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支援委託契約書のチェックポイント|解約・費用・責任範囲の確認
法令が決めるのは「支援の内容」と「費用の内訳」まで。残りは契約書の書き方で、あとの揉めごとが決まる
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
登録支援機関に支援を任せるとき、必ず交わすのが支援委託契約書です。ところが法令が契約に求める中身は、受託する支援業務の内容と、費用の額・内訳くらいしかありません。解約の予告期間、追加料金、報告の期限、委託先が支援を怠ったときの扱いは、すべて契約書の書き方しだいです。この記事では、支援委託契約書で確認すべき条項を10項目に分け、望ましい書き方と注意が必要な書き方を並べました。費用の明示、解約の条件、責任範囲の決め方まで、2026年10月時点の制度にもとづいて解説します。
- 法令が求めるのは最低限:支援委託契約には少なくとも、受託する支援業務の内容と、費用の額・内訳を盛り込みます。委託料に法令上の上限はありませんが、契約時に額と内訳を明示する必要があります。
- 10項目で読む:当事者と登録、委託の範囲、支援の方法と水準、相談・面談・報告、委託料、追加料金と改定、再委託と体制、届出・記録への協力、責任の範囲、期間と解約の10項目です。
- 解約は「空白を作らない」書き方に:予告期間、即時解除の事由、精算、記録の引き渡しを決めておきます。委託契約が終わったら、受入れ企業は14日以内に届け出ます。
- 委託しても責任は残る:支援計画にもとづく支援を行う義務は受入れ機関にあり、委託はその実施を任せる仕組みです。報告を受け取り、確かめる条項を入れます。
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この記事の目次
支援委託契約書は10の条項で読む:結論と全体像
支援委託契約書で見るべき条項は、10項目にまとめられます。①当事者と登録、②委託する支援の範囲、③支援の方法と水準、④相談・面談・報告、⑤委託料の額と内訳、⑥追加料金と料金改定、⑦再委託と担当体制、⑧届出・記録への協力、⑨責任の範囲、⑩契約期間と解約です。
法令が支援委託契約に求める中身は、多くありません。だからこそ、残りの条項をどう書くかで、1年後に揉めるかどうかが決まります。署名の前に1時間かけて読むほうが、後から契約を巻き直すより、ずっと手間が少なくて済みます。
図1支援委託契約書の10項目を3つのまとまりで読む
- 何を頼むか(①〜④)当事者と登録番号、委託の範囲(全部か一部か)、支援の方法・時間・言語、相談の受付と面談・報告の期限。
- いくら払うか(⑤⑥)1名当たりの月額、初期の支援の費用、実費の範囲、追加料金の単価、料金改定の手続き。
- どう続け、どう終えるか(⑦〜⑩)再委託と担当の体制、届出と記録への協力、支援が行われなかったときの責任、期間・更新・解約・精算。
出入国在留管理庁の参考様式と並べて読む
出入国在留管理庁は、参考様式として「支援委託契約書」(第5-10号)を記載例つきで公開しています。手元の契約書をこのひな形と並べ、ひな形にない条文と、ひな形から削られた条文に印を付けます。それだけで、確認すべき箇所がかなり絞れます。
よくある3つの思い込み
- 委託料には国の上限や決まった相場がある入管法令上、受入れ機関から受け取る料金に上限はありません。その代わり、委託契約を結ぶときに料金の額と内訳を明示する必要があります(出入国在留管理庁Q&A Q72)。
- 全部委託すれば、会社は支援のことを考えなくてよい支援計画にもとづく支援を行う義務は受入れ機関にあります(入管法19条の22)。全部を委託しても、支援計画を作るのは受入れ機関です。
- 契約書は、登録支援機関のひな形にそのまま署名するもの条項は当事者の合意で決まります。運用要領も、複数の登録支援機関から見積もりを取るなど、契約後のトラブルを避ける確認を求めています。
法令で決まっていること:支援委託契約書に必ず入れる内容と、申請で出す書類
支援委託契約について、法令やQ&Aが決めていることは次の5つです。これが契約書の「土台」で、ここが欠けている契約書は、内容を読む前に差し戻して構いません。
- 受託する支援業務の内容と、支援業務に要する費用の額・内訳を盛り込む(Q&A Q70)
- 料金に上限はないが、契約を結ぶときに額と内訳を明示する(Q72、運用要領)
- 登録支援機関は、受託した支援業務の全部を他に再委託できない。通訳人を履行補助者として使うことはできる(Q84)
- 義務的支援の費用は受入れ機関が負担し、外国人本人に直接・間接に負担させない(Q76、Q80、基準省令2条1項8号)
- 一部だけを委託する場合は、支援計画にその委託の範囲を明示する(運用要領、基準省令4条4号)
支援委託契約の費用の明示:どこまで書いてもらうか
「内訳」は、月額の中に何が入っているかが分かる粒度で書いてもらいます。分ける単位は3つです。月額に含む支援(定期面談、相談対応、公的手続への同行など)。初めに1回だけ行う支援(事前ガイダンス、生活オリエンテーション、住居と生活の契約の支援、空港への送迎)。そして実費の扱いです。送迎の交通費の実費は、受入れ機関または登録支援機関が負担するとされています。本人に請求する書き方になっていないかも見ます。
申請で出す「支援委託契約に関する説明書」
在留資格の申請では、参考様式第1-25号「登録支援機関との支援委託契約に関する説明書」を出します。書く欄は、支援の対象者、登録支援機関の名称と登録番号、契約年月日、委託する支援業務が支援計画の全部かどうか、委託料(1名当たりの月額)、契約期間、作成責任者です。契約書からこれらがそのまま書き写せない場合は、条文があいまいだというサインです。
図2支援委託契約から申請・届出までの書類の流れ
- 見積書を受け取る月額・初期の支援・実費・追加料金を分けて出してもらいます。2社以上で同じ条件にそろえます。
- 支援委託契約書を結ぶ参考様式第5-10号と並べて確認します。登録番号と契約期間を明記します。
- 支援計画書(第1-17号)を作る作るのは受入れ機関です。登録支援機関は作成を補助できます。一部委託なら委託の範囲を書きます。
- 説明書(第1-25号)を添えて申請する委託料は1名当たりの月額で書きます。
- 契約の変更・終了・締結は随時届出第3-3-1号(変更)、第3-3-2号(終了・締結)。事由が生じた日から14日以内に、入管に届いている必要があります。
- 毎年の定期届出4月1日〜5月31日に前年度(4月〜3月)分を出します。全部委託なら、登録支援機関は別紙2に署名します。
登録支援機関の契約書で確認する10項目:望ましい書き方と注意が必要な書き方
10項目それぞれについて、望ましい書き方と注意が必要な書き方の例を並べました。「注意」に当たる書き方があっても、すぐに悪い会社だとは限りません。理由を聞き、書き直しを頼む材料にしてください。
| 条項 | 望ましい書き方(例) | 注意が必要な書き方(例) | 確かめる根拠 |
|---|---|---|---|
| ①当事者と登録 | 登録番号と登録の満了日を明記。登録が効力を失うときは通知する | 社名だけで登録番号がない | 登録支援機関登録簿 |
| ②委託の範囲 | 「支援計画の全部」と書き、10項目を列挙する | 「生活支援一式」など範囲があいまい | 第1-25号、支援計画書 |
| ③方法と水準 | 事前ガイダンスは対面かテレビ電話で3時間程度、生活オリエンテーションは8時間以上。使う言語を書く | 事前ガイダンスを書面の郵送やメールだけで行う | 支援の運用要領 |
| ④相談・面談・報告 | 相談の受付日(勤務日に週3日以上・休日に週1日以上)と時間帯。定期面談は3か月に1回以上、報告書の提出期限(例:面談から2週間以内) | 「随時対応」だけで曜日も期限もない | 支援の運用要領、第5-4〜5-6号 |
| ⑤委託料 | 1名当たりの月額、初期の支援の費用、実費の範囲を分け、本人に負担させないと書く | 総額だけ。本人の給与から差し引く前提 | Q&A Q70・Q72・Q76 |
| ⑥追加料金と改定 | 追加になる作業と単価を別表に。改定は書面で合意し、一定期間前に通知 | 「別途協議」「必要に応じて請求」だけ | 支援の運用要領(契約後のトラブル防止) |
| ⑦再委託と体制 | 支援の全部を再委託しない。通訳など補助者の使い方、担当者の変更時の通知 | 「業務の全部または一部を第三者に委託できる」 | Q&A Q84、2027年4月の体制基準 |
| ⑧届出・記録への協力 | 定期届出に使う支援の実施状況を渡す期限、相談記録書・面談報告書の写しの提供 | 「届出は受入れ機関の責任」とだけ書き、協力の定めがない | 入管法19条の18、定期届出の作成要領 |
| ⑨責任の範囲 | 支援が行われなかったときの是正期限、再発防止の報告、委託料の減額や返還 | 「一切の責任を負わない」 | 入管法19条の22・19条の30 |
| ⑩期間と解約 | 期間、更新の方法、予告期間、即時解除の事由(登録の取消し・抹消、支援の不履行)、精算、記録の引き渡し | 長い予告期間、計算方法のない中途解約金、本人の退職後も続く委託料 | 随時届出(14日以内)、入管法19条の32 |
登録支援機関の契約書を確認する順番
おすすめの順番は「⑤→⑩→②→④」です。お金と終わり方を先に読み、次に何を頼むのかを確かめ、最後に報告の期限を見ます。⑤と⑩は、あとから一番もめやすい条項です。②と④は、支援計画書の中身と食い違っていないかも一緒に確かめます。事前ガイダンスでは支援担当者の連絡先も本人に伝えるので、契約書に書かれた担当者と同じ人かを見ておきます。
2027年4月からの体制も条文で確かめる
2027年4月1日からは、登録支援機関は常勤の役員・職員から支援責任者と支援担当者を選びます。担当者1人あたり受入れ機関10未満・1号外国人50人未満の体制も必要です。⑦の条項で、担当者の変更や体制の変化を知らせてもらう定めを入れておくと安心です。
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費用の条項:委託料の内訳と、本人に負担させない書き方
委託料の条項は、「何に対して、いつ、いくら払うか」が1行ずつ読める形が理想です。金額の高い安いより先に、内訳が分かれているかを見てください。内訳がなければ、ほかの会社と比べることも、あとで減額を求めることもできません。
図3登録支援機関・監理団体への1人あたり月額委託費(福岡県)
- 2万円以上3万円未満31.5%
- 1万円以上2万円未満13.0%
- 3万円以上4万円未満13.0%
- 委託していない26.8%
3年分で比べる式
図4支援にかかる3年総額の考え方
3年総額=初期の支援の費用事前ガイダンス・生活オリエンテーション・送迎など+月額の委託料× 在籍した月数+実費・追加料金通訳の同行、追加の面談など
架空の金額で試算します。月額25,000円で36か月なら90万円です。初期の支援の費用が5万円、通訳の同行の追加料金が1回5,000円で年4回なら3年で6万円。合計は101万円になります。別の会社が月額22,000円でも、初期の費用が15万円で追加料金が1回1万円なら、3年総額は106.2万円で逆転します。比べるときは、必ずこの形にそろえます。相場の見方は登録支援機関の月額委託費の相場で詳しく解説しています。
本人に負担させない書き方
義務的支援の費用は受入れ機関が負担します。契約書に「本人負担」「給与から控除」の文字がないかを確かめてください。家賃や食費を本人から受け取ること自体は、支援の費用とは別の話です。その場合は、実費に相当する適正な額であることを、参考様式第1-9号「徴収費用の説明書」で本人に説明します。支援の費用を家賃に上乗せするような書き方は、間接的な負担に当たるおそれがあります。
支援委託契約の解約の条件:乗り換えで空白を作らない書き方
解約の条件は、法令では決まっていません。契約書に書いたことがそのまま効きます。見るべきは、予告期間、すぐに解除できる事由、本人が辞めたときの扱い、精算、記録の引き渡しの5点です。どれも、委託先を変えるときに支援の空白を作らないための条文です。
図5委託先を変えるときの流れ(空白を作らない順番)
- 新しい委託先と条件を決める先に解約を伝えると、支援が止まる期間ができやすくなります。
- 旧契約の終了日と新契約の開始日をそろえる予告期間から逆算します。重なる期間の費用も確認します。
- 支援計画を変更し、本人に説明する新しい相談先・連絡方法を、本人が理解できる言語で伝えます。
- 記録の写しを受け取る相談記録書、定期面談報告書、確認書などを新しい委託先に引き継ぎます。
- 14日以内に届け出る支援委託契約の終了・締結(第3-3-2号)と、支援計画の変更(第3-2号)。期限内に入管に届いている必要があります。
予告期間は「重なって払う期間」になる
予告期間が長いほど、乗り換えのときに旧契約と新契約の費用が重なる期間が延びます。架空の試算では、月額25,000円で予告3か月なら、重なる費用は最大75,000円です。予告6か月なら15万円になります。期間を短くできないなら、解約を伝えた後の支援を誰がどう行うのかを書いてもらいます。
本人が退職したときの扱い
外国人の退職で支援委託契約も終わる場合、雇用契約の終了の届出(第3-1-2号)に支援委託契約の終了を書けば、第3-3-2号を別に出す必要はないとされています。ほかの外国人のために契約が続くなら、支援委託契約の届出は不要です。2026年8月の改正で、退職によって委託契約が終わる場合の支援計画変更の届出も不要になりました。契約書には、委託料が退職月で止まるのか、日割りか月単位かを書いておきます。
委託先の登録が取り消されたら
登録支援機関は、支援計画にもとづく支援を行わないときなどに登録を取り消されることがあります(入管法19条の32)。登録簿には、抹消された機関は載りません。登録の取消しや抹消を「すぐに解除できる事由」に入れ、通知と記録の引き渡しの義務も書いておきます。乗り換えの全体の流れは登録支援機関の変更(乗り換え)手順にまとめています。
責任範囲の条項:委託しても会社に残る責任をどう書くか
入管法は、支援計画にもとづいて支援を行う義務を受入れ機関に課し(19条の22第1項)、その実施を他に委託できるとしています(同第2項)。登録支援機関に全部を委託すると、支援体制の基準には適合するものとみなされます。ただし、委託先の体制では実効性のある支援ができないと認められるときは、受け入れが認められない場合があると運用要領は書いています。
図6委託しても受入れ機関に残ることと、登録支援機関が負うこと
受入れ機関に残ること
- 雇用契約と、日本人と同等以上の報酬
- 支援計画の作成(登録支援機関は補助)
- 随時届出(14日以内)と定期届出(年1回)
- 義務的支援の費用の負担
- 支援が行われているかの確認
届出をしない、または虚偽の届出は、罰金や過料の対象になり得ます。
登録支援機関が負うこと
- 委託された支援計画にもとづく支援の実施
- 支援業務の実施状況などの入管への届出
- 相談記録書・面談報告書などの記録の作成
- 当局からの報告・資料の求めへの対応
支援を行わない、報告に応じないなどの場合は、登録の取消しの対象になります。
契約に入れておきたい「不履行のときの手順」
責任の条項は、損害賠償の金額よりも「起きたときに何をするか」を書くほうが役に立ちます。例として、次の3段階の手順があります。①支援が行われていないと分かったら、書面で知らせる。②相手は一定の期間内に、原因と是正の計画を出す。③期間内に是正されなければ、その月の委託料を減額するか、契約を解除できる。
「一切責任を負わない」は署名前に直してもらう
登録支援機関の側に、支援を行わなかった場合の責任がまったくない書き方は、注意が必要です。委託先が支援を怠っても、受入れ機関は支援の義務を負い続けます。自社で支援を担う選択肢も含めて考えるなら、特定技能の自社支援とはで必要な体制を確かめられます。
契約前の確認手順:見積もりから署名まで7ステップ
契約書の確認は、見積もりの段階から始まっています。次の7ステップで進めると、署名の時点で疑問が残りません。担当者が1人の会社でも、順番どおりに進めれば抜けは防げます。
- 2社以上から同じ条件で見積もりを取る
人数・分野・日本に住む人か海外からかをそろえ、月額・初期の費用・実費・追加料金を分けて出してもらいます。
- 登録簿で登録番号と満了日を確かめる
登録は5年ごとの更新です。2027年7月31日までに満了する機関は、2027年4月1日より前に更新を申請した場合に限り、改正前の基準で更新できます。
- 参考様式(第5-10号)と並べて読む
ひな形にない条文、削られた条文に印を付けます。
- 10項目の表で「望ましい/注意」を判定する
注意に当たる条文は、理由と書き直しの案を一緒に伝えます。
- 疑問は書面で聞き、答えを契約に反映する
口頭の約束は、契約書か覚書に書き込んでもらいます。
- 支援計画書・第1-25号と照らし合わせる
委託の範囲、担当者、月額、契約期間が食い違っていないかを確かめます。
- 署名し、届出の期限を予定表に入れる
在留資格の申請前なら申請書類に、在留中の変更なら随時届出(14日以内)に反映します。
署名を見送ったほうがよいサイン
- 費用の内訳がなく、総額だけが書かれている
- 義務的支援の費用を、本人の給与から差し引く前提になっている
- 「業務の全部を第三者に委託できる」とある
- 「申請書類の作成込み」なのに、作成者が行政書士か分からない
- 解約の予告期間が長く、中途解約金の計算方法が書かれていない
- 登録番号や登録の満了日を書こうとしない
署名の後に読み直す4つの時期
契約書は、署名して終わりではありません。読み直すのは、委託先の登録の更新が近づいたとき、2027年4月の新基準の施行の前、料金改定の申し出があったとき、受け入れる人数が増減したときです。この4回は、10項目の表で確かめます。条文と実際のやり方がずれていたら、覚書で直します。
報酬を得て申請書類を作れるのは行政書士です(2026年1月1日施行の改正行政書士法)。比べ方の全体は登録支援機関の選び方、注意したい業者の特徴は悪質な特定技能業者の見分け方、契約後のもめごとの実例は特定技能の契約トラブル事例で解説しています。
想定ケース:パン工場(従業員15人)の採用担当が、契約書の9か所を直してから署名した理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
- 署名の前に条文を9か所直し、契約から1年間、想定外の追加請求は0件だった
- 3か月ごとの面談の報告書が、毎回面談から2週間以内に届くようになった
- 2026年5月の定期届出を、委託先の資料を受け取ってから3日で提出できた
――契約から1年。何が変わりましたか。
請求書を見て驚くことがなくなりました。毎月の請求書は、月額と実費の2行だけです。追加でお金がかかる作業は、契約書の別表に単価で書いてあります。この1年、想定していない請求は1件もありません。
――外国人の採用を考えた背景を教えてください。
15人の小さなパン工場です。朝4時からの仕込みに入れる人が見つからず、私を含めて60代の3人で回していました。2人を特定技能で受け入れることにして、支援は登録支援機関に全部任せると決めました。
――最初の契約書の案は、どんなものでしたか。
A4で2枚。「生活支援一式 月額◯円」とあるだけで、何をしてもらえるのか書いていない。解約は6か月前に予告、とありました。正直、こういうものかと判を押しかけました。
――どこで気づいたのですか。
入管庁が支援委託契約書のひな形を出していると知って、並べてみたんです。それから10項目で読み直しました。直してほしい点は9か所。面談の報告の期限、相談の受付日と言語、追加料金の単価、予告期間、それに「業務の一部を第三者に委託できる」という一文などです。
――委託先の候補は、どう反応しましたか。
2社に同じ修正を頼みました。1社は「うちの標準なので」と変えませんでした。もう1社は予告期間を2か月にし、単価表を別表で付けてくれた。食品産業特定技能協議会に入っているかを聞くと、構成員名簿の該当ページも送ってくれました。うちの分野では支援する登録支援機関も構成員になる必要があるので、ここは外せない確認でした。説明の手間を惜しまない会社だと感じて、そちらに決めました。
――費用は、どう比べましたか。
2社の見積もりを、初期の費用・月額・追加料金に分けて、3年分で並べました。月額は選んだ会社のほうが少し高かったのですが、通訳の同行などの追加料金を足すと、3年では逆になりました。
――相談の受付日と言語を契約に書いて、何が変わりましたか。
本人たちの相談が止まらなくなりました。勤務日は週3日以上、休日も週1日以上、母語で受け付けると書いてもらっています。早朝勤務の後に寮の水回りの相談が来たときも、翌日には修理の手配まで進みました。窓口があいまいだと、結局は私の携帯に電話が来る。ここは譲れませんでした。
――実際に運用してみて、どうですか。
面談の後、2週間以内に報告書が届きます。今年5月の定期届出も、支援の実施状況を4月中にもらえたので、受け取ってから3日で出せました。契約書は、困ったときに開く説明書だと思うようになりました。
相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。
よくある質問
支援委託契約でトラブルを防ぐには?
署名の前に、委託の範囲、費用の内訳、解約の条件、報告の期限の4つを、具体的な言葉に直してもらうことです。「一式」「別途協議」「随時」のような書き方は、あとで解釈が分かれます。2社以上から同じ条件で見積もりを取り、条文の違いを比べると、直すべき箇所が見つけやすくなります。
支援委託契約書に、国が示しているひな形はありますか?
あります。出入国在留管理庁が参考様式「支援委託契約書」(第5-10号)を、記載例つきで公開しています。手元の契約書と並べて、抜けている条項や削られた条項がないかを確かめるのに使えます。
委託料に上限はありますか?
入管法令上の上限はありません。ただし、委託契約を結ぶときに、料金の額と内訳を明示する必要があります(Q&A Q72)。比べるときは、月額だけでなく初期の費用と追加料金を含めた3年総額にそろえます。
委託料の一部を外国人本人に負担してもらえますか?
できません。義務的支援の費用は受入れ機関が負担し、本人に直接・間接に負担させてはいけないとされています。給与から差し引く、家賃に上乗せするといった形も避けてください。
契約を途中で解約したら、届出は必要ですか?
必要です。支援委託契約の終了は第3-3-2号で、事由が生じた日から14日以内に、入管に届いている必要があります。新しい委託先に替える場合や自社支援に切り替える場合は、支援計画の変更(第3-2号)も届け出ます。
支援の一部だけを委託することはできますか?
できます。ただし支援計画に委託の範囲を書き、受入れ機関が自ら支援体制の基準を満たす必要があります。また定期面談は、登録支援機関に全部を委託する場合を除き、第三者には任せられません。
契約期間は何年にすればよいですか?
法令の決まりはありません。1号の在留期間は3年を超えない範囲で個別に指定されるので、在留期間や更新の時期と合わせて考えます。委託先の登録の満了日も確かめ、更新の方法と予告期間を契約に書いておきます。
申請書類の作成も、委託契約に含めてよいですか?
作成する人が行政書士なら含められます。行政書士でない者が、名目を問わず報酬を得て官公署に出す書類を作ることは、2026年1月1日施行の改正行政書士法で禁じられることが明記されました。「込み」とある場合は、誰が作るのかを確かめてください。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
- 出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「参考様式第1-25号 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(記載例)」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和7年6月)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領 新旧対照表」(2026年8月20日)
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(2026年10月確認)
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「登録支援機関の支援体制要件の改正(令和9年4月1日施行)」(2027年4月1日施行)
- 出入国在留管理庁「登録支援機関登録簿」(2026年10月8日)
- 福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(令和7年度)
- e-Gov法令検索「行政書士法」(2026年1月1日施行の改正を含む)
- 農林水産省「食品産業特定技能協議会」(2026年10月確認)
最終更新:(2026年10月版)
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