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登録支援機関とは?役割と「義務的支援」10項目を企業向けに解説
義務的支援10項目を自社でやると、1人あたり初年度で約75時間(編集部の試算)。委託の意味を時間で考える
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
特定技能の外国人を受け入れようと調べると、必ず出てくるのが「登録支援機関」です。登録支援機関とは、受入れ企業との契約で、1号の外国人の支援計画を全部実施する機関のことです。ただ、何をしてくれるのか、本当に頼む必要があるのかは、説明を読んでも実感しにくいものです。この記事では、登録支援機関の役割と義務的支援10項目の中身を整理します。そのうえで10項目を自社でやった場合の作業・回数・時間に置き換え、委託する意味と委託しない場合の条件を、2026年10月時点の公的資料で示します。
- 登録支援機関とは、支援を「全部」引き受ける登録機関:受入れ企業との契約で、1号外国人の支援計画の全部を実施します。出入国在留管理庁長官の登録制で、5年ごとの更新が必要です(2026年10月8日時点で11,660件)。
- 委託は義務ではないが、支援は義務:過去2年間の受入れ実績などの基準を満たせば自社で支援できます。満たせなければ、登録支援機関への全部委託が必要です。
- 10項目を自社でやると、1人あたり初年度約75時間:事前ガイダンス3時間程度、生活オリエンテーション8時間以上という公的な目安に、準備や記録を加えた編集部の試算です。2年目以降も年35時間ほどかかります。
- 委託しても企業に残る仕事がある:雇用契約、日本人と同等以上の報酬、支援計画の作成、届出は受入れ企業の責任です。
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この記事の目次
登録支援機関とは:1号外国人の支援を「全部」引き受ける登録機関
登録支援機関とは、受入れ企業との契約にもとづいて、特定技能1号の外国人の支援計画を「全部」実施する機関です。出入国在留管理庁長官の登録を受け、5年ごとに更新しないと登録の効力を失います(入管法19条の23)。受入れ企業が支援の全部をこの機関に委託すると、支援体制の基準を満たしたものとみなされます(同法2条の5第5項)。
図1数字で見る登録支援機関
- 11,660件登録支援機関の登録数2026年10月8日時点の登録簿
- 約50%支援委託契約を持つ機関の割合2023年4月末、8,137機関中4,069機関(暫定値)
- 425,961人支援の対象となる特定技能1号2026年6月末・速報値
- 5年登録の有効期間更新しないと効力を失う
「全部」を引き受けられることが登録の条件
登録を受けるには、支援計画の全部を実施できる体制が必要です。支援の一部だけを行う機関として登録を受けることはできません(特定技能ガイドブック)。受託した支援の全部を、ほかの機関へ再委託することも認められていません。通訳を補助として使うことはできます(出入国在留管理庁Q&A)。
支援の対象は1号の外国人
受入れ企業に支援の義務があるのは、特定技能1号の外国人を雇う場合です。1号は通算5年までの在留資格で、2026年6月末時点で425,961人が在留しています。熟練した技能を持つ2号には、この支援の義務がありません。
登録されていることと、支援の実績は別
登録数は2026年10月8日時点で11,660件です。ただし、2023年4月末に登録していた8,137機関のうち、支援委託契約を持っていたのは4,069機関でした(約50%、暫定値)。登録は「基準を満たしている」ことの確認で、支援の質や実績の評価ではありません。候補を比べるときは、登録の有無に加えて、自社と同じ分野での支援の実績を聞く必要があります。
登録支援機関の役割:企業と外国人本人のあいだで何を担うか
登録支援機関の役割は、受入れ企業に代わって支援計画を実行し、その記録を残すことです。雇い主としての責任までは引き受けません。だれが何を担うかを表にすると、委託の範囲がはっきりします。
| 仕事 | 受入れ企業 | 登録支援機関 |
|---|---|---|
| 雇用契約・報酬の支払い | 担う(報酬は日本人と同等以上) | 担わない |
| 支援計画の作成 | 作成する義務がある | 作成を手伝う |
| 義務的支援10項目の実施 | 委託先と日程を調整する | 実施する |
| 定期面談(3か月に1回以上) | 監督する立場の人が面談を受ける | 本人と監督者それぞれと面談する |
| 支援の記録 | 報告の控えを保管する | 作成し、契約終了から1年以上備え置く |
| 定期届出・随時届出 | 提出する(年1回/14日以内) | 支援の実施状況の書類を用意する |
| 支援の費用 | 負担する | 外国人本人に負担させない |
登録支援機関の役割は「実行」と「記録」
登録支援機関は、委託された支援計画にもとづいて支援を行う義務を負います(入管法19条の30)。支援の実施状況の文書を作り、雇用契約の終了から1年以上、事務所に備え置くことも登録の条件です(施行規則19条の21)。年1回の定期届出では、全部委託の場合、委託先が署名した支援の実施状況の書類を受入れ企業がとりまとめて出します。
委託しても企業に残る仕事
雇用契約を結び、日本人が同じ仕事をする場合と同等以上の報酬を払うのは受入れ企業です。支援計画を作る義務も企業にあります(入管法2条の5第6項)。届出も企業の仕事で、支援計画の変更や支援委託契約の終了・締結は14日以内に届け出ます。届け出なかったり偽ったりすると、10万円以下の過料の対象です(同法77条の2)。
費用は企業が負担し、本人には負担させない
委託費に法令上の上限はありませんが、契約のときに額と内訳を示す必要があります(同庁Q&A)。支援の費用を外国人本人に直接・間接に負担させている機関は、登録を受けられません(施行規則19条の21)。給与からの天引きで回収する形も認められません。
登録支援機関が担う義務的支援10項目
義務的支援とは、1号の外国人に対して必ず行う10項目の支援です。支援計画にすべて書き、その計画どおりに実施します。計画に書いた任意の支援も、書いた以上は実施の義務が生じます。時期で分けると、10項目の流れがつかみやすくなります。
図2義務的支援10項目の時期
- 在留資格の申請前:①事前ガイダンス労働条件や活動の内容、入国の手続、保証金・違約金の契約がないことなどを、対面かテレビ電話で説明します。
- 入国・入社の直後:②送迎、③住居と生活の契約、④生活オリエンテーション、⑤公的手続への同行空港への出迎え、住まいと口座・携帯電話の手配、生活ルールの説明、役所の手続までを短い期間にまとめて行います。
- 在籍中ずっと:⑥日本語学習、⑦相談・苦情対応、⑧交流促進、⑩定期面談と通報定期面談は3か月に1回以上。相談は本人が理解できる言語で受けます。
- 会社都合で契約を終えるとき:⑨転職支援次の受入れ先探しの支援や推薦状の作成、求職活動のための有給休暇を与えます。
- 帰国するとき:②出国時の送迎空港の保安検査場の前まで同行し、入場を確認します。
入社前後に集中する5項目(①〜⑤)
①事前ガイダンスは、文書の郵送やメールだけでは認められません。3時間程度が目安で、1時間に満たない場合は適切に行ったとはいえないとされています。②の入国時の送迎は、技能実習から国内で切り替える人には不要です。③の住居は、1人あたり7.5㎡以上の居室が条件です。④の生活オリエンテーションは8時間以上が目安で、金融機関、医療、交通ルール、災害時の行動などを説明します。⑤では住居地の届出や社会保険、税の手続を案内し、必要に応じて窓口へ同行します。
在籍中ずっと続く4項目(⑥⑦⑧⑩)
⑥は日本語教室や教材の情報提供と入学手続の補助など、⑧は地域の行事や自治会の案内と参加の補助です。⑦の相談対応は、1週間あたり勤務日に3日以上、休日に1日以上受け付け、夜間なども対応できる体制が求められます。⑩の定期面談は、本人と、直接の上司など監督する立場の人の両方と行います。労働関係法令の違反を知ったら労働基準監督署へ、入管法違反などは地方出入国在留管理局へ通報します。
会社都合で契約を解除するときの⑨
⑨の転職支援が必要になるのは、受入れ企業側の都合で雇用契約を解除する場合です。業界の情報提供、ハローワークなどへの案内・同行、推薦状の作成のいずれかと、求職活動のための有給休暇、離職時の行政手続の情報提供を行います。
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10項目を自社でやると何時間かかるか:作業・回数・時間の試算
海外から呼ぶ1人を自社の職員が支援すると、初年度は約75時間、2年目以降は年約35時間かかる計算です。公的な目安がある項目はその時間を使い、準備・移動・記録の時間を編集部が見積もりました。
| 項目 | 自社でやる作業 | 回数・時期 | 時間の目安 |
|---|---|---|---|
| ①事前ガイダンス | 説明資料を本人の言語で用意し、実施後に確認書へ署名をもらう | 申請前に1回 | 約5時間(実施3時間程度+準備) |
| ②出入国時の送迎 | 空港から住居・事業所まで同行する | 入国時に1回 | 約6時間(距離で4〜8時間) |
| ③住居・生活の契約 | 物件と保証の手配、口座・携帯電話・電気ガス水道の契約の補助 | 入社前後 | 約10時間 |
| ④生活オリエンテーション | 生活のルールや災害時の行動などを説明し、確認書をもらう | 入社直後に1回 | 約11時間(実施8時間以上+準備) |
| ⑤公的手続への同行 | 住居地の届出、社会保険、税の手続の案内と窓口への同行 | 入社直後に1〜2回 | 約4時間 |
| ⑥日本語学習の機会 | 教室・教材の情報提供と入学手続の補助 | 入社時と見直し時 | 約3時間 |
| ⑦相談・苦情への対応 | 本人の言語で相談を受け、案内・同行し、相談記録書に書く | 随時(月1〜2件を想定) | 年約18時間 |
| ⑧交流の促進 | 地域行事や自治会の案内と参加の補助 | 年に数回 | 年約3時間 |
| ⑨転職支援 | 次の受入れ先探しの支援、推薦状、求職のための有給休暇 | 会社都合の解除時だけ | 試算に含めない(発生時は10時間以上) |
| ⑩定期面談・通報 | 本人と監督者それぞれと面談し、報告書を2通作る | 3か月に1回以上(年4回) | 年約10時間 |
試算の前提
支援する職員が本人の言語を話せる前提です。通訳を手配する場合は、その時間と費用が加わります。表の合計70時間に、支援計画書の作成と記録の整理の約5時間を足して、初年度約75時間としました。帰国時の送迎(1回4〜8時間)と⑨は含めていません。
図3初年度にかかる時間の内訳(1人あたり、編集部の試算)
- ⑦相談・苦情対応18時間
- ④生活オリエンテーション11時間
- ③住居・生活の契約10時間
- ⑩定期面談・通報10時間
- ②入国時の送迎6時間
- ①事前ガイダンス5時間
- ⑤公的手続への同行4時間
- ⑥日本語学習・⑧交流計6時間
初年度は約75時間、2年目以降は年約35時間
初年度の75時間のうち、約40時間は入社前後の2か月に集中します。2年目以降は⑥⑦⑧⑩と記録の整理が残り、年約35時間です。3年間では1人あたり約145時間になります。2人を同時に受け入れると、①や④は説明会の形にできるため、2人分でも単純な2倍にはなりません。
数字に出ない「待機」の負担
時間より重いのが、相談を受けられる状態を保つ負担です。勤務日に週3日以上・休日に週1日以上の受付に加え、夜間の連絡にも備えます。運用要領は緊急連絡先を設け、基本的にいつでも連絡を受けられる体制が望まれるとしています。担当者が1人だと、休みの日も電話を手放せません。
委託する意味:時間・言語・中立・継続をまとめて任せる
委託する意味は、前の章の約75時間を外に出すことだけではありません。本人の言語での対応、監督者でない立場からの面談、担当者が休んでも途切れない体制を、まとめて任せられる点にあります。
図4登録支援機関に委託すると任せられる4つのこと
- 1時間
入社前後の約40時間と、在籍中の面談・相談の時間。現場の責任者が本業から抜ける時間を減らせます。
- 2言語
事前ガイダンスや生活オリエンテーション、相談を、本人が十分に理解できる言語で行う手配。
- 3中立
職場の上司には言いにくい悩みを、外部の担当者が聞き取ります。面談は本人と監督者に別々に行います。
- 4継続と記録
担当者の休みや退職があっても支援が止まらない体制と、届出に使える記録。
委託費は月2万円台が最も多い
委託費の全国的な公的統計は見当たりませんが、福岡県の令和7年度調査が参考になります。外国人介護人材を受け入れている県内の事業所に聞いた1人あたりの月額委託費は、「2万円以上3万円未満」が31.5%で最も多い区分でした。
図51人あたりの月額委託費(福岡県の介護事業所、主な回答)
- 2万円以上3万円未満31.5%
- 1万円以上2万円未満13.0%
- 3万円以上4万円未満13.0%
- 委託していない26.8%
月額だけでなく、初期費用や送迎の交通費などの追加料金で総額は変わります。分布と内訳の詳しい見方は登録支援機関の月額委託費の相場で解説しています。
時間の面から見ると、2年目以降の年約35時間は、月にならすと3時間ほどです。委託費は、この作業時間に、夜間・休日の待機と言語の手配を加えたものの対価と考えると、比べる軸がぶれません。
任せきりにしないための「照合」
第4章の表は、委託した後の点検表にも使えます。面談は年4回あったか、相談記録は何件届いたか、生活オリエンテーションの確認書はあるか。月1回、10項目と照らすだけで抜けに気づけます。
登録支援機関に委託しない場合の条件と、支援を怠ったときのリスク
委託しないなら、自社で支援体制の基準を満たす必要があります。満たせないまま委託もしなければ、受け入れは認められません。基準を満たして自社で支援する場合も、支援を怠れば行政の指導や改善命令の対象になります。
自社で支援するための主な基準
基準は法務省令(基準省令2条2項)に定められています。主なものは次の5つです。
- 過去2年間に就労系の在留資格の外国人を適正に受け入れた実績がある、または過去2年間にその生活相談に携わった役職員がいる
- 役員・職員から支援責任者と、事業所ごとに1人以上の支援担当者を選んでいる(兼任は可)
- 支援責任者・担当者が、外国人を監督する立場にない中立な人である
- 本人が十分に理解できる言語で支援でき、支援の記録を雇用契約の終了から1年以上備え置く
- 契約の前5年以内に、支援計画にもとづく支援を怠ったことがない
基準を満たすことは、在留資格の申請のときに書類で示します。受け入れた外国人のリスト(参考様式第1-11-2号)や、生活相談を行った外国人のリスト(第1-11-3号)、支援責任者・担当者の履歴書(第1-20号・第1-22号)などです。実績の数え方や判定のしかたは、特定技能の自社支援とは|登録支援機関に委託しない条件と体制で判定表にしています。
支援を怠るとどうなるか
出入国在留管理庁長官は、支援計画の適正な実施などを確保するため、受入れ企業に指導・助言を行えます(入管法19条の19)。確保されていないと認められると、期限を定めた改善命令が出されることがあり、その旨が公示されます(同法19条の21)。命令に違反すると、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です(同法71条の3)。支援を怠った企業は、その後5年間、自社支援の基準を満たせなくなります。具体的な事例は支援が不十分だった場合のリスクにまとめています。
支援の一部だけを外部に任せることもできます。ただし「基準を満たしたとみなす」扱いは全部委託の場合だけなので、一部委託では自社が基準を満たす必要があります。支援計画には委託の範囲を書きます。定期面談は、全部委託の場合を除き、第三者に任せられません。
登録支援機関に委託する前に確かめること
委託すると決めたら、契約の前に6つのことを確かめます。どれも、入社後に「聞いていなかった」となりやすい点です。
- 出入国在留管理庁の登録簿で、名称と登録番号が見積書・契約書と一致するか
- 本人の言語に対応しているか(登録簿の対応可能言語と、実際に話すのはだれか)
- 支援の内容と、費用の額・内訳が契約書に書かれているか
- 定期面談のやり方(対面かオンラインか)と、記録をいつ共有してもらえるか
- 夜間・休日の相談の受け方と、緊急時にだれが動くか
- 解約するときの予告期間と、記録の引き渡し方
2027年4月から委託先にかかる新基準
2027年4月1日から、登録支援機関は常勤の役員・職員から支援責任者と支援担当者を選びます。支援担当者の数は「委託元の受入れ機関の数÷10」と「1号外国人の数÷50」をどちらも上回る必要があります。支援責任者には養成講習の受講が求められます(当分の間は未修了でも差し支えないとされています)。委託先の準備状況の聞き方は2027年4月の新基準に対応できる登録支援機関の見分け方で解説しています。
委託先が有効期間の満了日までに更新を受けられないと、委託を受けていても支援業務を行えなくなります(出入国在留管理庁の更新申請の案内)。その場合、受入れ企業は別の登録支援機関に委託し直すか自社支援に切り替え、14日以内に届け出ることになります。
よくある誤解
- 登録支援機関は、国が質を保証した会社登録は、拒否の事由に当たらないかなどを審査した結果です。支援の質や実績の順位を示すものではありません。
- 人材紹介会社に頼めば、支援もついてくる支援の全部委託を受けられるのは登録支援機関だけです。違いは人材紹介会社と登録支援機関の違いで図解しています。
- 技能実習の監理団体なら、そのまま支援を頼める監理団体が支援を受託するには、登録支援機関の登録が別に必要です。見方は監理団体・協同組合に特定技能の支援を頼む場合の見方で整理しています。
- 委託すれば、届出も委託先が出してくれる定期届出・随時届出を出すのは受入れ企業です。委託先は必要な書類を用意する立場です。
従業員が少ない会社の進め方は小規模事業者の特定技能、拠点が多い会社は大企業・複数拠点の特定技能が参考になります。
想定ケース:温泉旅館(従業員38人)の人事課長が、10項目を「作業表」にして委託先と照らすようにした理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
- 人事課長が受け入れ対応に使った時間は、初年度に2人で約25時間(自社で支援した場合の試算は1人約75時間)
- 定期面談の報告書を年4回、相談記録を11件、すべて翌週までに受け取れた
- 委託先の月次報告を10項目の表と照らす点検が、毎月10分ほどで済むようになった
――受け入れて1年。何が変わりましたか。
支援の中身が見えるようになりました。接客とレストランサービスの担当として、宿泊分野の特定技能の2人を迎え、支援は登録支援機関に全部を委託しています。義務的支援の10項目を、作業・回数・時期の表にしました。委託先の月次報告をその表と照らすと、面談が予定どおりあったか、相談がどう片づいたかが10分ほどで分かります。
――外国人の受け入れを考えたきっかけは。
接客係の求人に、1年で応募が2件しかなかったんです。繁忙期は、人事課長の私も夕食の配膳に入っていました。若手が辞めるたびに、残った人の負担が増える悪循環でした。
――最初は、支援を自社でやるつもりだったそうですね。
社長からは「自前でやれば委託費がかからない」と言われていました。ところが、自社で支援するには、過去2年間の受け入れ実績か、外国人の生活相談の経験がある職員が必要です。うちはどちらもありません。それでも、仕事の量は知っておきたいと思い、10項目を時間に直しました。1人あたり初年度で約75時間。しかも相談は、休日や夜間も受けられる体制が求められます。正直、数字を出すまでは「なんとかなる」と思っていました。シフト制の旅館で、休日の電話番を私1人で抱えるのは無理だと分かりました。
――委託先は、どう選びましたか。
3社に同じ作業表を見せて、「どの項目を、何回、だれが、何語で」と聞きました。決め手は、生活オリエンテーションの資料を見せてくれた会社です。温泉地のごみの分け方や、冬の路面凍結の注意まで入っていました。費用の内訳を項目ごとに出し、送迎の交通費は実費で別、と最初に書いてくれたのも助かりました。夜間の相談は翌朝の折り返しになる、とできないことも書いてあり、そこで信用できると感じました。
――始めてみて、つまずいたことは。
携帯電話の契約が、入社日に間に合わなかったことです。住所を証明する書類が、役所での住居地の届出の後でないとそろわなかった。そこで作業表に「順番」の列を足し、役所への同行を入社の翌日に入れました。2人目のときは、入社3日目には電話がつながりました。
――これから受け入れる会社に伝えたいことは。
委託するか迷ったら、まず10項目を自社の時間に直してみることです。委託しても、旅館としてできることは残ります。うちは地元の秋祭りに2人を誘いました。委託先の交流支援とは別に、職場の仲間として声をかけるのは、私たちの役目だと思っています。
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よくある質問
特定技能を受け入れるなら登録支援機関は必要?
必須ではありませんが、自社で支援の基準を満たせないなら必要です。1号の外国人には10項目の支援が義務で、自社でやるには過去2年間の受け入れ実績などの基準があります。基準を満たせない会社は、登録支援機関に支援の全部を委託することで受け入れができます。
登録支援機関に委託しないとどうなる?
自社で10項目の支援をすべて行うことになります。そのためには支援責任者・担当者の選任や言語の体制などの基準を満たす必要があり、満たせなければ受け入れは認められません。支援を怠ると、指導・助言や改善命令の対象になり、改善命令に違反すると6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。
登録支援機関の費用はだれが払う?外国人本人に負担してもらえる?
受入れ企業が払います。義務的支援の費用を、外国人本人に直接・間接に負担させることは認められていません。本人に負担させている機関は、登録支援機関の登録を受けられないとされています。
登録支援機関はどこで探せますか?
出入国在留管理庁が公開している登録支援機関登録簿(Excel)で探せます。同庁のQ&Aは、登録簿で対応可能言語や連絡先を確かめ、直接問い合わせるよう案内しています。2026年10月8日時点で11,660件が載っており、登録の後に抹消された機関は載っていません。
登録支援機関の登録は、何年ごとに更新が必要ですか?
5年ごとです。更新を受けないと、期間の経過で登録の効力を失い、支援を続けられなくなります。契約の前に、委託先の登録年月日と次の更新の予定を聞いておきましょう。
支援の一部だけを登録支援機関に頼めますか?
頼めますが、その場合は自社が支援体制の基準を満たしている必要があります。基準を満たしたとみなされるのは、支援の全部を委託した場合だけだからです。定期面談は、全部委託の場合を除いて第三者に任せられません。
外国人が2号になったら、委託は続けるのですか?
2号には受入れ企業の支援義務がないため、委託を続けるかは企業が決めます。支援委託契約を終えるときは、14日以内に随時届出が必要です。ほかの1号の外国人のために契約が続く場合は、届出は要りません。
途中で登録支援機関を変えることはできますか?
できます。支援委託契約の終了と新しい契約の締結、支援計画の変更を、それぞれ事由が生じてから14日以内に届け出ます。届出と引き継ぎの手順は登録支援機関の変更(乗り換え)手順で時系列にまとめています。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第2条の5、第19条の18〜第19条の33、第71条の3)(2026年10月確認)
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法施行規則」(第19条の19、第19条の21)(2026年10月確認)
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック~特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ~」(令和7年5月現在)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「登録支援機関登録簿」(2026年10月8日)
- 出入国在留管理庁 有識者会議資料(登録支援機関の委託状況)(2023年4月末)
- 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和8年6月末・速報値)」(2026年6月末)
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和7年6月)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について(令和9年4月1日施行)」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「登録支援機関の登録の更新申請」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(2026年10月確認)
- 福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(令和7年度)
最終更新:(2026年10月版)
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