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フィリピンから特定技能で受け入れる手続き|DMWの手続きと期間
契約の前に3つ、出国の前にOEC。フィリピン側の手続きを、日本側の準備と並べて時系列で示す
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
フィリピンから特定技能で人を受け入れるときは、雇用契約を結ぶ前に、フィリピン政府側の手続きを3つ済ませる必要があります。認定送出機関との募集取決め、移住労働者事務所(MWO)への申請、移住労働者省(DMW)への登録です。本人も、海外雇用許可証(OEC)を取らなければ出国できません。この記事では、特定技能でフィリピンから受け入れる手続きを、日本側の準備と並べて時系列で整理します。日本に住む人を採用する場合の扱いと、時間がかかる理由も、2026年10月時点の公的資料にもとづいて説明します。
- 雇用契約の前に、フィリピン側の3つの手続きを終える:認定送出機関との募集取決め、MWOへの申請(書類に不備がなければ15営業日以内に審査、英語の面接あり)、DMWへの登録です。日本に住む人を採用する場合も同じ扱いです。
- 本人は出国のたびにOECが必要:OECは在留資格認定証明書が有効なうちに申請します。有効期限は発行から60日で、一時帰国から日本へ戻るときも取り直します。
- 期間は「契約の前」と「出国の前」の両方で見込む:在留資格認定証明書の審査は平均64.1日(2026年7月許可分)。入国前結核スクリーニングの結核非発病証明書は、2026年9月25日改正のガイドラインで特定技能外国人は当面の間対象外です。
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この記事の目次
特定技能でフィリピンから受け入れる手続きの全体像:契約の前に3つ、出国の前にOEC
フィリピンから特定技能で受け入れるときは、日本の在留資格の手続きの前と後に、フィリピン政府の手続きが入ります。会社が雇用契約の前に済ませるものが3つ、本人が出国の前に取るものが1つです。3つとは、①認定送出機関との募集取決め、②移住労働者事務所(MWO)への申請、③移住労働者省(DMW)への登録です。出入国在留管理庁の案内では、これらを終える前にフィリピン国籍の人と雇用契約を結ぶことは認められないとされています。
図1フィリピンから特定技能で受け入れるまでの順番
- 募集取決めを結ぶ(会社と認定送出機関)募集と雇用に関する互いの権利と義務を定める文書です。日本の公証役場で認証を受けます。
- MWOに申請し、面接を受ける(会社)書類は郵送し、不備がなければ15営業日以内に審査されます。そのあと、代表者などが英語の面接を受けます。
- DMWに登録される(送出機関を通じて)会社と求人がDMWに登録されると、採用活動を始められます。
- 雇用契約を結び、在留資格認定証明書を申請する(会社)分野の協議会への加入、事前ガイダンス、健康診断は申請の前に済ませます。
- 本人がOECを取って出国する(本人・送出機関)出国前オリエンテーションと健康診断を受け、送出機関を通じてOECを申請します。
数字で見るフィリピンからの受け入れ
図2在留者数と、フィリピン側の手続きの主な数字
- 37,859人特定技能1号(国籍別4位)1号全体の8.9%(2026年6月末・速報値)
- 771人特定技能2号(国籍別4位)2号全体の4.2%(同)
- 15営業日MWOの書類審査書類に不備がない場合の目安
- 60日OECの有効期限発行から。出国のたびに取得が必要
この記事は国ごとの手続きの違いを説明するもので、国籍で人を選ぶことを勧めるものではありません。会社の側で必要な準備の全体は、特定技能の会社選びの総合ガイドでも整理しています。
協力覚書と、フィリピン側の機関(DMW・MWO・OWWA)
手続きの相手は、DMW、MWO、OWWA、認定送出機関の4つです。名前が似ているので、最初に役割を表で分けておくと迷いません。日本とフィリピンの協力覚書は2019年3月19日に東京で署名され、4月1日から協力が始まりました。署名したのは、日本側が法務省・外務省・厚生労働省・警察庁、フィリピン側が労働雇用省(DOLE)です。覚書に決まった有効期間はなく、実施から2年後に必要に応じて見直すとされています。
覚書では、フィリピン側が送出機関の認定を審査し、基準を満たさなくなれば認定を取り消すとされています。その後、海外雇用庁(POEA)は移住労働者省(DMW)に統合されました。日本国内の窓口は、在東京大使館と在大阪総領事館にある移住労働者事務所(MWO)です。
| 機関 | 役割 | 会社との関わり |
|---|---|---|
| DMW(移住労働者省。旧POEA) | 受入れ機関と求人の登録、OECの発行 | 送出機関を通じて登録を受ける |
| MWO(移住労働者事務所) | 書類の審査、受入れ機関の面接、推薦状の発行 | 会社が書類を郵送し、代表者などが面接を受ける |
| OWWA(海外労働者福祉庁) | 出国前オリエンテーション | 本人が送出機関を通じて受講する(半日程度) |
| 認定送出機関 | 募集取決めの相手。DMWへの提出、本人の手続きの取次ぎ | 会社が募集取決めを結ぶ |
| 日本の公証役場 | 募集取決めの認証 | 会社が認証を受ける |
東京か大阪か:MWOの管轄を確かめる
在大阪総領事館のMWOは、2020年2月3日から、管轄区域の受入れ機関の書類受付・審査・面接を行っています。2020年3月5日時点の管轄は、東海(静岡を除く)・北陸・近畿・中国・四国・九州(沖縄を除く)の28府県です。それ以外の地域の会社は東京のMWOが窓口になります。区分は当時の情報なので、申請の前にMWOに確かめます。連絡先は、東京が03-6441-0428/03-6441-0478(mwo_tokyo@dmw.gov.ph)、大阪が06-6575-7593です。対応言語は英語・フィリピノ語・日本語と案内されています。
認定送出機関は、DMWの公開ページで確かめる
フィリピンの認定送出機関の一覧は、出入国在留管理庁のページには載っていません。同庁は、DMWが運営する公開ページで認定の有無を確かめるよう案内しています。会社だけでなく、使う職業紹介事業者や認定送出機関も、日本の職業安定法に反しないことが求められます。
フィリピンのDMWの手続き(特定技能):募集取決めから登録まで6つの手順
会社が行うフィリピン側の手続きは、募集取決め、MWO、DMWの順です。DMWに登録されて初めて、募集や面接に進めます。出入国在留管理庁のQ&Aでは、フィリピン当局によれば特定技能では送出機関を介することが必要で、直接の雇用契約は認められないとされています。
- 認定送出機関を選ぶ
DMWの公開ページで認定を確かめます。送出機関を通さずに本人と直接契約することはできません。
- 募集取決めを結び、公証を受ける
募集と雇用に関する互いの権利と義務を定めた文書を、日本の公証役場で認証してもらいます。
- MWOに書類を郵送する
労働条件を書いた雇用契約書のひな形、募集取決め、求人・求職票などを送ります。不備がなければ15営業日以内に審査されます。MWOの審査に手数料はかかりません。
- MWOの面接を受ける
代表者か権限を与えられた職員が、労働担当官の面接を英語で受けます。必要に応じて、MWOが実地調査を行うこともあります。
- 推薦状を送出機関に渡す
承認されると、認証印の押された書類一式と推薦状(Recommendatory Memorandum)が郵送されます。送出機関がこれをDMWに提出します。
- DMWの登録を受け、採用活動を始める
DMWが労働条件を確かめ、会社と求人を登録します。認証印の押された雇用契約書のひな形が送出機関経由で戻り、募集と面接に進めます。
MWOの面接に出る人を、先に決めておく
面接を受けられるのは、会社の代表者か、権限を与えられた職員です。行政書士を含むコンサルタントや登録支援機関は、代わりに出席できません。通訳の同席は認められています。採用の条件を決めている人が出ると、賃金や勤務時間を聞かれてもその場で答えられます。日程は業務の繁忙期を避けて、早めに押さえます。
2人目以降と、条件を変えるとき
すでにDMWに特定技能所属機関として登録されている会社は、募集取決めとDMW登録を省けます。ただし、契約条件を変える場合や、求人の人数を増やす場合は、求人・求職票の承認手続きが必要です。1人目の求人の段階で、2年目以降の採用予定人数も紹介会社と話しておくと、手続きの回数を読みやすくなります。
日本の紹介会社が関われる範囲
2020年3月時点のQ&Aでは、日本の職業紹介事業者がMWOの審査手続きに関与することは、現在認められていないとされています。その後の扱いは、本記事では確認できていません。紹介会社にどこまで頼めるかは、MWOに確かめてから決めます。
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本人側の手続き:OWWAのオリエンテーションとOEC
在留資格認定証明書が交付されたら、本人の出国の手続きが始まります。最後に取るOECがないと、フィリピンを出国できません。会社は証明書の原本を本人に郵送し、本人は在フィリピン日本国大使館で査証を申請します。並行して、送出機関を通じてOWWAの出国前オリエンテーションと健康診断を受けます。
図3本人がフィリピン側で行う手続き
| 手続き | 申込み | 所要時間 | 条件・注意 |
|---|---|---|---|
| 査証の申請 | 本人が在フィリピン日本国大使館へ | 問題がなければ5業務日 | 在留資格認定証明書を提示する |
| OWWAの出国前オリエンテーション | 送出機関を通じて | 半日程度 | 申込み時に有効な在留資格認定証明書が必要 |
| 健康診断 | 送出機関を通じて | 半日程度 | 査証・オリエンテーションと並行して受けられる |
| OECの申請 | 送出機関を通じてDMWへ | 日数の公表なし | 査証・オリエンテーション・健康診断の後。発行には手数料がかかる |
OECは、出国のたびに取り直す
OECの有効期限は発行から60日です。Q&Aでは、同じ雇用主のもとで働き続ける場合でも、フィリピンを出国するたびに新しいOECが必要とされています。特定技能の在留資格のまま再入国許可(みなし再入国許可を含む)で一時帰国したときも、DMWでOECを取り、出国時に見せます。一時帰国を希望されたら、必要な有給休暇を取らせる決まりもあります。休暇の申し出は早めにもらい、本人がOECを取る時間を休暇に含めておきます。
結核非発病証明書は、特定技能なら当面の間対象外
フィリピンは入国前結核スクリーニングの対象国です。2025年3月24日に健診の受付が始まり、6月23日から、中長期在留者として入国する人に結核非発病証明書の提出が求められています。ただし、2026年9月25日改正のガイドラインは、対象国の国籍の人でも「特定技能外国人」を当面の間対象外としています。いまの扱いでは、特定技能で呼ぶ本人の申請に、この証明書は要りません。
「当面の間」の扱いなので、在留資格認定証明書を申請する前に、ガイドラインの最新版を確かめます。2号に移った人が家族を呼ぶときは別です。家族滞在で入国する家族は対象外の一覧に入っていないため、証明書の提出が求められます。送出機関から「結核の証明書が要る」と言われたら、誰のどの在留資格の話かを確かめましょう。
結核の証明書とは別に、在留資格の申請に出す健康診断個人票(第1-3号)は必要です。申請日から遡って3か月以内の診断で、胸部X線検査を含み、所見があれば喀痰検査も受けます。早く受けすぎると申請の時点で期限が切れるため、申請日から逆算して予約を入れます。
本人に渡す書類は、タガログ語の版を使える
出入国在留管理庁の参考様式のうち、雇用条件書(第1-6号)と健康診断個人票(第1-3号)には、タガログ語を含む10言語の版があります。事前ガイダンスは本人が十分理解できる言語で、対面かテレビ電話で行い、3時間程度が必要と考えられるとされています。
日本に住むフィリピンの人を採用するときも、3つの手続きが先
日本に住むフィリピン国籍の人を採用する場合も、募集取決め・MWO・DMW登録を、雇用契約と在留資格変更許可申請の前に済ませます。出入国在留管理庁のお知らせでは、この扱いは海外から新しく受け入れる場合と同じとされています。日本側だけを見ると「契約して変更申請をすれば終わり」に見えるため、取り違えが起きやすいところです。
図4海外から呼ぶ場合と、日本に住む人を採用する場合
フィリピンから呼ぶ
- 募集取決め・MWO・DMW登録
- 募集・面接・雇用契約
- 在留資格認定証明書の申請
- 査証、OWWAのオリエンテーション、健康診断
- OECを取って出国・入国
在留資格認定証明書の交付から3か月以内に入国します。
日本に住む人を採用する
- 募集取決め・MWO・DMW登録
- 雇用契約
- 本人が在留資格変更許可を申請
- 許可を受けて就労開始
3つの手続きを終えていないと、本人がOECを取れず、一時帰国のあと日本に戻りにくくなります。
技能実習から移る人・転職で来る人
技能実習を終えて特定技能に移る人は、変更の許可を受けるまで働けません。出入国在留管理庁は、就労開始予定日の2か月以上前に申請するよう求めています。2026年7月許可分の在留資格変更(特定技能1号)の平均は59.5日でした。フィリピン側の3つの手続きはその前に必要なので、内定の時期はさらに前倒しになります。
よくある思い込み
- 日本に住んでいる人なら、フィリピン側の手続きは要らない日本在留者を受け入れる場合も、募集取決め・MWO・DMW登録を変更申請の前に済ませるよう案内されています。
- 内定を出してから、募集取決めを結べばよい3つの手続きを終える前に雇用契約を結ぶことは認められないとされています。順番が逆です。
- OECは最初の1回だけ取ればよい有効期限は発行から60日で、出国のたびに必要です。一時帰国から戻るときも取り直します。
フィリピンからの受け入れに時間がかかる理由と、期間の目安
時間がかかるのは、手続きが前の段階の完了を待つ「順番待ち」になっているからです。DMWの登録が終わるまで契約できず、在留資格認定証明書が出るまでOECを申請できません。どこかで止まると、その後ろがすべて遅れます。
時間がかかる3つの理由
- 契約の前に、公証、MWOの審査と面接、DMW登録が入る。MWOの審査は不備がなければ15営業日以内だが、DMW登録の日数は公表されていない
- 日本側でも、分野の協議会などへの加入と在留資格の審査が続く。工業製品製造業の受入事業実施法人(JAIM)への入会は、申請から完了まで2〜3か月程度
- 出国前に、査証、OWWAのオリエンテーション、健康診断、OECが重なる。どれも在留資格認定証明書の有効期間(交付から3か月)のうちに終える
図5手続きごとに公表されている期間の目安(2026年10月時点)
| 手続き | 公表されている目安 |
|---|---|
| 募集取決めの公証 | 日数の公表なし |
| MWOの書類審査 | 不備がなければ15営業日以内(審査のあと面接) |
| DMWへの登録 | 日数の公表なし |
| 協議会など(例:工業製品製造業のJAIM) | 入会の申請から完了まで2〜3か月程度 |
| 在留資格認定証明書 | 標準処理期間1〜3か月。特定技能1号の平均64.1日(2026年7月許可分) |
| 査証 | 問題がなければ申請受理の翌日から5業務日 |
| OWWAのオリエンテーション・健康診断 | それぞれ半日程度 |
| OEC | 日数の公表なし(有効期限は発行から60日) |
入国日から逆算する(工業製品製造業・2027年6月入国の試算)
図6フィリピン側と日本側の手続きを並べた日程の試算
- 送出機関を選び、募集取決めを公証。JAIMに入会を申請
JAIMは完了まで2〜3か月程度。在留資格の申請より前に終えます。
- MWOに書類を郵送し、面接を受ける
不備がなければ15営業日以内に審査。面接は代表者などが英語で受けます。
- DMW登録、募集・面接、雇用契約
契約の後に、事前ガイダンスと健康診断を進めます。健康診断は申請日前3か月以内のものを出すので、申請の月から逆算して受けます。
- 在留資格認定証明書を申請
2026年7月許可分の平均は64.1日。2か月強を見込みます。結核非発病証明書の扱い(特定技能は当面の間対象外)も、この時点の最新版で確かめます。
- 証明書を本人に郵送。査証・オリエンテーション・健康診断を並行
そろったら、送出機関を通じてOECを申請します。
- OECを取得して入国・就労開始
証明書の交付から3か月以内に入国します。
分野ごとの準備は工業製品製造業の特定技能などの分野別の記事で、会社が満たす基準は特定技能の受入れ機関の基準で確かめられます。
費用のルールと、頼む会社に聞くこと
公的な手数料が分かっているのは一部です。Q&Aでは、MWOの審査は無料、OECの発行には手数料がかかるとされていますが、金額は書かれていません。送出機関が本人から取れる費用のフィリピン側のルールは、本記事では確認できていません。金額を推測で決めず、項目・金額・根拠を書面で出してもらいます。
本人に負担させてはいけないもの・してはいけないこと
- 事前ガイダンスや入国時の送迎など、義務的支援の費用を本人に負担させる
- 保証金を取る、または契約の不履行に違約金を定める
- 算出の根拠や内訳を示さないまま、本人から手数料を取る
- パスポートや在留カードを会社や仲介者が預かる
協力覚書は、悪質な仲介事業者の行為として3つを挙げています。預り金などを理由に金銭や財産を管理すること、違約金を定める契約、根拠や内訳を示さない手数料の徴収です。日本の職業紹介の許可条件でも、保証金を取る取次機関などは利用できません。
紹介会社・登録支援機関に聞く5つの質問
- 提携する送出機関は、DMWの公開ページで認定を確認できますか
- 募集取決めの公証とMWOへの書類送付は、誰がどこまで手伝いますか(MWOの審査に日本の紹介会社が関われるかも含めて)
- DMW登録とOECにかかった日数の、過去の実績を教えてください
- OECの手数料や送出機関の費用を、本人が誰にいくら払うのか書面で示せますか
- 入国後の相談に、英語やタガログ語で対応できる担当者は何人いますか
比べるのは、フィリピンの手続きを扱った件数と、本人の分かる言語で支援できる体制です。特定技能のりあい窓口は、条件に合う会社を最大3社まで無料でご紹介する相談窓口です。順位は付けず、選ぶのは御社です。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。手続きでのつまずき方は特定技能の受け入れでよくある失敗10にもまとめています。ほかの国の手続きはベトナム、インドネシア、ミャンマー、ネパールの記事で比べられます。
想定ケース:電子部品工場(従業員85人)の専務取締役が、内定の前にMWOの面接を受けた理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
- フィリピンから3人が入国し、基板の組立てと外観検査の工程に入った
- 最初の相談から入国まで9か月。そのうち、契約前のフィリピン側の手続きが約3か月
- 2回目の募集はDMWに登録済みのため、求人の承認だけで始められた
――3人が入国して、何が変わりましたか。
組立てラインの欠員が、2年ぶりに埋まりました。それまでは検査担当の日本人社員が組立てにも入っていて、残業が月30時間を超える月が続いていました。今は10時間台に収まっています。検査の手が戻ったので、出荷前の手直しも減りました。
――特定技能を考えたきっかけは。
ハローワークに1年求人を出して、組立ての応募が2件だったことです。最初に確かめたのは、うちの仕事が工業製品製造業の「電気電子機器組立て」に当たるかどうかと、受入事業実施法人のJAIMに入れるかどうか。入会に2〜3か月かかると知り、すぐ申し込みました。
――フィリピンの手続きで、何に困りましたか。
最初に話を聞いた会社には、「内定を出してから、フィリピン側の手続きをすれば大丈夫」と言われたんです。ところが出入国在留管理庁のお知らせを読むと、募集取決め、MWO、DMW登録を終える前に雇用契約は結べないと書いてある。順番が逆でした。正直、ぞっとしました。
――依頼する会社は、何で決めましたか。
2社目の担当の方は、MWO、DMW、OECの順番を、日本側の手続きと並べた1枚の時系列表で見せてくれました。DMW登録とOECの日数は公表されていないので、過去の実績で置いています、と最初に言われました。もう一つは「MWOの面接には、どなたが出ますか」と聞かれたことです。代理では出られないと知っていたからこその質問で、この会社なら段取りを任せられると思いました。
――実際に進めて、つまずいたことや工夫は。
募集取決めは公証役場で認証を受けてから郵送しました。面接は私が通訳の方と一緒に受け、労働条件を英語で説明しました。つまずいたのは、証明書が届いた後です。OWWAのオリエンテーションは有効な在留資格認定証明書がないと申し込めないので、届いてから送出機関に頼んだところ、1人の受講日が2週間ほど先になりました。OECはその後でないと申請できず、出国もその分遅れました。次からは交付の見込みが立った段階で送出機関と日程を相談し、届いたその日に申し込めるようにしています。結核の証明書も要ると思い込んでいましたが、特定技能は当面の間対象外だと担当の方に教わりました。扱いが変わることもあるので、申請の前に最新のガイドラインを確かめてもらっています。一時帰国も、OECを取り直す時間が要るので、休暇は2か月前に申し出てもらう決まりにしました。
――これから考える会社に伝えたいことは。
内定より先にやることがある、と最初に知っておくことです。うちは表を一枚作って、会社・送出機関・本人の欄に分けて進めました。2回目の募集では、登録済みなので求人の承認だけで済みました。1回目に手間をかけた分、2回目からは早くなります。
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よくある質問
特定技能でフィリピン人に強い会社は?
国籍で「強い」を決めるより、フィリピン側の手続きを扱った実績で比べるのが確実です。募集取決めの公証、MWOへの書類送付と面接の準備、DMW登録、本人のOECまで、何件を何か月で進めたかを聞きます。採用で国籍を条件にしないことは、職業安定法第3条や外国人雇用管理指針の考え方です。入国後に英語やタガログ語で相談に乗れる体制も確かめます。
フィリピンからの受け入れで時間がかかる理由は?
雇用契約の前にフィリピン政府側の手続きが3つあり、出国の前にもOECなどの手続きがあるためです。DMW登録が終わるまで契約できず、在留資格認定証明書が出るまでOECを申請できません。日本側の在留資格認定証明書の審査も、2026年7月許可分で平均64.1日でした。DMW登録やOECの日数は公表されていないため、送出機関の過去の実績で見込みます。
送出機関を通さずに、フィリピンの人と直接契約できますか?
できません。出入国在留管理庁のQ&Aでは、フィリピン当局によれば特定技能では送出機関を介することが必要で、直接の雇用契約は認められないとされています。送出機関の認定は、DMWの公開ページで確かめます。
日本に住むフィリピンの人を採用する場合も、DMWの手続きは要りますか?
要ります。出入国在留管理庁のお知らせでは、日本在留者を受け入れる場合も同じ扱いです。募集取決め・MWOへの申請・DMW登録を、在留資格変更許可申請の前に済ませるよう案内されています。済ませないと、本人がOECを取れず、一時帰国のあと日本へ戻りにくくなります。
MWOの面接は、登録支援機関や行政書士に代わってもらえますか?
代わってもらえません。面接を受けるのは、会社の代表者か権限を与えられた職員です。面接は英語で行われ、通訳の同席は認められています。必要に応じて、MWOが実地調査を行うこともあります。
OECは、一時帰国のたびに必要ですか?
必要です。OECの有効期限は発行から60日で、同じ会社で働き続ける場合でも、フィリピンを出国するたびに取り直します。再入国許可で一時帰国した場合も、DMWでOECを取って出国時に見せます。休暇の日程には、OECを取る時間を含めておきます。
2人目を採用するときも、募集取決めからやり直しですか?
すでにDMWに特定技能所属機関として登録されていれば、募集取決めとDMW登録は省けます。ただし、契約条件を変える場合や求人の人数を増やす場合は、求人・求職票の承認手続きが必要です。
フィリピンから呼ぶとき、結核の証明書は要りますか?
特定技能で呼ぶ場合は、当面の間、要りません。フィリピンは2025年6月23日から入国前結核スクリーニングの対象ですが、2026年9月25日改正のガイドラインは特定技能外国人を当面の間対象外としています。扱いは変わりうるため、申請の前に最新版を確かめます。在留資格の申請に出す健康診断個人票(第1-3号。申請日から遡って3か月以内)は、これとは別に必要です。
MWOの審査やOECに費用はかかりますか?
Q&Aでは、MWOでの審査に手数料はかからないとされています。一方、DMWによるOECの発行には手数料が必要とされていますが、金額は書かれていません。本人が誰にいくら払うのかは、紹介会社に書面で示してもらいます。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- 出入国在留管理庁「特定技能に関する二国間の協力覚書」(2026年10月14日閲覧)
- 出入国在留管理庁「フィリピン国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ」(2026年10月14日閲覧(管轄区域は2020年3月5日時点))
- 出入国在留管理庁「フィリピン国籍の方を特定技能外国人として受入れ予定の方へ」(2026年10月14日閲覧)
- 出入国在留管理庁 フィリピンの手続に関するQ&A(2020年3月5日時点の情報)
- 出入国在留管理庁掲載 日・フィリピン協力覚書(英文)(2019年3月19日署名)
- 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和8年6月末)のポイント」(2026年6月末・速報値)
- 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和8年6月末現在)第1表(特定技能1号)」(2026年6月末・速報値)
- 出入国在留管理庁「在留審査処理期間(日数)令和8年7月許可分」(2026年7月許可分)
- 出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁・外務省・厚生労働省「入国前結核スクリーニングの実施に関するガイドライン」(令和8年9月25日改正)
- 外務省「査証取得までの必要日数」(2022年12月5日)
- 出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(2026年8月20日更新)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(令和7年4月1日一部改正版)
- 出入国在留管理庁「工業製品製造業分野」(2026年6月25日現在)
- 一般社団法人工業製品製造技能人材機構「JAIMの概要及び入会手続について」(2026年8月5日)
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「技能実習生が「特定技能」に在留資格変更許可申請を行った後、稼働ができなくなるケースが発生しています!」(2025年7月8日掲載)
- 厚生労働省「職業紹介事業の許可基準等の改正について」(2019年4月1日適用)
- 国際交流基金「国際交流基金日本語基礎テストに係る試験実施要領」(令和8年7月改正)
- e-Gov法令検索「職業安定法」(2026年10月)
- 労働政策研究・研修機構「外国人雇用管理指針」改正告示(2026年5月29日)
最終更新:(2026年10月版)
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