特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/futan-kinshi/ 印刷日:2026年10月15日

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  • 費用・助成金
  • 2026年10月版

特定技能外国人に負担させてはいけない費用|支援費・保証金・違約金

支援費・保証金・違約金は不可。寮費や食費は合意と適正額が条件。費用ごとに根拠で仕分ける

特定技能外国人を雇うとき、「この費用は本人に払ってもらえるのか」という疑問は、見積書や雇用契約書を読むたびに出てきます。特定技能では、支援の費用を本人負担にすることも、保証金や違約金の契約も禁止されています。一方、寮費や食費は、本人の合意と実費相当の額などを条件に負担してもらえます。この記事では費用を「本人負担にできない」「合意と適正額が条件」「本人が払う」の3つに分け、根拠となる省令と出入国在留管理庁のQ&Aを添えて一覧にしました。決まりがはっきりしない渡航費や在留手続の手数料の扱いも整理します。

この記事の結論
  • 支援の費用は、直接・間接を問わず本人負担にできない:登録支援機関への委託費、通訳、空港送迎の交通費、賃貸保証会社の手数料は受入れ機関の負担です。給与からの天引きも認められません。
  • 保証金・違約金・紹介手数料は本人から取らない:保証金や違約金の契約がないことは、在留の基準です。人材紹介会社は、原則として求職者から手数料を取れません。
  • 寮費・食費・光熱費は「合意・適正額・書面」が条件:実費相当の額で明細を示し、給与から差し引くなら労使協定を結びます。渡航費や在留手続の手数料は、雇用契約の前に負担者を書面で決めます。

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この記事の目次

特定技能で本人負担が禁止される費用は3種類:支援・紹介・保証金や違約金

特定技能外国人に負担させてはいけない費用は、大きく3種類です。義務的支援にかかる費用、人材紹介の手数料、そして保証金や違約金。本人が「払ってもいい」と言っても、この3つは本人負担にできません。

一方で、寮費・食費・水道光熱費のように、本人の合意と実費相当の額などを条件に負担してもらえる費用もあります。税や社会保険料の本人負担分は、法令に基づいて給与から差し引けます。費用を3つの箱に分けておくと、見積書や雇用契約書を読むときに迷いません。

図1費用を仕分ける3つの箱

  • 1本人負担にできない

    支援の費用(登録支援機関への委託費・通訳・空港送迎の交通費・賃貸保証会社の手数料)、紹介手数料、保証金・違約金。本人が払えない場合の帰国旅費も会社が持ちます。

  • 2合意と適正額が条件

    食費・居住費・水道光熱費など、本人が定期に払う費用。送出機関に払う費用は、本人が額と内訳を理解して合意していることが条件です。

  • 3本人が払う

    税・社会保険料の本人負担分、本人名義で借りた部屋の家賃、会社が立て替えた滞納家賃など。

迷ったら「会社の義務を果たすための費用か」を考えます。義務の費用なら1つ目の箱です。出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)、e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月)、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」(2026年10月)

本人の同意があっても結論は同じ

Q&A(Q76)には「1号特定技能外国人から費用を徴収することは一切認められないのですか」という問いがあります。答えは、省令に定める支援を実施するためにかかった費用は「本人に負担させることは認められません」というものです。受入れ機関の基準を定めた省令も、支援の費用を直接または間接に本人に負担させないことを求めています。同意の有無は関係ありません。

守らないと、受け入れそのものに響く

これらは受入れ機関が満たすべき基準です。基準に合わなければ、特定技能外国人を受け入れられません。また、雇用契約を結ぶ日の前5年以内に、出入国や労働の法令に関して不正または著しく不当な行為をした機関も、基準を満たしません。1回の見落としが、その後の採用計画にまで響きます。

本人負担にできる費用・できない費用・合意が必要な費用の一覧

費用ごとの区分と根拠を一覧にしました。見積書や雇用条件書と照らし合わせて使ってください。根拠の欄にある「Q」は、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」の番号です(2026年10月確認)。

特定技能外国人の費用負担の区分と根拠(2026年10月時点)
費用区分根拠確かめること
登録支援機関への委託費(支援費)できない基準省令2条1項8号、Q79・Q80「管理費」など名目を変えた徴収もしない
ガイダンス・相談・面談の通訳費できないQ81通訳人の確保は受入れ機関の負担
空港への送迎の交通費できないQ83入国時・帰国時の両方
賃貸保証会社の手数料できないQ89適当な保証人がいないときに利用
人材紹介の手数料できない職業安定法求職者からの手数料は原則禁止
保証金・違約金できない上陸基準省令、基準省令2条1項6号・7号、労働基準法16条送出機関などとの契約も含めて確かめる
帰国旅費(本人が払えない場合)受入れ機関が負担基準省令1条2項、Q82雇用契約が終わった後の帰国
自動車整備の合格証明書の交付手数料受入れ機関の負担とされる試験実施機関の案内16,000円(税込)。分野ごとに確認
食費合意と適正額が条件上陸基準省令、徴収費用の説明書社員食堂は他の従業員と同じ額
居住費(寮・社宅)合意と適正額が条件同上借上げは家賃÷入居人数以内
水道光熱費合意と適正額が条件同上実際の請求額÷使用人数以内
送出機関に払う費用本人と送出機関の合意上陸基準省令本人が額と内訳を理解しているか
入国時の渡航費送出国の法令を確認Q82駐日大使館に確認
在留期間更新・変更の手数料負担者の定めは確認できずQ23(額のみ)雇用契約の前に書面で決める
税・社会保険料の本人負担分本人健康保険法161条・厚生年金保険法82条(負担の割合)、労働基準法24条法令に基づき給与から控除できる
本人名義の部屋の家賃・立て替えた滞納家賃本人Q91保証会社の手数料は会社負担

「できない」費用に共通すること

「できない」に入るのは、受入れ機関が義務として行う支援の費用と、紹介や契約の仕組みにかかる費用です。会社の義務を果たすための費用は会社が持つ、と覚えると判断が速くなります。

「確認できず」の費用は空白のままにしない

在留手続の手数料のように、負担者が法令やQ&Aで決まっていない費用もあります。こうした費用ほど、後から「聞いていない」という行き違いになりがちです。雇用契約の前に、誰が払うかを書面にしておきます。

義務的支援の費用を本人負担にしてはいけない範囲:委託費・通訳・送迎・保証料

1号の義務的支援は10項目あり、その費用はすべて受入れ機関の負担です。Q&A(Q80)は、省令に定める支援は支援計画に盛り込む義務的な支援であり、実施に要する費用は「受入れ機関が負担しなければなりません」と答えています。

図2費用が発生しやすい義務的支援と負担者

  • 1事前ガイダンス

    3時間程度が目安で、本人が十分理解できる言語で行います。通訳の費用は受入れ機関が持ちます。

  • 2出入国時の送迎

    空港と事業所・住居の間を送迎し、帰国時は保安検査場の前まで同行します。交通費は受入れ機関の負担です。

  • 3住居の確保

    保証人がいなければ、会社が保証人になるか賃貸保証会社を使います。保証会社の手数料は受入れ機関の負担です。

  • 4生活オリエンテーション

    8時間以上が目安です。銀行、医療、交通ルール、災害への備えなどを、分かる言語で説明します。

  • 5相談対応と定期面談

    相談は本人が十分理解できる言語で受け、面談は3か月に1回以上行います。通訳の費用も会社が持ちます。

  • 6登録支援機関への委託

    支援を全部委託したときの月額の委託費も、受入れ機関が払う支援の費用です。

事前ガイダンスは1時間に満たないと適切に行ったとはいえず、生活オリエンテーションも、生活環境に変化がない場合でも4時間に満たなければ同様とされています。出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(Q79〜Q83・Q89、2026年10月)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(令和7年4月1日一部改正)

「間接的な負担」に当たるおそれがある形

省令は「直接又は間接に」負担させないことを求めています。請求書を本人に回すことだけが問題なのではありません。次のような形にも注意が必要です。

  • 支援費の一部を、毎月の給与から差し引く
  • 「管理費」「サポート費」など別の名目で、支援にかかる費用を本人から取る
  • 寮費に、保証会社の手数料や支援の費用を上乗せする(住居で利益を得ることも認められていません)
  • 空港送迎の交通費を、入社後の精算として本人に請求する

委託しても負担者は変わらない

支援を登録支援機関に全部委託しても、費用を負担するのは受入れ機関です。委託契約には、支援業務の内容と費用の額・内訳を盛り込む必要があります(Q70)。見積書に「本人負担」の欄があれば、その項目が支援の費用でないかを1行ずつ確かめます。見積書の分け方は特定技能の見積書の読み方で解説しています。

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特定技能の保証金・違約金の禁止:契約書で確かめる5つの条文

保証金と違約金は、本人の在留の基準でも、受入れ機関の基準でも認められていません。上陸許可の基準を定めた省令は、本人や親族が保証金の徴収などの名目で財産を管理されていないこと、違約金を定める契約などを結んでいないことを求めています。受入れ機関の基準を定めた省令も、それを知りながら雇用契約を結ぶことや、受入れ機関自身が違約金を定める契約を結ぶことを認めていません。

雇用契約書・誓約書から外す5つの条文

  • 「1年以内に辞めたら、紹介料や研修費を返す」(違約金・損害賠償額の予定。労働基準法16条)
  • 「途中で辞めたら罰金◯万円を払う」(同上)
  • 「会社が立て替えた渡航費を、毎月の給与と相殺する」(前借金と賃金の相殺の禁止。労働基準法17条)
  • 「給与の一部を会社が積み立て、退職時に返す」(強制貯金の禁止。労働基準法18条)
  • 「パスポートや在留カードを会社が預かる」(外国人雇用管理指針は、旅券などを保管しないよう求めています)

事前ガイダンスで「違法である」と伝える

Q&A(Q85)によると、入国前の事前ガイダンスでは、保証金の徴収や違約金を定める契約は違法であることなどを伝える必要があります。本人に伝えることが、送出し側での不当な契約を見つける手がかりにもなります。

送出機関に払った費用は「額と内訳の合意」を確かめる

本人が入国前に外国の機関(送出機関など)へ費用を払っている場合は、その額と内訳を十分に理解して合意していることが基準です。国外にわたる職業紹介の許可条件でも、保証金を取る取次機関や、渡航費用などを貸し付ける取次機関は利用できません。海外から呼ぶ場合の費用の全体像は海外から特定技能人材を呼ぶ費用で整理しています。

図3保証金・違約金を防ぐ4つの確認の場面

  1. 面接・内定送出機関などに払った費用の額と内訳を、本人が理解しているかを確かめます。
  2. 事前ガイダンス保証金や違約金の契約は違法であること、支援の費用は会社が負担することを、本人の言語で伝えます。
  3. 雇用契約・誓約書違約金・損害賠償額の予定・積立・相殺の条文がないかを確かめます。
  4. 入社後旅券と在留カードを本人が持っているか、給与が本人名義の口座に入っているかを確かめます。
知りながら雇用契約を結ぶと、受入れ機関の基準を満たさなくなります。確認は契約の前に済ませます。出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」(2026年10月)、e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)

合意があれば本人負担にできる費用:食費・居住費・光熱費の条件

本人が定期に払う費用は、条件を満たせば負担してもらえます。条件は3つです。本人が内容を十分理解して合意していること、額が実費相当などの適正な額であること、明細書などの書面を示すこと(上陸基準省令)。

額の決め方は「徴収費用の説明書」で示す

出入国在留管理庁の「徴収費用の説明書」(参考様式第1-9号)で、額が適正であることを説明します。基準は費用ごとに決まっています。

図4本人から受け取れる額の基準

  • 居住費(借上げ住宅)家賃(敷金・礼金・仲介手数料などを除く)を入居する人数で割った額以内。
  • 居住費(自社所有の住宅)建設・改修の費用、耐用年数、入居人数などから合理的に説明できる額。
  • 食費社員食堂なら他の従業員と同じ額。配食や食材の提供なら購入価格が基準。
  • 水道光熱費実際の請求額を、使用する人数で割った額以内。
どの費用も、本人の合意と明細書などの書面が前提です。出典:出入国在留管理庁「徴収費用の説明書(参考様式第1-9号)」(2026年10月確認)、e-Gov法令検索「上陸基準省令」(2026年10月)

給与から差し引くなら労使協定

賃金から差し引くには、過半数労働組合(なければ過半数代表者)との書面の協定が必要です(労働基準法24条)。税や社会保険料など、法令に定めがあるものは例外です。協定がないまま寮費を天引きすることはできません。外国人雇用管理指針も、賃金や控除の内容を本人が理解できる言語や平易な日本語で説明するよう求めています。

家賃そのものは本人負担でもよい

Q&A(Q91)は、住居の確保の支援は「受入れ機関等が住居費用を負担することまで求めるものではなく」としています。本人名義で借りた部屋の家賃は本人が払い、会社が立て替えた滞納家賃は本人に請求しても差し支えありません。ただし、賃貸保証会社の手数料は会社の負担です(Q89)。社宅の家賃設定の計算は特定技能外国人の住居費用で詳しく扱っています。

決まりがはっきりしない費用:渡航費・在留手続の手数料・一時帰国

省令やQ&Aで負担者が決まっていない費用もあります。決まりがない以上、会社と本人の間で決めるしかありません。雇用契約の前に、誰が払うかを書面にしておきます。

図5負担者を先に決めておく4つの費用

  • ① 入国時の渡航費省令が定めるのは、帰国費用を本人が払えない場合の負担だけです。送出国の法令に、受入れ機関が負担すべき費用の定めがある場合があり、駐日大使館で確かめるよう案内されています(Q82)。
  • ② 在留期間更新・変更の手数料2026年10月1日から、許可される在留期間に応じた額に変わりました。窓口なら1年で33,000円、1年超3年未満で48,000円です。Q&Aは額を示しますが、負担者は書いていません。
  • ③ 一時帰国本人が希望すれば、必要な有給休暇を取らせる義務があります。旅費の負担者は、確認した範囲では省令に定めがありません。
  • ④ 試験や証明書の費用分野ごとに確かめます。自動車整備の合格証明書の交付手数料(16,000円)は、受入れ機関の負担とされています。
2026年9月30日までに受け付けた変更・更新の申請は、改定前の額(窓口6,000円)です。出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(Q23・Q82、2026年10月)、出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」(2026年10月確認)、日本自動車整備振興会連合会「特定技能評価試験」(2026年10月確認)

手数料の値上がりで、負担者の話は避けられなくなった

以前の変更・更新の手数料は、窓口で6,000円でした。2026年10月からは、許可される在留期間が長いほど高くなり、3年以上5年未満なら窓口で64,000円です。額は申請した期間ではなく、決定される在留期間で決まります。採用時に「更新の手数料は会社が払う」のか「本人が払う」のかを決め、雇用条件書か別の書面に残してください。

線引きの考え方

1つの考え方として、会社の都合や会社の義務から生じる費用は会社、本人の私的な事情から生じる費用は本人、と線を引く方法があります。どちらにしても、事前ガイダンスで一覧を見せ、本人が分かる言語で説明します。求人の段階で示す条件は特定技能の求人票の書き方も参考にしてください。

見積書・雇用契約書のチェックリストと、問題を見つけたときの対応

契約の前に、見積書と雇用契約書(雇用条件書)を次の9項目で確かめます。1つでも当てはまらなければ、書面で理由を聞いてください。

  • 見積書に、支援の費用を本人負担とする項目がない
  • 通訳費・空港送迎の交通費・保証会社の手数料が、会社負担になっている
  • 紹介手数料を本人に請求する仕組みがない
  • 雇用契約書や誓約書に、違約金・損害賠償額の予定・積立・相殺の条文がない
  • 寮費・食費・光熱費は、計算の根拠と明細が示されている
  • 給与からの控除項目が、労使協定の内容と一致している
  • 渡航費・在留手続の手数料・一時帰国の旅費の負担者が、書面にある
  • 送出機関に払った費用の額と内訳を、本人が理解して合意している
  • 事前ガイダンスで、費用の負担を本人の言語で説明する予定がある

見つけたら「書面で確認→直す→相談」

業者の見積もりに問題があれば、書面で理由を聞き、直らなければ契約しません。自社の契約書に問題があれば、入社前に直します。賃金や控除の相談は労働基準監督署、在留や受入れの基準の相談は地方出入国在留管理官署が窓口です。業者側のサインは悪質な特定技能業者の見分け方、パスポートの預かりなど費用以外の禁止事項は会社がやってはいけないこと一覧で確かめられます。

費用を抑えたいときは「本人負担」以外で

費用を抑える方法は、本人に回すことではありません。会社の費用の中で、削ってよいものと削ってはいけないものを分けて考えます(特定技能の費用を抑える方法)。申請書類の費用は行政書士に頼む費用、給料の決め方は特定技能の給料の決め方で解説しています。

想定ケース:自動車整備工場(従業員8人)の代表取締役が、見積もりの「本人負担」欄を消してもらった理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

自動車整備工場(従業員8人)の代表取締役(60代)を想定したインタビューです。海外から初めて特定技能の整備士を受け入れる際に、見積もりの本人負担を見直した場面を描いています。

  • 見積書の「本人負担」欄にあった4項目(支援費の一部、空港送迎の交通費、保証会社の手数料、合格証明書の交付手数料16,000円)を、すべて会社負担に整理した
  • 給与から差し引くのは寮費と水道光熱費の2項目に絞り、労使協定と明細書を入社の2週間前にそろえた
  • 事前ガイダンスで、費用の負担を一覧にした母語の資料を使い、3時間かけて説明した

――見積もりを見直して、何が変わりましたか。

本人に払ってもらうお金が、寮費と光熱費の2つだけになりました。最初の見積もりでは「本人負担」の欄に4つ並んでいて、入社した月だけで、本人の手取りが3万円近く減る計算でした。

――特定技能を考えたきっかけを教えてください。

整備士5人のうち2人が60代です。求人を出しても、2年間で応募はありませんでした。車検の予約を断る日が出てきて、このままでは工場が回らないと思いました。

――「本人負担」の欄に、なぜ引っかかったのですか。

正直、最初は気にしていませんでした。業者さんは「どこもこうしています」と言いますし。きっかけは合格証明書です。試験を実施している団体のページで手数料を調べたら、受入れ機関の負担とされていた。そこから入管のQ&Aを読み、支援の費用は本人に負担させられないと知りました。

――業者を変えることは考えましたか。

迷いました。担当の方とは3か月やり取りしていましたから。思い切ってQ&Aの番号を書いて質問を送ると、2日後に返事が来て、「法令の確認が足りませんでした」と4項目を消した見積もりを出し直してくれた。理由も書面でした。間違いを認めて直す会社なら任せられる、と判断しました。

――入社後に、つまずいたことはありますか。

寮費の天引きです。労使協定が要るとは知りませんでした。8人の工場なので、従業員の代表を選ぶところから始めています。1か月目の給与明細は、本人と一緒に1行ずつ見ました。一時帰国の旅費も話し合い、年1回分は会社が出すと書面にしました。小さな工場ほど、口約束で済ませないほうがいいですね。

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よくある質問

特定技能の支援費を給料から引いてもいい?

いいえ、できません。省令に定める義務的支援の費用は受入れ機関の負担で、直接・間接を問わず本人に負担させられません。給与からの天引きは、労使協定を結んでいても認められません。登録支援機関への委託費も同じ扱いです。

本人が「払ってもいい」と言えば、支援の費用を負担してもらえますか。

負担してもらえません。出入国在留管理庁のQ&Aは、支援を実施するためにかかった費用を本人に負担させることは認められないとしており、本人の同意による例外は示していません。

寮費や食費は、給料から差し引けますか。

条件を満たせば差し引けます。本人が内容を理解して合意していること、実費相当などの適正な額であること、明細書などの書面を示すことが条件です。給与から差し引くには、過半数労働組合か過半数代表者との書面の協定も必要です。

入国するときの航空券代は、誰が払いますか。

特定技能の省令が定めているのは、雇用契約の終了後に本人が帰国費用を払えない場合に受入れ機関が負担することです。入国時の渡航費は、送出国の法令に定めがある場合があります。出入国在留管理庁は駐日大使館で確かめるよう案内しています。

在留期間更新の手数料は、本人に払ってもらえますか。

Q&Aは手数料の額を示していますが、誰が負担するかは書いていません(2026年10月確認)。2026年10月から、許可される在留期間に応じて窓口で10,000〜75,000円になりました。雇用契約の前に負担者を決め、書面に残してください。

途中で辞めたら、紹介料や研修費を本人に返してもらえますか。

できません。辞めたことを理由に紹介料や研修費を払わせる取り決めは、違約金や損害賠償額の予定に当たり、労働基準法16条で禁じられています。特定技能では、違約金を定める契約がないことが在留の基準でもあります。紹介会社も、原則として求職者から手数料を取れません。早期退職に備えるなら、紹介会社との返金規定で手当てします。

本人が母国の送出機関に払った費用は、会社にも関係がありますか。

関係があります。本人が外国の機関に費用を払っている場合、額と内訳を理解して合意していることが基準です。保証金などで財産を管理されていると知りながら雇用契約を結ぶことは、受入れ機関の基準で認められていません。

本人負担のルールに違反すると、どうなりますか。

受入れ機関の基準を満たさず、特定技能外国人を受け入れられなくなるおそれがあります。出入国や労働の法令に関する不正・著しく不当な行為があれば、雇用契約の日の前5年以内の行為も基準の判断に影響します。気づいた時点で直し、必要なら地方出入国在留管理官署に相談してください。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月)
  2. e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」(2026年10月)
  3. 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
  4. 出入国在留管理庁「徴収費用の説明書(参考様式第1-9号)」(2026年10月確認)
  5. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(令和7年4月1日一部改正)
  6. 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」(2026年10月確認)
  7. e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月)
  8. e-Gov法令検索「職業安定法」(2026年10月)
  9. 厚生労働省「職業紹介事業の許可基準等の改正について」(2019年4月1日適用)
  10. 厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(令和8年5月29日告示による改正を反映)
  11. e-Gov法令検索「健康保険法」(2026年10月)
  12. e-Gov法令検索「厚生年金保険法」(2026年10月)
  13. 一般社団法人日本自動車整備振興会連合会「特定技能評価試験」(2026年10月確認)

最終更新:(2026年10月版)

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