特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/tokutei-ginou-towa-kigyou-joken/ 印刷日:2026年10月15日

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特定技能の受入れ機関の基準|受け入れできない会社の条件と確認方法

欠格事由13項目と「契約前後1年以内の離職」など、受け入れできない条件を申請前に自己診断する

特定技能の外国人を雇いたいけれど、うちの会社は受入れ機関の要件を満たしているのか。過去の退職者、社会保険の手続き、役員の経歴まで問われると聞いて、不安になっていませんか。受入れ機関の基準は法務省令で決まっていて、会社を前もって「認定」する制度はなく、在留資格の申請のたびに審査されます。この記事では、基準を法令順守・欠格事由・支援体制・報酬の4つの柱で整理し、受け入れできない会社の条件と、申請前に社内の書類で確かめる20項目の自己診断チェックリストを、2026年10月時点の法令と出入国在留管理庁のQ&Aにもとづいて示します。

この記事の結論
  • 会社を事前に認定する制度はない:受入れ機関の基準は在留資格の申請のたびに審査され、受け入れた後も定期届出で確かめられます。
  • 受け入れできない条件は「過去」も見られる:欠格事由13項目(刑罰歴の多くは5年)、契約の前後1年以内の非自発的離職・行方不明者、5年以内の不正行為などが対象です。
  • 支援体制は自社支援か全部委託かで変わる:自社支援には過去2年の受入れ実績などが必要です。登録支援機関に全部委託すれば、支援体制の基準は満たしたものとみなされます。
  • 分野の上乗せ基準と協議会も確認する:宿泊なら旅館業法の許可や接待をさせない措置など、分野ごとに条件が加わります。

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この記事の目次

特定技能の受入れ機関の要件は「4つの柱」で確かめる

特定技能の受入れ機関になれるかは、法令順守・欠格事由・支援体制・報酬の4つの柱で決まります。どれも法務省令で決まった基準で、1つでも欠けると在留資格の許可は出ません。

受入れ機関(正式には特定技能所属機関)とは、特定技能の外国人と直接、雇用契約を結ぶ会社のことです。基準は「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(以下、基準省令)に書かれています。第1条が雇用契約、第2条第1項が会社そのもの、第2条第2項が支援体制の基準です。

図1受入れ機関の基準を4つの柱で見る(基準省令の構成)

  • ① 法令順守労働・社会保険・税の法令を守る。労災保険の手続きをする。報酬は口座振込など、払った額を確認できる方法で払う(第2条第1項第1・10・12号)。
  • ② 欠格事由と過去の実績刑罰歴・暴力団との関係など13項目。契約の前後1年以内の非自発的離職と行方不明者、5年以内の不正行為も見られる(第2条第1項第2〜4号)。
  • ③ 支援体制自社で支援するなら過去2年の受入れ実績などが必要。登録支援機関に全部を委託すれば、基準を満たしたものとみなされる(第2条第2項、入管法第2条の5第5項)。
  • ④ 報酬と雇用契約日本人と同等以上の報酬、同等の所定労働時間、国籍による差別の禁止、一時帰国時の有給休暇(第1条第1項)。
4つの柱に、分野ごとの上乗せ基準(告示)と協議会への加入が加わります。出典:e-Gov法令検索「基準省令」(2026年10月14日確認)、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(2026年10月14日確認)

会社を「認定」する制度はなく、申請のたびに審査される

意外に知られていないのが、受入れ機関を前もって認定する制度がないことです。出入国在留管理庁のQ&A(Q27)は、在留資格の申請の審査の中で、協議会への加入を含めて基準を満たしているかを確かめると説明しています。「去年は許可が出たから今年も大丈夫」とは限りません。

受け入れた後も、年1回の定期届出で、社会保険料や税の納付状況の書類を出します。書類から基準に合わないと分かり、是正されなければ、受け入れは原則として認められなくなります(定期届出の作成要領、2026年1月掲載)。

図2受入れ機関の基準に出てくる主な数字

  • 13項目欠格事由(イ〜ワ)法人は役員も対象
  • 1年非自発的離職・行方不明者を見る期間契約締結日の前1年以内とその後
  • 5年刑罰歴・不正行為を見る期間多くの欠格事由で5年
  • 14日基準に合わなくなったときの届出期限事由が生じてから。到達が必要
期間の数え方は項目ごとに違います。日付が近いときは、条文と専門家で確かめてください。出典:e-Gov法令検索「基準省令」(2026年10月14日確認)、出入国在留管理庁「随時届出に関するQ&A」(2025年6月)

特定技能で受け入れできる会社の基準①:法令順守と報酬

1つ目の柱は、労働・社会保険・税の法令を守っていることです。保険料や税に未納があると、この基準を満たしません。申請では、納付状況を書類で示します。

社会保険・労働保険・税の納付を書類で示せるか

基準省令は、第2条第1項の最初に「労働、社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していること」を置いています。労災保険の保険関係成立の届出などの措置も求めています(第10号)。日本年金機構によると、受入れ機関は在留資格の申請で、健康保険・厚生年金保険料の領収証書の写しなど、納付状況が分かる書類を出します。手元にないときは「社会保険料納付記録交付申請書」で請求でき、郵送の受付からおおむね4営業日で発行されます。

法令順守を示す主な書類(申請・定期届出)
確かめる内容主な書類根拠・案内
健康保険・厚生年金保険料の領収証書(納入告知書)の写し。なければ日本年金機構に納付記録を請求日本年金機構の案内
労働保険労働保険料の納付に関する書類定期届出の作成要領
税納税証明書(その3)定期届出の作成要領
労災保険保険関係成立の届出など基準省令 第2条第1項第10号
報酬の払い方口座振込の記録。振込以外なら報酬支払証明書(参考様式第5-7号)基準省令 第12号・作成要領

同じ年度にすでに特定技能外国人を受け入れている会社は、申請時の会社側の書類(提出書類一覧表の第2表)を省略できます。求められれば提出が必要です。

報酬は「日本人と同等以上」を3つの順で判断

雇用契約の基準(基準省令第1条第1項)は、報酬を日本人が同じ業務をする場合と同等以上にすることを求めます。所定労働時間を通常の労働者と同じにすること、外国人であることを理由に報酬・教育訓練・福利厚生施設の利用で差別しないことも基準です。本人が一時帰国を希望したら、必要な有給休暇を取らせることも契約の条件に入っています。

同等かどうかは、出入国在留管理庁のQ&Aによると次の順で判断されます。賃金規定があれば規定に照らし、なければ同じ業務の日本人と比べます。比べる日本人もいないときは、近隣の同業他社で同じ業務をする特定技能外国人の報酬と比べます。働き方はフルタイムが前提です。

地域別最低賃金も見直してください。2026年度の全国加重平均は1,177円で、発効日は都道府県により10月1日〜12月2日です(厚生労働省、2026年9月公表)。

特定技能の受け入れができない会社の条件:過去1年・5年も見られる

受け入れできない会社の条件は、主に「契約の前後1年以内の離職・行方不明」「欠格事由」「お金に関する不正」の3つです。今の状態だけでなく、過去の出来事も審査の対象になります。

契約の前後1年以内に、同じ仕事の人を辞めさせていないか

基準省令第2条第1項第2号は、雇用契約の締結日の前1年以内とその後に、外国人と同じ種類の業務をしていた労働者を離職させていないことを求めます。除かれるのは、定年などによる退職、本人の責めによる重大な理由での解雇、自発的な離職、一定の条件を満たす有期契約の終了です。

第3号は、同じ期間に、会社の責めによる外国人の行方不明者を出していないことを求めます。条文は特定技能に限らず「外国人の行方不明者」と書いています。受け入れた後に会社都合で同じ仕事の人を辞めさせた場合も、その後の契約で基準を満たさなくなります。判断に迷う退職は、申請前に専門家に確かめましょう。

特定技能の欠格事由13項目(イ〜ワ)

第4号は、会社(法人は役員を含む)が次のどれにも当たらないことを求めます。役員の1人が当たるだけで、会社全体が受け入れできなくなる点に注意してください。

図3欠格事由の13項目と、見られる期間

項目内容(要約)見られる期間
イ拘禁刑以上の刑を受けた執行を終えた日などから5年
ロ労働基準法・職業安定法・最低賃金法など労働関係の法令で罰金刑同5年
ハ暴力団対策法や、刑法などの一部の罪(暴行・傷害など)で罰金刑同5年
ニ健康保険法・厚生年金保険法・雇用保険法など社会保険の法令で罰金刑同5年
ホ精神の機能の障害で、契約の履行に必要な判断などが適切にできない期間の定めなし
ヘ破産手続開始の決定を受けて、復権していない復権まで
ト技能実習の計画認定を取り消された取消しから5年
チ認定を取り消された法人の、当時の役員取消しから5年
リ外国人への暴行・脅迫、旅券の取上げ、報酬の不払い、私生活の不当な制限など、出入国・労働の法令に関する不正や著しく不当な行為契約前5年以内とその後
ヌ暴力団員、または暴力団員でなくなってから5年たっていない5年
ル営業について成年者と同じ行為能力を持たない未成年者で、法定代理人がイ〜ヌなどに当たる代理人の項目による
ヲ役員にイ〜ルに当たる人がいる法人役員の項目による
ワ暴力団員などが事業活動を支配している期間の定めなし
刑罰歴の多くは「執行を終えた日などから5年」で外れます。起算日は判決や納付の記録で確かめてください。出典:e-Gov法令検索「基準省令」第2条第1項第4号(2026年10月14日確認)

お金に関する禁止:保証金・違約金・支援費の本人負担

第6号〜第8号は、お金のルールです。外国人や家族が保証金を取られていたり、違約金の契約を結ばされていたりすると知りながら、雇用契約を結ぶことはできません。会社が誰かと違約金を定める契約を結ぶことも、1号の支援の費用を本人に直接・間接に負担させることも認められません。

  • 保証金を取る送出し機関の候補者と、事情を知りながら契約する
  • 途中で辞めたら違約金を払う、という約束をさせる
  • 義務的支援の費用を、給与からの差引きなどで本人に負担させる
  • パスポートや在留カードを会社が預かる
  • 農業・漁業以外の分野で、派遣の形で受け入れる

派遣で受け入れられるのは農業と漁業だけです(Q&A Q32)。ほかの分野での派遣の提案は、その場で断ってください。

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支援体制の基準:自社で支援するか、全部を委託するか

1号の外国人を受け入れる会社は、10項目の義務的支援を計画どおりに行える体制が必要です。自社で支援するには実績と人の条件があり、登録支援機関に全部を委託すれば、この基準は満たしたものとみなされます(入管法第2条の5第5項)。

自社で支援する場合の6つの条件

  1. 過去2年間に、就労できる在留資格の中長期在留者を適正に受け入れた実績がある。または過去2年間に生活相談の経験がある役職員がいる、もしくは同程度と認められる。そのうえで支援責任者と、事業所ごとに1人以上の支援担当者を選ぶ(基準省令第2条第2項第1号)。
  2. 外国人が十分に理解できる言語で支援できる(第2号)。
  3. 支援の記録を作り、雇用契約の終了から1年以上保管する(第3号)。
  4. 支援責任者・担当者が外国人を監督する立場になく、欠格事由にも当たらない(第4号)。
  5. 契約前5年以内とその後に、支援計画にもとづく支援を怠ったことがない(第5号)。
  6. 外国人と、その監督者の両方と定期的に面談できる(第6号)。面談は3か月に1回以上です。

図4自社支援と全部委託で、会社が準備すること

自社で支援する

  1. 過去2年の受入れ実績や相談経験を書類で示す(参考様式第1-11-2号など)
  2. 監督者以外から支援責任者・担当者を選ぶ
  3. 相談は勤務日に週3日以上・休日に1日以上対応
  4. 支援の記録を契約終了から1年以上保管

2027年4月1日からは、常勤の役職員から選ぶことや、担当者1人あたり50人未満などの基準も示されています。

登録支援機関に全部を委託する

  1. 支援委託契約に、支援の内容と費用の額・内訳を入れる
  2. 委託先の登録番号を登録簿で確かめる
  3. 支援体制の基準は満たしたものとみなされる
  4. 雇用契約・報酬・届出の責任は会社に残る

登録支援機関は、受けた支援の全部をほかに再委託できません。

過去2年の受入れ実績も相談の経験もない会社は、全部委託を選ぶのが現実的です。出典:e-Gov法令検索「基準省令」第2条第2項(2026年10月14日確認)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)、出入国在留管理庁「支援体制等の主な改正点」(2027年4月1日施行)

全部委託でも、会社に残る責任

委託しても、雇用契約、報酬の支払い、労務管理、受入れ機関としての届出は会社の責任のままです。2027年4月1日の新基準のもとで、過去2年の受入れ実績の要件が残るかは、今後の公表資料で確認が必要です。制度全体の流れは特定技能の仕組みと受け入れの条件で整理しています。

分野ごとの上乗せ基準:宿泊・介護・建設などの例

4つの柱に加えて、分野ごとの告示で会社の条件が上乗せされます(基準省令第2条第1項第13号)。どの分野でも、在留資格の申請の前に分野別の協議会の構成員になる必要があります(Q&A Q14)。

図5分野ごとに加わる会社側の主な条件(例)

分野会社に加わる主な条件
宿泊旅館業法の「旅館・ホテル営業」の許可。風営法の対象施設で働かせない。接待をさせない。2026年5月22日からは「接待を行わせないための必要な措置」も基準に
介護介護福祉士の受験資格の実務経験と認められる業務の事業所。1号の人数は、事業所の日本人等の常勤介護職員の総数まで
建設建設業許可、建設特定技能受入計画の認定、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録、建設技能人材機構(JAC)への加入。1号の人数は常勤職員の総数まで
ビルクリーニング営業所ごとに「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録
自動車整備地方運輸局長の認証を受けた事業場(認証工場)を持つ
農業直接雇用なら、過去5年以内に同じ労働者を6か月以上続けて雇った経験(技能実習生を含む)などが必要
外食業風営法の風俗営業の営業所で働かせない。接待をさせない。なお2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付を一時停止(9月10日掲載の情報で、交付の対象は受付日が1月31日までの申請)
分野の条件は告示と運用要領で決まり、改正もあります。申請前に所管省庁のページで最新の版を確かめてください。出典:法務省・国土交通省「運用要領(宿泊分野)」(2024年2月15日一部改正)、出入国在留管理庁「宿泊分野の基準の改正について」(2026年5月22日施行)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)、出入国在留管理庁「外食業分野の審査状況」(2026年9月10日掲載)

会社の規模の下限はない

Q&A(Q34)によると、会社ごとの受入れ人数の上限は原則ありません。上限があるのは介護と建設です。従業員数や資本金の下限も、基準省令の第2条には書かれていません。従業員が10人に満たない会社でも、基準を満たせば受け入れられます。

分野別の詳しい条件は、ビルクリーニングの特定技能、自動車整備の特定技能、建設の特定技能、農業の特定技能、外食業の特定技能の記事にまとめています。

自己診断チェックリスト:申請前に確かめる20項目

ここまでの基準を、社内の書類で確かめられる20項目にまとめました。「いいえ」や「分からない」が1つでもあれば、申請の前に解消するか、専門家に確かめてください。

図6受入れ機関の自己診断チェックリスト(20項目)

No.確かめること社内で見る書類
A1健康保険・厚生年金に入るべき人が全員加入し、保険料の未納がない保険料の領収証書、納付記録
A2労災保険・雇用保険の手続きと保険料の納付ができている労働保険の申告・納付の控え
A3法人税・消費税・源泉所得税などに未納がない納税証明書
A436協定を結び、時間外労働の上限(原則月45時間・年360時間)を守っている36協定届、勤怠記録
A5賃金を口座振込など、払った額を確認できる方法で払える給与振込の記録
B1契約予定日の前1年以内に、同じ仕事の人を会社都合で辞めさせていない退職者の一覧と離職理由
B2同じ期間に、会社の責めによる外国人の行方不明者がいない外国人社員の在籍記録
B3会社と役員に、5年以内の拘禁刑以上の刑や、労働・社会保険の法令による罰金刑がない役員からの申告書
B45年以内に、外国人への暴行・旅券の取上げ・賃金の不払いなどがない労務トラブルの記録
B5技能実習の計画認定を取り消されていない(5年以内)取消しの通知の有無
B6暴力団員などが役員にいない・事業を支配していない役員の誓約
C1報酬が同じ仕事の日本人と同等以上で、賃金規定とも合っている賃金規定、日本人社員の給与
C2所定労働時間が通常の社員と同じ(フルタイム)就業規則、雇用条件書
C3一時帰国を希望されたら有給休暇を取らせられる就業規則
C4保証金・違約金の契約がないことを、送出し機関や紹介会社に確かめた契約書、説明書
C5支援の費用を本人に負担させない(給与からの差引きも含む)委託契約書、賃金控除の協定
D1自社で支援するなら、過去2年の実績と支援責任者・担当者がいる受け入れた中長期在留者の一覧
D2外国人が理解できる言語で、相談に対応できる通訳・委託先の体制
D3分野の上乗せ基準(許可・登録・認証など)を満たしている許可証、登録証
D4分野の協議会への加入を、申請の前に終えられる加入証明書の発行時期
A=法令順守、B=欠格事由と過去の実績、C=報酬と契約、D=支援体制と分野。編集部が基準省令の項目を、社内で確かめやすい形に並べ替えたものです。出典:e-Gov法令検索「基準省令」(2026年10月14日確認)

「いいえ」があったときの考え方

「いいえ」は3種類に分かれます。未納の保険料や古い36協定のように、直せば解消するもの。1年・5年の期間が過ぎるのを待つもの。暴力団との関係のように、受け入れそのものを見直すものです。期間を待つ項目は、起算日を記録で確かめて、申請の時期を決めましょう。

受け入れた後も基準は続く:届出と、基準を外れたとき

基準は申請のときだけでなく、受け入れている間ずっと求められます。外れたときは14日以内の届出が必要で、届出を怠ると、その後の受け入れにも響きます。

図7申請の前後で、会社が出す主な書類と届出

  1. 雇用契約の後、申請の前:協力確認書働く事業所と住む場所の市区町村へ出します(2025年4月から)。
  2. 申請の前:分野別の協議会に加入加入証明書を申請書類として出します。
  3. 在留資格の申請海外からは在留資格認定証明書、日本にいる人は変更許可を申請します。
  4. 受け入れ中:随時届出(14日以内)雇用契約の変更・終了、支援計画の変更、受入れ困難、基準不適合などが起きたとき。
  5. 毎年4月1日〜5月31日:定期届出前年度(4月〜翌3月)分を、納付状況の書類とともに出します。
定期届出は2025年4月から年1回になり、初回の提出は2026年4月1日〜5月31日でした。出典:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年5月20日更新)、出入国在留管理庁「定期届出 作成要領」(2026年1月26日掲載)

基準不適合の届出(2025年4月から)

2025年4月1日から、基準に合わなくなったときの「基準不適合に係る届出」(参考様式第3-5号)ができました。税・社会保険料の未納や、非自発的離職者の発生などが届出の事由です。期限は事由が生じてから14日以内で、消印ではなく地方出入国在留管理局に届いている必要があります。

届出をしない、または虚偽の届出をすると、一定期間は特定技能雇用契約を結べなくなることがあり、罰金や過料の対象にもなり得ます(随時届出Q&A Q1-6)。2027年4月に始まる育成就労でも、受け入れる会社の条件は別に定められています。人数枠などは育成就労の受け入れ人数枠と費用で、制度の違いは特定技能と技能実習の違いで確かめられます。

よくある思い込みと、相談先の選び方

受入れ機関の基準には、よくある思い込みがあります。どれも公表資料で確かめられます。

  • 一度許可が出れば、次の申請も通る認定制度はなく、申請のたびに基準を満たすか審査されます。同じ年度の受け入れ実績で会社側の書類を省略できても、求められれば提出が必要です。
  • 登録支援機関に任せれば、会社の責任はなくなる支援体制の基準は満たしたものとみなされますが、雇用契約・報酬・労務管理・届出は会社の責任です。
  • 退職した人のことは審査に関係ない契約の前1年以内に同じ仕事の人を会社都合で辞めさせていると、基準を満たしません。

誰に何を相談するか

報酬を得て申請書類を作れるのは、行政書士などに限られます(改正行政書士法、2026年1月1日施行)。支援の委託先は出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿で、紹介会社は有料職業紹介の許可番号で確かめられます。相談するときは、自己診断表の「分からない」項目をそのまま見せると、話が早く進みます。

特定技能のりあい窓口では、分野・人数・国内か海外か・任せたい範囲をうかがい、条件に合う人材紹介会社・登録支援機関を最大3社まで無料でご紹介しています。順位は付けず、選ぶのは御社です。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。会社選びの全体像は総合ガイドにまとめています。

想定ケース:ビジネスホテル(従業員24人)の総務部長が、申請を3か月遅らせた理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

  • 申請前の自己診断で、確かめが必要な項目が3つ見つかり、約2か月で整理した(パート1人の雇用保険の加入漏れ、期限切れ間近の36協定、接待をさせないための社内ルール)
  • フロント・レストランサービスの担当として特定技能1号を2人受け入れ、管理職の夜勤の代替勤務が月20時間ほどから月5時間ほどに減った
  • 宿泊分野特定技能協議会の入会通知書は申請から約5週間で届き、入社日は計画どおりだった

地方都市のビジネスホテルで総務部長を務める40代の男性を想定したインタビューです。自己診断で見つかった課題を直してから申請しました。

――受け入れて、何が変わりましたか。

夜勤のフロントに管理職が入る回数が、目に見えて減りました。以前は私も月に何度か夜勤に入っていたんです。いまは2人がシフトに入ってくれるので、私は本来の総務の仕事に戻れています。朝食会場の回転も良くなりました。

――なぜ特定技能を検討したのですか。

フロントの求人を半年出して、日本人の応募は2件でした。宿泊の分野で特定技能が使えるとは知っていましたが、うちは24人の会社です。そもそも受入れ機関になれるのか、そこから分かりませんでした。

――どこで迷いましたか。

最初に来た提案は「派遣の形なら手続きが楽です」というものでした。調べると、派遣で受け入れられるのは農業と漁業だけです。そこで、法令の基準を自分で一つずつ確かめることにしました。いちばん悩んだのは、前の年に契約を更新しなかったフロントの契約社員のことです。「自発的な離職」や除外される雇止めに当たるのか、私たちでは判断できませんでした。

――最終的に、どう決めたのですか。

行政書士に経緯を説明したうえで、念のため、その契約終了から1年が過ぎるまで申請を待つことにしました。3か月の遅れです。正直、早く人がほしかったので迷いました。ただ、委託先の候補の1社が「ここは曖昧にしないほうがいい」と、確認先まで具体的に教えてくれた。その説明の仕方が、うちのような小さな会社の事情に合っていると感じて、支援を全部お願いすることに決めました。うちには過去2年の外国人の受入れ実績がないので、自社支援は最初から考えませんでした。

――始めてみて、つまずいたことは。

2つあります。1つは接待の問題です。館内に宿泊客向けのバーラウンジがあり、2026年5月からの基準を読んで、配置と接客の範囲を文書で決めました。もう1つは協議会です。受入れ機関と登録支援機関の両方の申請がそろってから審査が始まるので、委託先と日付を合わせて出しました。

――これから検討する会社に伝えたいことは。

「去年の自分の会社」を書類で見直すことです。退職者の一覧、保険の加入、36協定。うちは待つ判断をしましたが、何も知らずに申請していたら、と思うと少し怖いですね。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

うちの会社は特定技能を受け入れできる?

法令順守・欠格事由・支援体制・報酬の4つの柱と、分野の上乗せ基準をすべて満たせば受け入れできます。会社の規模の下限も、事前の認定制度もありません。この記事の20項目のチェックリストで社内の書類を確かめ、「分からない」が残る項目は申請前に行政書士などに確認しましょう。

社員が10人未満の小さな会社でも受入れ機関になれますか?

なれます。基準省令に従業員数や資本金の下限はありません。会社ごとの受入れ人数の上限も原則なく、上限があるのは介護と建設です(Q&A Q34)。ただし、自社で支援する実績がなければ、登録支援機関への全部委託を考えることになります。

役員の1人が過去に罰金刑を受けています。受け入れできませんか?

罰金刑の理由と時期によります。労働関係や社会保険の法令、暴行などの一部の罪による罰金刑は、執行を終えた日などから5年たつまで欠格事由に当たります。役員に当たる人がいると、法人として受け入れできません(ヲ)。判決や納付の記録で日付を確かめ、専門家に相談してください。

労働基準監督署から是正勧告を受けたことがあります。受け入れできませんか?

是正勧告そのものは、欠格事由の13項目には入っていません。ただし、法令を守っていることは基準の1つ目の柱です。外国人への報酬の不払いなどは「不正又は著しく不当な行為」(リ)に当たり得ます。是正の内容と時期を整理し、申請前に専門家に確認してください。

社会保険料の支払いが遅れた月があります。受け入れできますか?

未納のままでは、法令順守の基準を満たしません。申請では保険料の納付状況が分かる書類を出すので、先に納付を済ませてください。受け入れ中に未納になった場合は、基準不適合の届出(14日以内)の事由になります。

登録支援機関に全部委託すれば、支援体制の基準は気にしなくてよいですか?

支援計画の全部を登録支援機関に委託すれば、支援体制の基準は満たしたものとみなされます(入管法第2条の5第5項)。ただし、委託先が登録されているか、支援を実際に担える体制かは会社が確かめる必要があります。雇用契約・報酬・届出の責任は会社に残ります。

受け入れた後に基準を満たさなくなったら、何をすればよいですか?

事由が生じてから14日以内に、基準不適合の届出(参考様式第3-5号)を地方出入国在留管理局に出します。あわせて、未納の解消など原因の是正を進めてください。是正されない場合、受け入れは原則認められなくなります。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月14日確認)
  2. e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第2条の5)(2026年10月14日確認)
  3. 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
  4. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
  5. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年5月20日更新)
  6. 出入国在留管理庁「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領」(2026年1月26日掲載)
  7. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(2025年6月)
  8. 出入国在留管理庁「支援体制等の主な改正点」(2027年4月1日施行)
  9. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
  10. 法務省・国土交通省「特定技能外国人受入れに関する運用要領(宿泊分野)」(2024年2月15日一部改正)
  11. 出入国在留管理庁「特定技能制度の宿泊分野に特有の事情に鑑みて定める基準の改正について」(2026年5月22日施行)
  12. 法務省・厚生労働省「運用要領(介護分野)」(2025年4月21日一部改正)
  13. 法務省・国土交通省「運用要領(建設分野)」(2025年1月31日一部改正)
  14. 法務省・厚生労働省「運用要領(ビルクリーニング分野)」(2026年8月28日一部改正)
  15. 法務省・国土交通省「運用要領(自動車整備分野)」(2024年2月15日一部改正)
  16. 農林水産省掲載「運用要領(農業分野)」(2025年6月6日一部改正)
  17. 出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」(2026年9月10日掲載)
  18. 日本年金機構「『特定技能』にかかる社会保険関係書類の交付」(2023年6月1日更新)
  19. 日本年金機構「特定技能所属機関(社会保険適用事業所)の書類が必要な場合の申請方法」(2026年5月18日更新)
  20. 厚生労働省「令和8年度最低賃金額答申」(2026年9月3日公表)

最終更新:(2026年10月版)

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