仕事を広げる資格は、評価と昇給に結びつけやすい目標です。労働安全衛生法は、一定の業務を免許や技能講習の修了などの資格がある人に限っています。最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転や、つり上げ荷重1トン以上のクレーンなどの玉掛けがその例です。製材所などで丸のこ盤・帯のこ盤などの木材加工用機械を5台以上(自動送材車式帯のこ盤があれば3台以上)持つ事業場では、作業主任者の選任も必要です。作業主任者は、免許を受けた人か技能講習を修了した人から選ぶため(労働安全衛生法14条)、経験を積んだ人の次の目標にもなります。

  • 業務に必要な資格を一覧にし、何年目に取るかを段階表に書く
  • 講習が日本語で行われる場合に備え、用語の事前学習を手伝う
  • 受講料と受講日の扱い(勤務扱いか、有給か)を、日本人と同じルールで決める
  • 取得したら担当できる業務と手当を見直す

分野の所管省庁が出す資料を使う

木材産業なら、林野庁が事業者向けのリーフレット(2026年1月)や受入れマニュアル(2026年2月)、学習用のテキスト(2025年5月、第1版)を出しています。作業の用語や安全の考え方を、評価表や資格の学習に取り入れると、会社だけで教材を作る手間が減ります。

5年後の進路は、入社前から正直に話す

2号がない分野では、1号の通算5年が上限です。2号の試験がないため、8割以上の得点で通算6年になる特例も使えません。入社前にこのことを伝え、5年間で身につく技能と資格、給与の見通しを示します。帰国する場合の費用の扱いは特定技能の帰国費用は誰が負担する?で確認できます。制度は見直しが続いているため、分野の所管省庁の発表も年に1回は確かめましょう。

評価面談の進め方と、よくある失敗

評価制度は、面談の進め方で効き目が変わります。次の6つの手順で、半年ごとに回すのが目安です。

  1. 自己評価を書いてもらう

    評価表の母語版かやさしい日本語版で、5項目を自分で採点してもらいます。

  2. 上司が評価する

    日本人と同じ評価者・同じ基準で、事実(できた作業・回数)を書きます。

  3. 通訳を入れて面談する

    30分ほどで、自己評価と上司の評価の違いを話し合います。

  4. 次の半年の目標を決める

    段階表の次の段階から、1〜2個の具体的な目標を選びます。

  5. 昇給と手当を書面で伝える

    額と理由を1枚にまとめ、本人の言語で渡します。

  6. 記録を残す

    評価表と面談の記録を保管し、2号の実務経験の証明や定期届出の昇給率の確認に使います。

評価者のばらつきを抑える

評価する人によって厳しさが違うと、本人の納得が得られません。評価者が2人以上いるなら、評価の前に同じ社員の例で採点を合わせる時間を30分ほどとり、段階の判断に迷った作業を共有します。点数の根拠には、印象ではなく「できた作業と回数」を書くと決めておきます。

キャリアアップでよくある失敗

  • 評価の基準がなく、昇給を「様子見」で据え置く
  • 外国人だけ別の評価表を作り、日本人と比べられなくする
  • 日本語の試験の級だけで評価や昇給を決める
  • 指導役を任せたのに、手当も辞令もない
  • 2号がない分野なのに、5年後の話を最後までしない
  • 評価の結果を口頭だけで伝え、本人の記録が残らない

キャリアの見通しづくりは、委託先の登録支援機関の定期面談とも重ねられます。会社選びの段階から確かめたい場合は、特定技能の会社選びの総合ガイドも参考にしてください。

想定ケース:製材所(従業員24人)の総務部長が、2号がないことを入社前に伝えた理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

製材所(従業員24人)の総務部長(30代・男性)を想定したインタビューです。特定技能(木材産業)の2人を受け入れ、評価と昇給の仕組みを日本人と共通にした場面を描いています。

  • 評価表を、日本人社員22人と共通の5項目・3段階に作り直し、年2回の評価面談を始めた
  • 2人とも、入社1年以内にフォークリフト運転技能講習を修了した(受講料と受講日の賃金は会社負担)
  • 1年目の評価にもとづき、2人の昇給額を決めて書面で伝えた(役割の手当を含めて月6,000円と8,000円)

――仕組みを作って、何が変わりましたか。

昇給の理由を説明できるようになりました。以前は社長の印象で決めていて、日本人の社員にも基準を聞かれると困っていたんです。今は5項目の段階を見せて、「ここが上がったからこの額」と言えます。2人とも、評価表を自分のスマホで写真に撮って帰ります。

――なぜ、評価の仕組みから手をつけたのですか。

職人の高齢化で、10年後に機械を回せる人がいなくなるからです。若い人を採っても育てる道筋がなければ、隣の県の大きな工場に移ってしまう。特定技能は同じ分野なら転職できると聞いて、給料の額だけでは勝てないと思いました。

――一番迷ったことは何でしたか。

木材産業に2号がないことを、面接で言うかどうかです。言えば来てくれないかもしれない。でも登録支援機関の担当の方が、「2年目に知って辞める人を何人も見てきました。最初に言いましょう」と。林野庁の資料も一緒に見て、5年で取れる資格と給料の見通しを1枚にまとめ、面接で渡しました。その説明に2人ともうなずいてくれて、こちらの考え方を分かってもらえたと感じました。

――資格の取得で苦労した点は。

講習が日本語だったことです。用語集を作って、休憩時間に先輩が実物を指して教えました。講習の前の2週間です。受講料と受講日の給料は日本人と同じく会社持ちにしました。外国人だけ自己負担にする理由は、どこにもありませんから。

――日本人の社員の反応はどうでしたか。

最初は「評価されるのは嫌だ」という声もありました。でも、全員同じ表だと説明したら、ベテランが「段階3」の欄を見て、新人に教えるのも仕事だと言ってくれた。外国人のために作った仕組みが、結局は全員の仕組みになりました。

――5年後については、どう話していますか。

1人は帰国して自分の工房を持ちたいそうです。もう1人は日本に残りたい。制度の見直しがあれば一緒に考えよう、と年1回の面談で話しています。約束できないことは約束しない。それだけは決めています。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

特定技能外国人の昇給はどう決める?

日本人と共通の評価基準で評価し、その結果に連動させて決めます。全員共通の定期昇給、評価による加算、役割の手当に分けると説明しやすくなります。日本人と同等以上の報酬を保つこと、予定していた昇給を取りやめるなら届出が必要なことも押さえてください。

日本人と同じ評価制度にしないといけませんか。

同じ基準で評価するのが基本です。労働基準法3条は国籍を理由とする労働条件の差別的取扱いを禁じ、特定技能の基準省令も報酬・教育訓練・福利厚生での国籍による差別を認めていません。評価表の言葉を短くし、母語ややさしい日本語の版を用意する配慮は必要です。

昇給したら、入管への届出は必要ですか。

昇給で基本賃金が上がるだけなら、随時届出は不要です。予定していた昇給を取りやめる場合は、雇用契約の変更の届出が必要です。また、2年以上続けて受け入れている人の昇給率は、年1回の定期届出で報告します。

評価が低い人の給料を下げてもいいですか。

本人の同意なく一方的に下げることはできません。労働条件の変更は労使の合意によるのが原則で、就業規則の変更で不利益に変える場合も厳しい条件があります(労働契約法8条・9条)。特定技能では、日本人と同等以上の報酬を保つことと、雇用契約の変更の届出も必要になります。

2号がない分野の人は、5年の後どうなりますか。

1号の通算5年が上限です。介護は介護福祉士を取って在留資格「介護」に移る道がありますが、木材産業・林業などには2号がなく、8割以上の得点で通算6年になる特例も使えません。入社前から5年間の見通しを示し、制度の見直しも確かめていきます。

資格を取る費用は、会社が負担すべきですか。

負担を一律に定めた法令はありませんが、業務に必要な資格なら、会社の負担で勤務時間内に受講させる形が説明しやすい方法です。日本人と同じルールにし、外国人だけ自己負担にすることは避けます。取得後の手当や担当業務も合わせて決めましょう。

評価面談を、支援の定期面談と一緒に行ってもいいですか。

目的と担当が違うので、分けて考えます。定期面談は、支援責任者か支援担当者が、本人と監督する立場の人のそれぞれと3か月に1回以上行うもので、困りごとや法令違反の有無を確かめる場です。評価面談は上司が仕事の成果を話す場なので、同じ日に行う場合も記録は分けて残します。

「3年勤めたら昇給」という条件を付けてもいいですか。

勤続年数に応じて昇給する定めは、日本人と同じルールなら問題ありません。ただし「途中で辞めたら昇給分を返す」のような約束は、違約金や損害賠償額の予定を禁じた労働基準法16条に触れます。引き留めは罰則ではなく、見通しと評価で行います。

2号を目指す人には、いつから準備を始めればいいですか。

多くの分野で指導の立場での2〜3年の実務経験が必要なため、入社2〜3年目には立場を任せ、記録を始めるのが目安です。試験の日程と日本語の要件も早めに確かめます。通算5年から逆算した準備表は、2号への移行の記事にまとめています。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
  2. 出入国在留管理庁「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領」(2026年1月26日掲載)
  3. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和7年6月)
  4. 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領の一部改正について」(2025年9月30日)
  5. 出入国在留管理庁「通算在留期間」(2026年10月確認)
  6. 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」(2026年10月確認)
  7. 出入国在留管理庁「日本語能力水準「B1相当以上」の確認開始時期について」(2026年9月30日掲載)
  8. 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(木材産業分野)」(令和6年9月30日公表)
  9. 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(飲食料品製造業分野)」(令和8年8月28日一部改正)
  10. 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(建設分野)」(2025年1月31日一部改正)
  11. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年(暫定値))
  12. 林野庁「木材産業における外国人材の受入れ」(2026年10月確認)
  13. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(在留資格区分別)」(令和7年調査)
  14. 厚生労働省「令和8年度最低賃金額答申」(2026年9月3日公表)
  15. 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)
  16. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)
  17. e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月確認)
  18. e-Gov法令検索「労働契約法」(2026年10月確認)
  19. e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(2026年10月確認)
  20. e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」(2026年10月確認)
  21. 厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(令和8年5月29日告示による改正を反映)

最終更新:(2026年10月版)

自社に合う会社を、最大3社まで比べてから相談しませんか

条件(分野・人数・国内か海外か・任せたい範囲)をお聞きし、合う人材紹介会社・登録支援機関を最大3社まで、同じ形式の比較表つきでご紹介します。どの会社とも契約しない、という選択でも構いません。

  • 相談は無料です。入力は3分ほどで終わります
  • 会社に順位は付けません。最終的に選ぶのは御社です
  • LINEからのご相談も受け付けています

    送信後の流れ:内容を確認し、担当者からメールでご連絡します。自動返信メールが届かない場合は、迷惑メールフォルダもご確認ください。お急ぎの方はLINEからどうぞ。

    ご入力いただいた情報は、お問い合わせへの回答と、ご希望に合う会社のご紹介のためにだけ使います。

    ページの先頭へ戻る