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特定技能の自社支援とは|登録支援機関に委託しない条件と体制
登録支援機関に委託せず自社で支援できるかは、4つの関門で決まる。判定表で○×をつけてから決める
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
特定技能1号の外国人を受け入れる会社は、10項目の支援を行う義務があります。登録支援機関に委託すれば費用はかかりますが、自社支援なら外に払うお金はかかりません。ただし、特定技能の自社支援には、過去2年間の受け入れ実績、支援責任者・支援担当者の選び方、本人が理解できる言語での体制など、法務省令の基準があります。この記事では、その要件を1つずつ確かめる判定表を示し、2027年4月からの変更点と、委託から切り替えるときの届出まで、2026年10月時点の公的資料で整理します。
- 自社支援は「基準を満たした会社」だけができる:過去2年間の受け入れ実績(または生活相談の経験者)、中立な支援責任者・支援担当者、言語、記録、面談の体制などが要件です(基準省令2条2項)。
- 留学生アルバイトの雇用は「実績」に入らない:数えられるのは、就労系の在留資格(入管法別表第一の一・二・五の表)の外国人を受け入れた実績です。永住者・定住者なども対象外です。
- 直接の上司は支援担当者になれない:支援責任者・担当者は、外国人を監督する立場にない中立な人から選びます。少人数の会社ほど、人選がいちばんの関門になります。
- 2027年4月から常勤・講習・人数の基準が加わる:事業所ごとに常勤の役職員から選任し、支援責任者は養成講習を受け、支援担当者1人あたり1号外国人50人未満が求められます。
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この記事の目次
特定技能の自社支援とは:基準を満たした会社が、10項目を自ら行うこと
特定技能の自社支援とは、登録支援機関に委託せず、受入れ企業が1号外国人への10項目の支援を自ら行うことです。だれでもできるわけではなく、法務省令(基準省令2条2項)の基準を満たす会社に限られます。満たせなければ、登録支援機関に支援の全部を委託することになります。
図1自社支援ができるかの判定の流れ
- 関門1:受け入れ実績か、生活相談の経験があるか過去2年間に就労系の在留資格の外国人を適正に受け入れた実績、またはその生活相談に携わった役職員。なければ全部委託へ。
- 関門2:中立な支援責任者を選べるか役員・職員のうち、外国人を監督する立場にない人。欠格事由に当たらないこと。
- 関門3:事業所ごとに支援担当者を置けるか外国人が働く事業所ごとに1人以上。支援責任者との兼任もできます。
- 関門4:本人が理解できる言語で支援できるか事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談、面談を、本人が十分に理解できる言語で行える体制。
- すべて通ったら:記録・面談・過去の支援状況を確認記録を契約終了から1年以上備え置く体制、3か月に1回以上の面談の体制、5年以内に支援を怠っていないこと。
登録支援機関に委託しない場合の3つの形
委託しない形は、すべて自社で行う「全部自社」と、基準を満たしたうえで一部だけを外に頼む「一部委託」に分かれます。もう1つは、いまは全部委託にして、基準を満たしたら切り替える「段階的な移行」です。基準を満たしたとみなされるのは全部委託の場合だけなので、一部委託でも自社が基準を満たす必要があります(入管法2条の5第5項)。
判定は「4つの関門」から
判定は、実績、支援責任者、支援担当者、言語の4つを先に見ます。ここで通らないと、ほかの体制を整えても自社支援はできないからです。登録支援機関がそもそも何を担うのかは、登録支援機関とは?役割と「義務的支援」10項目で整理しています。
特定技能の自社支援の要件:基準省令が定める7つの条件
自社支援の要件は、基準省令2条2項の7つの号にまとまっています。中心は1号の「実績・経験」と「支援責任者・担当者の選任」です。2号以降は、言語、記録、中立性、過去の支援状況、面談、分野ごとの基準を定めています。
| 号 | 要件の中身 | 関係する主な書類(参考様式) |
|---|---|---|
| 1号 | 実績または経験があり、役職員から支援責任者と、事業所ごとに1人以上の支援担当者を選んでいる | 受け入れた中長期在留者リスト(第1-11-2号)または生活相談業務を行った中長期在留者リスト(第1-11-3号)、支援責任者・担当者の履歴書(第1-20号・第1-22号) |
| 2号 | 本人が十分に理解できる言語で支援できる体制がある | 1号特定技能外国人支援計画書(第1-17号) |
| 3号 | 支援の状況の文書を作り、雇用契約の終了から1年以上備え置く | 相談記録書(第5-4号)、定期面談報告書(第5-5号・第5-6号)など |
| 4号 | 支援責任者・担当者が監督する立場にない中立な人で、欠格事由に当たらない | 履歴書、支援計画書 |
| 5号 | 契約の前5年以内に、支援計画にもとづく支援を怠ったことがない | — |
| 6号 | 本人と監督する立場の人と、定期的に面談できる体制がある | 支援計画書 |
| 7号 | 分野ごとに告示で定める基準に合う | 分野ごとの書類 |
実績・経験は3つのルートのどれか
1号の実績・経験は、次のいずれかで満たします。イは、過去2年間に就労系の在留資格の中長期在留者を適正に受け入れ、または管理した実績です。ロは、過去2年間に同じ範囲の外国人の生活相談業務に従事した役職員を、支援責任者・担当者に選ぶルートです。ハは、イやロと同程度に支援を適正に行えると出入国在留管理庁長官が認める場合です。ハに当たるかは個別の判断になるため、申請の前に地方出入国在留管理局へ相談してください。
「実績」に数えられる在留資格・数えられない在留資格
イの対象は、入管法別表第一の一・二・五の表の在留資格で、報酬を受ける活動などができるものに限られます。この範囲を表に当てはめると、次のように分かれます。
図2受け入れ実績に数えられる在留資格・数えられない在留資格
数えられる(別表第一の二・五の表など)
- 特定技能(1号・2号)
- 技能実習
- 技術・人文知識・国際業務、技能、介護など
- 特定活動(報酬を受ける活動ができるもの)
在留資格に沿って、適正に受け入れ・管理していたことが前提です。
数えられない
- 留学(資格外活動許可のアルバイト)
- 家族滞在
- 永住者、日本人の配偶者等、定住者など(別表第二)
留学と家族滞在は別表第一の四の表、永住者などは別表第二の在留資格で、イの範囲に入りません。
この区分は、外国人を雇った経験がある会社ほど見落としやすい点です。いま全部委託で1号の外国人を2年以上雇っている会社は、イの実績を満たしている可能性があります。
特定技能の支援責任者の要件:だれがなれて、だれがなれないか
支援責任者は、役員か職員のうち、外国人を監督する立場にない中立な人から選びます。支援担当者も同じ考え方で、外国人が働く事業所ごとに1人以上を選びます。少人数の会社では、この人選がいちばんの関門になりがちです。
特定技能の支援責任者の要件は「役職員・中立・欠格事由なし」
支援責任者は、支援計画の実施に責任を持つ人です。要件は次の3つです(基準省令2条2項1号・4号)。
- 会社の役員か職員であること
- 外国人を監督する立場にないなど、中立な立場で支援できること
- 一定の刑罰歴や、破産して復権を得ていないことなどの欠格事由に当たらないこと
支援担当者との兼任はできます(出入国在留管理庁Q&A)。2027年4月1日からは、常勤の役職員から選ぶことも加わります。
「監督する立場」とはだれか
運用要領は、定期面談の相手となる「監督をする立場にある者」の例として、直接の上司や雇用先の代表者などを挙げています。面談を受ける側の人が、支援する側を兼ねるのは中立の考え方に合いません。店長や班長など、毎日の仕事を指示する人は避けます。社長が支援責任者になれるかは、監督の実態によって判断が分かれうるため、申請前に地方出入国在留管理局に確かめると安心です。
図3支援責任者・支援担当者に向く人・向かない人
向く人の例
- 本部の総務・人事・管理部門の役職員
- 外国人の仕事を指示しない部署の常勤職員
- 過去2年間に外国人の生活相談に携わった職員(ロのルート)
本人と監督者の両方に、外から公平に話を聞ける立場が理想です。
向かない人の例
- 直接の上司(店長・班長・ユニットリーダーなど)
- 同じ現場で一緒に働く同僚(相談の中身が職場に伝わりやすい)
- 欠格事由に当たる人
上司は定期面談で「監督者」として面談を受ける側です。
支援担当者は「事業所ごと」に1人以上
支援担当者は、外国人が働く事業所ごとに選びます。店舗や工場が複数あり、外国人が別々の拠点で働くなら、拠点ごとの担当者を決める必要があります。担当者を変えたときは、支援計画の変更として14日以内の届出が必要です(随時届出Q&A)。
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言語・相談・面談・記録の体制:書類に出にくい4つの要件
実績と人選がそろっても、日々の支援を回す体制がなければ要件を満たせません。言語、相談、面談、記録の4つは、申請書類より「運用」で問われる要件です。
本人が十分に理解できる言語で
事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談、定期面談は、本人が十分に理解できる言語で行います。支援計画書も、日本語と本人が理解できる言語で作り、写しを渡して署名で理解を確かめます。社内に話せる人がいない会社は、だれが・いつ・どの方法で通訳するかを先に決めます。言語の体制の考え方は母国語で相談できる登録支援機関の選び方も参考になります。
相談は週に勤務日3日・休日1日以上
運用要領は、相談・苦情を1週間あたり勤務日に3日以上、休日に1日以上受け付け、夜間なども対応できる体制を求めています。緊急連絡先を設け、基本的にいつでも連絡を受けられる体制が望まれるともしています。担当者1人では休みが取れないため、2人以上の当番表を作るのが現実的です。
面談は3か月に1回以上、2人と
定期面談は、支援責任者か支援担当者が、本人と監督する立場の人のそれぞれと3か月に1回以上行います。本人の同意や録画の保管などの条件を満たせばオンラインでもできますが、受け入れ後の初回は対面が望ましいとされています。
記録は契約終了から1年以上
支援の状況の文書は、雇用契約の終了から1年以上、事業所に備え置きます。相談記録書、定期面談報告書、事前ガイダンスと生活オリエンテーションの確認書が中心です。オンライン面談の録画も、契約の終了から1年以上の保管が必要です。
平日9〜18時は支援担当者A(本人の言語で対応)。土曜と日曜はAと支援責任者Bが隔週で受け、夜間は携帯電話で受けて翌朝9時までに折り返す。急病や事故は、当番が119番や警察への連絡を手伝い、Bに報告する。受けた相談は、日時・内容・対応を相談記録書(第5-4号)に当日中に書く。このように「だれが・いつ・何語で・どこに記録するか」を1枚にしておくと、判定表の⑤〜⑧を説明しやすくなります。
自社支援の判定表:4つの関門と残りの要件を○×で確かめる
次の表の「確かめる問い」に、すべて○がつけば自社支援を検討できます。×が1つでもあれば、その時点では全部委託が前提です。×の欄には、埋めるための手当ても書きました。
| 判定項目 | 確かめる問い | ○の目安 | ×のときの手当て |
|---|---|---|---|
| ① 受け入れ実績 | 過去2年間に、就労系の在留資格の外国人を雇っていたか | 特定技能・技能実習・技術・人文知識・国際業務などの雇用がある | 全部委託で受け入れ、2年後に再判定 |
| ② 生活相談の経験 | ①がない場合、過去2年間に外国人の生活相談に携わった役職員はいるか | その人を支援責任者・担当者に選べる | 経験者の採用か、全部委託 |
| ③ 支援責任者 | 外国人を監督しない役職員を選べるか | 本部・管理部門の人で、欠格事由なし | 人選を見直す。社長の場合は事前に入管へ確認 |
| ④ 支援担当者 | 外国人が働く事業所ごとに1人以上選べるか | 上司以外の担当者が拠点ごとにいる | 拠点を絞るか、全部委託 |
| ⑤ 言語 | 本人が十分に理解できる言語で、説明・相談・面談ができるか | 話せる職員がいる、または通訳の手配方法が決まっている | 通訳の手配を決める。決まるまでは委託 |
| ⑥ 相談の受付 | 勤務日に週3日以上・休日に週1日以上、夜間も受けられるか | 2人以上の当番表がある | 当番を増やす。1人なら委託を検討 |
| ⑦ 定期面談 | 本人と監督者に、3か月に1回以上会えるか | 年4回の日程を先に押さえている | 面談の時間を勤務表に組み込む |
| ⑧ 記録 | 相談・面談・確認書の記録を1年以上保管できるか | 様式と保管場所が決まっている | 様式をそろえてから開始 |
| ⑨ 過去の支援 | 5年以内に支援計画どおりの支援を怠ったことはないか | 怠った事実がない | 該当すれば全部委託 |
| ⑩ 2027年4月以降 | 常勤の役職員を選び、支援責任者が講習を受けられるか | 常勤の人選と受講の予定がある | 施行までに人選を見直す |
判定表の使い方
判定は2人以上で別々に行い、結果を突き合わせます。①と②は、雇用契約書や在留カードの写しで、在留資格と期間を確かめます。③と④は候補者の名前を書き込み、ほかの役割と重ならないかを見ます。○の根拠も一言添えておくと、申請書類を作るときにそのまま使えます。
×が出たときの3つの選択肢
1つ目は、×が①②のときです。全部委託で受け入れながら実績を積み、2年後に判定し直します。2つ目は、×が⑤⑥のときで、通訳や当番の手配が決まるまで委託を続けます。3つ目は、基準はすべて満たすものの手が回らない項目があるときです。その項目だけを外に頼む一部委託を選べますが、定期面談は全部委託の場合を除いて任せられません。費用と手間を3年で比べたうえで決めたい場合は、自社支援と委託はどちらが得か|3年間の費用と手間を比較で試算しています。
2027年4月から自社支援に加わる基準
2027年4月1日の改正では、登録支援機関だけでなく、自社で支援する受入れ企業にも新しい基準がかかります。出入国在留管理庁の資料は、選任の単位や講習の義務を、自社支援にも同じように示しています。
図42027年4月1日から自社支援にかかる4つの基準
- 常勤から選ぶ支援を行う事業所ごとに、常勤の役員・職員から支援責任者と支援担当者を1人以上選ぶ(兼任は可)。
- 従事者を限る支援業務に従事できるのは、支援責任者などに限られる。
- 講習を受ける支援責任者は、入管法や労働関係法令などの養成講習を受ける(当分の間は未修了でも差し支えない)。
- 人数の上限支援担当者1人あたり、1号外国人50人未満(3人いれば150人未満まで)。
いまのうちに見直したい人選
パートや短時間勤務の人を支援担当者にしている会社は、施行までに常勤の人へ替えるか、常勤の人を加える必要があります。「従事者の限定」があるため、選任していない職員に支援の一部を任せている運用も見直しどころです。
支援担当者は何人必要か
自社支援の人数の基準は、支援担当者1人あたり1号外国人50人未満です。たとえば1号の外国人が12人なら担当者1人で足ります。60人なら、60÷50=1.2を上回る必要があるため2人以上です。拠点が分かれていれば、事業所ごとの選任も別に必要です。
確認が必要な点
2027年4月以降も「過去2年間の受け入れ実績」などの現在の要件がそのまま続くのかは、公表資料では確認できませんでした。自社支援向けの経過措置があるかも同じです(2026年10月時点)。改正の全体像は2027年4月の制度改正まとめで追っています。最新の運用要領が出たら、判定表の⑩を見直してください。
自社支援を始める手順と、委託から切り替えるときの届出
判定表がすべて○になったら、次の手順で準備します。すでに登録支援機関に全部委託している会社は、最後に届出が加わります。
- 判定表に○×をつける
2人以上で別々に判定し、①〜⑩の根拠になる書類をそろえます。
- 支援責任者・担当者を決める
中立な役職員を選び、本人の了解を得ます。履歴書(第1-20号・第1-22号)を用意します。
- 言語と相談の当番を決める
通訳の方法、勤務日と休日の受付時間、夜間の連絡先を当番表にします。
- 支援計画書を書く
第1-17号の「Ⅱ 特定技能所属機関」の欄に支援責任者・担当者を書き、10項目の実施方法を決めます。
- 記録の様式と保管場所を決める
相談記録書、面談報告書、確認書の様式をそろえ、1年以上保管する場所を決めます。
- 委託から切り替える場合は届け出る
支援計画の変更(第3-2号)と、支援委託契約の終了(第3-3-2号)を、事由が生じてから14日以内に出します。
切り替えの日をどう決めるか
委託から切り替えるときは、委託契約の終了日の翌日を自社支援の開始日にして、支援の空白を作らないようにします。支援計画書は、登録支援機関の欄を消し、自社の欄を書き直します(随時届出Q&A)。解約の予告期間は契約書しだいなので、支援委託契約書のチェックポイントで解約条項を先に確かめてください。
よくある失敗
- 店長など直接の上司を支援担当者にしてしまう
- 留学生アルバイトを雇ってきた経験を「受け入れ実績」と思い込む
- 休日の相談の受け手を決めずに始める
- 通訳の費用を外国人本人の給与から差し引く
- 切り替えの届出を委託先が出すものと思い込む
始めた後も、年に一度は判定し直す
自社支援では、年1回の定期届出(毎年4月1日〜5月31日に前年度分)で、支援の実施状況も受入れ企業が報告します。届出の準備の時期に判定表をもう一度つけると、担当者の異動や退職で崩れた体制に気づけます。担当者を替えたら、14日以内に支援計画の変更を届け出ます。
支援を怠ったときの行政の対応は支援が不十分だった場合のリスク、少人数の会社の進め方は小規模事業者の特定技能にまとめています。
想定ケース:居酒屋チェーン(従業員8人)の管理部長が、判定表の×を3か月で埋めて自社支援に切り替えた理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
- 判定表の10項目すべてが○になるまで、準備は約3か月
- 相談への最初の返事が、平均2日後から当日中に
- 支援にかかる管理部長と担当者の作業は、2人分で月約6時間
――自社支援に切り替えて、何が変わりましたか。
相談の返事が早くなりました。委託していたころは、返事まで平均2日かかっていました。いまは本部の担当者が、その日のうちに折り返します。外食業の特定技能の2人が同じ店で働いていて、支援の作業は2人分で月6時間ほどです。定期面談の報告書も、面談から3日以内に書き上げて、私が目を通しています。
――検討を始めたきっかけは。
2人目の採用です。外食業は海外からの新しい受け入れが止まっているので、同じ分野の中で転職を考えていた人を迎えることにしました。1人目は2年前から全部委託で雇っていて、2人目もそのままでよいか、自社でできるのかを一度きちんと確かめたかったんです。
――判定表をつけて、どうでしたか。
最初の驚きは①の実績です。うちは留学生のアルバイトを何年も雇ってきたので、当然○だと思っていました。ところが、留学の在留資格は数えられないんですね。結局、全部委託で2年雇ってきた1人目が実績になりました。逆に×だったのが、⑤の言語と⑥の休日の相談です。
――×はどう埋めましたか。
言語は、本部で予約とSNSを担当している常勤の社員が、2人と同じ言葉を話せます。店の仕事を指示する立場ではないので、支援担当者をお願いしました。支援責任者は私です。週末に店を手伝う日があるので、監督する立場に当たらないか、申請の前に入管の窓口で勤務の実態を説明して確かめました。休日の相談は、私と担当者の2人で当番表を作り、夜の連絡は翌朝までに折り返すと決めました。
――2人目の受け入れでは、何から始めましたか。
在留資格の変更申請の前に、事前ガイダンスを自分たちで行いました。本部の担当者が母語で、労働条件、店のシフト、住まい、相談の窓口を3時間ほどかけて説明しています。説明に使った資料は、そのまま1人目の生活ルールの見直しにも使えました。協議会には1人目のときに加入していたので、その確認も早く済みました。
――迷ったことはありましたか。
委託先には感謝していたので、切り替えを切り出すのは気が重かったです。ただ、判定表を見せて理由を説明したら、面談記録の引き継ぎに快く協力してもらえました。委託の終了と支援計画の変更の届出は、終了日から4日目に出しています。
――これから考える会社に伝えたいことは。
○×をつける前に「できるはず」と決めないことです。うちも①と⑤で思い込みがありました。2027年からは支援責任者の講習も始まるので、私も受ける予定です。人が少ない会社ほど、だれが何を受け持つかを紙に書くと、できること・できないことがはっきりします。
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よくある質問
特定技能の支援は自社でできる?
基準を満たせばできます。必要なのは、過去2年間の受け入れ実績か生活相談の経験と、中立な支援責任者・事業所ごとの支援担当者です。本人が理解できる言語での体制や、記録と面談の体制も求められます(基準省令2条2項)。満たせない場合は、登録支援機関に支援の全部を委託します。
登録支援機関に委託しないと、費用はかからないのですか?
外に払う委託費はかかりませんが、社内の時間と手配の費用がかかります。10項目を自社でやると、1人あたり初年度で約75時間というのが編集部の試算です。通訳を頼む場合は、その費用も加わります。
留学生のアルバイトを雇ってきた経験は「受け入れ実績」になりますか?
なりません。実績に数えられるのは、入管法別表第一の一・二・五の表の在留資格で、報酬を受ける活動などができるものです。留学は四の表の在留資格なので、資格外活動のアルバイトでも対象外です。
支援責任者と支援担当者は同じ人でもいいですか?
兼任できます。ただし、どちらも外国人を監督する立場にない中立な人である必要があり、支援担当者は事業所ごとに1人以上を選びます。休日や夜間の相談を考えると、当番を交代できる2人目を決めておくと安心です。
一部だけ登録支援機関に頼むことはできますか?
自社が基準を満たしていれば、一部だけ委託できます。支援計画には委託の範囲を書きます。受け入れた後に一部委託へ変える場合は、支援計画の変更の届出が必要です。定期面談は、全部委託の場合を除き第三者に任せられません。
委託から自社支援に切り替えるとき、どんな届出が必要ですか?
支援計画の変更に係る届出(第3-2号)と、支援委託契約の終了に係る届出(第3-3-2号)の2つです。どちらも事由が生じてから14日以内に、地方出入国在留管理局に到達している必要があります。届出を出すのは受入れ企業です。
2027年4月以降も、いまの自社支援の体制のままで大丈夫ですか?
見直しが必要になる場合があります。2027年4月1日からは、常勤の役職員からの選任、支援責任者の養成講習、支援担当者1人あたり1号外国人50人未満などの基準がかかります。新基準の全体は2027年4月の新基準に対応できる登録支援機関の見分け方でも確認できます。
自社支援で支援を怠ると、どうなりますか?
出入国在留管理庁長官による指導・助言や、期限を定めた改善命令の対象になります。改善命令に違反すると、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。支援を怠った会社は、その後5年間、自社支援の基準を満たせなくなります。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(第2条第2項)(2026年10月確認)
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第2条の5、第19条の18〜第19条の22、別表第一)(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック~特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ~」(令和7年5月現在)
- 出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和7年6月)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について(令和9年4月1日施行)」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「支援体制等の主な改正点」(2027年4月1日施行)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の審査状況」(2026年9月10日掲載)
最終更新:(2026年10月版)
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