特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/nihongo-gakushu-shien/ 印刷日:2026年10月15日

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  • 支援・定着
  • 2026年10月版

特定技能外国人の日本語学習支援|会社でできる方法と費用

義務は「学習の機会の提供」まで。上乗せの支援は、会社の費用と本人・担当者の時間で選びます

特定技能の外国人を受け入れると、日本語学習の支援は義務的支援の1つになります。とはいえ、日本語学校の費用まで出すべきなのか、社内で何をすればよいのか、迷う会社は少なくありません。この記事では、出入国在留管理庁の運用要領が示す「日本語学習の機会の提供」の中身をまず確かめます。そのうえで、会社が上乗せでできる支援を、費用と時間の目安で比べます。公的調査から分かった、外国人本人が日本語の学習で困っていることや、ほかの会社の支援の実態もあわせて紹介します。

この記事の結論
  • 義務は「日本語学習の機会の提供」:日本語教室などの入学案内、教材やオンライン講座の情報提供、登録日本語教員等との契約による講習のいずれかを、本人の希望に基づいて行います。その費用を本人に負担させることはできません。
  • 上乗せの支援は費用と時間で選ぶ:勤務時間内の社内勉強会、受講料の負担、試験の合格手当などがあります。日本語学習を何らかの形で支援している会社は47.1%です。
  • 最初に教えるのは「仕事の日本語」:N4は基本的な日本語が分かる水準です。職場の言葉の一覧と、日本人側のやさしい日本語を組み合わせると、早く効果が出ます。

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この記事の目次

特定技能の日本語学習支援は「義務の案内」と「上乗せ」の2段で考える

特定技能1号の日本語学習支援で義務になっているのは、学習の「機会の提供」です。日本語学校の授業料を出すことや、社内で授業をすることまでは求められていませんが、上乗せすると仕事の立ち上がりが早くなります。

この記事では、義務の範囲と上乗せの支援を分け、上乗せは「会社の費用」と「本人・担当者の時間」で比べます。予算が少ない会社でも、選べる方法はあります。

図1日本語学習支援の3つの段階

  • 義務:機会の提供日本語教室などの入学案内、教材やオンライン講座の情報提供、講習の機会のいずれかを、本人の希望に基づいて行う。費用は会社側が持つ。
  • 上乗せ:時間とお金の支援勤務時間内の勉強会、受講料や教材費の負担、試験の受験支援と合格手当など。会社が選んで行う。
  • 職場ぐるみ:使う場をつくる仕事の言葉の一覧、日本人側のやさしい日本語、話す機会。学んだ日本語を使える職場にする。
1段目は全員に必ず行い、2段目と3段目は会社の状況に合わせて組み合わせます。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日改正)

試験に合格していても、支援は要る

1号の人は、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)か日本語能力試験N4以上に合格しています。関連する分野の技能実習2号を良好に修了し、試験を免除された人もいます。それでも支援が必要か、という問いに、出入国在留管理庁のQ&Aは必要だと答えています。「日本語による円滑なコミュニケーションが可能となるよう適切な支援を行ってください」という書き方です。同時に、この支援は「必ず日本語教育機関や私塾に通学させなければならないなどというものではありません」とも書かれています。

ほかの会社は、どこまでやっているか

日本政策金融公庫の調査では、外国人を雇う686社のうち、日本語学習を何らかの形で支援している会社は47.1%でした。数値が示されている上位2つは、どちらも社内の従業員が行う勉強会でした(後の章の図で紹介します)。外部にお金を払わなくても、始められる支援があるということです。

日本語学習の機会の提供は義務:運用要領が示す3つの方法

運用要領は、次の3つの「いずれか」の方法で、かつ本人の希望に基づいて支援を行うよう求めています。どれを選んでも、その費用を本人に負担させることはできません。

図2義務的支援「日本語学習の機会の提供」の3つの方法

  • 1入学案内と手続きの補助

    日本語教室や認定日本語教育機関の入学案内を渡し、必要に応じて入学の手続きを手伝います。

  • 2教材・オンライン講座の情報提供

    自主学習用の教材やオンライン講座の情報を伝え、必要に応じて入手や契約を手伝います。

  • 3講習の機会の提供

    本人との合意のうえで、登録日本語教員等と契約し、日本語の講習を受ける機会をつくります。

3つのうち、本人の希望に合う方法を選びます。案内するだけでなく、必要に応じて手続きや契約まで手伝います。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日改正)

「本人の希望に基づき」を記録に残す

支援を行ったことを示すには、本人に何を聞き、何を案内したかの記録が役立ちます。入社前後の面談で、学習の目標(仕事の会話、試験の合格など)、使える時間帯、通える場所、スマートフォンの有無を聞きます。その答えと、案内した内容を記録します。記録は、年1回の定期届出の準備にも役立ちます。

運用要領は、会社が選んで上乗せする任意的支援も挙げています。日本語の試験の受験支援や、資格を取った人への優遇です。入学金・月謝・教材費・契約料などの全部または一部を会社が負担することも、その1つです。

委託していても、会社に残ること

支援は登録支援機関に全部委託できます。ただし、勤務時間の中に学習の時間を取れるか、職場で日本語を使う場をつくれるかは会社にしか決められません。自社で支援する場合の体制は特定技能の自社支援とはで解説しています。

2026年6月から、指針にも日本語学習の努力義務

特定技能に限らず、外国人を雇うすべての会社に関わる変化もあります。2026年5月29日に外国人雇用管理指針の改正が告示され、2026年6月14日から新しい努力義務が加わりました。日本語教育の推進に関する法律の基本理念にのっとり、国や自治体の施策に協力して、日本語学習の機会の提供などに努める、という内容です。教育訓練についても「日本語能力に配慮した教育訓練の実施」に努める、と書き改められています。

外国人社員の日本語教育は「仕事の日本語」から始める

最初の3か月で優先するのは、試験のための日本語より、仕事で毎日使う言葉です。安全、道具や材料の名前、報告の言葉が分かるだけで、ミスと指示の手間が目に見えて減ります。

N4は「基本的な日本語が分かる」水準

日本語能力試験のN4は、「基本的な日本語を理解することができる」水準とされています。聞く力の目安は、日常的な場面で、ややゆっくり話される会話ならほぼ理解できる、というものです。JFT-Basicは250点満点で、200点以上がA2と判定されます。現場の早口、略語、方言、専門用語は、この水準の外にあります。試験の点数と会話力の違いは特定技能人材の日本語力の見極め方で詳しく扱っています。

職場の言葉の一覧を、50語からつくる

現場の責任者と30分ほど話し、毎日使う言葉を書き出します。最初は50語程度で十分です。

  • 安全の言葉:「止めて」「危ない」「触らないで」「けが」
  • 物の名前:よく使う道具・材料・場所の名前を、写真と一緒に
  • 報告の言葉:「終わりました」「できません」「もう一度お願いします」「分かりません」
  • 数と時間:「10こずつ」「3時まで」「半分」

一覧ができたら、本人の母国語の訳を横に書いてもらいます。本人が自分で訳すと、どこが分かっていないかも見えてきます。

日本人の話し方も一緒に変える

公庫の調査では、「わかりやすい日本語を使うよう日本人従業員に指示している」会社が50.8%ありました。外国人と日本人の意思疎通を良くする取り組みの1位です。外国人が学ぶだけでなく、日本人が短く、はっきり、言い切って話すと、学んだ言葉がそのまま通じます。言い換えの例はやさしい日本語で伝えるにまとめています。

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費用と時間で比べる、上乗せの日本語学習支援

上乗せの支援は、外部にお金を払う方法と、社内の時間を使う方法に分かれます。公庫の調査で上位に並ぶのは、社内の従業員が行う勉強会、つまり時間を使う方法です。

図3外国人従業員への日本語学習の支援(686社)

  • 何らかの支援をしている47.1%
  • うち、仕事の日本語の勉強会を従業員が行う20.6%
  • うち、日常生活の日本語の勉強会を従業員が行う15.6%
  • 特に支援していない52.9%
支援の内容は複数回答で、本文で数値が示されている上位2つを載せています。在留資格を問わない数字です。出典:日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)

図4上乗せの日本語学習支援の費用と時間の目安

方法ごとの会社の費用・本人の時間・社内の手間
方法会社の費用本人の時間社内の手間向いている場面
無料の教材・学習サイトを紹介し、使い方を一緒に確認0円本人の空き時間最初に30分〜1時間全員に(義務の範囲)
地域の日本語教室に通えるよう、シフトや送迎を配慮無料の教室なら0円。送迎の費用教室の時間(曜日と回数は教室による)シフトの調整近くに教室がある
社内勉強会(社員が講師)講師役と受講者の人件費週30分〜1時間言葉の一覧づくり仕事の言葉を早く覚えたい
外部講師・オンラインレッスン契約料(事業者ごとに見積もり)週1〜2時間契約と日程の調整人数が多い、目標の試験がある
日本語学校・通信教育の費用を負担入学金・月謝・教材費の全部か一部通学・課題の時間申込みの補助本人の意欲が高い
試験の受験支援と合格手当受験料・手当の額試験勉強申込みと試験日の勤務調整目標を数字で示したい
時間は例です。金額は地域や事業者で変わるため、外部に払う費用は見積もりで確かめます。費用を会社が持つ支援は、運用要領で任意的支援として挙げられています。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日改正)

勉強の時間は労働時間か

厚生労働省のガイドラインは、次の時間を労働時間の例に挙げています。「参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間」です。会社が参加を指示する勉強会は、勤務時間として扱うのが前提です。任意の参加にするなら、参加しなくても不利にならないことを、本人に分かる言葉で伝えておきます。

日本語教室とオンライン講座を外国人社員に合わせて選ぶ

学ぶ場は、本人の勤務シフトと通える距離で選びます。在留外国人基礎調査では、学習の困りごととして、受講料などの料金が高いこと(16.6%)と、無料の日本語教室が近くにないこと(16.4%)が上位に並びました。お金と場所が、学習を止める大きな理由になっています。

図5日本語の学習で困っていること(上位3つ、複数回答、3,194人)

  • 受講料などの料金が高い16.6%
  • 無料の日本語教室が近くにない16.4%
  • 学んだ日本語を活かせる機会がない13.3%
在留資格を問わない調査です。学習していない人の理由では、都合のよい時間帯の教室がないことが15.2%でした。出典:出入国在留管理庁「令和7年度 在留外国人に対する基礎調査」概要資料(2026年5月公表)

公的な無料の学習の場と教材

費用をかけずに始められる選択肢から押さえます。

  • 地域の日本語教室:自治体や国際交流協会などが開いている教室。場所と時間は市区町村の窓口で確かめます
  • 国の日本語学習サイト「つながるひろがる にほんごでのくらし」:2022年2月の文化庁の資料では、登録不要で誰でも使え、14言語に対応しています。パソコンやスマートフォンで学べます
  • 国際交流基金の教材「いろどり 生活の日本語」:入門・初級1・初級2・初中級の4段階で、サイトでPDFと音声が公開されています

講習を外部に頼むなら、認定日本語教育機関や登録日本語教員も目安になります。日本語教育機関の認定と、日本語教師の国家資格である登録日本語教員の制度は、2024年4月に始まりました。

図6日本語教室(対面)とオンライン講座の比べ方

日本語教室(対面)

  1. 近くの教室と曜日・時間を調べる
  2. シフトと通う手段を決める
  3. 初回は会社の人が同行する
  4. 月1回、続いているか聞く

ほかの受講者や地域の人と話せるのが強みです。夜勤や交代制だと、時間が合わないことがあります。

オンライン講座

  1. 本人の端末と通信環境を確かめる
  2. 目標に合う講座を2〜3個比べる
  3. 受講する時間帯を勤務表に書く
  4. 学んだ言葉を職場で使う場をつくる

時間と場所を選びません。続けるには、学んだことを職場で使う機会を会社がつくる必要があります。

どちらか一方に決めず、平日はオンライン、休日は教室のように組み合わせる方法もあります。

教室・講座を選ぶときの3つの確認

  • 時間:本人のシフトで、月に何回通えるか(夜勤・早番の週も含めて数える)
  • 中身:生活の日本語か、仕事の日本語か、試験対策か。本人の目標と合っているか
  • 負担:受講料・教材費・交通費を誰が持つか。会社が持つなら、全員に同じ基準で

職場の日本人と話す機会は、教室では補えない練習になります。費用をかけない交流の工夫は日本人従業員との交流促進で紹介しています。2号に移って家族を呼んだ後は、家族の日本語や子どもの学校の相談を受けることもあります。その備えは特定技能2号の家族帯同と生活支援を参考にしてください。

日本語学習支援の進め方:入社前から6か月までの手順

支援は、入社前の聞き取りから始め、3か月ごとの面談で見直します。下の6つの手順なら、担当者1人でも回せます。

  1. 入社前に、目標と使える時間を聞く

    仕事の会話、試験の合格など、本人の目標を聞きます。勤務シフトと通勤手段も確かめます。内定から入社までの連絡の中で聞くと自然です(内定から入社までのフォロー)。

  2. 義務の案内と手続きの補助を行う

    教室・教材・オンライン講座の情報を、本人の希望に合わせて案内します。申込みまで一緒に済ませ、案内した日と内容を記録します。

  3. 職場の言葉の一覧を渡す

    50語程度の一覧に写真と母国語訳を付け、入社初日に渡します。現場の指導役にも同じものを持たせます。

  4. 学ぶ時間を決める

    勤務時間内に週30分取るのか、任意で勤務時間外にするのかを決め、就業規則や社内のルールに書きます。会社が指示する学習は労働時間です。

  5. 3か月ごとに振り返る

    定期面談に合わせ、困っている言葉や場面を聞きます。相談が本人の言語でできる仕組みは相談・苦情対応の体制づくりで解説しています。

  6. 6か月目に上乗せを決める

    続いている人には、試験の受験支援や合格手当、受講料の負担などを検討します。基準は全員に同じものを示します。

やってはいけないことと、よくある思い込み

日本語学習支援で避けるべきなのは、費用を本人に回すことと、指示した学習を無給にすることです。思い込みで支援を減らしたり、逆に重くしすぎたりする失敗もよく起きます。

やってはいけないこと

  • 義務的支援にかかった費用を、本人に払わせる、給料から差し引く
  • 会社が参加を指示した勉強会を、勤務時間外の無給にする
  • 本人の希望を聞かずに教室を決め、記録も残さない

よくある思い込み

  • N4に合格しているから、支援はいらない出入国在留管理庁のQ&Aは、入国時に一定の日本語力があっても、適切な支援を行うよう求めています。
  • 日本語学校に通わせないと義務を果たせない同じQ&Aで、必ず日本語教育機関や私塾に通学させなければならないものではない、とされています。教材やオンライン講座の案内も方法の1つです。
  • 教材を渡せば、あとは本人しだい在留外国人基礎調査では「学んだ日本語を活かせる機会がない」が13.3%でした。職場で使う場がないと、学習は続きにくくなります。
  • 合格した人だけ評価すればよい試験の合格は分かりやすい目標です。ただ、現場で報告ができるか、安全の言葉が分かるかも評価に入れると、学習の目的が仕事につながります。

年間の費用と時間を見積もる:3つのプランの例

日本語学習支援の予算は、「外部に払うお金」と「社内の時間」を足して考えます。外部に払うお金が0円でも、勉強会を開けば時間の費用がかかるため、両方を年単位で並べると比べやすくなります。

図7日本語学習支援の年間の費用の考え方

年間の費用=外部に払うお金受講料・教材費・受験料・手当+社内の時間×時給換算講師役・受講者・担当者

時間の費用は見落とされがちです。勤務時間内に学ぶなら、受講者の時間も入れます。

図81人を受け入れたときの年間の時間の目安(編集部の試算)

3つのプランの外部費用と社内の時間(1年間、1人あたり)
プラン内容外部に払うお金社内の時間(年間)
A:義務の範囲教材・教室の案内と手続きの補助、3か月ごとの振り返り0円から担当者 約4時間(入社時2時間+30分×4回)
B:社内勉強会Aに加えて、勤務時間内に週1回30分の勉強会0円から講師役 約26時間、受講者 約26時間(30分×52週)
C:外部の講座と手当Aに加えて、オンライン講座の受講料と試験の合格手当を会社が負担受講料・受験料・手当(見積もりと社内のルールで決まる)担当者 約6時間(契約・日程・申込みの補助)
時間は、週1回30分を52週続けるなどの仮定で計算した目安です。自社の勤務表に合わせて置き換えてください。

時間をお金に換えてみる

講師役の社員の人件費を時給換算2,000円と仮定すると、プランBの講師役26時間は年52,000円です。受講者が3人に増えても、講師役の時間は同じです。複数の人を受け入れる会社ほど、1人あたりの費用は下がります。

予算が限られるなら、AとBを組み合わせて始め、6か月目に続いている人へCを上乗せする順番が無理のない進め方です。日本語の支援を含めた定着策の全体は特定技能外国人の定着率を上げる方法で紹介しています。

想定ケース:ビルクリーニング会社(従業員45人)の総務課長が「勤務時間内の30分」を選んだ理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

  • 現場で「終わりました」「できません」が言えるまでの期間が、約3か月から約6週間に短くなった
  • 週1回30分の社内勉強会を、半年で22回続けた
  • 勉強会の費用は、講師役の時間を含めて月1万円ほど(社内の試算)

――半年たって、何が変わりましたか。

一番は報告です。作業が終わったとき、道具が足りないとき、自分から言えるようになるまでが早くなりました。前に受け入れた人は3か月くらいかかりましたが、今回の3人は6週間ほどです。現場の班長から、確認の電話が減ったと言われました。(ビルクリーニング会社・従業員45人・総務課長・40代)

――以前は、どんな支援をしていたのですか。

委託先が地域の日本語教室を案内してくれて、それで義務は果たしている、という認識でした。ところが本人たちは早朝と夜の現場が多くて、教室の時間に一度も行けていなかった。案内はしても、学ぶ機会にはなっていなかったんです。

――どこで迷いましたか。

外部の講師に頼むか、社内でやるかです。見積もりを取ると、うちの規模では続けられる金額ではありませんでした。委託先の担当者に相談したら、「最初の半年は試験より現場の言葉です。社内で週30分なら、費用は時間だけで済みます」と言われて。高いサービスを勧められると思っていたので、少し意外でした。

――勉強会では、何をしているのですか。

班長と一緒に作った60語の一覧です。洗剤や道具の名前、「滑ります」「止めてください」といった安全の言葉、報告の言い方。写真を付けて、本人たちに母国語の訳を書いてもらいました。勤務時間内にして、参加は業務として扱っています。

――つまずいた点はありましたか。

最初の1か月は、講師役の社員が忙しい週に2回中止になりました。いまは講師を2人にして、どちらかが必ず入れるようにしています。もう1つは、日本人側の話し方です。勉強会で覚えた言葉を、現場で早口の言い方に戻されると通じない。班長にも一覧を持たせてから、そのずれが減りました。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

外国人社員の日本語学習にかかる費用は?

義務の範囲(教室や教材の案内と手続きの補助)なら、外部に払う費用は0円から始められます。上乗せでは、社内勉強会なら講師役と受講者の時間分の人件費、外部講師なら契約料、試験の支援なら受験料や手当がかかります。外部に払う金額は事業者や地域で変わるので、見積もりで確かめてください。義務的支援の費用を本人に負担させることはできません。

何をすれば「日本語学習の機会の提供」を行ったことになりますか?

次の3つのいずれかを行います。①日本語教室などの入学案内と手続きの補助、②教材やオンライン講座の情報提供と入手・契約の補助、③登録日本語教員等と契約した講習の機会の提供です。どれを選ぶ場合も、本人の希望に基づくことが前提です。何を聞き、何を案内したかを記録しておきましょう。

日本語の勉強の時間に、給料を払う必要はありますか?

会社が参加を指示する勉強会は、労働時間として扱うのが前提です。厚生労働省のガイドラインは、業務上義務づけられた研修や、使用者の指示で業務に必要な学習をした時間を労働時間の例に挙げています。任意参加にする場合は、参加しなくても不利にならないことをはっきり伝えましょう。

日本語能力試験の受験料は、会社が払うべきですか?

義務ではありませんが、運用要領は受験の支援や資格を取った人への優遇を、会社が上乗せで行う支援として挙げています。払う場合は、対象・金額・条件を全員に同じ形で示します。試験の日が勤務日に当たるなら、シフトを調整することも支援になります。

登録支援機関に委託していれば、会社は何もしなくてよいですか?

案内や手続きの補助は委託できますが、学ぶ時間をシフトに組み込めるか、職場で日本語を使う場をつくれるかは会社が決めることです。委託先が何を案内したか、本人が実際に通えているかを、定期面談の記録で確かめましょう。

オンラインの日本語講座だけで足りますか?

義務を果たす方法としては、オンライン講座の情報提供と契約の補助も認められています。ただ、学んだ言葉を使う機会がないと伸びにくいため、職場の言葉の一覧や、日本人との会話の場と組み合わせると効果が上がります。

日本語の勉強に気が進まない人には、どうすればよいですか?

本人の目標と、日本語を結びつけて話すことから始めます。2号の試験、資格の取得、昇給の条件など、本人が望むことに日本語がどう関わるかを具体的に示します。支援は本人の希望に基づいて行うものなので、無理に通わせるより、勤務時間内の短い勉強会のように参加しやすい形を用意しましょう。

どのレベルを目標にすればよいですか?

試験の級より先に、仕事で必要な場面から決めるのが現実的です。参考までに、日本語能力試験のN3は、日常的な場面でやや自然な速さの会話をほぼ理解できる水準とされています。報告・安全・お客様への対応など、自社で必要な場面を先に挙げましょう。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日改正)
  2. 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
  3. 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表(調査は2024年9〜10月))
  4. 出入国在留管理庁「令和7年度 在留外国人に対する基礎調査」概要資料(2026年5月公表(調査は2025年10〜11月))
  5. 労働政策研究・研修機構「外国人雇用管理指針」改正告示(2026年5月29日告示(2026年6月14日から段階的に適用))
  6. 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(2026年10月確認)
  7. 日本語能力試験「N1〜N5:認定の目安」(2026年10月確認)
  8. 国際交流基金「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」(2026年10月確認)
  9. 文化庁「つながるひろがる にほんごでのくらし」活用オンラインセミナー資料(2022年2月)
  10. 文部科学省「日本語教師の学び直し・復帰促進アップデート研修事業について」(2026年10月確認)

最終更新:(2026年10月版)

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