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https://tokutei-noriai.blog/zeikin/ 印刷日:2026年10月16日

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特定技能外国人の税金|所得税・住民税・年末調整の注意点

計算のルールは日本人と同じ。間違えやすいのは、入社時・年末調整・帰国時の3つの場面に集まっている

特定技能の外国人の給与から、所得税と住民税をどう差し引けばよいのか。海外に住む家族は扶養に入れられるのか。年の途中で帰国する人の税金はどうなるのか。特定技能の税金は、基本の計算こそ日本人と同じですが、外国人社員ならではの確認が、入社時・年末調整・帰国時の場面に集まっています。この記事では、特定技能の所得税の居住者判定、年末調整で海外の家族を扶養に入れる条件と必要な書類、住民税の特別徴収と帰国するときの一括徴収・納税管理人を、給与計算の場面ごとに、2026年10月時点の国税庁・総務省の資料にもとづいて整理します。

この記事の結論
  • 所得税は「居住者」として扱うのが基本:国内で1年以上住むことを通常必要とする仕事に就く人は、国内に住所があると推定されます。居住者なら、扶養控除等申告書の提出と年末調整は日本人と同じです。
  • 海外の家族の扶養は書類と年齢で決まる:親族関係書類と送金関係書類(日本語訳つき)が必要です。30歳以上70歳未満は、留学・障害者・年38万円以上の送金のいずれかでなければ対象外です。
  • 住民税は1月1日の住所で決まり、帰国時に残る:前年の給与で計算され、1月2日以降に出国しても課税されます。1〜5月の退職は一括徴収、6〜12月は一括徴収か普通徴収を選び、払えなければ出国前に納税管理人を届け出ます。

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この記事の目次

結論:特定技能の税金は日本人と同じ計算、確認は3つの場面に集中する

特定技能の外国人の所得税・住民税は、日本人と同じ仕組みで計算し、給与から差し引きます。特別な税率や免除があるわけではありません。

間違いが起きやすいのは、入社時の「居住者かどうか」と扶養の書類、年末調整での「海外の家族の扶養」、帰国時の「残った住民税と所得税の精算」の3つの場面です。給与計算の担当者が、この3つの場面だけ外国人社員用の確認表を持っておくと、ほとんどの間違いは防げます。

図1給与計算の場面ごとに確かめること

  1. 入社時居住者か非居住者かを確かめ、扶養控除等申告書を出してもらいます。海外の家族を扶養に入れるなら、親族関係書類(日本語訳つき)も受け取ります。
  2. 毎月所得税を源泉徴収します。住民税は、日本で1月1日を迎えた翌年度から、市区町村の通知にもとづいて特別徴収します。
  3. 年末調整海外の家族の扶養は、送金関係書類で1人ずつ確かめます。30歳以上70歳未満の親族は、条件を満たす人だけが対象です。
  4. 退職・帰国時住民税の一括徴収か納税管理人、所得税の還付申告の方法、脱退一時金にかかる税の扱いを本人と確かめます。
「毎月」の作業は日本人と同じです。外国人社員で特に確かめるのは、入社時・年末調整・退職と帰国の3つです。出典:国税庁リーフレット「日本における給与に係る源泉徴収制度の概要」(2025年10月)、国税庁「国外居住親族に係る扶養控除等の適用について」(2025年6月)、総務省「外国人の方の個人住民税について」(2026年10月確認)

税を守ることは、受入れ企業の基準でもある

基準省令は、受入れ企業の基準に「労働、社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していること」を挙げています。毎年の定期届出には納税証明書(その3)を添付し、2025年4月からは税や社会保険料の未納などが「基準不適合に係る届出」の事由になりました。会社の税務と、外国人社員の源泉徴収・特別徴収の両方が見られていると考えておきます。

特定技能の所得税:居住者として源泉徴収するのが基本

所得税では、国内に住所がある人、または現在まで引き続き1年以上居所がある人が「居住者」です。住所は生活の本拠のことで、客観的な事実で判定します。居住者の給与は、日本人と同じく社会保険料や扶養親族の数に応じて源泉徴収します。

国税庁の「住所の推定」は、国内で継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を持つ人は、国内に住所がある者と推定するとしています。特定技能で、1年以上働く雇用契約を結んで入国する人は、この推定に当てはまるのが通常です。

図2居住者と非居住者で変わる給与の扱い

  • 居住者社会保険料や扶養親族の数に応じて源泉徴収します。扶養控除等申告書を出せ、年末調整の対象になります。
  • 非居住者給与の支給額に20.42%を掛けて源泉徴収し、原則としてこれで課税が終わります。扶養控除等申告書は出せず、年末調整の対象外です。
  • 判定の目安1年以上住むことを通常必要とする仕事なら、入国時から住所ありと推定。1年以内に帰国する予定が明らかなら推定されません。
  • 迷ったとき雇用契約の期間、在留期間、家族の住まいなどの事実をそろえ、所轄の税務署に相談します。
国税庁の事例では、1年目の技能実習だけで帰国する予定の実習生は住所ありと推定されず、一般的には非居住者と判定されるとしています。出典:国税庁タックスアンサー(コード2875)「居住者と非居住者の区分」(令和8年4月1日現在法令等)、国税庁「別紙 住所の推定」(同)、国税庁リーフレット(外国人の方向け)(2025年10月)

租税条約の短期滞在者免税は、まず当てはまらない

国税庁のリーフレットは、滞在が183日を超える場合や、日本の居住者である雇用主から給与を受ける場合は、短期滞在者の免税の対象外になる例として挙げています。日本の会社にフルタイムで雇われる特定技能の人が、この免税で所得税がかからなくなることは通常ありません。「母国との条約で税金がかからないと聞いた」と言われたら、どの条約のどの条項かを本人と一緒に確かめます。

入社時の手続き:扶養控除等申告書と、前の勤務先の源泉徴収票

入社したら、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を出してもらいます。毎年、最初の給与の支払いを受ける日の前日までに出すのが決まりです。記載に変更があったときは、その都度出し直してもらいます。

海外の家族を書くなら、親族関係書類も一緒に

国外に住む親族を扶養控除の対象として書く場合は、申告書を出すときに「親族関係書類」を添付または提示してもらいます。外国語の書類には日本語の翻訳文が必要です。入社手続きの書類一覧に最初から入れておくと、年末に慌てずに済みます。

同じ年に前の職場がある人は、源泉徴収票を受け取る

同じ年に別の会社で働いていた人を雇った場合、原則として新しい勤務先で前の勤務先の給与も含めて年末調整を行います。技能実習から移った人や、同じ分野で転職してきた人には、前の勤務先の源泉徴収票を早めに出してもらいます。転職者を受け入れるときの手続き全体は特定技能外国人の転職ルールで確認できます。

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外国人の年末調整:海外に住む家族を扶養に入れる条件と書類

国外に住む親族を扶養控除の対象にするには、年齢による条件と、書類の条件の両方を満たす必要があります。2023年分(令和5年分)以後、30歳以上70歳未満の国外居住親族は、原則として対象外になりました。

図3国外に住む親族の扶養控除:年齢ごとの条件と書類

扶養控除等申告書の提出時と年末調整時に必要な書類
親族の年齢など申告書の提出時年末調整時
16歳以上30歳未満・70歳以上親族関係書類送金関係書類
30歳以上70歳未満で、留学により国内に住所・居所がなくなった人親族関係書類・留学ビザ等書類送金関係書類
30歳以上70歳未満で、障害者親族関係書類送金関係書類
30歳以上70歳未満で、その年に生活費・教育費を38万円以上受けた人親族関係書類38万円送金書類
上のどれにも当たらない30歳以上70歳未満扶養控除の対象外
外国語の書類には日本語の翻訳文が必要です。旅券の写しを除き、原本の提出または提示が求められます。出典:国税庁「国外居住親族に係る扶養控除等の適用について」(2025年6月)、国税庁タックスアンサー(コード1180)「扶養控除」(令和8年4月1日現在法令等)

どんな書類なら認められるか

親族関係書類は、戸籍の附票の写しなど日本の公的機関の書類と親族の旅券の写し、または外国政府などが発行した戸籍謄本・出生証明書・婚姻証明書などです。送金関係書類は、金融機関を通じて本人から親族に送ったことが分かる書類(外国送金依頼書の控えなど)や、親族名義の家族カードの利用明細書です。知人に現金を預けて届けてもらった場合は、送金関係書類がないため対象になりません。

38万円は「親族ごと」に数える

38万円以上の送金かどうかは、親族1人ずつ判定します。配偶者にまとめて送ったお金は配偶者の分にしかならず、子の分には数えません。同じ親族への送金が年3回以上なら、明細書を出したうえで、最初と最後の送金書類の提出で済ませられます。2つの合計が38万円未満なら、届くまで書類を足します。扶養親族の所得の要件や控除額は年によって変わることがあるため、その年の国税庁の年末調整の資料で確かめます。

年末調整でよくある間違い

  • 50代の親を、38万円以上の送金の書類がないまま扶養に入れている
  • 配偶者にまとめて送ったお金を、子の分の送金としても数えている
  • 兄弟姉妹への送金の控えを、親への送金として出している
  • 外国語の出生証明書を、日本語訳なしで受け取っている
  • 入社時の申告書の扶養を、年末に見直さずにそのまま使っている

間違いが年明けに見つかると、その年分の年末調整のやり直しが必要になり、本人の手取りにも響きます。送金の控えは、年末にまとめてではなく、送るたびに預かる運用にすると漏れが減ります。

毎月の住民税:1年目はかからず、日本で1月1日を迎えた翌年度から

住民税は、1月1日に日本に住所があり、一定額以上の給料などを受けている人に、住んでいる市区町村が課税します。税額は前の年の1月1日〜12月31日の給料などで決まります。日本で初めて1月1日を迎えるまでは住民税がかからないため、入社1年目の明細に住民税の行がないのが普通です。

図4住民税が始まるまでの流れ(2026年4月に入国した人の例)

  1. 入国・入社

    所得税は最初の給与から源泉徴収します。住民税はまだかかりません。

  2. 日本に住所がある

    この日の住所地の市区町村が、2026年の給与にもとづいて2027年度の住民税を課税します。

  3. 出国しても課税は残る

    この後に帰国しても、2027年度の住民税は払う必要があります。

  4. 特別徴収の通知

    会社から本人に、特別徴収税額の決定通知書を配ります。

  5. 給与からの特別徴収

    会社が毎月の給与から差し引き、市区町村に納めます。

日付は2026年4月に入国した人を想定した例です。課税の基準日(1月1日)と通知の期限(5月31日)は毎年同じです。出典:総務省「外国人の方の個人住民税について」(2026年10月確認)、総務省 外国人向けリーフレット(2026年10月確認)

拠点が複数あるときは「住所地の市区町村」ごと

住民税は、従業員が住んでいる市区町村に納めます。工場の所在地ではありません。寮が工場と別の市にあれば、寮の市が相手です。問い合わせ先も、会社の所在地ではなく従業員の住所地の市区町村の税務担当課です。拠点ごとに寮の住所と納付先を一覧にしておくと、通知書の取り違えを防げます。

通知書は、説明をつけて本人に渡す

特別徴収税額の決定通知書は、毎年5月31日までに会社から本人に配ります。初めて受け取る年は、何の書類で、来月から給与がいくら減るのかを、本人が分かる言葉で一言添えます。総務省の外国人向けリーフレットは、住民税が1月1日の住所と前の年の給料で決まることを、図入りで説明しています。

未納は在留手続きに響く

総務省は、住民税が未納だと、在留期間の更新申請などが許可されない場合があると案内しています。特別徴収の仕組みを本人に説明しておくことは、本人の在留を守ることでもあります。

外国人の住民税:帰国するときの一括徴収と納税管理人

帰国のために退職する人の住民税は、退職の時期で扱いが変わります。1月1日〜5月31日に退職する場合は、本人の申出の有無にかかわらず、残りを最後の給与などから一括して差し引きます。6月1日〜12月31日に退職する場合は、本人が一括徴収か普通徴収(自分で納める)かを選びます。

図5帰国のために退職するときの住民税の扱い

1月1日〜5月31日に退職

  1. 残りの住民税を最後の給与・退職金から一括徴収
  2. 差し引ききれない分の納め方を本人と決める
  3. 出国までに払えなければ納税管理人を届け出る

最後の手取りが大きく減ることがあります。退職日が決まった時点で金額を伝えます。

6月1日〜12月31日に退職

  1. 本人が一括徴収か普通徴収かを選ぶ
  2. 普通徴収なら、市区町村から届く納付書で自分で納める
  3. 出国までに払えなければ納税管理人を届け出る

帰国する人は、出国前に一括徴収で済ませるほうが手続きは少なくなります。

納税管理人は、日本に住む人の中から本人が選び、住んでいる市区町村に届け出ます。なれる人の範囲や必要書類は市区町村ごとに違います。出典:総務省 外国人向けリーフレット「住民税の支払いをお忘れなく!」(2026年10月確認)、総務省「外国人の方の個人住民税について」(2026年10月確認)

会社が帰国する本人に案内すること

総務省は、事業者に対し、帰国する従業員へ納税管理人の手続きを案内するよう求めています。外国人向けのリーフレットは、日本語・英語・中国語・ベトナム語・ポルトガル語で用意されています(事業者向けは日本語のみ)。本人の言語の版があれば、退職の手続きのときに一緒に渡します。帰国旅費の負担の考え方は特定技能の帰国費用は誰が負担する?で整理しています。

退職・帰国時の所得税:年末調整の対象外と還付申告

年の途中で退職した人は、原則として年末調整の対象になりません。例外は、12月分の給与を受け取った後の退職、死亡による退職、著しい心身の障害による退職、海外への転勤などで非居住者になった場合などに限られます。帰国のために年の途中で退職する人は、多くの場合、年末調整を受けないまま日本を離れることになります。

払いすぎた所得税は、還付申告で戻る

年の途中で退職し、その年に再就職しない人は、所得税を納めすぎていることがあります。退職した年の翌年1月1日から5年以内に確定申告(還付申告)をすれば、納めすぎた分の還付を受けられます。申告に必要になるため、源泉徴収票は退職時に確実に本人に渡します。

出国後の手続きは、納税管理人に任せる

日本に住所がなくなった後の申告や税の手続きを日本にいる人に任せるなら、納税管理人を決め、出国の日までに納税地の税務署に届け出ます。住民税の納税管理人(市区町村に届け出る)とは別の手続きです。出国前に自分で申告するか、納税管理人に任せるかは、税務署に相談して決めるよう本人に伝えます。

図6帰国する社員の税の手続き

  1. 退職日と出国日を確かめる

    退職が1〜5月か6〜12月かで、住民税の扱いが変わります。

  2. 住民税の残りの払い方を決める

    一括徴収の額を計算して本人に伝え、払いきれない分は納税管理人を市区町村に届け出てもらいます。

  3. 最後の給与と源泉徴収票を渡す

    口座の解約前に給与を受け取れるよう支払日を決め、源泉徴収票を手渡しします。

  4. 所得税の還付申告の方法を伝える

    出国前に申告するか、税務署に納税管理人を届け出て任せるかを、税務署の案内に沿って決めてもらいます。

  5. 脱退一時金の税の扱いも伝える

    厚生年金の脱退一時金からは20.42%が源泉徴収されます。退職所得の選択課税の申告書を出す方法があることを伝えます。

退職所得の選択課税の申告書は、翌年1月1日以後に納税地の税務署に出せ、申告書には納税管理人の記入欄があります。出典:国税庁タックスアンサー(コード2665)「年末調整の対象となる人」(令和8年4月1日現在法令等)、国税庁タックスアンサー(コード1910)「中途退職で年末調整を受けていないとき」(同)、国税庁「納税管理人の届出手続」(2026年10月確認)、国税庁「退職所得の選択課税の記載例」(令和7年分)

会社都合での離職や雇止めの手続きは特定技能外国人の試用期間・解雇・雇止め、社会保険の喪失手続きは特定技能の社会保険・労働保険の手続きで確認できます。

外国人社員の給与計算で間違えやすい点のチェックリスト

ここまでの内容を、給与計算の担当者がそのまま使える形にまとめます。拠点が複数ある会社は、拠点ごとに同じ表で確かめると漏れが出にくくなります。

  • 入社時に、雇用契約の期間と在留期間から居住者かどうかを確かめたか
  • 扶養控除等申告書を、最初の給与の前日までに受け取ったか
  • 海外の親族を書いた人から、親族関係書類と日本語訳を受け取ったか
  • 30歳以上70歳未満の親族について、どの条件で対象にしているかを1人ずつ確かめたか
  • 年末調整の前に、親族ごとの送金関係書類(38万円送金書類)を集めたか
  • 前の勤務先がある人の源泉徴収票を受け取ったか
  • 住民税の通知書を、住所地の市区町村ごとに正しい人に配ったか
  • 帰国する人に、住民税の一括徴収額と納税管理人の手続きを伝えたか
  • 帰国する人に、源泉徴収票と還付申告の案内を渡したか

誰に何を聞くか

居住者の判定や還付申告の方法は所轄の税務署、住民税の一括徴収や納税管理人は住所地の市区町村の税務担当課が窓口です。複雑な場合は税理士に相談します。登録支援機関には、本人の言語で手続きを説明する場面の手伝いを頼めます。毎年の定期届出に添付する納税証明書の準備は特定技能の定期届出(年1回)、毎月・毎年の作業の一覧は特定技能の労務管理チェックリストにまとめています。外国人雇用管理指針の全体の点検は外国人雇用管理指針のポイントが参考になります。

想定ケース:プラスチック成形工場(3拠点・従業員180人)の工場長が、税の確認表を3つの場面に絞った理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

3つの拠点を持つプラスチック成形工場(従業員180人)の工場長(50代男性)に、特定技能の12人を含む外国人社員の税の扱いを見直した経緯を聞きました。

  • 年末調整のやり直しが、前の年の4件から0件になった
  • 帰国した社員の住民税の未納が、見直し後の2年間で0件
  • 3拠点で、入社時・年末調整・帰国時の確認表を同じものにそろえた

――見直しで、何が変わりましたか。

年末調整のやり直しがなくなりました。前の年は4件、年が明けてから計算をし直しました。帰国した人の住民税が残って、市役所から問い合わせが来ることも、この2年はありません。

――やり直しの4件は、どんな内容でしたか。

4件とも、海外に住む親を扶養に入れていたケースです。親は50代で、送金の書類も足りませんでした。30歳以上70歳未満の親族は、年38万円以上の送金などがないと対象にならない。入社時の申告書をそのまま受け取っていて、誰も確かめていなかったんです。

――住民税のほうは、何が起きたのですか。

3月に帰国した人の最後の給与から、住民税の残りがまとめて引かれました。1月から5月の退職は一括徴収になると、本人も現場の班長も知りませんでした。手取りが思ったよりずっと少なくて、本人が泣きそうな顔で事務所に来ました。あれは、本当に申し訳なかったです。

――確認表を作るとき、迷ったことはありますか。

最初は、税の制度を全部載せた分厚い手引きを作ろうとしました。でも、拠点の事務担当は給与計算の経験がばらばらです。毎月の計算は日本人と同じなので、外国人社員で間違えやすい入社時・年末調整・帰国時の3つに絞りました。1枚ずつ、チェック欄だけの表です。

――運用して、工夫したことは。

送金の控えを、年末にまとめてではなく、送金のたびに出してもらうことにしました。夏の面談のときに一度集めると、年末の提出漏れがなくなります。帰国が決まったら、退職日から逆算して住民税の金額を伝え、市役所の納税管理人の様式も一緒に渡しています。

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よくある質問

帰国するとき住民税はどうなる?

その年度の住民税は、帰国しても払う必要があります。1月1日〜5月31日の退職なら、残りを最後の給与などから一括で差し引きます。6月1日〜12月31日の退職なら、一括徴収か普通徴収かを本人が選びます。出国までに払えない場合は、日本に住む人から納税管理人を選び、市区町村に届け出ます。

特定技能の外国人は、入社した年から住民税がかかりますか?

多くの場合、入社した年はかかりません。住民税は1月1日に日本に住所がある人に、前の年の給与にもとづいて課税されます。日本で初めて1月1日を迎えた年度から、特別徴収が始まります。

海外に住む両親を、扶養控除の対象にできますか?

両親が70歳以上なら、親族関係書類と送金関係書類があれば対象になり得ます。30歳以上70歳未満なら、障害者であるか、その年に生活費・教育費として38万円以上の送金を受けている場合などに限られます。書類には日本語の翻訳文が必要です。

特定技能の人は、所得税の非居住者になりますか?

通常は居住者です。国内で継続して1年以上住むことを通常必要とする職業に就く人は、国内に住所があると推定されます。1年以内に帰国することが明らかな場合などは判定が変わるため、税務署に確認してください。

年の途中で帰国する人の年末調整は、どうなりますか?

年の途中で退職した人は、12月分の給与を受け取った後の退職などを除き、年末調整の対象になりません。所得税を納めすぎていれば、翌年1月1日から5年以内の還付申告で戻ります。出国後の手続きを任せるなら、出国の日までに税務署に納税管理人を届け出ます。

知人に頼んで現金で仕送りした分も、送金として認められますか?

認められません。送金関係書類は、金融機関を通じた送金の書類や、親族名義の家族カードの利用明細書などです。知人に現金を預けて届けた場合は、書類がないため扶養控除の対象になりません。

外国人だと、給与から引く所得税の率が高くなりますか?

居住者であれば、日本人と同じ方法で、社会保険料や扶養親族の数に応じて源泉徴収します。国籍で率が変わることはありません。非居住者の場合に限り、給与の支給額に20.42%を掛けて源泉徴収します。

脱退一時金にも税金がかかりますか?

厚生年金の脱退一時金からは、20.42%の所得税・復興特別所得税が源泉徴収されます。退職所得の選択課税の申告書を、翌年1月1日以後に納税地の税務署へ出す方法があり、申告書には納税管理人の欄があります。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 国税庁タックスアンサー(コード2875)「居住者と非居住者の区分」(令和8年4月1日現在法令等)
  2. 国税庁「別紙 住所の推定」(令和8年4月1日現在法令等)
  3. 国税庁リーフレット「日本における給与に係る源泉徴収制度の概要」(外国人の方向け)(2025年10月)
  4. 国税庁タックスアンサー(コード2665)「年末調整の対象となる人」(令和8年4月1日現在法令等)
  5. 国税庁タックスアンサー(コード1910)「中途退職で年末調整を受けていないとき」(令和8年4月1日現在法令等)
  6. 国税庁タックスアンサー(コード1920)「海外勤務と所得税額の精算」(令和8年4月1日現在法令等)
  7. 国税庁「所得税・消費税の納税管理人の選任届出又は解任届出手続」(2026年10月確認)
  8. 国税庁パンフレット「国外居住親族に係る扶養控除等の適用について」(2025年6月)
  9. 国税庁タックスアンサー(コード1180)「扶養控除」(令和8年4月1日現在法令等)
  10. 国税庁「退職所得の選択課税の記載例(厚生年金の脱退一時金)」(令和7年分の記載例)
  11. 総務省「外国人の方の個人住民税について」(2026年10月確認)
  12. 総務省 外国人向けリーフレット「住民税の支払いをお忘れなく!」(2026年10月確認)
  13. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(第2条第1項第1号)(2026年10月14日確認)
  14. 出入国在留管理庁「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領」(2026年1月26日掲載)
  15. 出入国在留管理庁「【改正のポイント】(令和7年4月1日施行)」(2025年3月)

最終更新:(2026年10月版)

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