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https://tokutei-noriai.blog/kaiko-yatoidome/ 印刷日:2026年10月16日

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特定技能外国人の試用期間・解雇・雇止め|注意点と手続き

解雇のルールは日本人と同じ。違うのは、その後1年の受け入れと、本人の次の職場を支える手続き

特定技能の外国人を解雇したい、試用期間で本採用を見送りたい、契約を更新しないことにした。こうした場面で、日本人の社員と同じ手続きでよいのか迷う会社は少なくありません。解雇や雇止めの法的なルールは国籍を問わず同じです。ただし特定技能には上乗せがあり、会社都合で離職させると、その後1年間は同じ種類の業務で新たな受け入れができなくなるおそれがあります。受入れ困難の届出や転職支援も必要です。この記事では、特定技能の解雇・雇止め・試用期間について、法的なルール、受入れ基準への影響、非自発的離職のときの転職支援と届出の流れを、2026年10月時点の公的資料にもとづいて整理します。

この記事の結論
  • 解雇のルールは日本人と同じ:客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない解雇は無効です。少なくとも30日前の予告か、30日分以上の平均賃金の支払いが必要です。
  • 会社都合の離職は受入れ基準に響く:特定技能の契約を結ぶ前1年以内とその後に、同じ種類の業務の労働者を非自発的に離職させていないことが基準です。日本人社員の解雇も数に入ります。
  • 試用期間・雇止めにも制限がある:試用期間でも14日を超えれば解雇予告が必要で、本採用の拒否にも合理的な理由が要ります。3回以上更新か1年超の継続勤務なら、雇止めは30日前までに予告します。
  • 会社側の都合なら転職支援と届出:受入れ困難の届出、次の受入れ先探しの支援、求職活動のための有給休暇、14日以内の契約終了の届出、ハローワークへの届出を行います。

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この記事の目次

結論:特定技能の解雇は「労働法のルール+特定技能の上乗せ」で考える

特定技能の外国人を解雇・雇止めするときの法的なルールは、日本人とまったく同じです。そのうえで特定技能では、離職のさせ方が自社の受入れ基準に響き、本人の次の職場探しを支える手続きが加わります。

順番を間違えないことが肝心です。まず解雇できる理由と手続きがそろっているかを確かめ、次に受け入れへの影響を見て、最後に届出と転職支援を進めます。

図1解雇・雇止めを考えたときの確認の流れ

  1. 法的に可能か解雇なら客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性、有期契約の途中ならやむを得ない事由、雇止めなら更新への期待との関係を確かめます。
  2. 受入れ基準への影響自己都合や重大な理由による解雇などを除き、同じ種類の業務の労働者を離職させると、その後1年間の受け入れに影響します。
  3. 本人への説明と予告理由と時期を本人が分かる言葉で伝え、30日前の予告か予告手当、求められれば証明書を出します。
  4. 届出と転職支援受入れ困難の届出、会社側の都合なら転職支援、契約終了の届出(14日以内)、ハローワークへの届出を行います。
1と3は日本人と共通、2と4が特定技能の上乗せです。出典:厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」(2026年10月確認)、e-Gov法令検索「基準省令」第2条(2026年10月14日確認)、出入国在留管理庁「随時届出Q&A」(2025年6月)

「解雇しやすい在留資格」ではない

在留資格があるから雇用が不安定でよい、という考え方は通りません。外国人雇用管理指針も、安易な解雇や雇止めをしないよう求めています。事業の縮小などで離職させるときは、在留資格に応じた再就職を、ハローワークと連携して援助することも求めています。

特定技能の解雇に適用される法的ルール

労働契約法16条により、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は無効です。解雇が正当かどうかは、最終的に裁判所が個別の事情を考えて判断します。

図2解雇に関わる法的ルールの早見表

国籍を問わず適用されるルール(2026年10月時点)
ルール内容根拠
解雇の有効性客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要労働契約法16条
有期契約の途中の解雇やむを得ない事由がなければできない労働契約法17条
解雇の予告少なくとも30日前。予告しないなら30日分以上の平均賃金労働基準法20条
解雇できない期間業務上のけが・病気の休業中とその後30日間、産前産後の休業中とその後30日間労働基準法19条
理由の証明書予告の日から退職の日までに求められたら、遅滞なく交付労働基準法22条
賃金・金品の返還退職時に請求があれば7日以内に賃金を払い、本人の金品を返す労働基準法23条
国籍による差別国籍を理由とする解雇は禁止労働基準法3条
特定技能の人にも、日本人と同じ表がそのまま当てはまります。出典:厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」(2026年10月確認)、e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月14日確認)、厚生労働省「解雇・雇止めの場合のルール」(2026年10月確認)

予告手当は「足りない日数×平均賃金」

予告が30日に足りない場合は、不足する日数分の平均賃金を払います。20日前に予告すれば10日分、予告なしなら30日分です。予告なしで即時に解雇するなら、手当は解雇と同時に払います。天災事変などで事業が続けられない場合や、本人の責めに帰すべき理由による場合は、予告なしの解雇が認められることがあります。ただし、事前に労働基準監督署長の認定(解雇予告除外認定)を受けなければなりません。東京労働局の解説は、認定基準の例として、窃盗・横領などの刑法犯や、2週間以上の正当な理由のない無断欠勤を挙げています。「仕事が遅い」「指示に従わないことがある」程度では、この認定の対象になりません。

経営上の理由なら「整理解雇の4要素」

人員削減の必要性、解雇を避ける努力(配置転換や希望退職の募集など)、人選の合理性、労働組合や労働者への説明と協議の4つが判断の目安です。特定技能の人だけを先に対象にするような人選は、合理性を説明できません。

特定技能だけの影響:会社都合の離職と受入れ基準

基準省令が定める受入れ企業の基準の1つが「離職させていないこと」です。特定技能の契約を結ぶ日の前1年以内とその日以後に、契約の業務と同じ種類の業務をしていた労働者を、自己都合などの例外を除いて離職させていないことを求めています。これに当たると、新たな特定技能の受け入れができなくなるおそれがあります。

図3離職の理由ごとの受入れ基準への影響

  • 数えない:自発的な離職・定年本人の意思による退職、定年やそれに準じる理由の退職は、基準の対象から除かれます。
  • 数えない:重大な理由による解雇本人の責めに帰すべき重大な理由で解雇した人は除かれます。能力不足がこれに当たるとは限りません。
  • 条件つき:雇止め本人が更新を申し込み、会社が本人の重大な理由その他正当な理由で断って終了した場合に限り除かれます。
  • 数える:会社都合の解雇・退職勧奨経営上の理由の解雇などは対象です。退職勧奨に応じた退職は、自己都合の退職にはなりません。
対象は特定技能の人に限らず、同じ種類の業務をしていた日本人社員も含みます。出典:e-Gov法令検索「基準省令」第2条第1項第2号(2026年10月14日確認)、厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」(2026年10月確認)

日本人社員のリストラも数に入る

この基準は「同種の業務に従事していた労働者」が対象で、国籍を問いません。工場の1ラインを閉じるために日本人のパートを会社都合で離職させた場合も、同じ種類の業務で特定技能の人を受け入れる計画に影響します。人員整理と採用を同じ年に考えている会社は、時期と業務の範囲を先に整理します。

行方不明者と、基準に合わなくなったときの届出

同じ期間に、会社の責めに帰すべき事由で外国人の行方不明者を出していないことも基準です。2025年4月からは「基準不適合に係る届出」があり、非自発的離職者の発生などが届出の事由になっています。離職させた後に黙っていてよい仕組みではありません。

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特定技能の試用期間:設けられるが、本採用の拒否は慎重に

特定技能の人にも、日本人と同じ規程で試用期間を設けることはできます。ただし、試用期間なら自由にやめてもらえるわけではありません。

労働基準法21条は、試の使用期間中の人には解雇予告の規定を適用しないとしつつ、14日を超えて引き続き使用された場合は予告が必要としています。中央労働委員会のあっせん事例は、試用期間中の解約権の行使は、通常の解雇より広く認められると整理しています。ただし、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当でなければならないという条件付きです(三菱樹脂事件・最高裁昭和48年12月12日判決)。

試用期間の設計で決めておくこと

  • 試用期間の長さと賃金の扱いが、日本人社員の規程と同じになっているか
  • 本採用の判断に使う項目(安全の手順、作業の正確さ、出勤など)を、本人の分かる言葉で入社時に渡しているか
  • 指導した日、内容、通訳の有無を記録する様式があるか
  • 日本語の理解が原因のつまずきを、能力不足と取り違えていないか

本採用の見送りも、非自発的な離職になり得る

本採用の拒否は会社からの契約の解消なので、受入れ基準の面でも会社都合の離職として扱われ得ます。外国人雇用管理指針は、日本語能力に配慮した教育訓練を求めています。言葉の壁で手順が伝わっていなかったのなら、まず伝え方を変えるのが先です。

特定技能の雇止め:契約を更新しないときのルール

特定技能では有期契約も結べます。雇用期間について入管法上の特段の定めはありません(出入国在留管理庁Q&A)。ただし、期間が満了したら自由に終えられるわけではなく、更新の扱いには労働法のルールがかかります。

図4有期契約を更新しない場合の時系列(例)

  1. 更新の有無・基準・上限を明示

    2024年4月から、通算契約期間や更新回数の上限の有無と内容を明示します。後から上限を新設・短縮するなら、理由を事前に説明します。

  2. 雇止めの予告

    3回以上更新しているか、1年を超えて続けて勤務している人には、少なくとも30日前までに予告します。求められれば理由の証明書を出します。

  3. 受入れ困難の届出・転職支援

    会社側の事情で終える場合は、終了が見込まれた時点で届け出て、次の受入れ先探しを支援します。

  4. 雇用契約の終了の届出

    地方出入国在留管理局に14日以内に届くよう出します。

  5. ハローワークへの届出

    雇用保険の資格喪失届が、外国人雇用状況の届出を兼ねます。

更新の基準を契約時に示していないと、本人の「更新されるはず」という期待が強くなり、雇止めが認められにくくなります。出典:厚生労働省「労働条件明示事項の追加」(2024年9月)、厚生労働省「解雇・雇止めの場合のルール」(2026年10月確認)、出入国在留管理庁「随時届出Q&A」(2025年6月)、厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(2026年10月確認)

雇止め法理:更新への期待が合理的なら、理由が要る

反復して更新され、実質的に無期と同じといえる場合があります。更新を期待することに合理的な理由がある場合も同じです。こうした場合、雇止めに客観的・合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められなければ、雇止めは認められません(労働契約法19条)。そのときは、従前と同じ条件で更新されたものとみなされます。

受入れ基準の例外は狭い

基準省令で雇止めが基準の対象から外れるのは、本人が更新を申し込み、会社が本人の責めに帰すべき重大な理由その他正当な理由で断った場合に限られます。「業務量が減ったから更新しない」は、この例外に当たらない可能性が高いと考えておきます。契約の書き方は特定技能雇用契約書・雇用条件書の作り方で確認できます。

外国人を解雇するときの注意点:言葉・在留・お金

手続きが日本人と同じでも、本人が置かれた状況は違います。仕事を失うと在留にも響き、住まいが社宅なら住む場所も失いかねません。説明の言葉、在留の見通し、お金の精算の3点を、通知の前に準備します。

言葉:通知は通訳を入れ、書面を残す

解雇や雇止めの通知は、通訳を入れて個室で行い、理由・最終出勤日・最後の給与の支払日を書いた書面を、日本語と本人の分かる言語で渡します。本人が理由の証明書を求めたら遅滞なく交付しますが、本人が求めていない事項を書き込んではいけません(労働基準法22条3項)。退職を勧める場合も、本人の自由な意思決定を妨げるような進め方は、違法な権利侵害に当たる場合があります。

在留:すぐに帰国する必要はない

出入国在留管理庁のQ&Aは、失業してもすぐに帰国する必要はなく、就職活動なら在留期間内は在留できるとしています。雇用保険の給付を日本人と同様に受けられる場合もあります。一方で、正当な理由なく3か月以上、特定技能の活動をしていないと、在留資格が取り消されることがあります。この見通しを本人に伝えます。在留期間の更新の流れは特定技能の在留期間更新で確認できます。

お金:最後の給与、帰国旅費、税と保険

退職時に請求があれば、7日以内に賃金を払い、本人に属する金品を返します。契約終了後の帰国旅費を本人が負担できないときは、受入れ企業が負担し、円滑に出国できるよう措置をとることが雇用契約の基準です。住民税の一括徴収など税の扱いは特定技能外国人の税金、保険の喪失手続きは特定技能の社会保険・労働保険の手続き、最後の給与の支払い方は外国人社員の賃金の支払い方法で扱っています。

  • 解雇の理由を、具体的な事実と日付で説明できるか(通訳を用意したか)
  • 30日前の予告か予告手当の準備ができているか
  • 業務上のけがの休業中や産前産後の休業中など、解雇できない期間に当たらないか
  • 同じ種類の業務で、今後1年以内に特定技能の受け入れ予定がないか
  • 社宅を出る日と、次の住まいの相談先を決めたか

非自発的離職のときの転職支援と届出の手順

会社側の都合で1号の人との契約を終えるときは、転職支援が義務的支援の1つになります。登録支援機関に支援を全部委託していれば、委託先が実施しますが、届出の責任は受入れ企業に残ります。

図5会社側の都合で契約を終えるときの手順

  1. 受入れ困難の届出を出す

    解雇などで契約の終了が見込まれた時点で、受入れ困難の届出(参考様式第3-4号)を出します。原則は契約の終了前です。

  2. 次の受入れ先探しを支援する

    業界の求人情報の提供、ハローワークや職業紹介事業者への案内・同行、推薦状の作成などのいずれかを行います。

  3. 求職活動のための有給休暇を与える

    面接や手続きに行く日を、有給の休暇として確保します。

  4. 離職時の行政手続きを案内する

    住居地、社会保険、税などの手続きの情報を、本人が分かる言葉で渡します。

  5. 契約終了の届出を14日以内に

    雇用契約の終了の届出(第3-1-2号)を、終了の日から14日以内に地方出入国在留管理局に届くよう出します。

  6. ハローワークに届け出る

    雇用保険の資格喪失届を離職日の翌日から10日以内に出します。被保険者でない人は翌月末日までに外国人雇用状況届出書を出します。

様式一覧には「転職支援実施報告書」(参考様式第5-12号)もあります。行方不明の場合は速やかに受入れ困難の届出を出し、状況説明書(第5-15号)を付けます。出典:出入国在留管理庁「随時届出Q&A」(2025年6月)、出入国在留管理庁「受入れ困難に係る届出」(2026年10月確認)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)、厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(2026年10月確認)

転職は県をまたぐことが多い

出入国在留管理庁の集計(暫定値)では、延べ転職者90,029人のうち59,387人(66.0%)が、都道府県をまたいで住居地を移しています。次の職場が遠方になる前提で、社宅の退去日に余裕を持たせ、転居の手続きも案内します。転職の手続きの全体は特定技能外国人の転職ルールにまとめています。

支援を委託している場合の届出の整理

登録支援機関との支援委託契約も同時に終わる場合は、雇用契約の終了の届出(第3-1-2号)にその旨を書きます。そうすれば、支援委託契約の届出を別に出す必要はありません。ほかの外国人のために委託契約が続く場合は、支援委託契約の届出は不要です。2026年8月の運用要領の改正で、外国人の退職で委託契約が終わるときの支援計画変更の届出も不要になりました。

本人が自分から辞める場合は手続きが軽い

自己都合の退職なら、受入れ困難の届出は不要で、雇用契約の終了の届出を14日以内に出せば足ります。ただし、退職を促して書かせた退職届は、自己都合として扱えません。

能力不足で悩んだら:解雇の前にやること

東京労働局の解説は、普通解雇は労働契約の継続が困難な事情があるときに限られるとしています。例に挙げているのは「勤務成績が著しく悪く、指導を行っても改善の見込みがないとき」です。指導をした事実と、改善しなかった事実の両方が要る、ということです。

指導から判断までの進め方

  • 期待する水準を「1日に何台」「手順の何番を省かない」など数字と手順で示す
  • 本人の言葉で説明し、理解したかを本人の言い直しで確かめる
  • 期間(例:3か月)と回数(例:週1回の振り返り)を決めて指導する
  • 指導の日、内容、本人の反応を記録し、本人にも写しを渡す
  • 同じ業務区分の中で、向いている工程に配置を換えられないか検討する
  • 定期面談で、生活や健康の事情が影響していないか聞く

部署を変えるときは、雇用条件書に書いた部署の変更として届出が必要になる場合があります。毎月・毎年の届出の全体像は特定技能の労務管理チェックリストで確認できます。判断に迷うときは、社会保険労務士や弁護士など労務の専門家に、記録を持って相談します。雇用形態の決め方から見直したい場合は特定技能の雇用形態も参考になります。

想定ケース:養殖業の会社(従業員260人)の総務部長が、本採用の見送りを止めた理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

5か所の養殖場を持つ会社(従業員260人)の総務部長(60代女性)に、特定技能の人の本採用の判断をめぐる経緯を聞きました。

  • 試用期間で本採用を見送る寸前だった1人が、配置換えから1年たった今も勤務している
  • 指導記録の様式を作り、5か所の養殖場でそろえた
  • 翌年の春、予定どおり3人を新たに特定技能で受け入れた

――結果として、何が変わりましたか。

本採用を見送るかどうかで揉めた1人が、いまも働いています。網の補修の担当に移ってからは、ミスの報告がほとんどありません。もう1つは、翌年の春に3人を予定どおり迎えられたことです。あのとき見送っていたら、難しかったかもしれません。

――どんな状況だったのですか。

入社2か月目の人について、養殖場の責任者から「給餌の量を何度も間違える。試用期間のうちに本採用を見送りたい」と相談が来ました。現場の苦労はよく分かりました。ただ、試用期間でも14日を超えれば解雇の予告が要りますし、本採用の拒否にも合理的な理由が要る。記録を出してと頼むと、口頭の注意しかありませんでした。

――決め手になったのは何でしたか。

受入れ基準です。会社都合で離職させると、そこから1年は同じ種類の業務で新しい契約を結べなくなるおそれがある。翌春の3人の計画は、まさに同じ養殖の業務でした。正直、最初は「そこまで気にするのか」と思いました。でも、登録支援機関の担当者が条文を一緒に読んでくれて、腹が決まりました。

――そこから、どう進めたのですか。

通訳を入れて本人と話すと、給餌表の数字の単位を取り違えていたと分かりました。表を絵と数字だけにして、3か月、週1回の振り返りをしました。それでも細かい計量は苦手そうだったので、同じ養殖業の範囲の網の補修に移ってもらいました。部署が変わるので、届出が要るかも確かめました。

――この経験を、どう生かしていますか。

指導記録の様式を作り、5か所の責任者に配りました。日付、内容、通訳の有無、本人の反応の4つだけです。書くのは面倒ですが、本人にとっても会社にとっても、守りになると説明しています。

――現場の責任者の反応はどうでしたか。

最初は「総務は現場を分かっていない」と言われました。そこで、本採用を見送った場合に何が起きるかを、手続きと受け入れの計画の両方で1枚にして見せました。予告の日数、届出、転職支援、翌春の計画への影響です。それを見て、責任者のほうから「まず記録を付ける」と言ってくれました。

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よくある質問

特定技能外国人を能力不足で解雇できる?

理由と手続きがそろえば可能ですが、ハードルは高いと考えてください。解雇には客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要で、指導しても改善の見込みがないことを示す記録が求められます。能力不足の解雇は「本人の重大な理由による解雇」に当たるとは限らず、その後1年間の受け入れに影響するおそれもあります。

特定技能の試用期間中なら、すぐに解雇できますか?

すぐにはできません。試用期間中でも14日を超えて働いている人には、30日前の予告か予告手当が必要です。本採用の拒否も、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当でなければ認められません。

有期契約の特定技能の人は、期間が終われば更新しなくてよいですか?

常に自由に終えられるわけではありません。反復更新で無期と同じ状態になっている場合や、更新への期待に合理的な理由がある場合は、雇止めにも合理的な理由が必要です。3回以上更新か1年超の継続勤務なら、30日前までの予告も要ります。

本人が自分から辞める場合も、入管への届出は必要ですか?

必要です。自己都合の退職なら受入れ困難の届出は不要ですが、雇用契約の終了の届出を、終了の日から14日以内に出します。ハローワークへの届出も忘れずに行います。

解雇された特定技能の人は、すぐに帰国しなければなりませんか?

すぐに帰国する必要はありません。就職活動をしていれば、在留期間内は在留できます。ただし正当な理由なく3か月以上、特定技能の活動をしていないと、在留資格が取り消されることがあります。

日本人社員を整理解雇すると、特定技能の受け入れに影響しますか?

影響することがあります。基準省令は、特定技能の契約の前1年以内とその後に、同じ種類の業務をしていた労働者を離職させていないことを求めており、国籍を問いません。人員整理と特定技能の採用が重なる場合は、業務の範囲と時期を先に確かめてください。

退職勧奨で合意して辞めてもらえば、会社都合になりませんか?

厚生労働省は、退職勧奨に応じて退職した場合は自己都合退職にはならないと説明しています。本人の自由な意思決定を妨げるような退職勧奨は、違法な権利侵害に当たる場合もあります。

特定技能の人が行方不明になったら、どうすればよいですか?

速やかに受入れ困難の届出を出し、行方不明が判明した際の状況説明書(参考様式第5-15号)を付けます。会社の責めに帰すべき事由で行方不明者を出すと、その後の受入れ基準を満たさなくなります。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」(2026年10月確認)
  2. e-Gov法令検索「労働基準法」(第3条・第19条〜第23条)(2026年10月14日確認)
  3. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(第2条第1項第2号・第3号)(2026年10月14日確認)
  4. 厚生労働省「解雇・雇止めの場合のルール」(2026年10月確認)
  5. 中央労働委員会「個別労働紛争のあっせん事例[10]試用期間終了後の本採用拒否」(2026年10月確認)
  6. 東京労働局「労働基準法 解雇編」(2009年3月)
  7. 厚生労働省「労働契約の締結・更新のタイミングの労働条件明示事項が追加されます」(2024年9月)
  8. 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月確認)
  9. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(2025年6月)
  10. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出」(2026年10月確認)
  11. 出入国在留管理庁「【改正のポイント】(令和7年4月1日施行)」(2025年3月)
  12. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
  13. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年(暫定値))
  14. 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(2026年10月確認)
  15. 厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(2026年5月29日改正を反映)
  16. 出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領 新旧対照表」(2026年8月20日)

最終更新:(2026年10月版)

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