特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/kouryu-sokushin/ 印刷日:2026年10月15日

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  • 2026年10月版

日本人従業員との交流促進|外国人社員が職場になじむ工夫

歓迎会より「朝の5分」。0円から始める交流促進の具体例と、義務的支援としての押さえどころ

外国人社員と日本人社員の交流が進まず、休憩時間はいつも別々。そんな職場は少なくありません。特定技能1号では「日本人との交流促進」が義務的支援の1つですが、何をすればよいかは具体的に知られていません。出入国在留管理庁の2024年の調査では、在留外国人の56.9%が孤独を感じることがあると答えています。この記事では、外国人社員の交流を、費用をかけずにできる取り組みとして具体例で示し、最初の3か月の進め方、社内イベントと地域行事の工夫を、2026年10月時点の公的資料にもとづいて解説します。

この記事の結論
  • 交流促進は義務的支援の1つ:省令は「日本人との交流の促進に係る支援」を定め、運用要領は地域の交流の場の情報提供、自治会の案内、参加手続きの補助、必要に応じた同行を求めています。
  • 大きなイベントより、小さな接点を何度も:朝のあいさつを名前で、昼休みの10分の言葉の交換など、0円でできる取り組みを週に何度も重ねるほうが、職場になじむ近道です。
  • 地域の行事は「知らない」が最大の壁:2024年の調査で、地域活動の困りごとの1位は「どのような活動が行われているか知らない」25.0%でした。情報を本人の言語で届け、初回は同行します。
  • 参加は自由に、記録は残す:業務外の行事は参加を強制せず、参加しないことで評価を変えません。行った支援は記録に残し、雇用契約の終了から1年以上保存します。

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この記事の目次

結論:外国人社員との交流は「小さく・何度も」が効く

外国人社員と日本人社員の交流は、年に1回の大きなイベントより、毎日の小さな接点を重ねるほうが進みます。歓迎会で一度盛り上がっても、翌週から休憩室で別々に座るなら、職場の関係は変わらないからです。

特定技能1号では、日本人との交流促進は会社が必ず行う10項目の義務的支援の1つです。ただ、制度が求めているのは主に地域の交流の場への橋渡しで、職場の中の関係づくりは会社にしかできません。どちらも、お金をかけずに始められます。

数字で見る、交流の不足

図1在留外国人の孤独と交流への要望

  • 56.9%孤独を感じることがある「しばしば・常にある」7.3%を含む
  • 35.7%特定技能で「ときどきある」外国人全体では24.7%
  • 38.7%交流の機会を増やしてほしい差別や人権に関する要望の1位
  • 25.0%地域の活動を知らない地域活動への参加の困りごとの1位
特定技能の人は、外国人全体より「ときどき孤独を感じる」割合が11ポイント高くなっています。出典:出入国在留管理庁「令和6年度 在留外国人に対する基礎調査報告書」(2024年9〜10月調査、有効回答7,621件)

交流のゴールは「困ったときに声をかけられる相手」

交流の目的は、全員と仲良くなることではありません。困ったときに声をかけられる日本人が、職場に1人でも2人でもいる状態をつくることです。そうした相手がいれば、仕事の小さなつまずきや生活の困りごとが、大きくなる前に表に出ます。

進み具合は、3つの数字で確かめられます。「職場で話せる日本人は何人いるか」「昼食を誰ととっているか」「この1か月で自分から質問したのは何回か」。3か月に1回以上の定期面談でこの3つを聞けば、取り組みの効き目が見えます。

義務的支援「日本人との交流促進」で会社がすべきこと

交流促進の支援は、省令で定められた義務です。根拠は「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」第3条です。支援計画の内容に「当該外国人と日本人との交流の促進に係る支援をすること」が含まれています。出入国在留管理庁は、その中身を「自治会等の地域住民との交流の場、地域のお祭りなどの行事の案内や参加の補助等」と説明しています。

運用要領の「義務」と「望まれること」

交流促進の支援の中身(運用要領にもとづく)
区分内容会社での具体例
義務的支援自治体やボランティア団体などが行う交流の場の情報を伝える。自治会などを案内する市区町村の広報や自治会の行事予定を、本人の言語で伝える
義務的支援行事への参加手続きを補助し、必要に応じて同行して注意事項ややり方を説明する祭りの手伝いの申込みを代わりに行い、初回は担当者が一緒に行く
任意的支援業務に支障のない範囲で、行事に参加できるよう有給休暇や勤務時間に配慮する行事の日のシフトを前もって調整する
任意的支援会社が率先して交流の場を設ける昼休みの言葉の交換会、地域の清掃に会社として参加
留意事項季節の行事などをとらえ、年間を通じて行う4月の花見、夏祭り、秋の防災訓練、冬の餅つきを年間計画に

委託しても、職場の交流は会社の役割

登録支援機関に支援を全部委託すれば、地域の情報提供や同行は任せられます。ただし、休憩室で誰と座るか、朝に誰が声をかけるかは、職場の中でしか決まりません。厚生労働省の外国人雇用管理指針も、地域社会の行事や活動に参加する機会を設けるよう努めることを、事業主に求めています。日本人と外国人が文化や慣習の多様性を理解しつつ共に働けるよう努めることも、同じ指針にあります。

図2交流促進の役割分担(委託している場合)

会社(職場の中)

  1. 名前で呼ぶ・朝のあいさつ
  2. ペアの先輩と昼食の機会
  3. 全員で回す当番や役割
  4. 行事の日のシフト調整

毎日の接点は、職場にいる人にしかつくれません。

登録支援機関(地域への橋渡し)

  1. 地域の行事・交流の場の情報を本人の言語で伝える
  2. 自治会などの案内
  3. 参加の申込みの補助
  4. 必要に応じて同行し、やり方を説明

委託の範囲は支援委託契約で確かめます。

地域への橋渡しは委託できますが、職場の関係づくりは会社が担います。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)

この指針は2026年5月29日に一部改正が告示され、日本語学習の機会の提供などが書き加えられました。地域の行事や活動に参加する機会を設ける努力義務は、改正後も続いています。

行った支援は記録に残す

情報を伝えた日、申込みを手伝った行事、同行した日を、支援の記録に書いておきます。省令は、支援の状況に係る文書を作り、特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えて置くよう求めています。社内で行った取り組みも、日付と内容を1行ずつ残せば足ります。

外国人社員が職場になじむまでの最初の3か月

職場になじむかどうかは、最初の3か月でほぼ形が決まります。この時期に「誰に聞けばよいか」「昼はどこで誰と食べるか」が決まらないことがあります。そうなると、同じ言語の仲間だけで固まり、日本人社員との距離が固定されやすくなります。

図3入社から3か月の交流の進め方

  1. 名前の呼び方を決めて紹介する

    本人に呼ばれたい名前を聞き、朝礼で紹介します。日本人社員も1人ずつ名前を名乗ります。

  2. ペアの先輩を1人決める

    仕事を教える人とは別に、困ったときに聞ける日本人の先輩を1人決め、昼食を一緒にとる日を週2回つくります。

  3. 小さな役割を任せる

    朝礼のあいさつ当番、休憩室の掃除当番など、全員が回す役割に入ってもらいます。「お客さん」扱いを終える合図です。

  4. 地域の行事を1つ紹介する

    近くの清掃活動や祭りなど、参加しやすいものを本人の言語で案内し、希望があれば同行します。

  5. 定期面談で振り返る

    3か月に1回以上の定期面談で、職場で話せる日本人が何人いるか、昼食を誰ととっているかを聞きます。

どの段階も費用はかかりません。必要なのは、担当を決めて予定表に入れることです。

ペアの先輩は「教える人」と分ける

仕事を教える先輩は、注意をする立場でもあります。困りごとや小さな失敗を打ち明ける相手としては、少し距離があります。ペアの先輩は別の班から選び、期間を3か月と区切ると、頼まれた側の負担も軽くなります。

同じ言語の仲間を引き離さない

同じ言語の仲間と過ごす時間は、本人にとって欠かせない休息です。交流を進めるために引き離すのではなく、日本人社員との接点を「足す」ことを考えます。

なじんできたことを示す3つのサイン

1つ目は、分からないことを自分から質問してくること。2つ目は、小さな失敗を自分から報告してくること。3つ目は、休憩室で日本人社員と同じ机に座る日があることです。3か月たってもどれも見られないときは、ペアの先輩を替える、昼食の機会を増やすなど、やり方を見直します。技能実習から移ってきた人なら、前の職場で何がうまくいったかを聞くのも手がかりになります。制度の違いは特定技能と技能実習の違いで整理しています。

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費用をかけずにできる職場の交流の具体例

交流のための予算は、ほとんど要りません。大切なのは、時間と頻度を決めて続けることです。下の表は、0円から数千円でできる取り組みを、時間・費用・ねらいの目安とあわせて並べたものです。

0円から始められる交流の取り組み(目安)
取り組み時間・頻度費用ねらい
朝のあいさつを名前で毎朝、1人10秒0円「自分を知っている人がいる」と感じてもらう
昼休みの言葉の交換週1回、10分0円日本語と母国語のあいさつや単語を教え合う
自己紹介の掲示入社時に1回印刷代写真・出身地・好きな食べ物・趣味で、話しかけるきっかけを作る
ペアの先輩との昼食週2回、3か月0円困りごとを聞ける関係をつくる
全員で回す当番週1回程度0円職場の一員として同じ役割を持つ
母国の祝日の紹介月1回、掲示印刷代日本人社員が相手の文化を知る
地域の清掃に会社で参加年2〜4回、1〜2時間0円地域の人と顔を合わせる最初の場
誕生月の声かけ月1回、朝礼で0円〜お菓子代全員共通の小さな行事にする

「言葉の交換」の進め方

昼休みに10分、ホワイトボードの前に集まります。外国人社員が母国語のあいさつを1つ教え、日本人社員が仕事でよく使う日本語を1つ教えます。教える側に回る経験は、外国人社員にとって自信になります。日本人社員が母国語で「おはよう」と言うだけで、距離は目に見えて縮まります。

続けるための3つの工夫

取り組みが止まる原因の多くは「担当が決まっていない」ことです。1つの取り組みに1人の担当を決め、年間の予定表に書き込みます。ペアの先輩は3か月ごとに交代し、1人に負担を寄せません。半年に1回、効いたもの・効かなかったものを外国人社員にも聞いて入れ替えます。

日本語学習とつなげる

言葉の交換は、日本語学習の支援とも相性がよい取り組みです。会社でできる学習支援の方法と費用は、特定技能外国人の日本語学習支援で紹介しています。指示を伝わりやすくする言い換えは、やさしい日本語で伝えるをご覧ください。

外国人社員も楽しめる社内イベントの工夫

社内イベントは、飲み会を中心にせず、勤務時間に近い時間帯に短く行うと、参加の壁が下がります。お酒を飲まない人、夜は家族と電話をする人、寮が遠い人など、夜の宴会に出にくい事情は人それぞれです。

図4社内イベントを企画するときの4つの確認

  • ① 時間帯終業直後か昼休みに、30分〜1時間。夜の長い宴会を前提にしない。
  • ② 食べ物と飲み物原材料を表示し、ノンアルコールを必ず用意する。乾杯もノンアルコールでよい。
  • ③ 言葉案内は本人の言語かやさしい日本語で。日時・場所・費用・服装を書く。
  • ④ 参加の自由業務外のイベントは自由参加。出なかった人への評価や態度を変えない。
4つを満たすと、外国人社員だけでなく、子育て中の社員やお酒を飲まない社員も参加しやすくなります。

費用の小さいイベントの例

材料費だけで開けるイベントは、意外に多くあります。たとえば、昼休みの30分の「おにぎりと母国のおやつの交換会」。終業後の30分の「職場対抗の簡単なゲーム」。会社の駐車場で年1回開く「餅つき」もそうです。外国人社員に母国の遊びやおやつを紹介してもらうと、教える側と教わる側が入れ替わり、会話が自然に生まれます。

地域の人を招く行事にする

会社の行事に近所の人や自治会の役員を招くと、職場の交流と地域の交流を一度に進められます。餅つきや防災訓練は、地域の人が参加しやすい題材です。外国人社員に受付や案内の役を頼めば、地域の人と名前で知り合うきっかけになります。

写真と記録の扱い

イベントの写真を社内報や会社のホームページに載せるときは、本人の同意を取ります。家族に送られて喜ばれることもあれば、写されたくない事情がある人もいます。行った交流の取り組みは、支援の記録にも残しておきます。

地域の行事・自治会への参加を手伝う

地域の行事への参加は、情報を本人の言語で届け、初回に同行するだけで大きく進みます。出入国在留管理庁の調査では、地域活動への参加の困りごとの1位が「どのような活動が行われているか知らない」でした。関心がないのではなく、知らないのです。

図5地域活動に参加するときの困りごと(在留外国人)

  • 特に困っていることはない50.1%
  • どのような活動が行われているか知らない25.0%
  • 言葉が通じるか不安がある17.9%
  • 自分にどのような活動ができるかわからない15.9%
参加したい活動の上位は「趣味を同じくする人たちのサークル活動」26.5%、「ボランティア活動(通訳、清掃等)」21.1%でした。「町内会・自治会への加入」は12.0%です。出典:出入国在留管理庁「令和6年度 在留外国人に対する基礎調査報告書」(2024年9〜10月調査)

参加を手伝う5つの手順

  1. 行事を調べる

    市区町村の広報、自治会の回覧板、地域の国際交流の団体の案内から、3か月先までの行事を拾います。

  2. 本人の言語で案内する

    日時・場所・持ち物・費用・服装を1枚にまとめ、何をする行事かを写真で見せます。

  3. 申込みを手伝う

    申込書の記入や電話を補助します。シフトとぶつかる場合は、前もって勤務を調整します。

  4. 初回は同行する

    担当者が一緒に行き、地域の人に紹介し、注意事項ややり方を説明します。

  5. 感想を聞いて記録する

    楽しかったか、次も行きたいかを聞き、支援の記録に残します。

寮やアパートの自治会から始める

最初の一歩には、住んでいる地域の清掃やごみ当番がよい入り口になります。住まいの探し方や契約の進め方は特定技能外国人の住居確保で扱っています。

地域の日本語教室も交流の場になる

市区町村や地域の団体が開く日本語教室は、地域の日本人と知り合える場でもあります。ただ、同じ調査には気になる結果もあります。特定技能の人に、日本語を学んでいない理由を聞いた結果です。1位は「都合のよい時間帯に利用できる日本語教室・語学学校等がないから」で、23.9%でした。運用要領は、交流の行事に参加できるよう勤務時間に配慮することを望ましいとしています。同じ考え方で、教室の曜日に合わせてシフトを組むと通いやすくなります。

日本人社員の側の準備:交流は「お互いさま」

交流を進めるには、外国人社員を日本に合わせるだけでなく、日本人社員が相手を知る準備が欠かせません。在留外国人への調査でも、差別や人権に関する要望の2位は「外国人の文化や生活習慣の周知・啓発」35.4%でした。

受け入れる側の不安を先に聞く

岡山県が介護事業所に行った調査では、外国人介護人材の受入予定がない理由が聞かれています。「利用者等とのコミュニケーションに支障があると思う」が32.4%、「文化・生活習慣の違いにより業務に支障が出ると思う」が26.2%でした。日本人社員の側にも、言葉や習慣への不安があります。受け入れ前の説明会で不安を出してもらい、答えを用意しておくと、交流の入り口がなめらかになります。説明の進め方は外国人受け入れ前の社内説明で紹介しています。

日本人社員に頼む3つのこと

  • 名前を覚えて、名前で呼ぶ
  • 短い文で、ゆっくり話す。分かったかどうかは「はい」ではなく、やってみせてもらって確かめる
  • 休憩室で、1日1回は声をかける

頼むことは3つに絞ります。多くを求めると、日本人社員の負担感が増し、かえって距離ができます。

「安く雇う」「優遇している」という誤解を解く

日本人社員の間には、外国人社員の待遇についての誤解が生まれることがあります。特定技能の報酬は、日本人が同じ仕事をする場合と同等以上が基準です。安く雇う制度でも、特別に優遇する制度でもないことを、受け入れ前に数字で説明しておきます。給料の決め方は特定技能の給料の決め方で解説しています。ペアの先輩を引き受けた社員の役割を、評価面談で取り上げることも、続けてもらう後押しになります。

よくある失敗と、交流促進のチェックリスト

交流の失敗は、善意の空回りから起きることが多いものです。辞める理由と職場の関係も、無関係ではありません。日本政策金融公庫の調査(2025年2月公表)で、外国人従業員の退職があった484社が挙げた退職理由の1位は「日本で転職するため」51.0%でした。転職を考え始めたとき、職場に話せる人がいれば、不満や迷いを早い段階で聞くことができます。

よくある失敗

  • 歓迎会を1回開いて、交流は終わったと考えた
  • 夜の飲み会を中心にし、お酒を飲まない人が来られなかった
  • 業務外の行事への参加を事実上の強制にした
  • 交流のために、同じ言語の仲間と休憩を分けさせた
  • 本人の同意なく写真を社外に公開した
  • 地域の行事の案内を日本語の回覧板のまま渡し、内容が伝わらなかった
  • ペアの先輩を1人に固定し、その社員が疲れてしまった

交流促進のチェックリスト

  • 地域の行事の情報を、本人の言語で年に数回伝えている
  • 参加の申込みを手伝い、初回は同行できる担当者がいる
  • ペアの先輩が決まり、昼食を一緒にとる日がある
  • 職場の当番や役割に、外国人社員も入っている
  • 交流の取り組みを支援の記録に残している

次の受け入れにも効く

2人目、3人目を受け入れるときは、先に入った外国人社員がペアの先輩役を担えます。日本で働き始めたときの苦労を知る先輩と、名前で呼び合える日本人社員がいる職場は、新しく来る人にとって心強い環境です。交流の取り組みは、1人目のためだけでなく、次の採用の土台にもなります。

交流が進むと、相談も増えます。相談の受け方の整え方は相談・苦情対応の体制づくりで扱っています。辞める理由の公的データは、特定技能外国人が辞める理由にまとめています。

想定ケース:介護施設(職員45人)の施設長が、歓迎会より「朝の5分」を選んだ理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

特定技能の介護職員3人を受け入れた特別養護老人ホームの施設長(50代)の想定インタビューです。1年目の失敗をもとに、交流の進め方を変えました。

  • 外国人職員が昼食を1人でとる日が、週4日ほどから週1日以下になった
  • 地域の夏祭りの手伝いに、3人全員が参加した(前の年は0人)
  • 交流にかけた費用は、1年で約2万円(掲示の印刷代とイベントの材料費)

――職場の様子は、どう変わりましたか。

休憩室の座り方が変わりました。前は外国人職員3人が隅の机で、日本人は別の机。今は日によって混ざっています。昼食を1人でとる日は、週に4日ほどあったのが、週1日もないくらいです。夏祭りでは、3人とも焼きそばの屋台を手伝ってくれました。

――最初の年は、どんな状態でしたか。

受け入れた月に、居酒屋で歓迎会を開きました。盛り上がったと思っていたんです。でも1人はお酒を飲まず、料理もほとんど食べられなかった。後で支援機関の担当者から聞いて、申し訳なく思いました。その後は「歓迎会をしたから大丈夫」と、何もしていませんでした。

――何に困っていましたか。

日本人職員が話しかけないんです。悪気はなく、「日本語が通じなかったら悪い」と遠慮していた。3か月目の定期面談で、1人が「職場で話せる日本人はいない」と答えたと聞いて、これはまずいと思いました。

――何を決め手に、やり方を変えましたか。

お金をかけるイベントも考えました。でも支援機関の担当者に「大きな行事より、毎日の5分のほうが効きます」と言われて。正直、それで変わるのか半信半疑でした。始めたのは、朝の申し送りの後の5分です。外国人職員が母国語のあいさつを1つ教え、日本人職員が介護の言葉を1つ教える。それだけです。

――日本人職員の側には、どんな変化がありましたか。

遠慮が減りました。母国語のあいさつを1つ覚えると、それを使いたくなるんですね。ベテランの職員が、朝いちばんに覚えたての言葉で声をかけているのを見たときは驚きました。逆に、外国人職員が利用者さんへの声かけを日本人職員に聞きに行く場面も増えています。申し送りの5分が、質問してよい時間として定着した感じです。

――続けてみて、つまずきや工夫はありましたか。

最初の1か月は、日本人職員が照れて声が小さかったですね。ペアの先輩を決めて、昼食を週2回一緒にとるようにしたら、そこから会話が増えました。ペアは3か月で交代するので、今は日本人職員の4人に1人ほどが一度は担当しています。夏祭りは、町内会長に私から頼んで、3人の担当を決めてもらいました。初回は私も一緒に行きました。夜の行事なのでシフトは事前に調整し、出るかどうかは本人に任せています。お金をかけずにここまで変わるとは思っていなかった、というのが本音です。来年は4人目を受け入れる予定で、今いる3人にも先輩役をお願いするつもりです。

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よくある質問

外国人社員を地域の行事に誘うべき?

誘うのはよいことですが、参加は本人が決めます。特定技能1号では、地域の交流の場の情報提供や、参加手続きの補助、必要に応じた同行が義務的支援に含まれています。行事の中身・日時・費用を本人の言語で伝え、希望があれば初回に同行します。参加しなくても評価や態度を変えないことを、はっきり伝えておきます。

交流促進の支援は、登録支援機関に任せればよいですか?

地域の情報提供や同行は委託できますが、職場の中の関係づくりは会社にしかできません。支援機関には地域の行事の情報集めと同行を、会社には朝のあいさつやペアの先輩づくりを、と分担すると漏れが減ります。

社内の交流イベントへの参加を、全員に求めてもよいですか?

業務外のイベントは自由参加にします。外国人社員の中には、宗教上の理由でお酒の席を避ける人や、夜は家族と連絡を取る人もいます。勤務時間に近い短い時間帯に行い、参加しない人への評価を変えないことが前提です。

交流促進の支援をしたことは、どう記録すればよいですか?

いつ、どの行事の情報を伝え、参加の手続きや同行をしたかを、支援の記録に残します。省令は、支援の状況に係る文書を作成し、特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えて置くことを求めています。社内の取り組みも、日付と内容を簡単に書いておきます。

日本人社員が外国人社員に話しかけたがらないときは?

多くは「通じなかったら悪い」という遠慮です。頼むことを「名前で呼ぶ」「1日1回声をかける」などに絞り、言葉の交換のような決まった場をつくると、話すきっかけが生まれます。受け入れ前の社内説明で、不安を出してもらうことも役に立ちます。

交流促進にかかる費用は、どのくらいですか?

多くは0円で始められます。名前でのあいさつ、言葉の交換、ペアの先輩との昼食、地域の清掃への参加には費用がかかりません。掲示の印刷代や、年に数回のイベントの材料費を見込んでおけば足ります。

地域でごみ出しや騒音のトラブルが起きたら、どうすればよいですか?

まず会社か支援機関が間に入り、地域の人と本人の両方から事情を聞きます。多くは、ごみの分け方や出す曜日、夜の話し声の目安といったルールが伝わっていないことが原因です。決まりを本人の言語で書いて渡し、自治会の役員には相談の窓口が会社にあることを伝えておきます。

同じ国の社員どうしで固まってしまうのは、問題ですか?

それ自体は問題ではありません。母国語で話せる時間は、本人にとって大事な休息です。引き離すのではなく、日本人社員との接点を足すことを考えます。定期面談で「職場で話せる日本人が何人いるか」を聞くと、変化を確かめられます。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)
  2. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
  3. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」(2026年10月確認)
  4. 出入国在留管理庁「令和6年度 在留外国人に対する基礎調査報告書」(2024年9〜10月調査)
  5. 厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年告示(改正を含む))
  6. 労働政策研究・研修機構「外国人雇用管理指針」改正告示(2026年5月29日)
  7. 岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)
  8. 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)
  9. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)

最終更新:(2026年10月版)

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