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https://tokutei-noriai.blog/mitsumori-yomikata/ 印刷日:2026年10月15日

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特定技能の見積書の読み方|紹介料・支援費・実費を分けて比べる

見出しの金額で並べた順位と、3年総額・途中で辞めた場合の負担で並べた順位は一致しない

特定技能の見積もりを3社から取ったものの、紹介料込みの総額だけ、月額だけ、項目が「一式」と形がばらばらで比べようがない。そんな状態で、一番安く見える会社に決めかけていませんか。この記事では、架空の3社の見積書を並べ、紹介料・支援費・実費の3つに分けて読み直します。表面の金額、3年総額、1年で退職した場合の負担で順位がどう変わるかを計算し、見積もりを比較するポイントと、料金と実績のどちらを重視すべきかの考え方までまとめます。

この記事の結論
  • 見積書は「紹介料・支援費・実費」に分けて読む:払う先も時期も根拠のルールも違うため、合計だけでは比べられません。支援委託契約には、費用の額と内訳を盛り込む必要があります(出入国在留管理庁Q&A)。
  • 表面の金額と3年総額で順位が入れ替わる:架空の3社では、月額が最も安いA社が3年総額では最も高く、1年で退職した場合は紹介料0円のB社が解約金で最も重くなりました。
  • 料金は「足切り」と「最後の比較」に使う:受け入れた事業所が委託先を選んだ理由は「実績がある」51.8%、「費用が安い」9.8%(岡山県)。実績と支援体制を先に見て、料金は3年総額と途中退職の場合で比べます。

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この記事の目次

特定技能の見積もりは「紹介料・支援費・実費」に分けて読む

特定技能の見積書は、紹介料・支援費・実費の3つに分けて読み直すと比べられるようになります。そのうえで36か月分を足し、さらに「1年で辞めた場合」も計算すると、見出しの金額では見えなかった差が出てきます。

3つに分けるのは、払う先も、根拠になるルールも違うからです。紹介料は職業安定法、支援費は出入国在留管理庁の基準、実費は国の手数料や行政書士の報酬などに関わります。合計額だけを比べると、どこが高いのか、どこを交渉できるのかが分かりません。紹介会社と登録支援機関の役割の違いは、人材紹介会社と登録支援機関の違いで図にしています。

図1見積書を読む4つの段階

  1. 3つの区分に仕分ける見積書の各行に「紹介料」「支援費」「実費」のどれかを書き込みます。どれにも入らない行は、何の費用か質問します。
  2. 危ない行がないか確かめる本人に負担させる行、保証金や違約金、資格のない者による書類作成がないかを見ます。
  3. 3年総額に直す初期費用+月額×36か月+追加料金の見込みを足します。追加料金は単価×年間の回数で見込みます。
  4. 途中で辞めた場合も計算する返金規定と解約の条件を当てはめ、1年で退職した場合の負担を出します。
見積書の見出しの数字は、4段階のどこにも登場しません。比べるのは、3年総額と途中退職の場合の負担です。

内訳を求めるのは「当然の依頼」

出入国在留管理庁のQ&Aは、支援委託契約に、受託する支援業務の内容と、費用の額およびその内訳を少なくとも盛り込む必要があるとしています(Q70)。料金に入管法令上の上限はない代わりに、額と内訳の明示が求められています(Q72)。紹介会社も、手数料表と返戻金制度の内容を書面などで示す必要があります(職業安定法施行規則24条の5)。「一式」の見積もりに内訳を求めることは、遠慮するような依頼ではありません。

見積書によく出る項目と、3つの区分への仕分け方

見積書の項目名は会社ごとに違いますが、中身は3つの区分のどれかに入ります。名前ではなく「何の作業の対価か」で仕分けるのがコツです。

図2見積書の項目名の例と、仕分け先・確かめること

項目名は一例。同じ中身でも会社ごとに呼び方が違う
見積書の項目名の例仕分け先確かめること
紹介手数料・採用成功報酬紹介料手数料表どおりか。支払い時期と返金規定
登録料・面接調整費紹介料紹介に関わるお金は、名目を問わず手数料表の範囲か
支援導入費・初期サポート費支援費(初期)事前ガイダンス、生活オリエンテーションなど、どの作業か
月額サポート費・管理費支援費(月額)10項目のどれを含み、回数の上限はあるか
通訳費・同行費支援費(追加)単価と、年に何回起きそうか
申請書類作成費実費(行政書士の報酬)作成するのは誰か。更新のときの費用
在留手続の手数料実費(国)窓口かオンラインか。許可される期間で額が変わる
渡航費・住居準備費実費誰に払うか。家賃を本人からいくら取る前提か
解約金・最低契約期間契約の条件途中で辞めたとき、残りの期間の費用をどう扱うか
本人負担額・控除額要注意支援費や紹介手数料を本人に回していないか
紹介会社は、職業紹介に関して、名目を問わず手数料表などに沿ったお金しか受け取れません。義務的支援の費用は本人に負担させられません。出典:e-Gov法令検索「職業安定法」第32条の3(2026年10月)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)、出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」(2026年10月確認)

比べる前に、前提を3つそろえる

1つ目は税込か税別か。混ざると、月額で約1割の差に見えてしまいます。2つ目は1人分か複数人分か。3つ目は、国内在住者を想定した額か、海外から呼ぶ場合の額かです。3つがそろっていない見積書は、比べる前に出し直してもらいます。

公的データと見比べて、外れている行に印をつける

見積書の各行は、公的データの分布と見比べると、確かめるべき行が絞れます。職業紹介を通じた介護職の平均手数料は全国59.7万円です(厚生労働省、令和6年度実績、特定技能に限らない)。福岡県の令和7年度調査では、支援の月額は1人「2万円以上3万円未満」が31.5%、初期費用は「20万円以上40万円未満」が27.1%で最も多い区分でした。分布から大きく外れる行は、高くても安くても理由を聞きます。

書類の作成者は名前で確かめる

2026年1月1日施行の改正行政書士法は、行政書士でない者が、名目を問わず報酬を得て官公署に出す書類の作成を業として行うことを禁じています。見積書に「申請書類作成費」があれば、作成する行政書士の名前を聞きます。「こちらで全部やります」としか答えがない場合は、候補から外すことを考えます。

架空の3社の見積書を並べる:見出しの金額はA社が最も安い

飲食料品製造業で国内在住者を1人採用し、紹介と支援の両方を頼む前提で、3社から見積書が届いたとします。数字はすべて仕組みを説明するための架空の値で、相場を示すものではありません。

図3架空の3社の見積書(1人分・税込)

A社=月額が安い型、B社=紹介料0円型、C社=許可後払い型(すべて架空)
項目A社B社C社
見出しの数字月額1.5万円紹介料0円月額2.5万円
紹介料30万円(内定時払い)0円50万円(在留資格の許可後払い)
返金規定1か月以内の退職は50%—3か月以内50%、6か月以内25%。不許可なら支払いなし
支援の初期費用25万円10万円0円(月額に含む)
申請書類の作成初回12万円、更新ごとに5万円月額に含む(提携の行政書士)初回8万円、更新ごとに4万円(行政書士に直接)
月額1.5万円4.0万円2.5万円
追加料金通院の付き添い1回8,000円、夜間対応1回1万円、対面面談の交通費1回5,000円なし(通院の付き添いは月1回まで)なし(夜間は22時まで対応)
解約の条件1か月前に予告、解約金なし最低36か月。途中解約は残り期間の月額の50%3か月前に予告、解約金なし
見出しの数字だけを見ると、A社の月額の安さとB社の「0円」が目を引きます。出典:編集部が作成した架空の見積書

初年度に見積書どおり払う額では、B社が最も安い

見積書に書かれた固定の金額だけを1年分足すと、A社85.0万円、B社58.0万円、C社88.0万円です。紹介料のないB社が、初年度は30万円近く安く見えます。社内で「B社でいいのでは」という声が出るのは、この段階です。

見出しの数字は、その会社の「一番強い数字」

この例では、見積書の上に大きく書かれた数字が、それぞれの会社の強みと重なっていました。A社なら月額、B社なら紹介料、C社なら許可後払いの条件です。見出しを比べるのではなく、見積書の下のほうにある注記・解約・改定の欄から先に読むと、各社の弱いところが早く見えてきます。

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3年総額と「1年で退職した場合」で並べ直す

追加料金の見込みを足して3年総額に直すと、最も安いのはB社、最も高いのはA社でした。ただし差は6.4万円にとどまります。一方、1年で自己都合退職した場合はC社が最も軽く、B社が最も重くなり、差は18万円に広がりました。

計算の前提(架空)

追加料金は、通院の付き添いを年6回、夜間の緊急対応を年3回、対面の定期面談を年4回と見込みました。在留期間は1年ずつ許可され、更新の書類作成が3年で2回ある前提です。途中退職の場合は、予告期間の月額は含めていません。

場面ごとの負担(1人分・単位:万円・架空の前提による試算)
場面A社B社C社
初年度に見積書どおり払う額85.058.088.0
3年総額(追加料金の見込みを含む)160.4154.0156.0
1年で自己都合退職した場合94.8106.088.0
2か月で自己都合退職した場合70.086.038.0

図43年総額と、1年で退職した場合の負担(1人・試算)

  • A社 3年総額160.4万円
  • B社 3年総額154.0万円
  • C社 3年総額156.0万円
  • A社 1年で退職94.8万円
  • B社 1年で退職106.0万円
  • C社 1年で退職88.0万円
3年働いた場合の差は小さく、途中で辞めた場合の差は大きくなります。出典:編集部の試算(架空の3社の見積書による)

A社:安い月額を、追加料金が食う

A社の月額はC社より月1万円安く、3年で36万円の差です。ところが、追加料金と更新の書類作成の見込みが39.4万円あり、この差を上回ります。夜間の対応が1回いくらかかるかは、実際に起きるまで意識しにくい部分です。

B社:紹介料0円の代わりに、途中解約が重い

B社は3年働けば最も安く済みます。ただし最低契約期間が36か月で、1年で辞めると残り24か月分の半額、48万円の解約金がかかります。紹介料0円の見積もりでは、月額や初期費用に紹介の対価が混ざっていないかも確かめます。職業安定法は、紹介会社が紹介に関して受け取れるお金を、名目を問わず手数料表などに沿ったものに限っています。

C社:紹介料は高いが、下振れに強い

C社は紹介料が最も高い一方、許可後払いで、6か月以内の退職なら一部が戻ります。2か月で辞めた場合は25万円が戻り、負担は38万円です。返金規定は設けることが望ましいとされるだけで義務ではないため、こうした条件は会社ごとの差がそのまま出ます。

特定技能の見積もりを比較するポイント:8つの行を必ずそろえる

3社の見積もりを同じ物差しに乗せるには、次の8つの行が全社でそろっている必要があります。1つでも欠けていたら、比べる前に出し直しを頼みます。

  • 前提:人数、国内在住者か海外からか、入社時期、税込か税別か
  • 紹介料:額、支払い時期(内定時・許可後・入社後)
  • 返金規定:対象期間と割合、在留資格の不許可や入国前の辞退の扱い
  • 支援の初期費用:どの作業の対価か(事前ガイダンス、生活オリエンテーションなど)
  • 月額:義務的支援10項目のうち何を含むか、回数の上限
  • 追加料金:単価と、年に何回起きそうか
  • 書類:作成する行政書士の名前と、更新のときの費用
  • 解約と改定:最低契約期間、予告期間、解約金、料金改定の条件

見積もりを頼むときに伝える条件

依頼の文面には、分野、人数、入社希望の時期、国内在住者か海外からか、任せたい範囲(紹介・支援・両方)、事業所の所在地、本人が使う言語の見込みを書きます。同じ文面を3社に送り、回答の期限は2週間ほどに決めます。候補探しから手間を減らしたい場合は、条件に合う会社を最大3社まで同じ形式で紹介する、特定技能のりあい窓口のような無料の相談窓口を使う方法もあります。会社に順位は付けず、選ぶのは企業です。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。

点数をつけて社内稟議にまとめる方法は、特定技能の会社比較シートの作り方で解説しています。1人だけの採用で見積もりを取る場合の注意は特定技能を1人だけ採用したいが参考になります。

登録支援機関の見積書で見落としやすい3つの欄

登録支援機関の見積書では、月額の数字より「注記」「解約」「改定」の3つの欄で差がつきます。どれも見積書の下のほうに小さく書かれがちな欄です。

1. 「月額に含む」の注記

「全部込み」と書かれていても、「通院の付き添いは月1回まで」「面談はオンライン」などの注記で範囲が絞られていることがあります。定期面談は、本人の同意や録画の保存などの条件を満たせばオンラインでも行えますが、初回は対面が望ましいとされます。注記を読み、月額で何回まで対応してもらえるかを数字で確かめます。月額の水準は登録支援機関の月額委託費の相場、月額の中身は登録支援機関の支援費の内訳で詳しく扱っています。

2. 最低契約期間と解約の条件

B社の例のように、最低契約期間と解約金の組み合わせは、途中退職の場面で総額を大きく動かします。支援委託契約を終了・締結したときは、事由が生じた日から14日以内に随時届出も必要です。解約の費用に加えて、支援記録の引き渡し方法と、届出の書類を誰が用意するかも書いてもらいます。

3. 料金改定の条件

2027年4月1日から、登録支援機関には常勤の支援責任者・支援担当者の配置と、担当者1人あたり受入れ機関10未満・1号外国人50人未満の体制が求められます。体制を整える時期と契約期間が重なるため、契約期間中に料金を改定できる条件が書かれているかを確かめます。改定の予告期間と、改定に同意しない場合に解約できるかも聞いておきましょう。

料金と実績はどちらを重視するか:料金は足切りと最後の比較に使う

先に実績と支援体制を比べ、料金は最後に3年総額と途中退職の場合で比べる、という順番がおすすめです。3社の試算でも、3年働いた場合の差は6.4万円でしたが、途中で辞めた場合の差は最大48万円(2か月で退職したときのB社とC社)ありました。定着するかどうかのほうが、料金の差より総額を大きく動かします。

図5委託先(監理団体・登録支援機関)を選んだ理由(複数回答)

  • 実績がある51.8%
  • サポートが手厚い50.0%
  • 費用が安い9.8%
委託先を選んだ岡山県内の介護事業所164か所の回答です。出典:岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)

早い離職は珍しくない

厚生労働省の集計では、職業紹介で就職した介護職の19.9%が6か月以内に離職していました(令和5年度実績、特定技能に限らない)。日本政策金融公庫の調査(2025年2月公表)でも、外国人従業員の退職があった484社が挙げた理由の1位は「日本で転職するため」51.0%です。見積書を読むときは、辞めた場合の条件と、辞めにくくする支援の中身を同じ重さで見ます。

料金を使う2つの場面

1つ目は足切りです。内訳が出ない、本人負担の行がある、書類の作成者を答えない会社は、料金がいくらでも外します。2つ目は最後の比較です。実績と支援体制で残った2社の差が小さいとき、3年総額と途中退職の場合の負担で決めます。許可番号・返金規定・候補者の質の見方は特定技能の人材紹介会社の選び方で、見積書に出やすい不適切なサインは悪質な特定技能業者の見分け方で確かめてください。

見積書を受け取ってから契約するまでの手順

見積書は、受け取った日から契約書に署名するまでの間に、6つの手順で読み込みます。最後の「契約書との照合」を省くと、見積書で確かめた条件が口約束のまま残ってしまいます。

  1. 届いた日に3つの区分を書き込む

    各行に紹介料・支援費・実費のどれかを書き、どれにも入らない行に印をつけます。

  2. 足切りの4点を確かめる

    内訳があるか、本人負担の行がないか、書類を作る行政書士の名前が分かるか、登録番号・許可番号が公的なサイトと一致するか。1つでも欠ければ、比較の表に載せません。

  3. 欠けている行を質問し、出し直しを頼む

    8つの行のうち欠けているものを一覧にして送り、1週間ほどの期限で出し直してもらいます。

  4. 2つの場面で計算する

    3年働いた場合の3年総額と、1年で辞めた場合の負担を、同じ前提で3社分出します。

  5. 実績と支援体制で絞り、料金で決める

    同じ分野での支援人数、1年後の在籍人数、担当者の体制で2社に絞り、差が小さければ料金の2つの場面で決めます。

  6. 契約書と見積書を1行ずつ照合する

    金額、支払い時期、返金規定、追加料金の単価、解約と改定の条件が、契約書か別紙に同じ内容で書かれているかを確かめてから署名します。

今の委託先の見積もりや契約を見直す場合も、同じ手順が使えます。見直しの観点は外国人採用の経験がある会社の見直しポイントにまとめています。

想定ケース:惣菜工場(従業員52人)の専務が、「紹介料0円」の見積もりを選ばなかった理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

惣菜工場(従業員52人)の専務取締役(40代)の想定インタビューです。盛り付けと加熱の工程に特定技能の人材を2人迎えるにあたり、3社の見積書を読み比べた場面を描きます。

  • 3社の見積書を紹介料・支援費・実費に分けて書き直し、見出しで月2.5万円あった月額の差が、3年総額では6.4万円まで縮まると確かめた
  • 1年で退職した場合の負担が最も小さい条件(許可後払い・返金規定あり・解約金なし)の会社を選んだ
  • 入社から8か月、2人とも在籍。盛り付けラインの人員が日勤で2人増え、パートの方の残業が月30時間ほど減った

――2人を迎えて、何が変わりましたか。

朝の盛り付けラインに余裕ができました。弁当の出荷は朝8時が締めなので、人が1人欠けると全員が早出していたんです。パートさんの残業は月30時間ほど減りました。2人ともそう菜製造の技能実習を修了していて、技能試験が免除だったのも準備が早く進んだ理由です。

――見積もりを取って、最初はどう感じましたか。

形がそろっていなくて、比べようがありませんでした。月額1.5万円を大きく書く会社、紹介料0円を強調する会社、許可後払いの紹介料50万円を書く会社。社長である父は、「0円のところでいい」と即答でした。私も、正直そう思いかけていました。

――何がきっかけで、考えが変わったのですか。

各行に紹介料・支援費・実費のどれかを書き込んでいったら、0円の会社の解約欄に「最低36か月、途中解約は残り期間の月額の半額」とありました。1年で辞めたら48万円です。うちは以前、日本人の採用で入社3か月の退職が続いたことがあるので、辞めた場合を計算せずには決められませんでした。

――決め手は何でしたか。

選んだ会社は、こちらが聞く前に「不許可なら紹介料はいただきません」「夜は22時まで出ます」と、条件の限界まで書いてきました。飲食料品製造業での支援人数と、1年後に何人残っているかも数字で出してくれた。料金は一番安くありませんが、辞めた場合の損が一番小さく、辞めにくくする手当ても具体的でした。

――社長には、どう説明しましたか。

場面ごとの表を1枚にしました。3年働けば差は6.4万円、2か月で辞めれば最大48万円。父は表の一番下の行をしばらく見て、「辞めたときのほうが差が大きいのか」と言いました。そこから話が料金ではなく、どの会社なら辞めにくくしてくれるか、に変わったんです。

――準備でつまずいたことはありますか。

2つあります。1社の見積もりが税別で、ほかは税込だったので、最初の比較表を作り直しました。もう1つは、食品の協議会の加入審査に2〜3か月かかると知らず、入社日を1か月遅らせたことです。協議会は入会金も年会費もかからないので、費用の面では助かりました。

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よくある質問

特定技能の会社を料金だけで選んではいけない理由は?

料金の差より、途中で辞めた場合の負担の差のほうが大きくなりやすいからです。架空の3社の試算では、3年働いた場合の差は6.4万円でしたが、2か月で辞めた場合は最大48万円の差が出ました。料金が安い理由が、支援の範囲の狭さや追加料金での回収であることもあります。受け入れた事業所が委託先を選んだ理由も、「実績がある」51.8%に対し「費用が安い」は9.8%でした(岡山県)。

特定技能の会社を選ぶなら料金と実績のどちらを重視すべき?

実績を先に見て、料金は足切りと最後の比較に使うのがおすすめです。自社と同じ分野での支援人数や1年後の在籍人数、担当者の体制で候補を絞り、残った会社を3年総額と途中退職の場合の負担で比べます。内訳を出さない、本人負担の行がある会社は、料金にかかわらず外します。

見積書に「一式」とだけ書かれていたら、どうすればよいですか。

内訳を出してもらいます。支援委託契約には業務の内容と費用の額・内訳を盛り込む必要があり、紹介会社も手数料表を示す必要があります。何の作業の対価かが分かるまで、比較の表には載せないでください。

「紹介料0円」の見積もりに問題はありますか。

0円であること自体は問題ではありません。確かめたいのは、月額や初期費用が高く設定されていないか、最低契約期間や解約金で途中退職のときに重くならないかです。紹介に関するお金は、名目を問わず手数料表などに沿ったものに限られているので、月額の内訳も確かめます。

見積書に本人負担の項目があったら、どうすればよいですか。

支援の費用や紹介手数料が本人負担になっていれば、その会社は候補から外すことを考えます。義務的支援の費用は本人に負担させられず、求職者から紹介手数料を取ることも原則禁止です。家賃や食費を徴収する場合は、実費に相当する額などであることを「徴収費用の説明書」で説明します。給与から差し引くには、労使協定が必要です。

見積書と契約書で、金額や条件が違っていたらどうしますか。

署名の前に、見積書の条件に合わせて契約書を直してもらいます。返金規定、解約金、料金改定、追加料金の単価は、契約書か別紙に書かれていないと、後から確かめる手段がなくなります。違いを見つけたら、どちらが正しいのかを書面で回答してもらいましょう。

海外から呼ぶ場合、見積書のどこが変わりますか。

主に実費と支援の初期費用が増えます。渡航費、住まいと生活用品の準備、入国時の送迎、送出し国の手続きにかかる費用などです。在留資格認定証明書の申請は無料ですが、どの国の手続きを想定した見積もりかを明記してもらってください。外食業のように、海外からの新規の受け入れが止まっている分野もあります。

見積もりの金額は交渉できますか。

額そのものより、条件のほうが話し合いやすい部分です。紹介料の支払い時期、返金規定、追加料金の単価と回数の上限、解約の予告期間などです。支援の回数を減らして安くする提案は、受け入れの基準にかかわるので応じないでください。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
  2. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
  3. e-Gov法令検索「職業安定法」(第32条の3)(2026年10月)
  4. e-Gov法令検索「職業安定法施行規則」(第24条の5)(2026年10月)
  5. 厚生労働省「職業紹介事業者、求人者…等がその責務等に関して適切に対処するための指針」(令和6年厚生労働省告示第318号による改正まで)
  6. e-Gov法令検索「行政書士法」(2026年1月1日施行の改正を含む)
  7. 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」(2026年10月確認)
  8. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年10月確認)
  9. 出入国在留管理庁「登録支援機関の支援体制要件の改正(令和9年4月1日施行)」(2027年4月1日施行)
  10. 岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)
  11. 福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(令和7年度)
  12. 厚生労働省「地域ブロック別の職種別平均手数料額・分布について」(令和6年度実績)
  13. 厚生労働省「地域ブロック別の職種別離職率について」(令和5年度実績)
  14. 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)
  15. 出入国在留管理庁「特定技能 飲食料品製造業分野」(2026年9月4日現在)
  16. 農林水産省「食品産業特定技能協議会」(2026年10月確認)

最終更新:(2026年10月版)

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