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転職されない職場づくり|引き抜きに負けない待遇と関係づくり
時給で張り合う前に、評価・住居・相談・将来の4つで「ここで働き続ける理由」をつくる
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
育ててきた特定技能の社員に、他社から好条件の誘いが来た。給料を上げれば引き止められるのか、ほかに手はあるのか。特定技能1号は同じ分野の中なら本人の意思で転職でき、契約で縛ることはできません。公的調査でも、外国人が退職した理由の1位は「日本で転職するため」51.0%でした。この記事では、特定技能の引き抜き対策を、給与の最低ラインと、給与以外で選ばれる4つの理由(評価・住居・相談・将来)に分け、今日から使える具体策として示します。数字は2026年10月時点の公的資料にもとづきます。
- 転職は止められないが、選ばれ続けることはできる:1号は同じ分野内なら本人の意思で転職でき、違約金や保証金で縛ることはできません。2021〜2024年に1号を得た人の22.4%が転職し、最初の転職の86.6%は資格を得てから2年以内でした。
- 給与は「同等以上」と「昇給の見通し」が最低ライン:日本人と同等以上の報酬は受け入れの基準です。そのうえで、何ができればいくら上がるかを先に示すと、時給の差だけで比べられにくくなります。
- 給与以外の4つの理由をつくる:評価の見える化、住居の質と負担、相談できる関係、5年後までの道筋。木材産業のように2号がない分野では、5年間で身につくことを具体的に示します。
- してはいけない引き止めがある:パスポートの預かり、違約金の約束、退職の申し出を受け付けないことは、違法または不適切です。
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この記事の目次
結論:特定技能の引き抜き対策は「給与の底上げ+4つの理由」で考える
特定技能の引き抜きに負けない会社は、給与を同業並みに保ったうえで、評価・住居・相談・将来の4つで「ここに残る理由」をつくっています。時給の差だけで比べられると、都市部の会社や大きな会社には勝ちにくいからです。
特定技能1号は、同じ分野の中なら本人の意思で転職できます。会社がすべきことは、辞めさせない仕組みではなく、比べられたときに選ばれる条件をそろえることです。
図1特定技能の転職を数字で見る
- 51.0%外国人の退職理由「日本で転職するため」最近5年間に外国人の退職があった484社の回答(複数回答)
- 22.4%1号を得た後に転職した人の割合2021〜2024年の取得者341,253人のうち76,338人
- 86.6%最初の転職が資格取得から2年以内1年未満44.5%+1〜2年42.1%
- 66.0%都道府県をまたいだ転職延べ90,029件のうち59,387件
時給だけの勝負は、地方の会社に不利
2026年度の地域別最低賃金は、最も高い東京が1,280円、最も低い宮崎が1,085円で、差は195円です。月160時間働くと、約31,200円の差になります(試算)。出入国在留管理庁の集計でも、東京都・神奈川県・大阪府などの大都市圏は、特定技能の転職で転入が転出を上回っていました。地方の会社が時給だけで追いかけると、上げても上げても差が残ります。
だからこそ、給与は「最低ライン」として整え、差は4つの理由でつけます。人手不足の中で特定技能を選ぶ判断そのものは、日本人が採用できない会社の人手不足対策で整理しています。
引き抜きはなぜ起きるのか:転職の自由と、比べられる条件
引き抜きが起きるのは、特定技能の制度が同じ分野内の転職を認めていて、条件の差が本人にも見えやすいからです。会社や分野を変えるには在留資格の変更許可が必要ですが、手続きを踏めば職場は移れます。
契約で縛ることはできない
労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定したりする契約を禁じています。特定技能の基準でも、会社が違約金を定める契約を結ぶことや、保証金を取ることは認められていません。「3年は辞めない」という約束を書面にしても、違約金や賠償で縛る形にはできません。
紹介会社による転職の勧誘には決まりがある
厚生労働省の指針は、職業紹介事業者が、自社の紹介で就職した人に対し、就職した日から2年間は転職を勧めてはならないとしています。ただし対象は、期間の定めのない労働契約を結んだ人に限られます。お祝い金などの名目で、社会通念上相当な程度を超える金銭を出して求職の申込みを勧めることも禁じられています。有期契約の多い特定技能では、この決まりだけに頼れない点に注意が要ります。
- 誓約書を書いてもらえば、辞めない違約金や損害賠償を予定する契約は労働基準法16条で禁止です。誓約書に縛る力はありません。
- 時給を他社に合わせれば、引き止められる時給の差は、次に別の会社が条件を上げれば同じように生まれます。合わせるなら、昇給の条件とセットで示します。
- 技能実習から来た人は、転職しにくい転職経験者の割合は、技能実習ルートで20.7%、試験ルートで25.2%でした。どちらも2割を超えています。
- 2年を過ぎれば、もう辞めない最初の転職の86.6%は2年以内ですが、2〜3年でも11.8%が転職しています。評価と将来の話は毎年必要です。
給与の最低ライン:同等以上の報酬と、手取りでの比較に備える
給与で外してはいけないのは、日本人と同等以上の報酬と、手取りで比べられても説明できる明細です。特定技能では、同じ仕事をする日本人と同等以上の報酬が受け入れの基準になっています。賃金規定があれば規定で、なければ同じ仕事の日本人と比べて判断されます。
公的統計で見る特定技能の賃金
令和7年の賃金構造基本統計調査(一般労働者)では、在留資格「特定技能」の賃金は221.4千円で、前年から4.8%増えました。平均年齢は29.5歳、平均勤続年数は2.4年です。外国人労働者全体は254.3千円、技能実習は190.3千円でした。自社の水準を、まず同じ地域・同じ分野の求人と並べて確かめます。
特定技能の給料を上げるなら、定着につながる上げ方を選ぶ
同じ人件費でも、上げ方で定着への効き方が変わります。一律に時給を上げるより、「何ができればいくら上がるか」を決めて上げるほうが、本人が次の目標を持てます。2年以上続けて受け入れている会社は、定期届出で昇給率も報告します。昇給の記録は、そのまま入管への報告にもつながります。
| 上げ方 | 定着への効き方 | 注意すること |
|---|---|---|
| 一律に時給を上げる | すぐ効くが、他社が上げると差が消える | 日本人社員との釣り合いを確かめる |
| 評価で段階的に上げる | 次の目標ができ、2年目以降も効く | 評価の基準と金額を入社時に紙で渡す |
| 資格・技能の手当 | 機械の操作や検査など、できる仕事が増える | 手当の条件を日本人と同じにする |
| 住居費の負担を軽くする | 手取りが確実に増え、比べたときに効く | 住居で利益を得ない。条件は日本人と同等に |
| 賞与・一時金 | 支給月の前後は残りやすい | 支給の条件を明細とともに説明する |
図2本人が他社と比べている「手取り」の中身
比べられる手取り=時給×時間+残業代残業が少ない月の額も示す−税金・社会保険料どの会社でもかかる−寮費・光熱費会社ごとの差が大きい+昇給の見込み1年後にいくらになるか
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外国人の定着を左右する待遇:評価と昇給を見える形にする
外国人の定着に効く待遇は、評価の基準と昇給の金額を、本人が分かる形で先に示すことです。「頑張れば上がる」では、他社の具体的な時給提示に負けます。「この3つの作業を1人でできたら、時給を30円上げる」のように、条件と金額をセットにします。
図3評価シートの項目例(製造・加工の現場の場合)
- ① 安全保護具の着用、機械の停止手順、危ないと思ったときの報告ができる。
- ② 品質寸法や外観の基準を守り、不良を見つけたら止められる。
- ③ 段取り決められた時間で準備と片付けができる。
- ④ 機械の操作担当できる機械の数。1台増えるごとに評価に反映する。
- ⑤ 報告「終わりました」「足りません」を日本語で伝えられる。
- ⑥ 教える新しく入った人に、手順を見せて教えられる。
評価は「半年ごと・紙で・本人の言語で」
評価の面談は半年に1回、1人30〜40分を目安にします。結果は評価シートにして渡し、本人が読める言語か、やさしい日本語を添えます。外国人雇用管理指針も、労働条件を母国語や平易な日本語で示すよう求めています。やさしい日本語での書き方はやさしい日本語で伝えるが参考になります。
日本人社員と同じ物差しを使う
特定技能の基準は、国籍を理由に報酬や教育訓練で差をつけることを禁じています。評価シートは、外国人専用ではなく、同じ職場の日本人と同じ項目・同じ金額で作ります。「外国人だけ昇給が遅い」と感じさせないことが、転職のきっかけを1つ消します。
住居で選ばれる:寮・社宅の質と負担を見直す
住居は、時給よりも少ない費用で手取りと暮らしやすさを変えられる手段です。特に地方では、住まいと通勤の条件が、都市部の高い時給と比べたときの決め手になります。
守るべき住居の基準
1号の支援では、居室の広さは1人あたり7.5㎡以上が必要です。社宅は日本人と同等の条件で提供し、住居で利益を得てはいけません。保証会社の保証料は、受入れ機関などが負担します。寮費の決め方と本人負担の線引きは特定技能外国人に負担させてはいけない費用で解説しています。
寮費1万円は、時給にすると約63円
寮費を月1万円下げると、手取りは月1万円増えます。月160時間で割ると、時給を約63円上げたのと同じ額です(試算)。寮費が実費より高くなっていないか、まず計算し直します。同じ費用をかけるなら、Wi-Fi、洗濯機、自転車など、毎日使う物から整えると喜ばれます。
図4住居の見直しで確かめる5つの点
- 1広さ
1人あたり7.5㎡以上あるか。相部屋なら、居室全体の面積を人数で割って確かめる。
- 2費用
寮費・光熱費が実費を超えていないか。内訳を本人に説明できるか。
- 3通信
家族と話すためのインターネットがあるか。
- 4通勤と買い物
自転車や送迎など、車がなくても暮らせる手段があるか。
- 5静かに休めるか
夜勤の人と日勤の人が同じ部屋になっていないか。
郊外での住まいと交通の整え方は、地方・郊外の企業の特定技能でまとめています。
相談できる関係:辞める前に話してもらえる職場にする
引き抜きの誘いを受けた人が、会社に先に話してくれるかどうか。それを分けるのは、日ごろの相談のしやすさです。誘いを受けた段階で話してもらえれば、条件の見直しも、円満な送り出しも選べます。
義務の面談に、社内の短い声かけを重ねる
1号の支援では、本人と上司のそれぞれと3か月に1回以上の定期面談を行い、相談には本人が理解できる言語で応じます。これに加えて、月1回15分ほど、評価に関わらない担当者が話を聞く場を作ります。3層の相談体制は相談・苦情対応の体制づくり、心の不調への気づき方は外国人社員のメンタルヘルスをご覧ください。
一時帰国の休みと助成金を活用する
特定技能の基準は、本人が一時帰国を望んだときに、必要な有給休暇を取らせることを求めています。家族に会える見通しがあることは、残る理由になります。人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は2026年10月1日に改定されました。雇用労務責任者の選任と就業規則などの多言語化で20万円、一時帰国の休暇制度も整えると25万円です。
一時帰国の休暇制度は、年1回以上、連続5日以上の有給休暇を取れる形で定めます。雇用労務責任者は3か月に1回以上面談し、計画期間後6か月の外国人の離職率が15%以下であることも要件です。外国人を常時10人以上雇う会社は、外国人雇用管理指針により雇用労務責任者を選ぶことになっています。
将来を示す:5年後までの道筋を一緒に描く
将来の見通しは、「この会社にいると何が身につき、いつ何が変わるか」を年単位で示すことです。1号は通算5年までで、2号に移れば更新の上限がなくなり、要件を満たせば家族も呼べます。
2号がない分野では、5年間の中身で選ばれる
木材産業の要領別冊は「特定技能2号での受入れを行うことはできません」と定めています。介護・自動車運送業・鉄道・林業なども2026年10月時点で2号がありません。こうした分野では、2号を約束できない代わりに、5年間で任せる仕事、身につく技能、手取りの推移を正直に示します。木材産業の1号の在留者は99人(2026年7月末速報)と少なく、転職の統計もまだ公表されていません。だからこそ、1人ひとりとの約束が効きます。
図55年間の道筋の例(2号がない分野)
- 基本の作業と安全を身につける
評価シートの①〜③を「1人でできる」にする。半年ごとに昇給の結果を返す。
- 担当の機械を増やす
2台目の機械を任せ、技能の手当を付ける。一時帰国の休みを取る。
- 検査と段取りを任せる
不良の判断や段取り替えを担当する。日本語での報告の幅を広げる。
- 新人に教える
後輩の指導役になり、指導の手当を付ける。5年後の希望を本人と話す。
- 次の進路を準備する
帰国後の仕事、年金の脱退一時金の手続き、ほかの道の可否を一緒に確かめる。
帰国のときの説明も、信頼につながる
厚生年金に6か月以上加入した外国人は、出国後2年以内に脱退一時金を請求できます。帰国前にこの手続きを説明しておく会社は、「最後まで面倒を見てくれる」と受け止められます。説明のしかたは年金と脱退一時金をご覧ください。
特定技能の転職を防ぐ話し合い方:「辞めたい」と言われたら
「他社から誘われた」と打ち明けられたら、その場で引き止めず、比べている条件を一緒に紙に書き出します。本人が何に引かれているかが分かれば、会社が出せる答えも決まります。
- 話してくれたことに礼を言う
責める言葉は使いません。先に話してくれる関係を壊さないことが、次の人の相談にもつながります。
- 比べている条件を書き出す
時給、残業の見込み、寮費、通勤、仕事の内容、昇給、休み。他社の条件を本人の言葉で聞き、自社の数字と並べます。
- 1週間以内に答えを返す
変えられること、変えられないことを分けて伝えます。昇給なら条件と時期まで示します。
- それでも移るなら、手続きを手伝う
転職先での在留資格の変更許可が出るまで、移った先では働けません。退職日を一緒に決め、会社は契約終了から14日以内に入管へ届け出ます。
- 気持ちよく送り出す
最後の給料と明細を期日どおりに渡します。円満な送り出しは、残る社員にも次に来る人にも伝わります。
してはいけない引き止め
- パスポートや在留カードを預かる(外国人雇用管理指針は保管しないよう求めています)
- 「辞めたら損害賠償を払ってもらう」と言う(労働基準法16条)
- 最後の給料を遅らせる、一部を払わない(労働基準法24条)
- 退職の申し出を受け付けない、話を先延ばしにする
- 転職先に本人の悪い評判を伝える
もし連絡が取れなくなる形で辞められたら、対応は失踪を防ぐにはにまとめています。定着策の全体像は定着率を上げる方法をご覧ください。支援の体制を見直したいときは、特定技能のりあい窓口が、条件に合う登録支援機関などを最大3社まで無料でご紹介します。順位は付けず、選ぶのは御社です。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。
想定ケース:製材所(従業員38人)の人事課長が、時給を合わせずに引き止められた理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
木材産業の特定技能の社員3人を雇う製材所で、人事を担当する課長(50代・女性)の想定インタビューです。
- 他社から誘いを受けた2人がとどまり、この1年の転職は0人
- 評価と昇給の面談を年1回から年2回にし、1人40分で結果を紙で渡すようにした
- 寮費を実費で計算し直し、月2万円から1万2千円に下げた(手取りが月8千円増)
――引き抜きの話は、どう表に出てきたのですか。
班長が、休憩中に聞いたんです。隣の県の工場から「時給を100円上げる」と声がかかっていると。2人とも、会社に言うかどうか迷っていたそうです。結果的に、2人とも残ってくれました。1人は「向こうは高いけど、ここは何をすれば上がるか分かる」と言いました。
――以前は、どんな状態でしたか。
昇給は年1回、社長の判断で決めていました。基準がないので、本人には理由が伝わりません。寮費も昔決めた額のままで、計算した人がいませんでした。木材産業には2号がないので、将来の話は避けていた。今思えば、残る理由を何も示していなかったんです。
――時給を合わせるか、迷いましたか。
迷いました。3人に100円ずつ上げると、年に60万円ほどです。払えない額ではありません。委託している登録支援機関に相談したら、担当者がこう言いました。「合わせても、次に別の会社が50円上げれば同じことが起きます。差が出るのは、何をすれば上がるかが見えるかどうかです」。値上げを勧めない人の意見だったので、かえって信用できました。
――具体的には、何を変えましたか。
評価シートを作りました。安全、品質、段取り、機械、報告、教える、の6項目です。1段階上がるごとに時給を30円上げると決め、日本語と本人の母国語で渡しました。寮費は家賃と光熱費を割り出したら、実費は1万2千円でした。差の8千円は、そのまま手取りに戻しました。
――2号がないことは、どう伝えましたか。
正直に言いました。この分野は5年までで、その先はここでは約束できない、と。そのうえで、5年で何台の機械を任せるか、手取りがどう変わるかを表にしました。驚いたのは、本人たちがむしろ安心した顔をしたことです。分からないことが一番不安だったんですね。
――運用して、つまずいた点はありましたか。
班長によって評価が甘かったり辛かったりしました。今は面談の前に、私と班長2人で、同じ作業の動画を見て点を付け合わせています。30分ほどですが、これで不満が出なくなりました。
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よくある質問
他社の方が給料が高いと言われたら?
まず、比べている条件を一緒に書き出します。時給だけでなく、残業の見込み、寮費、通勤、昇給の時期まで並べると、差が縮むことがあります。そのうえで、会社が変えられることと変えられないことを1週間以内に伝えます。上げるなら一律ではなく、評価の条件と金額をセットで示すと、次の比較にも負けにくくなります。
引き抜きをしてくる会社に、やめるよう求められますか?
ほかの会社の採用活動を止める仕組みは、基本的にありません。一方、職業紹介事業者は、自社の紹介で就職した人(期間の定めのない契約に限る)に、就職から2年間は転職を勧めてはならないと厚生労働省の指針で定められています。紹介会社からの勧誘なら、事実を確かめて申し入れることはできます。
「辞めない」という誓約書を書いてもらってもよいですか?
違約金や損害賠償で縛る誓約書は作れません。労働基準法16条は違約金や賠償額を予定する契約を禁じ、特定技能の基準も違約金の契約を認めていません。代わりに、評価と昇給の条件を書いた紙を渡すほうが、残る理由として働きます。
特定技能の給料は毎年上げなければいけませんか?
毎年の昇給そのものを一律に義務づける決まりは、確認できた範囲では示されていません。ただし報酬は日本人と同等以上が基準で、2年以上続けて受け入れている会社は定期届出で昇給率を報告します。日本人社員が昇給しているのに外国人だけ据え置くと、基準にも定着にも響きます。
外国人社員だけ寮費を安くしても大丈夫ですか?
社宅は日本人と同等の条件で提供することが求められます。寮費を見直すときは、同じ寮を使う日本人社員にも同じ計算方法を当てはめます。実費を超える寮費を取って利益を得ることはできません。
一時帰国の休みは与えなければいけませんか?
特定技能の基準は、本人が一時帰国を望んだときに、必要な有給休暇を取らせることを求めています。繁忙期を避けたい場合は、時期を相談して決めます。年1回以上、連続5日以上の有給休暇を取れる制度を就業規則に定めると、助成金の上乗せの対象にもなり得ます。
2号がない分野では、5年で帰国しなければなりませんか?
1号は通算5年までなので、同じ分野で働き続けることはできません。別の在留資格に移れるかは、本人の学歴や資格などで変わるため、個別の確認が必要です。会社は早めに5年後の希望を聞き、帰国後の仕事や手続きの準備を一緒に進めます。
他社への転職が決まった社員に、会社がすることは?
本人の自己都合の退職なら、入管には雇用契約の終了の届出を、終了の日から14日以内に出します。ハローワークへの届出も必要です。転職先では在留資格の変更許可を受けるまで働けないので、退職日と入社日がずれないよう本人と確かめます。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末集計・暫定値)
- 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(在留資格区分別)」(令和7年調査)
- 厚生労働省「令和8年度最低賃金額答申」(2026年9月3日公表)
- 厚生労働省「職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者…等がその責務等に関して適切に対処するための指針」(令和6年厚生労働省告示第318号による改正を反映)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
- 出入国在留管理庁「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領」(2026年1月26日掲載)
- 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(木材産業分野)」(2024年9月30日公表)
- 出入国在留管理庁「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年7月末時点・速報値)」(2026年7月末)
- 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」(2026年10月1日改定)
- 厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(2026年5月29日改正を反映)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月確認)
最終更新:(2026年10月版)
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