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https://tokutei-noriai.blog/kyuyo-kimekata/ 印刷日:2026年10月15日

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特定技能の給料の決め方|「日本人と同等以上」の考え方と相場データ

相場より先に、同じ仕事をする日本人の賃金表を見る。説明書の書き方から昇給・届出まで

特定技能の給料をいくらにするかは、初めて受け入れる会社が最初に迷う点です。基準は世間の相場ではなく、同じ仕事をする日本人の報酬と「同等以上」であること。出入国在留管理庁は、賃金規程、同じ仕事の日本人、近隣の同業他社の順で比べるとしています。この記事では、自社の賃金表から同等以上を説明する手順と、技能実習生と同額でよいか、同じ仕事の日本人がいない場合はどうするかを公的資料で整理します。月給の平均(令和7年)と2026年度の最低賃金も確かめられます。

この記事の結論
  • 基準は「同じ仕事をする日本人の報酬と同等以上」:賃金規程があれば規程で、なければ同じ仕事の日本人と比べます。どちらもなければ、入管が持つ近隣の同業他社の特定技能外国人の報酬と比べます。
  • 技能実習生と同額は想定されていない:1号は技能実習2号修了者と同程度の技能水準とされ、少なくとも技能実習2号の給与水準を上回ることが想定されています。
  • 平均は確認用、決め手は社内の賃金表:令和7年の特定技能の賃金は月221.4千円(6月分の所定内給与額)。2026年度の最低賃金(全国加重平均1,177円)の発効日もあわせて確かめます。

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この記事の目次

特定技能の給料は「同じ仕事の日本人と同等以上」で決める

特定技能の給料は、同じ仕事をする日本人に払っている報酬と同じか、それより高い額で決めます。出発点は世間の相場ではなく、自社の賃金表です。

根拠は、特定技能の雇用契約の基準を定めた省令です。求めているのは3点。報酬の額が「日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上」であること。国籍を理由に、報酬・教育訓練・福利厚生施設の利用で差別しないこと。所定労働時間が、同じ会社の通常の労働者と同等であることです。労働基準法3条も、国籍を理由に賃金などで差別的に扱うことを禁じています。

入管が示す「比べる順番」

出入国在留管理庁の「特定技能制度に関するQ&A」(Q30)は、同等かどうかを次の順で判断するとしています。賃金規程があれば、規程に基づいて判断します。規程がなく、同じ仕事の日本人がいれば、その人と比べます。どちらもなければ、雇用契約書の報酬額を、当局が持つ「近隣同業他社」で同じ仕事・同程度の経験の特定技能外国人の報酬額と比べます。

図1「同等以上」を判断する順番

  1. 1. 賃金規程がある規程に照らして、申請人と役職・職務内容・責任の程度が同じ日本人に払うべき額を出し、それと同等以上にします。
  2. 2. 規程はないが、同じ仕事の日本人がいるその日本人の報酬と比べます。経験年数や責任の程度が近い人を選びます。
  3. 3. 規程も、同じ仕事の日本人もいない当局が持つ、近隣の同業他社で同じ仕事・同程度の経験の特定技能外国人の報酬額と比べます。
申請では「特定技能外国人の報酬に関する説明書」(参考様式第1-4号)で、どう比べたかを説明します。出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)、出入国在留管理庁「特定技能外国人の報酬に関する説明書」記載例(2026年10月確認)

相場データは「確かめる」ために使う

公的統計の平均は、自社の額が極端に外れていないかを確かめる物差しです。同等以上の根拠そのものにはなりません。もう1つの使い道は定着です。特定技能1号は、同じ分野の中なら本人の意思で転職できます。近くの同業他社より見劣りしないかは、辞めにくさに直結します。

図2給料を決めるときに見る3つの数字と役割

  • 社内の日本人の報酬(決め手)同じ仕事・同じ責任の日本人に払っている基本給と手当。説明書で比べる相手です。
  • 地域別最低賃金(下限)都道府県ごとの時間額。月給は時間額に直して比べます。毎年秋に改定されます。
  • 公的統計の平均(確認)在留資格別の賃金など。自社の額が極端に外れていないかを確かめます。
3つのうち、同等以上の判断に使うのは社内の日本人の報酬です。残りの2つは下限と確認に使います。

特定技能で同等以上の報酬を説明する書類:報酬に関する説明書の中身

同等以上かどうかは、在留資格の申請で出す「特定技能外国人の報酬に関する説明書」(参考様式第1-4号)で説明します。書く項目を先に知っておけば、社内で何をそろえればよいかが分かります。

報酬に関する説明書の主な項目と、そろえる社内資料(参考様式第1-4号)
欄書くことそろえる社内資料
1 申請人に対する報酬役職・職務内容・責任の程度、年齢・性別・経験年数、月給または時間給雇用条件書の案、任せる作業の一覧
2 比較対象の日本人がいる場合その日本人の役職・職務内容・責任の程度、年齢・性別・経験年数、報酬賃金台帳、職務の説明
賃金規程の有無(2④・3④)規程があれば「有」とし、規程上、同等の日本人に払うべき報酬を書く賃金規程・賃金表
同等以上と考える理由(2⑤・3⑤)誰と、何をそろえて比べたかを文章で書く比較のメモ
3 比較対象の日本人がいない場合最も近い職務の日本人について、申請人とどこが違うかも含めて詳しく書く同上

記載例から分かる「報酬」の並べ方

出入国在留管理庁の記載例は、申請人と比較対象の日本人の報酬を同じ形で並べています。どちらも「月給180,000円(皆勤手当 月5,000円)」と、手当まで含めた書き方です。基本給だけでなく、毎月決まって払う手当も同じ物差しでそろえるのがコツです。

比較対象のいない例では、最も近い職務の日本人として、経験22年のラインマネージャー(月給350,000円)を挙げています。同等以上と考える理由は、この人が「申請人と同年代の頃に同様の業務を行っており、当時の報酬額が同額であった」ことです。役職や経験の違いを具体的に書くことが、説得力の分かれ目です。

規程も日本人もいないときは「決め方」を説明する

記載例の欄外には、賃金規程がなく日本人も雇っていない場合の案内があります。任意の様式で「申請人の報酬額を決定した方法や経緯等について説明した文書」を出す、というものです。家族経営などで比較相手がいない会社は、近隣の求人や同業の水準をどう調べたかを記録しておくと書きやすくなります。

国籍で手当の条件を分けない

基本給が同じでも、住宅手当や皆勤手当の支給条件を外国人だけ変えれば、国籍を理由とした差別的な取扱いになるおそれがあります。手当は「誰に、どんな条件で払うか」を就業規則や賃金規程と照らしてそろえます。求人の段階での考え方は国籍・年齢で差別しない採用で整理しています。

日本人の賃金表から同等以上の額を決める6つの手順

手順は6つです。作業の書き出しから始め、雇用条件書への反映で終わります。社内の賃金台帳と賃金規程を手元に置いて進めてください。

  1. 任せる仕事を書き出す

    業務区分の範囲で、1日の作業を具体的に書きます。漁業分野の養殖業なら、養殖資材の製作・補修・管理、育成管理、収獲・処理、安全衛生の確保などです。関連業務だけに専ら従事させることはできません。

  2. 比べる日本人を選ぶ

    同じ作業・同じ責任で、経験年数が近い人を選びます。複数いれば一覧にします。

  3. 賃金台帳から報酬を拾う

    基本給、毎月決まって払う手当、所定労働時間をそろえます。残業代や賞与は別に扱います。

  4. 経験年数をそろえる

    技能実習2号の修了者は、少なくとも技能実習2号の給与水準を上回ることが想定されています(Q&A Q46)。前職での経験年数も確かめます。

  5. 額を決めて理由を書く

    説明書の「同等以上と考える理由」を、比べた相手・経験年数・手当の3点で書きます。

  6. 雇用条件書に反映し、分かる言語で説明する

    雇用条件書(参考様式第1-6号)には10言語の版があります。外国人雇用管理指針も、母国語や平易な日本語で賃金や控除の内容を説明するよう求めています。

図3賃金表で比べる例(養殖業・金額はすべて架空)

対象経験基本給+現場手当時間あたり(月160時間)判定
日本人A3年220,000円+10,000円1,437円比較の相手
日本人B1年205,000円+10,000円1,343円参考
特定技能(当初案)3年相当195,000円+0円1,218円Aを下回り、同等以上といえない
特定技能(見直し後)3年相当220,000円+10,000円1,437円Aと同額で同等以上
技能実習2号を修了した経験3年相当の人は、経験3年の日本人Aと比べます。当初案は多くの県の最低賃金を上回りますが、同じ仕事の日本人を下回るため基準を満たしません。出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)をもとに編集部が作成した架空の例

経験年数は「本人の実際」で合わせる

比べる相手は、年齢ではなく経験年数と責任の程度で選びます。試験に合格して初めて働く人なら経験1年未満の日本人と、技能実習で同じ作業を3年続けた人なら経験3年前後の日本人と比べるのが自然です。面接で前職の作業内容を具体的に聞いておくと、説明書の記入が楽になります。

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特定技能の月給の平均は221.4千円:公的統計の読み方

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、在留資格「特定技能」の賃金は月221.4千円でした。前年より4.8%増えています。平均年齢は29.5歳、平均勤続年数は2.4年です。

この調査でいう「賃金」は、6月分の所定内給与額の平均です。残業代や深夜・休日の手当にあたる超過労働給与額は含まず、所得税などを差し引く前の額です。

図4在留資格区分別の賃金(令和7年・月額)

  • 一般労働者全体(男女計)340.6千円
  • 専門的・技術的分野(特定技能を除く)313.2千円
  • 身分に基づくもの311.1千円
  • 外国人労働者計254.3千円
  • 特定技能221.4千円
  • 技能実習190.3千円
特定技能は技能実習より31.1千円高く、一般労働者全体の65.0%です(計算)。年齢や勤続年数が大きく違うため、この差だけで高い・低いは判断できません。出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(在留資格区分別)」、同(一般労働者の賃金)(令和7年調査)

特定技能の給与の相場を、地域の最低賃金と合わせて見る

2026年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で時間額1,177円です。前年度から56円上がりました。最も高い東京都は1,280円、最も低い宮崎県は1,085円です。改定額は2026年10月1日から12月2日にかけて都道府県ごとに発効し、発効前の県は前日まで前年度の額が使われます。

月給制なら、月給を月の所定労働時間で割って時間額に直し、最低賃金と比べます(最低賃金法施行規則2条)。所定労働時間を超える労働や所定休日の労働に払う賃金、深夜の割増部分、賞与のように1か月を超える期間ごとに払う賃金は、比べる額に含めません(同1条)。

図5月給の下限の試算(月160時間の場合)

月給の下限=地域別最低賃金時間額(2026年度)×月の所定労働時間ここでは160時間と仮定

月160時間なら、全国加重平均で188,320円、東京都で204,800円、宮崎県で173,600円が下限です(試算)。所定労働時間が長い会社ほど下限は上がります。出典:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」(令和8年度)、e-Gov法令検索「最低賃金法施行規則」(2026年10月)

平均を「同等以上」の根拠にしない

統計の平均は、業種も地域も年齢も違う人を合わせた数字です。説明書で求められるのは、自社の同じ仕事の日本人との比較でした。平均より高くても、社内の日本人より低ければ基準に届きません。平均は、自社の額が大きく外れていないかを確かめる用途にとどめます。

技能実習生と同額でよいか、日本人がいない場合はどうするか

よく寄せられる疑問は3つです。技能実習生と同じ給料でよいか、同じ仕事の日本人がいないときはどうするか、寮費や食費を差し引いてよいか。いずれも公的資料に答えがあります。

技能実習生と同額は「想定されていない」

Q&A(Q46)の答えは次のとおりです。「1号特定技能外国人は、技能実習2号を修了した外国人と同程度の技能水準であることから、少なくとも技能実習2号の給与水準を上回ることが想定されます」。実習中と同じ給料のまま特定技能に切り替える計画は、見直しが必要です。統計でも、令和7年の賃金は技能実習190.3千円、特定技能221.4千円でした。

同じ仕事の日本人がいないとき

説明書の「比較対象となる日本人労働者がいない場合」の欄に、最も近い職務の日本人を書きます。役職・職務内容・責任の程度がどう違うかを詳しく書くよう、注意書きで求められています。賃金規程があれば、規程上の額も書きます。審査では、入管が持つ近隣の同業他社の特定技能外国人の報酬額と比べるとされています(Q30)。

寮費や食費を差し引くとき

食費・居住費など本人が定期に払う費用は、本人が内容を理解して合意し、実費相当の適正な額で、明細書などの書面が示されていること。これが上陸許可の基準を定めた省令の要件です。給与から差し引くには、税や社会保険料などを除き、過半数労働組合か過半数代表者との書面の協定が必要です(労働基準法24条)。支援の費用は差し引けません。詳しくは特定技能外国人に負担させてはいけない費用と住居費用の決め方をご覧ください。

図6給料の決め方でよくある思い込み

  • 外国人なら、日本人より低くてもよい報酬は日本人と同等以上が基準です。国籍を理由に賃金で差別することは、省令でも労働基準法3条でも認められません。
  • 最低賃金を上回れば同等以上になる最低賃金は下限です。同等以上かどうかは、同じ仕事をする社内の日本人との比較で決まります。
  • 技能実習のときと同じ給料で続けられるQ&Aは、少なくとも技能実習2号の給与水準を上回ることが想定されるとしています。
  • 平均の221.4千円を払えば十分平均は全国の業種・年齢を合わせた数字です。社内の日本人を下回れば基準を満たしません。
迷ったら「同じ仕事をする社内の日本人と比べて、説明できるか」に戻ります。出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(令和7年調査)

入社後の昇給と届出:給与は毎年の定期届出で報告する

給料は入社時に決めて終わりではありません。受入れ機関は毎年4月1日〜5月31日に、前年度(4月〜3月)の受入れ状況を定期届出で報告します。報告には、きまって支給する現金給与額・特別給与・控除額などの月平均と、2年以上続けて受け入れている場合の昇給率が含まれます。

昇給したとき・取りやめたときの届出

雇用契約を変えたときは、14日以内の随時届出が必要です。ただし、昇給で基本賃金が上がる場合は届出が要りません。予定していた昇給を取りやめる場合は届出が必要です(随時届出Q&A)。昇給の時期と基準は、雇用条件書に書いておくと後で迷いません。

図7給料に関わる手続きと見直しの時期

  1. 申請のとき報酬に関する説明書で、同等以上であることを説明します。
  2. 毎年10月〜12月地域別最低賃金の改定額が発効します。時間額に直して下回っていないか確かめます。
  3. 雇用条件書で決めた昇給の時期昇給で基本賃金が上がる場合、随時届出は不要。予定の昇給を取りやめるなら届出が必要です。
  4. 毎年4月1日〜5月31日前年度分の定期届出で、給与・控除額の月平均や昇給率を報告します。
随時届出は、事由が生じた日から14日以内に地方出入国在留管理局へ届く必要があります。出典:出入国在留管理庁「定期届出 作成要領」(2026年1月26日掲載)、同「随時届出Q&A」(令和7年6月)、厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」(令和8年度)

分野によっては上乗せの決まりがある

建設は、あらかじめ合意した額を月給制で毎月安定して払い、技能の習熟に応じた昇給を契約に書くことが求められます。飲食料品製造業は、賃金の推移などを示したキャリアアップの計画を、契約前に書面などで示します。漁業・養殖業は労働基準法の労働時間・休憩・休日の規定が適用されない業務ですが、長時間労働にならないよう管理し、休憩と休日を適切に決める必要があります。

転職の動きから見た給料の意味

2021〜2024年に特定技能1号の資格を得た341,253人のうち、2025年8月末までに転職したのは22.4%でした(暫定値)。漁業は28.1%です。延べ転職者の66.0%は、都道府県をまたいで住居地を移しています。一方、漁業の延べ転職者1,641人のうち1,517人は、大都市圏以外の地域どうしの転職でした。漁業では、近くの同業者との比べられ方が定着を左右しやすいといえます。

図8特定技能1号の転職の状況(2021〜2024年の資格取得者)

  • 22.4%転職を経験した人の割合341,253人中76,338人
  • 28.1%漁業分野の同じ割合4,464人中1,253人
  • 44.5%初回の転職が資格取得から1年未満転職経験者76,338人中33,963人(計算)
  • 66.0%都道府県をまたぐ住居地の異動延べ転職者90,029人中59,387人
2025年8月末までの転職を集計した暫定値です。2024年の資格取得者は観察期間が短い点に注意が必要です。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末までの転職・暫定値)

給料を決める前のチェックリストと、相談先に聞くこと

給料の決定は、採用の流れの早い段階で済ませます。求人や面接で示した額が、申請の説明書と食い違うと手戻りになるためです。次の8つを確かめてください。

  • 比べる日本人(同じ作業・同じ責任・近い経験年数)を決め、賃金台帳の額を控えた
  • 賃金規程の有無を確かめ、規程があれば規程上の額を出した
  • 基本給だけでなく、毎月決まって払う手当の支給条件もそろえた
  • 所定労働時間を、同じ会社の通常の労働者と同等にした
  • 月給を時間額に直し、2026年度の最低賃金と発効日を確かめた
  • 技能実習から切り替える人は、実習中の給与水準を上回る額にした
  • 寮費・食費などの控除は、合意・明細・労使協定の3点をそろえた
  • 昇給の時期と基準を雇用条件書に書き、本人が分かる言語で説明する準備をした

誰に何を聞くか

給料を決めるときの相談先と聞くこと
相談先聞くこと
人材紹介会社候補者の経験年数と作業内容、技能実習の職種。国籍ではなく経験で比べる材料をもらう
登録支援機関事前ガイダンスで、給与と控除の内訳を本人の言語で説明できるか
行政書士報酬に関する説明書の書き方と、比較対象がいない場合の説明文書
労働基準監督署最低賃金、控除の労使協定、労働時間の扱い

給料は費用の一部。総額で見通す

給料が決まると、社会保険料や住居、紹介料・支援費を足した総額が見えてきます。給与以外にかかる費用は特定技能外国人の人件費の総額で、採用から3年の見通しは特定技能の費用はいくら?で確かめられます。相談から入社までの段取りは受け入れの流れをご覧ください。

紹介会社や登録支援機関を比べるときは、給与の説明をどこまで手伝ってくれるかも比較の行に入れておくと差が見えます(会社比較シートの作り方)。特定技能のりあい窓口は、条件に合う会社を最大3社まで無料でご紹介する相談窓口です。会社に順位は付けず、選ぶのは御社です。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。

想定ケース:養殖業の会社(従業員24人)の事務長が、給料を「日本人の賃金表」から決め直した理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

かきの養殖を営む会社(従業員24人)の事務長(50代)を想定したインタビューです。技能実習を終えた2人を、初めて特定技能で受け入れる際に、給料の決め方を見直した場面を描いています。

  • 月給の案を「技能実習のときと同額」から、同じ作業をする日本人2人の賃金表に合わせた額へ、月3万5千円引き上げた
  • 報酬に関する説明書の「同等以上と考える理由」を、比べた相手・経験年数・手当の3点、5行で書けた
  • 入社から1年たち、受け入れた2人とも在籍。昇給の時期(年1回・4月)と評価の3項目を雇用条件書に書いた

――給料の決め方を変えて、何が変わりましたか。

説明に迷わなくなりました。今は、同じいかだで、かきの垂下や付着物の掃除をしている日本人2人の賃金台帳を横に置いて、基本給と現場手当を同じ物差しで並べています。説明書の理由欄も、5行で書けました。

――最初は、どう決めるつもりでしたか。

技能実習のときと同じ19万5千円です。うちに実習で来ていた2人が、そのまま特定技能に移る予定でしたから。仕事も同じ、本人たちも納得している。それで足りると思い込んでいました。

――どこで考えが変わったのですか。

入管のQ&Aに、技能実習2号の給与水準を上回ることが想定される、とはっきり書いてあったんです。正直、驚きました。もう1つは比べる相手です。3年同じ作業をしてきた2人を比べるなら、経験3年の日本人だろう、と。その日本人は現場手当を入れて23万円でした。差の3万5千円を、どう説明するかで1週間悩みました。

――説明できなかった、ということですか。

ええ。日本人には現場手当があって、実習生にはない。理由を書こうとして、書けないことに気づきました。国籍で手当を分けている形になっていたんです。結局、基本給も手当も日本人と同じ条件にそろえました。

――決め手になった相談はありましたか。

支援を頼む予定の登録支援機関の担当者に、賃金表を見せて相談しました。その人は「いくらなら通るか」ではなく、「この2人と何が同じで、何が違うか」を順番に聞いてきた。聞かれるまま答えていたら、理由欄の中身がそろっていました。うちの規模の会社に合った進め方だと思います。

――受け入れ後は、どうしていますか。

つまずいたのは寮費です。給与から差し引くのに労使協定が要ると知らず、入社の直前に従業員代表を選んで協定を結びました。今は毎年4月に昇給を見直し、10月には最低賃金の改定額を確かめています。漁業は近くの浜の同業者と比べられやすい。年1回、近隣の求人も見るようにしています。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

特定技能外国人の給与はいくらにすればいい?

同じ仕事をする社内の日本人と同等以上の額にします。賃金規程があれば規程で、なければ同じ仕事・同程度の経験の日本人の報酬と比べます。そのうえで、月給を時間額に直して地域別最低賃金を下回らないか確かめます。令和7年の特定技能の賃金の平均(月221.4千円)は、外れ値でないかの確認に使ってください。

特定技能の給与の相場はどのくらいですか。

公的な目安は、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査で月221.4千円です。6月分の所定内給与額の平均で、残業代は含みません。平均年齢29.5歳、平均勤続年数2.4年の集団の数字なので、自社の同等以上の判断には社内の日本人の報酬を使います。

技能実習生と同じ給料のまま、特定技能に切り替えてもよいですか。

見直しが必要です。出入国在留管理庁のQ&Aによると、1号は技能実習2号修了者と同程度の技能水準です。そのため、少なくとも技能実習2号の給与水準を上回ることが想定されています。同じ作業・同程度の経験の日本人と比べて、額を決め直してください。

同じ仕事をする日本人がいない場合は、どう説明しますか。

報酬に関する説明書の「比較対象となる日本人労働者がいない場合」の欄に、最も近い職務の日本人を書き、役職や職務内容の違いを詳しく説明します。賃金規程があれば規程上の額も書きます。規程がなく日本人も雇っていなければ、報酬額を決めた方法や経緯を任意の様式で説明します。

寮費を差し引いた後の手取りで、日本人と比べてよいですか。

説明書では、月給や時間給などの報酬の額を、手当も含めて比べます。寮費などの控除は別に扱い、本人の合意、実費相当の適正な額、明細書などの書面、給与から差し引くための労使協定をそろえます。支援の費用は控除できません。

最低賃金が上がったら、特定技能の給料も変えなければいけませんか。

月給を時間額に直して改定後の最低賃金を下回るなら、発効日までに引き上げます。2026年度の改定額は10月1日から12月2日にかけて都道府県ごとに発効します。昇給で基本賃金が上がる場合、随時届出は要りません。

予定していた昇給をやめたら、届出は必要ですか。

必要です。出入国在留管理庁の随時届出Q&Aは、昇給で基本賃金が上がる場合は届出不要としつつ、予定していた昇給の取りやめは届出が必要としています。事由が生じた日から14日以内に、地方出入国在留管理局へ届くように出します。

給与は現金で手渡ししてもよいですか。

原則は本人が指定する預貯金口座への振込みなどです。受入れ機関の基準を定めた省令は、口座振込か、実際の支払額を確認できる方法で払うことを求めています。振込以外の場合は、支払いを証明する資料を入管に出す必要があります。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
  2. 出入国在留管理庁「特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)記載例」(2026年10月確認)
  3. 出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(2026年10月確認)
  4. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月)
  5. e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月)
  6. e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」(2026年10月)
  7. e-Gov法令検索「最低賃金法施行規則」(2026年10月)
  8. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(在留資格区分別)」(令和7年調査)
  9. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(一般労働者の賃金)」(令和7年調査)
  10. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 主な用語の定義」(令和7年調査)
  11. 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」(令和8年度)
  12. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末までの転職・暫定値)
  13. 出入国在留管理庁「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領」(2026年1月26日掲載)
  14. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和7年6月)
  15. 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(漁業分野)」(令和6年2月15日一部改正)
  16. 法務省・国土交通省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(建設分野)」(2025年1月31日一部改正)
  17. 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(飲食料品製造業分野)」(令和8年8月28日一部改正)
  18. 厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(令和8年5月29日告示による改正を反映)

最終更新:(2026年10月版)

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