特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/nijuu-keiyaku-chukan-sakushu/ 印刷日:2026年10月15日

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二重契約・中間搾取の禁止|送出し機関の手数料と本人の借金の問題

本人が払った費用と借金は採用前に母語で確かめる。送出し機関・紹介会社との契約には、禁止事項と費用の開示を書き込む

海外から特定技能の人材を呼ぶとき、会社から見えにくいのが、本人が母国で払った費用と借金です。入管に出した雇用契約とは別に、保証金や違約金、給与からの返済を約束させられていれば、いわゆる二重契約の状態になり、会社の受け入れの基準にも関わります。この記事では、送出し機関の手数料と借金について公的な調査結果を示し、中間搾取(労働基準法6条)を含む禁止のルールを整理します。そのうえで、本人が多額の手数料を払っていないかを確かめる手順と、契約で防ぐ条項の例を紹介します。

この記事の結論
  • 二重契約は、会社の見えないところで結ばれる:入管に出した契約とは別に、本人が送出し機関などと保証金・違約金・返済の約束をしている状態です。知りながら雇用契約を結ぶことは、受入れ機関の基準で認められていません。
  • 借金を抱えて来日する人は少なくない:出入国在留管理庁の調査では、技能実習生の85.3%が送出機関に費用を払い、54.7%が来日のために借金をしていました(2021〜2022年の調査)。
  • 確かめるのは採用前、防ぐのは契約で:費用の明細を書面で取り、本人に母語で聞きます。送出し機関・紹介会社との契約には、保証金・違約金・便益の授受の禁止と費用の開示を書き込みます。

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この記事の目次

特定技能の二重契約・中間搾取とは:会社が知らないうちに関わる3つの形

二重契約は法律の用語ではありません。この記事では、入管に出した雇用契約とは別に本人が不利な約束をさせられている状態と、届け出た条件と実際の条件が違う状態を指して使います。中間搾取は、労働基準法6条が禁じる行為です。法律で許される場合を除き、業として他人の就業に介入して利益を得てはならないと定めています。

どちらも、会社が直接手を下さなくても関わってしまう点が厄介です。特定技能では、本人が保証金や違約金の契約を結ばされていると知りながら雇用契約を結ぶことが、受入れ機関の基準で認められていません。「知らなかった」で済ませないために、確かめる手順が要ります。

図1会社が知らないうちに関わる3つの形

  • 1裏の契約

    送出し機関や仲介者が、保証金・違約金・高額な手数料の返済を本人に約束させる。入管に出す書類には出てきません。

  • 2条件のすり替え

    入管に届け出た給与や業務と、実際の条件が違う。会社の側で起きる二重契約です。雇用契約の変更は14日以内の届出が必要です。

  • 3中間搾取

    誰かが本人の就業に介入して利益を得る。給与の一部を仲介者に回す、本人から紹介料を取る、送出し機関から会社が見返りを受ける、などです。

1と3は主に送出し側で、2は会社の側で起きます。どれも受入れの基準や労働基準法に関わります。出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月確認)、e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)

会社にとってのリスク

裏の契約を知りながら雇えば、受入れ機関の基準を満たしません。本人の側でも、保証金や違約金の契約がないことが在留の基準です。借金の返済に追われる人は、残業の増加や転職を強く望むことがあり、職場の定着にも響きます。費用と借金の確認は、本人を守ることと、会社の受け入れを守ることの両方につながります。

送出し機関の手数料と借金の実態:技能実習生の54.7%が来日前に借金

本人が母国で払う費用の大きさは、公的な調査で確かめられます。出入国在留管理庁が2021年12月から2022年4月末に、技能実習生2,184人から直接聞き取った調査です。85.3%が来日のために送出機関へ費用を払い、54.7%が母国で借金をしていました。

図2技能実習生が来日前に払った費用と借金

  • 85.3%送出機関に費用を払った回答2,178人
  • 52.1万円送出機関への支払総額の平均521,065円(金額を答えた1,336人)
  • 54.7%来日のために母国で借金をした回答2,107人
  • 54.8万円借金の総額の平均547,788円(金額を答えた993人)
技能実習生の調査で、特定技能の人を対象にしたものではありません。特定技能で同じ形の公的調査は、今回確認できませんでした。出典:出入国在留管理庁「技能実習生の支払い費用に関する実態調査の結果について」(調査期間2021年12月〜2022年4月)

費用の中身と、返済の始まり方

送出機関への支払いの内訳(内訳を答えた539人の平均)は、派遣手数料が269,303円で最も大きく、事前教育費用が73,663円でした。禁止されているはずの保証金・違約金も、平均19,503円ありました。送出機関以外の仲介者に費用を払った人も11.5%いました。

図3送出機関に払った費用の内訳(平均額)

  • 派遣手数料269,303円
  • 事前教育費用73,663円
  • その他23,238円
  • 保証金・違約金19,503円
保証金・違約金の項目にも支払いがあった点に注意が必要です。出典:出入国在留管理庁「技能実習生の支払い費用に関する実態調査の結果について」(内訳を答えた539人。調査期間2021年12月〜2022年4月)

借金をした人のうち68.8%が「来日中に返し始める」と答え、返済期間は「1年以内」が58.2%でした。来日直後から、給与の中で返済が始まる人が多いということです。出入国在留管理庁は、失踪などの背景に不当な費用徴収が疑われることを踏まえて、この調査を行ったと説明しています。

国ごとの手数料の上限は「確認が必要」

特定技能の二国間の協力覚書(MOC)は、保証金の徴収や根拠を示さない手数料などを、不適切な行為として両国で情報共有する枠組みです。ただ、今回確認したMOCは、手数料の額や上限を定めていませんでした。ベトナムのように送出しについて独自の法律を定めている国もあり、費用のルールは駐日大使館などで国ごとに確かめます。国ごとの手続きは海外から特定技能人材を呼ぶ方法にまとめています。

2027年4月に始まる育成就労では、送出機関が本人から取れる費用の上限を月給の2か月分までとし、超える分は育成就労実施者か監理支援機関が負担します。詳しくは育成就労の受け入れ人数枠と費用で解説しています。

特定技能で禁止されている契約:保証金・違約金・財産の管理

特定技能では、本人の側と受入れ機関の側の両方に、保証金や違約金を防ぐ基準があります。本人の側は上陸の基準を定めた省令に、受入れ機関の側は特定技能の基準省令に書かれています。

保証金・違約金・費用に関する主な禁止と根拠(2026年10月時点)
対象内容根拠
本人の側(在留の基準)本人や親族などが、保証金の徴収など名目を問わず金銭・財産を管理されていない。違約金など不当に財産の移転を予定する契約がない上陸基準省令(特定技能1号)
本人の側(在留の基準)外国の機関に費用を払っている場合、その額と内訳を十分に理解して合意している同上
本人の側(在留の基準)母国で守るべき手続が定められている場合は、それを経ている同上
受入れ機関本人が財産の管理や違約金の契約をされていると知りながら、雇用契約を結ばない基準省令2条1項6号
受入れ機関会社自身が、違約金などを定める契約を他者と結ばない同7号
受入れ機関支援の費用を、直接・間接に本人に負担させない同8号
使用者全般違約金・損害賠償額の予定、前借金と賃金の相殺、強制貯金の禁止労働基準法16条・17条・18条
職業紹介事業者求職者から手数料を取らない(原則)。保証金を取る、渡航費用を貸し付けるなどの取次機関を使わない職業安定法、国外にわたる職業紹介の許可条件

特定技能の雇用で、違約金を定める契約は結べない

「1年以内に辞めたら紹介料を返す」「途中で帰国したら研修費を払う」。こうした約束は、労働基準法16条が禁じる違約金・損害賠償額の予定に当たります。特定技能では、会社自身が結ばないことに加え、本人が送出し側で結ばされていないことも基準です。雇用契約書だけでなく、本人と送出し機関の契約書も見せてもらいましょう。

MOCで「不適切な行為」とされていること

今回確認したMOCは、預り金の徴収などによる金銭・財産の管理、違約金を定める契約、算出根拠や内訳を示さない手数料の徴収を、不適切な行為として扱っています。ベトナムとのMOC(英文)には、送出機関から航空券・ホテル代・接待などの便益を受ける受入機関には、ベトナム側が送出しを認めない旨の規定もあります。募集や採用の段階の指針の考え方は外国人雇用管理指針のポイントで整理しています。

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中間搾取の禁止(労働基準法6条)は外国人にも適用される

労働基準法6条は「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」と定めています。「何人も」とある通り、会社だけでなく仲介者や個人も対象です。違反すると1年以下の拘禁刑か50万円以下の罰金です(118条1項)。労働関係の法令は、国籍を問わず外国人にも日本人と等しく適用されます。

法律で許される場合の代表が、許可を受けた職業紹介事業者が法令の範囲で受け取る手数料です。紹介会社が求人側の会社から紹介料を受け取ること自体は問題ありません。問題になるのは、本人の給与や就業から、誰かが利益を抜き取る形です。

図4お金の流れで見る「問題のない形」と「避ける形」

問題のない流れ

  1. 会社から紹介会社へ:紹介手数料
  2. 会社から登録支援機関へ:支援の委託費
  3. 会社から本人名義の口座へ:給与の全額(控除は法令か労使協定の範囲)
  4. 本人から送出し機関へ:額と内訳を理解して合意した費用だけ

賃金は通貨で、直接、全額を本人に払うのが原則です。

避ける流れ

  1. 会社が給与の一部を、仲介者や送出し機関へ直接送る
  2. 本人から紹介料・「管理費」・保証金を取る
  3. 寮費に上乗せして、住居で利益を得る
  4. 送出し機関から、会社や担当者が接待・航空券・謝礼を受ける

金額が小さくても、中間搾取や受入れの基準違反に当たるおそれがあります。

住居で利益を得てはならないことは、支援の運用要領にも書かれています。出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月確認)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(令和7年4月1日一部改正)、日・ベトナム協力覚書(英文)(2019年5月署名)

「返済分を給与から引いて送ってほしい」と頼まれたら

本人や送出し機関から、借金の返済分を給与から引いて送金してほしいと頼まれることがあります。控除できるのは、法令に定めがある場合か労使協定がある場合に限られます(労働基準法24条)。前借金と賃金の相殺も禁止です(17条)。会社は返済の窓口を引き受けず、給与は本人名義の口座に全額振り込み、返済は本人が行う形にします。税や社会保険料の控除の説明は特定技能外国人の税金で確認できます。

本人が多額の手数料を払っていないか確かめる手順

確かめる場面は、送出し機関を選ぶとき、内定のとき、入国前、入社後の4つです。費用は話しにくい話題なので、本人の母語で、送出し機関の担当者が同席しない場で聞くようにします。

  1. 費用の明細を書面でもらう

    送出し機関・紹介会社に、本人が払う費用と会社が払う費用を分けて、項目・金額・算出根拠を出してもらいます。「本人負担はありません」と言われたら、それも書面にしてもらいます。

  2. 認定と許可を確かめる

    ベトナム・ミャンマー・カンボジアなどは、相手国政府の認定送出機関の一覧が出入国在留管理庁のサイトに載っています。フィリピンは移住労働者省の公開ページで確認するよう案内されています。紹介会社は職業紹介の許可番号を確かめます。

  3. 内定時に本人へ母語で聞く

    通訳を入れ、誰にいくら払ったか、借金の有無と返し方、辞めたらお金を払う約束がないかを聞きます。下の8つの質問を使います。

  4. 事前ガイダンスで「違法」と伝える

    事前ガイダンスでは、保証金や違約金の契約がないことなどを、本人が理解できる言語で伝えます。費用の負担も説明し、確認書に署名をもらいます。

  5. 費用確認シートに両者で署名する

    本人が外国の機関に払った費用の額と内訳、それを理解して合意していることを、会社の様式に記録します。在留の基準を確かめた記録になります。

  6. 入社後の定期面談で聞き続ける

    3か月に1回以上の定期面談で、返済の状況や、給与の送金を誰かに求められていないかを聞きます。第三者の介入が疑われるときは、オンラインではなく対面で行います。

図5本人に母語で聞く8つの質問

  • ① 払った相手来日するために、誰にお金を払いましたか(送出し機関・仲介者・学校など)。
  • ② 金額と中身合計でいくらでしたか。何の費用でしたか。
  • ③ 書類領収書や契約書はありますか。見せてもらえますか。
  • ④ 借金借金はありますか。誰から、いくら、毎月いくら返しますか。
  • ⑤ 辞めたときの約束仕事をやめたり帰国したりしたら、お金を払う約束をしていますか。
  • ⑥ 預けているものパスポートや通帳、カードを誰かに預けていますか。
  • ⑦ 送金の指示給料の一部を、誰かに送るように言われていますか。
  • ⑧ 相談相手困ったとき、誰に相談できますか。
⑤と⑥は、在留の基準(財産の管理・違約金の禁止)に直接関わります。質問は採否の評価に使わないと、最初に伝えます。出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」(2026年10月確認)

ミャンマーのように、本国側の手続きや認定送出機関の確認が細かく決まっている国もあります。具体例はミャンマーから特定技能で受け入れる手続きを参考にしてください。

契約で防ぐ方法:送出し機関・紹介会社・登録支援機関に求める条項

確かめる手順に加えて、契約で決めておくと、後から問題が見つかったときに動きやすくなります。相手ごとに入れておきたい条項を整理しました。文言は弁護士などの専門家と確認してください。

契約に入れておきたい条項の例(編集部の整理)
契約の相手入れておきたい条項関係するルール
送出し機関本人から保証金・違約金を取らない。本人負担の費用の項目・金額・根拠を事前に開示する。会社や担当者へ便益を提供しない。違反があれば解除できる上陸基準省令、基準省令2条1項6号、MOC
人材紹介会社求職者から手数料を取らない。保証金を取る・渡航費用を貸し付けるなどの取次機関を使わない。提携する送出し機関の名称を開示する職業安定法、国外にわたる職業紹介の許可条件
登録支援機関支援の費用を本人に請求しない。相談で費用や借金の問題を把握したら会社に報告する。支援業務の内容と費用の額・内訳を明記する基準省令2条1項8号、支援委託契約の記載事項
本人との雇用契約違約金・損害賠償額の予定・積立・相殺の条項を入れない。給与は本人名義の口座に振り込む労働基準法16〜18条・24条、基準省令

「表明保証」の条項を入れる

表明保証とは、ある事実が正しいことを相手に約束してもらう条項です。送出し機関に「本人から保証金・違約金を受け取っていない」「本人負担の費用は開示した明細のとおり」と表明してもらいます。事実と違えば、解除や損害の負担を求められるようにしておきます。

比べるときは「本人負担」の答え方を見る

候補の紹介会社・送出し機関には、同じ質問を同じ形で投げます。本人負担の費用を項目ごとに書面で出せるか、出せないか。その差が、そのまま透明性の差です。特定技能のりあい窓口は、条件に合う人材紹介会社・登録支援機関を最大3社まで無料で紹介する相談窓口です。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。業者側の注意サインは悪質な特定技能業者の見分け方で確認できます。

二重契約・中間搾取が見つかったときの対応

見つかったときに最初にすべきことは、本人を責めることではありません。本人の生活と安全を守りながら、事実を記録し、関係機関に相談します。順番は次のとおりです。

図6問題が見つかったときの対応の流れ

  1. 本人から話を聞き、記録する母語で、いつ・誰に・いくら・どんな約束かを聞きます。自社で支援している場合は相談記録書に残し、書類は本人の同意を得て写しを取ります。
  2. 給与の払い方を確かめる全額を本人名義の口座に払っているかを見ます。会社が返済を代行していれば止めます。
  3. 関係機関に相談する在留や受入れの基準は地方出入国在留管理局、中間搾取・違約金・賃金は労働基準監督署が窓口です。
  4. 送出し機関・紹介会社に書面で確認する契約の条項に基づいて事実の確認と是正を求め、改善がなければ契約を見直します。
  5. 本人の雇用を続ける本人に非がないのに、解雇や帰国を迫ることはしません。
相談への対応は、1号の義務的支援の1つです。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(令和7年4月1日一部改正)

本人に案内できる母語の相談窓口

厚生労働省の「外国人労働者向け相談ダイヤル」は、英語・中国語・ベトナム語・ミャンマー語・ネパール語・インドネシア語など13言語で、労働条件の相談を電話で受けています。受付は午前10時〜午後3時(正午〜午後1時を除く)で、言語ごとに曜日が違います(2026年10月現在)。会社に言いにくい相談の出口として、入社時に番号を渡しておきます。

支援を委託している登録支援機関が相談に動いてくれない場合は、委託先の見直しも選択肢です(登録支援機関の変更手順)。在留資格の範囲を超えた働かせ方の問題は不法就労助長罪とはで扱っています。

想定ケース:電子部品工場(従業員24人)の事務長が、送出し機関を選び直した理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

電子部品工場(従業員24人)の事務長(30代女性)を想定したインタビューです。海外から初めて特定技能の2人を受け入れる準備の中で、本人が払った費用と借金を確かめた場面を描いています。

  • 送出し機関の候補2社に費用の明細を求め、本人負担の「研修費」の内訳を示せなかった1社を候補から外した
  • 内定者2人から通訳を入れて費用と借金を聞き取り、1人が約40万円の借金を1年で返す予定だと入社前に把握した
  • 「返済分を給与から引いて送ってほしい」という依頼を断り、給与は全額を本人名義の口座に振り込む形にそろえた

――受け入れの準備で、何が変わりましたか。

送出し機関を途中で1社替えました。最初の候補は本人負担の「研修費」が高く、内訳を聞いても「一式です」としか返ってこなかったんです。もう1社は項目ごとに金額と根拠を出してくれたので、そちらに決めました。2人とも予定どおり春に入社しています。

――特定技能を考えたきっかけは何ですか。

検査工程の人が2年で3人辞め、求人を出しても応募がありませんでした。社長と相談して、電気電子機器組立ての区分で海外から2人を受け入れることにしました。総務と経理を私1人で見ているので、手続きは全部こちらに来ます。

――費用や借金を確かめようと思ったのは、なぜですか。

技能実習生の半分以上が借金をして来日している、という入管の調査を読んだからです。返済のために残業を増やしてほしいと言われても、うちの規模では応えきれません。最初から知っておきたいと思いました。紹介会社の担当の方も、本人が払う費用の明細を自分から出して「ここからここまでは本人負担です」と線を引いて見せてくれた。その姿勢で、この会社となら進められると感じました。

――本人への聞き取りは、どう進めましたか。

オンライン面接の後、送出し機関の方に外れてもらい、通訳さんと3人で30分話しました。「採否には使わない、あなたを守るための質問です」と最初に伝えたら、1人は借金の額と返し方まで話してくれました。正直、聞きにくかったです。でも聞いておいてよかった。

――入社後に困ったことはありますか。

2か月目に「返済分を給料から引いて母国に送ってほしい」と頼まれました。気持ちは分かりますが、給与は全額を本人の口座に払うのが原則なので、お断りしました。代わりに登録支援機関の方が母語で、送金の方法と手数料の比べ方を説明してくれました。定期面談では毎回、返済の状況を聞いています。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

外国人本人が借金を抱えていたら会社はどうする?

借金があることだけを理由に、採用を取り消したり解雇したりする必要はありません。まず借金の相手と条件を本人から母語で聞き、保証金や違約金、給与からの返済の約束が含まれていないかを確かめます。給与は全額を本人名義の口座に払い、会社は返済の窓口を引き受けません。不当な契約が疑われるときは地方出入国在留管理局や労働基準監督署に相談し、本人には母語の相談窓口を案内します。

特定技能の「二重契約」とは何ですか。

法律の用語ではなく、入管に出した雇用契約とは別に不利な約束や条件がある状態を指して使われる言葉です。この記事では、本人が送出し機関などと保証金・違約金・返済の約束をさせられている状態と、届け出た条件と実際の条件が違う状態の2つを指しています。前者は知りながら雇うことが基準で禁じられ、後者は届出義務や労働基準法の問題になります。

本人が母国で払った費用を、会社が払い戻す必要はありますか。

特定技能で、本人が送出し機関に払った費用の払い戻しを会社に義務づける規定は、今回確認した範囲では見当たりません。ただし、本人が額と内訳を理解して合意していることが在留の基準で、保証金や違約金に当たる支払いは認められません。2027年4月に始まる育成就労では、月給の2か月分を超える送出しの費用は受入れ側の負担になります。

送出し機関の手数料に上限はありますか。

特定技能の協力覚書(MOC)で、手数料の上限を定めていると確認できた国はありません(2026年10月時点で確認した範囲)。送出し国の法令でルールを定めている場合があるため、駐日大使館などで確かめます。育成就労では、本人から取れる費用の上限が月給の2か月分とされています。

会社が本人にお金を貸して、給与から返してもらってもいいですか。

労働することを条件にした貸付けと賃金を相殺することは、労働基準法17条で禁じられています。給与から差し引くには、法令の定めか労使協定が必要です(24条)。急な出費で貸す場合も、働くこととひも付けず、返し方を本人と書面で決め、労働基準監督署などに確認してから進めます。

中間搾取に当たると、どんな罰がありますか。

労働基準法6条に違反すると、1年以下の拘禁刑か50万円以下の罰金です(118条1項)。6条は「何人も」と定めているため、会社だけでなく仲介者や個人も対象になります。

早く辞めた人に、紹介料や渡航費を返してもらう約束はできますか。

できません。辞めたことを理由にお金を払わせる約束は、労働基準法16条が禁じる違約金・損害賠償額の予定に当たります。特定技能では、違約金を定める契約がないことが在留と受入れの基準にもなっています。早期退職への備えは、紹介会社との返金規定で考えます。

送出し機関から接待や手土産を受けても問題ありませんか。

受けないようにします。ベトナムとの協力覚書(英文)には、送出機関から航空券・ホテル代・接待などの便益を受ける受入機関には、ベトナム側が送出しを認めない旨の規定があります。便益の分が本人の費用に上乗せされれば、本人の負担が増えるおそれもあります。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. e-Gov法令検索「労働基準法」(第6条・第16条〜第18条・第24条・第118条)(2026年10月確認)
  2. e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」(特定技能1号)(2026年10月確認)
  3. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(第2条第1項第6号〜第8号)(2026年10月確認)
  4. e-Gov法令検索「職業安定法」(2026年10月確認)
  5. 出入国在留管理庁「技能実習生の支払い費用に関する実態調査の結果について」(調査期間2021年12月〜2022年4月)
  6. 出入国在留管理庁「特定技能に関する二国間の協力覚書」(2026年10月確認)
  7. 出入国在留管理庁掲載「日・ベトナム協力覚書(英文)」(2019年5月署名)
  8. 出入国在留管理庁「育成就労制度に関するQ&A」(2026年10月確認)
  9. 厚生労働省「職業紹介事業の許可基準等の改正について」(2019年4月1日適用)
  10. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(令和7年4月1日一部改正)
  11. 厚生労働省「外国人を雇用する事業主の皆さまへ 外国人労働者の雇用保険手続きをお忘れなく!」(2026年10月確認)
  12. 厚生労働省「外国人労働者向け相談ダイヤル」(2026年10月現在)

最終更新:(2026年10月版)

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