特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/saigai-kinkyuu/ 印刷日:2026年10月15日

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  • 2026年10月版

災害・緊急時の外国人社員対応|連絡網と多言語の情報

連絡網・多言語の情報・避難の説明を平常時に整え、発生時とその後の手順まで決めておく

地震や台風の夜、外国人社員全員の無事をすぐに確かめられるでしょうか。日本語の防災無線や避難情報が理解できず、どこに逃げればよいか分からない人もいます。特定技能1号では、生活オリエンテーションで防災や緊急時の対応を本人の分かる言語で説明することが求められています。この記事では、外国人社員の災害対応を「平常時の準備・発生時・その後」の3段階に分け、緊急連絡網の作り方、多言語の災害情報、事故や病気で入院したときの手続きを、2026年10月時点の公的資料にもとづいて示します。

この記事の結論
  • 準備は平常時に9割:緊急連絡網、多言語の災害情報アプリ、避難場所までの道順を、入社時の生活オリエンテーションで本人の言語で伝えます。運用要領は110番・119番・118番の通報方法や緊急速報メールの説明も求めています。
  • 発生時は「安否・居場所・必要なもの」の3つを聞く:番号で返信できる安否確認の文を本人の言語で用意し、全員の無事を短時間で確かめます。情報は気象庁など公的な多言語の発信を使います。
  • その後は手続きの期限に注意:在留カードをなくしたら14日以内に再交付の申請。病気やけがなどで1か月以上働けないときは、14日以内に受入れ困難に係る届出が必要です。
  • 入院したら、通訳・保険・家族連絡を分担:仕事中や通勤中のけがは労災保険、それ以外は健康保険の高額療養費や傷病手当金を確かめ、家族への連絡は本人の同意を得て行います。

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この記事の目次

結論:外国人社員の災害対応は「平常時・発生時・その後」の3段階で決める

外国人社員の災害対応は、平常時の準備・発生時・その後の3段階に分けて、それぞれ誰が何をするかを決めておきます。発生してから考えると、言葉の壁がある分、連絡も避難も遅れます。

準備の中心は、緊急連絡網、多言語の災害情報、避難場所までの道順の3つです。特定技能1号では、入社時の生活オリエンテーションが義務的支援の1つです。その中で、防災・防犯や緊急時の対応を、本人が理解できる言語で説明します。会社にとっては、もともと必要な説明を、災害の備えとして生かす形になります。

3段階の全体像

図1災害・緊急時の対応の3段階

  1. 平常時の準備緊急連絡網と安否確認の文を作る。多言語の災害情報アプリを入れてもらう。寮から避難場所まで一緒に歩く。年1回の訓練に参加してもらう。
  2. 発生時身の安全と避難が最優先。落ち着いたら安否・居場所・必要なものを確かめる。公的な多言語の情報を本人の言語で伝える。
  3. その後住まい・食事・仕事の再開を決める。在留カードの再交付や届出の期限を確かめる。心の変化に気を配る。
3段階のうち、平常時にできることが最も多く、費用もほとんどかかりません。

会社と登録支援機関の役割を分ける

生活オリエンテーションや通訳は、登録支援機関に委託できます。一方で、職場の避難訓練、勤務中の点呼、仕事の再開の判断は、会社にしかできません。委託している場合は、災害時に支援機関が何をするかを決めておきます。安否確認の分担、通訳の手配、避難所への同行などを、支援委託契約の確認のときに書面にします。

困るのは「どこから情報を得るか」

出入国在留管理庁の在留外国人への調査(2024年9〜10月)で、過去1年間の災害に関する困りごとを聞いた結果があります。「特に困ったことはない」が74.5%でした。一方で、「信頼できる情報をどこから得ればよいか分からなかった」が7.0%、「避難場所が分からなかった」が6.3%ありました。少数でも、職場に1人いれば、その人の命に関わります。

外国人社員の緊急連絡網のつくり方

緊急連絡網は、本人の連絡先だけでなく、母国の家族と日本国内の頼れる人までを、本人の同意を得て1枚にまとめます。厚生労働省の外国人雇用管理指針も、家族の住所その他の緊急時の連絡先を把握しておくよう努めることを、事業主に求めています。

外国人社員の緊急連絡網に入れる項目
項目内容確認の頻度
本人携帯電話の番号、ふだん使うメッセージアプリ、住所(寮の部屋番号まで)入社時と、番号・住所が変わったとき
母国の家族名前、続柄、電話番号、話せる言語、連絡してよい場面年1回
日本国内の知人同じ寮の人、親しい友人など、近くで様子を見に行ける人年1回
支援の担当者登録支援機関の担当者と通訳の連絡先、夜間・休日の連絡先担当が替わったとき
健康の情報持病、飲んでいる薬、アレルギー、かかりつけの医療機関(本人が希望する場合)年1回
大使館・領事館本国の大使館・領事館の電話番号入社時

安否確認は「番号で返せる文」を用意する

災害時に長い文章は打てません。安否確認の文を本人の言語とやさしい日本語で作り、番号で返信できる形にします。たとえば「1:けがはない、2:けがをした、3:助けがほしい」と送り、居場所を一言添えてもらいます。会社のグループに入れておけば、全員の返信が一目で分かります。

連絡網は2本立てにする

会社の担当者が被災して動けないこともあります。会社の連絡網と、登録支援機関の連絡網の2本を用意し、どちらかが届けば確認できるようにします。運用要領も、事故などの緊急時の連絡先を設け、基本的にいつでも連絡を受けられる体制を望ましいとしています。夜間・休日の相談の受け方は相談・苦情対応の体制づくりで扱っています。

集めた情報の扱いを先に約束する

家族の連絡先や持病は、とても個人的な情報です。何のために使うか、誰が見られるか、どこに保管するかを本人の言語で説明し、同意を得てから集めます。「使うのは命や健康に関わる緊急時だけ」と書面にしておくと、本人も安心して書けます。退職したときの扱いも決めておきます。

外国人が使える災害情報の多言語サービス

災害情報は、国の機関が多言語で発信しているものを使い、入社時にスマートフォンへの登録まで済ませておきます。災害が起きてから探すと、うわさや古い情報に振り回されがちです。

国の機関が出している情報を入口にする

図2入社時に案内しておきたい多言語の災害情報

  • 1気象庁の多言語の情報

    気象・地震・津波・火山の情報を、日本語を含む15言語で発信しています。

  • 2災害情報アプリ

    出入国在留管理庁は、日本の災害情報を知るのに便利なアプリとして「Safety Tips」を紹介しています。

  • 3音声翻訳アプリ

    話しかけると外国語に翻訳する「VoiceTra」も、同じページで紹介されています。避難所や病院での会話に役立ちます。

  • 4多言語のリーフレット

    内閣府は、災害時に便利なアプリとウェブサイトをまとめたリーフレットを15言語で公開し、すぐ見られる場所への掲示を勧めています。

リーフレットを印刷して寮の玄関と休憩室に貼っておくと、アプリを入れていない人にも届きます。出典:気象庁「多言語での情報提供」(2026年10月確認)、出入国在留管理庁「災害時に役立つ情報」(2026年10月確認)、内閣府「災害時に便利なアプリとWEBサイト(多言語)」(2026年10月確認)

動画とガイドブックで事前に学ぶ

出入国在留管理庁は「生活オリエンテーション動画(緊急・災害)」を、日本語を含む16言語で公開しています。地震・台風・大雨から命を守る基本を説明する動画です。「生活・就労ガイドブック」にも災害・緊急の章があり、やさしい日本語を含む19の言語と日本語で読めます。入社時のオリエンテーションで一緒に見ておくと、説明の抜けを防げます。

図3過去1年間の災害で困ったこと(在留外国人)

  • 特に困ったことはない74.5%
  • 信頼できる情報をどこから得ればよいか分からなかった7.0%
  • 避難場所が分からなかった6.3%
困りごとの上位は「情報の入手先」と「避難場所」でした。どちらも平常時の準備で減らせます。出典:出入国在留管理庁「令和6年度 在留外国人に対する基礎調査報告書」(2024年9〜10月調査)

寮に貼る「1枚の防災シート」

寮の玄関には、A4用紙1枚の防災シートを貼ります。載せるのは5つです。避難場所の名前と写真、そこまでの道の地図、119番・110番の伝え方、会社と支援機関の緊急連絡先、災害情報アプリのQRコードです。本人の言語とやさしい日本語の2つで書き、年1回、内容を見直します。

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地震のときの避難を外国人社員に説明する方法

避難の説明は、紙を渡すだけでなく、実際に歩いて場所を見せるのがいちばん確実です。運用要領は、生活オリエンテーションで説明する事項として、自然災害や事件・事故への備えと火災の予防を挙げています。緊急連絡先と通報の方法(110番・119番・118番など)も含まれます。気象や避難の情報の知り方、避難場所、携帯電話の緊急速報メールの使い方も説明の対象です。

  1. ハザードマップで危険を確かめる

    国土交通省の防災ポータルなどで、寮と職場の周りの浸水・土砂災害・津波の危険を地図で見せます。

  2. 寮から避難場所まで一緒に歩く

    入社後1か月以内に、寮と職場の両方から避難場所まで歩きます。目印の建物を写真に撮り、カードに貼ります。

  3. 揺れたときの動きを体で覚える

    机の下に入る、機械から離れる、火を止める。職場の訓練で、外国人社員にも役割を持ってもらいます。

  4. 通報の言い方を練習する

    119番で伝える「火事か救急か」「住所」「名前」を、日本語で読み上げられるカードにします。

  5. 緊急速報メールを鳴らしてみる

    携帯電話の受信設定を一緒に確かめ、音が鳴ったら何をするかを決めておきます。

やさしい日本語の短い言葉を共有する

災害時の放送や声かけは、短い言葉が届きます。「にげて」「たかいところへ」「ひがない(火がない)か見て」「ここに集まって」。職場の日本人社員にも、外国人社員に呼びかけるときはこうした短い言葉を使うよう伝えておきます。

寮と職場で避難場所が違うことを伝える

寮と職場が離れていると、避難場所も別になります。夜中に寮で揺れたとき、昼に職場で揺れたとき、通勤の途中のとき。3つの場面ごとに「どこへ行くか」を本人と確かめ、カードの表と裏に書き分けます。

説明には時間を確保する

運用要領は、生活オリエンテーション全体について、少なくとも8時間以上行うことが必要と考えられるとしています。防災の説明を短く済ませず、歩く・練習するの時間を含めて計画します。安全衛生教育の進め方は外国人社員の労災と安全衛生教育で扱っています。

発生時の連絡と支援の手順

発生時は、身の安全と避難を最優先にし、落ち着いたら安否・居場所・必要なものの3つを確かめます。会社の役割は、正しい情報を本人の言語で届け、孤立した人を出さないことです。

図4発生直後から翌日以降までの動き(目安)

  1. 身を守り、避難する

    勤務中なら職場の避難の手順に沿って全員で避難し、点呼をとります。寮にいる人には、安否確認の文を送ります。

  2. 全員の所在を確かめる

    返信のない人は、同じ寮の人や支援機関と手分けして確かめます。けがをした人には救急の手配をします。

  3. 必要なものを届ける

    水・食料・充電の手段・寝る場所を確かめます。気象庁などの多言語の情報で、次に何が起きるかを伝えます。

  4. 家族への連絡と仕事の判断

    母国の家族へ無事を伝えられたかを確かめます。出勤できるか、休業にするかを決め、本人の言語で伝えます。

時間は目安です。「誰が・誰に・何で連絡するか」を、平常時に決めておくことで動けます。

勤務中に起きたときの点呼

勤務中の災害では、持ち場ごとに集合場所と点呼の係を決めておきます。点呼表には、名前を日本語の読み方と本人のふだんの呼び名の両方で書きます。慌てた場面では、聞き慣れない呼び方では返事ができないことがあるからです。派遣や応援で来ている人も、点呼表に入れておきます。

うわさに振り回されないために

災害時は、母国語のSNSで不確かな情報が広まることがあります。「この情報は気象庁で確かめよう」と、確かめる先を1つに決めておくと、混乱が小さくなります。会社が流す情報も、出どころを添えて送ります。

母国の家族への連絡を手伝う

本人の無事を家族に伝えられないと、本人も家族も不安が大きくなります。通信が使えるか、充電できるかを確かめ、必要なら会社の電話やWi-Fiを使ってもらいます。家族から会社に問い合わせがあったときに誰が答えるかも、決めておきます。

外国人社員が事故や病気で入院したときの対応

入院の連絡を受けたら、通訳・お金・家族への連絡・会社の手続きの4つを、会社と支援機関で分担します。本人は痛みと不安の中にいて、日本語での説明を理解する余裕がありません。

入院したときに確かめること
項目確かめること根拠・目安
通訳医師の説明を本人の言語で聞けるか。支援機関の通訳を手配できるか特定技能の人の24.1%が、病院で翻訳機・アプリを使ったと回答
けがの原因仕事中か、通勤中か、私生活か業務災害・通勤災害は労災保険(労災保険法7条)
医療費健康保険の自己負担が高額になりそうか高額療養費の制度(健康保険法115条)
休業中の収入私生活のけがや病気で4日以上休むか傷病手当金(健康保険法99条)
家族への連絡本人が家族への連絡を望むか。誰が、何語で伝えるか緊急連絡網の情報を使い、本人の同意を得る
会社の届出1か月以上働けなくなりそうか受入れ困難に係る届出(事由が生じてから14日以内)

病院では「通訳」と「説明の記録」

出入国在留管理庁の調査で、病院で言葉の問題があったときの対応を聞いた結果があります。特定技能の人の24.1%が「多言語翻訳機・アプリを利用した」と答えました。受付は翻訳アプリでも進みますが、手術や治療方針の説明は通訳を介して聞きます。説明の内容は、本人の言語でメモにして渡します。

仕事中や通勤中のけがは労災保険

仕事中のけがや通勤中のけがは、労災保険の給付の対象です(労災保険法7条)。健康保険は業務災害以外を対象とする保険なので(健康保険法1条)、会社が労災ではなく健康保険で処理しようとすることは避けます。事故時の手順と多言語での安全教育は外国人社員の労災と安全衛生教育で詳しく扱っています。

入院が長引くときの見通しを伝える

入院が長くなると、本人は「仕事を失うのでは」「在留はどうなるのか」と不安になります。治った後に職場へ戻れること、会社が必要な届出をすることを、通訳を介して早めに伝えます。見舞いは、本人の希望を聞いたうえで、上司か支援機関の担当者が行きます。

その後の生活の立て直しと手続き

災害や入院の後は、住まい・仕事・在留の手続きの3つを、期限のあるものから順に片づけます。特定技能には、在留に関わる届出の期限があるためです。

図5災害・緊急事態の後に確かめる4つの手続き

  • ① 在留カードをなくしたなくしたと知った日から14日以内に、再交付を申請する(出入国管理及び難民認定法19条の12)。
  • ② 1か月以上働けない病気・けがや生産の縮小などで1か月以上活動できないときは、14日以内に受入れ困難に係る届出をする。
  • ③ 連絡が取れない行方不明となったときも、受入れ困難に係る届出の対象。説明書は参考様式第5-15号を使う。
  • ④ 住まいを失った寮が使えないときは、次の住まいを一緒に探す。住居の確保は義務的支援の1つ。
届出の様式や提出先は、出入国在留管理庁のページで確かめます。迷ったら外国人在留総合インフォメーションセンター(0570-013904、平日8:30〜17:15)に問い合わせます。出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(2026年10月確認)、出入国在留管理庁「特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出」(2026年10月確認)

「連絡が取れない」を失踪と決めつけない

災害の後に連絡が取れない人がいても、まずは被災や通信の途絶を疑い、安全を確かめることから始めます。避難所や病院を当たり、警察にも相談します。日常の中で起きる失踪の背景と予防策は、特定技能外国人の失踪を防ぐにはで扱っています。

仕事が止まったときは早めに説明する

工場が止まり休業になるときは、休業の期間と給与の扱いを本人の言語で説明します。会社の都合で雇用契約を続けられなくなる場合は、次の受入れ先を探す転職支援も義務的支援に含まれます。給与の説明でもめないための工夫は外国人社員の給与トラブルの防ぎ方をご覧ください。

しばらくしてから出る心の変化

災害の直後は気が張っていても、数週間たってから眠れない、食欲がないといった変化が出ることがあります。定期面談を待たずに声をかけ、必要なら専門の窓口につなぎます。声のかけ方は外国人社員のメンタルヘルスとトラブル対応で紹介しています。

平常時の準備チェックリストとよくある失敗

準備の抜けは、実際に訓練をしてみると見つかります。年1回、外国人社員を含めた訓練で、連絡網と避難の手順を確かめます。

平常時の準備チェックリスト

  • 緊急連絡網に、母国の家族と日本国内の知人の連絡先が入っている(本人の同意あり)
  • 番号で返信できる安否確認の文を、本人の言語で用意している
  • 多言語の災害情報アプリを、入社時に一緒に入れた
  • 寮と職場の両方から、避難場所まで一緒に歩いた
  • 119番の伝え方カードを、本人が持っている
  • 会社と登録支援機関の2本の連絡網がある
  • 入院・在留カード紛失・長期休業のときの手続きと期限を、担当者が知っている

よくある失敗

  • 避難場所を地図で見せただけで、実際に歩いていなかった
  • 連絡網が日本語だけで、外国人社員が返信の仕方を分からなかった
  • 家族の連絡先を本人の同意なく集め、使う場面を決めていなかった
  • 災害後に連絡の取れない人を、確かめる前に失踪と判断した
  • 仕事中のけがを健康保険で処理しようとした

準備にかかる費用は、印刷代と、避難場所まで歩く1〜2時間の時間くらいです。お金より、担当者を決めて年間の予定に入れることが先です。

チェックリストは、年1回の訓練の後に見直します。訓練で返信が遅かった人、避難場所を言えなかった人がいれば、その人と一緒にもう一度歩きます。準備は一度で終わりではなく、引っ越しや担当者の交代のたびに更新が必要です。

災害への備えは、日本人社員にとっても必要な準備です。受け入れ前の社内説明で一緒に扱うと、日本人社員の不安を減らすことにもつながります。説明の進め方は外国人受け入れ前の社内説明で紹介しています。

想定ケース:水産加工会社(従業員80人)の工場長が、台風の夜に全員の無事を40分で確かめられた理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

沿岸部で特定技能の社員6人を雇う水産加工会社の工場長(50代)の想定インタビューです。訓練で見つかった抜けを直したことが、実際の台風の夜に生きました。

  • 全員の安否確認にかかる時間が、訓練のときの約3時間から、台風の夜には40分になった
  • 寮から避難場所までの道を説明できる外国人社員が、6人中1人から6人全員になった
  • 入院した社員のもとに通訳が着くまで、連絡から約2時間で手配できた

――台風の夜は、どう動けたのですか。

夜9時に避難の情報が出て、すぐ安否確認の文を送りました。私自身も自宅で停電していたので、文が用意してあって本当に助かりました。「1:無事、2:けが、3:助けがほしい」に番号で答えてもらう形です。40分で6人全員から「1」が返ってきました。2人は寮から避難場所に移っていて、居場所の写真も送ってくれました。

――以前は、どんな状態でしたか。

連絡網はありましたが、日本語の電話連絡だけでした。前の年の訓練では、全員の無事が分かるまで3時間近くかかりました。日本語の長い文章を送っても、返事の仕方が分からなかったんです。避難場所を聞くと、言えたのは6人中1人でした。地図は渡していたのに、です。

――見直すとき、どこで迷いましたか。

家族の連絡先まで集めるかどうかです。個人の情報なので、ためらいました。支援機関の担当者が母国語で目的を説明し、「使うのは命に関わるときだけ」と書面で約束したら、全員が書いてくれました。こちらの都合だけで集めなかったのがよかったと思います。

――安否確認の文は、どう作りましたか。

支援機関に頼んで、6人の母国語とやさしい日本語の2つで作りました。最初は日本語の文に番号を付けただけでしたが、訓練で「意味は分かるけど、何を返せばいいか迷った」と言われて直しました。今は「数字を1つだけ送ってください」と最初に書いてあります。小さな直しですが、返信の速さが全然違いました。

――避難場所は、どう覚えてもらったのですか。

休みの日に、寮から高台の小学校まで全員で歩きました。片道15分です。途中の目印を写真に撮ってカードにし、スマートフォンにも入れてもらいました。工場からの道も別の日に歩いています。歩いた後に聞くと、6人とも説明できました。地図だけでは伝わらない、というのが正直な驚きでした。

――入院が必要になったときは、どう対応しましたか。

台風の後片づけで1人が転んで骨折し、入院しました。作業中のけがなので労災で手続きをしました。病院の説明は難しいので、支援機関に通訳を頼むと、2時間ほどで来てくれました。家族への連絡は、本人が自分でしたいと言ったので、会社の電話とWi-Fiを貸しました。決めておいたことが、そのまま役に立った夜でした。次の訓練は、あえて夜の時間帯に安否確認を送ってみるつもりです。昼の訓練だけでは分からない抜けがあると思うので。

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よくある質問

外国人社員が事故や病気で入院したら?

通訳・お金・家族への連絡・会社の手続きの4つを、会社と支援機関で分担します。医師の説明は通訳を介して本人の言語で聞き、内容をメモにして渡します。仕事中や通勤中のけがは労災保険、私生活のけがや病気は健康保険の高額療養費や傷病手当金を確かめます。1か月以上働けなくなりそうなら、14日以内に受入れ困難に係る届出が必要です。

地震のとき、日本語が十分でない社員にどう伝えればよいですか?

「にげて」「たかいところへ」のような短いやさしい日本語と、手の動きで伝えます。平常時に避難場所まで一緒に歩き、写真つきのカードを持ってもらうと、発生時の説明が短くて済みます。気象庁は気象・地震・津波などの情報を日本語を含む15言語で発信しているので、アプリやサイトを入社時に案内しておきます。

災害で在留カードをなくしたら、どうすればよいですか?

なくしたと知った日から14日以内に、地方出入国在留管理官署で再交付を申請します(出入国管理及び難民認定法19条の12)。手続きの案内は、外国人在留総合インフォメーションセンター(0570-013904、平日8:30〜17:15)でも受けられます。

母国の家族への連絡は、会社がすべきですか?

原則は本人が連絡し、会社は電話やWi-Fiなどの手段を用意します。本人が連絡できない状態のときに備え、緊急連絡網に家族の連絡先と話せる言語を、本人の同意を得て書いておきます。連絡する場面と、誰が何語で伝えるかを前もって決めておきます。

災害で工場が長く止まったとき、特定技能の手続きは必要ですか?

生産の縮小などで外国人社員が1か月以上活動できなくなったときは、事由が生じた日から14日以内に、受入れ困難に係る届出が必要です。休業の期間と給与の扱いは、本人の言語で早めに説明します。雇用を続けられない場合は、転職の支援も義務的支援に含まれます。

災害の後、外国人社員と連絡が取れません。どうすればよいですか?

まず被災や通信の途絶を疑い、同じ寮の人、避難所、病院を当たり、警察にも相談します。行方不明の状態が続く場合は、受入れ困難に係る届出の対象になります。失踪と決めつけず、安全の確認を最優先にします。

防災訓練に外国人社員も参加させるべきですか?

参加してもらいます。訓練は、連絡網や避難の手順の抜けを見つける場です。外国人社員に点呼や声かけの役割を持ってもらうと、手順を体で覚えられます。訓練の案内も本人の言語かやさしい日本語で出します。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
  2. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)
  3. 出入国在留管理庁「災害時に役立つ情報」(2026年10月確認)
  4. 出入国在留管理庁「外国人生活支援ポータルサイト」(2026年9月14日更新)
  5. 内閣府「災害時に便利なアプリとWEBサイト(多言語)」(2026年10月確認)
  6. 気象庁「多言語での情報提供」(2026年10月確認)
  7. 出入国在留管理庁「令和6年度 在留外国人に対する基礎調査報告書」(2024年9〜10月調査)
  8. 厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年告示(改正を含む))
  9. e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(2026年10月確認)
  10. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出」(2026年10月確認)
  11. e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」(2026年10月確認)
  12. e-Gov法令検索「健康保険法」(2026年10月確認)
  13. 出入国在留管理庁「外国人在留総合インフォメーションセンター等」(2026年10月確認)
  14. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)

最終更新:(2026年10月版)

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