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https://tokutei-noriai.blog/kokuseki-sabetsu/ 印刷日:2026年10月15日

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国籍・年齢で差別しない採用|職業安定法3条と指針の考え方

「〇〇人希望」を、仕事に必要な言語・経験・在留資格の条件に書き換える。根拠となるルールと言い換え例

外国人採用で「〇〇人がいい」と国籍を指定したくなる場面は少なくありません。しかし職業紹介では、職業安定法3条が国籍を理由とした差別的取扱いを禁じ、外国人雇用管理指針も、紹介会社などに求人を出すとき国籍の条件を付けないよう事業主に求めています。国籍で選びたい理由の多くは、言葉が通じるか、経験があるか、日本で働けるか、という仕事上の心配です。この記事では、場面ごとのルールと根拠、年齢制限が認められる例外、国籍の代わりに書ける言語・経験・在留資格の条件の言い換え例を、2026年10月時点の法令と公的資料にもとづいて示します。

この記事の結論
  • 職業紹介で国籍を理由に差をつけることは禁止:職業安定法3条は、国籍などを理由に職業紹介で差別的取扱いを受けないと定めています。外国人雇用管理指針も、求人の申込みで国籍の条件を付けないよう求めています。
  • 国籍の代わりに「仕事に必要な条件」を書く:言葉の心配は「どの場面で、何語で、どこまで」、経験の心配は「何の作業を、どれくらい」、就労の可否は「在留カードで確認」と書き換えます。
  • 年齢制限は原則禁止、例外は6つ:募集・採用での年齢制限は労働施策総合推進法で原則禁止です。特定技能1号の「18歳以上」は在留資格の要件で、会社が年齢で選ぶこととは別の話です。

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この記事の目次

外国人採用で国籍を指定せず、「仕事に必要な条件」で書く

外国人採用の条件は、国籍ではなく、仕事に必要な言語・経験・在留資格で書きます。紹介会社やハローワークを通す職業紹介では、職業安定法3条が国籍を理由とした差別的取扱いを禁じています。自社で直接募集する場合も、厚生労働省は応募者の適性と能力にもとづく基準で選ぶよう求めています。

国籍で選びたくなる理由は、たいてい仕事上の心配

「〇〇人がいい」と考える理由を書き出すと、多くは次の3つに分かれます。言葉が通じるか、同じ仕事の経験があるか、日本で問題なく働けるか。どれも国籍ではなく、言語の力、経験、在留資格という「確かめられる条件」に置きかえられます。前に雇った人の印象を国全体に広げることは、決めつけにつながります。

図1採用の場面ごとに関係する主なルール

  • 自社で募集する適性と能力にもとづく基準で、広く門戸を開く(厚生労働省「公正な採用選考の基本」)。
  • 紹介会社・ハローワークを使う職業紹介での国籍などを理由とした差別的取扱いの禁止(職業安定法3条)。求人の申込みに国籍の条件を付けない(外国人雇用管理指針)。
  • 面接・選考をする本籍・出生地や家族など、適性と能力に関係のない事項を尋ねない。質問項目と評価基準を先に決める。
  • 雇ったあと国籍を理由に賃金や労働時間で差別しない(労働基準法3条)。特定技能は報酬が日本人と同等以上(特定技能基準省令)。
募集から雇ったあとまで、場面ごとに根拠が違います。年齢の制限は別に、労働施策総合推進法で原則禁止です。出典:e-Gov法令検索「職業安定法」(2026年10月確認)、労働政策研究・研修機構「外国人雇用管理指針」改正告示(2026年5月29日)、厚生労働省「公正な採用選考の基本」(2026年10月確認)、e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月確認)

条件を言い換えると、候補者の幅が広がる

国籍を外し、仕事に必要な条件で書くと、ルールを守れるだけでなく、条件に合う人を国籍に関係なく探せます。同じ言語を話す人は、1つの国の出身とは限りません。経験の条件も、どの国の人にも同じ物差しで当てられます。この記事の後半では、言い換えの具体例を表で示します。

求人で国籍を指定するのは違法か:場面ごとの根拠

答えは「どの場面か」で根拠が変わります。職業紹介の場面では、職業安定法3条が国籍を理由とした差別的取扱いを禁じています。事業主が紹介会社などに求人を出すときは、外国人雇用管理指針が、国籍の条件を付けないよう十分留意することを求めています。

国籍・年齢に関わる採用の場面と根拠(2026年10月時点)
場面主な根拠会社が気をつけること
紹介会社・ハローワークに求人を出す職業安定法3条、外国人雇用管理指針国籍の条件を付けない。紹介会社に国籍で候補者を選ばせない
自社で求人広告を出す厚生労働省「公正な採用選考の基本」適性と能力にもとづく条件で書く。応募書類に仕事と関係のない項目を入れない
面接・選考職業安定法5条の5、平成11年労働省告示第141号本籍・出生地など、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報は原則として集めない
年齢の条件労働施策総合推進法9条と施行規則年齢制限は原則禁止。例外に当たる場合は、どの例外かを明らかにする
雇ったあとの待遇労働基準法3条、特定技能基準省令1条1項3号・4号国籍を理由に賃金・労働時間などで差をつけない。報酬は日本人と同等以上

ハローワークや紹介会社は、法令違反の求人を受理しないことができる

職業安定法5条の6は、ハローワークや職業紹介事業者に、求人の申込みを原則としてすべて受理するよう定めています。そのうえで、内容が法令に違反する場合などは、受理しないことができるとしています。条件の書き方に迷ったら、求人を出す前に、管轄のハローワークや紹介会社に相談しましょう。

「違法かどうか」より「仕事との関係を説明できるか」

求人の条件を決めるときは、1つずつ「この条件は、仕事のどの場面で必要か」を説明できるかを確かめます。説明できない条件は、国籍や年齢の代わりになっていないかを疑ってみます。自社のホームページやSNSでの募集でも、考え方は同じです。

国籍の条件は、会社の評判と採用の機会の両方を狭める

国籍を指定した求人は、条件に合う人の応募を自ら減らします。求人の文面は、応募者だけでなく、今いる外国人社員や取引先も目にします。ルールの確認に加えて、「この会社は人を何で見ているか」が文面から伝わることも意識しておきましょう。

職業安定法3条が禁じていることと、指針の求め

職業安定法3条は、職業紹介や職業指導などで、国籍などを理由とした差別的取扱いを禁じる条文です。条文は次のとおりです。

「何人も、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱を受けることがない。」

ただし書きで、労働組合法にもとづく労働協約に別段の定めがある場合を除いています。紹介会社が国籍で候補者を選んだり外したりすることは、この条文に反します。

図2国籍・年齢と採用に関わる主な動き

  1. 募集・採用での年齢制限の禁止が義務に施行済み

    例外は施行規則1条の3第1項に定める事由に限られます。

  2. 外国人雇用管理指針の一部改正を告示告示済み

    厚生労働省告示第227号。育成就労制度の開始などに合わせた改正です。

  3. 改正指針の第一段階を適用適用済み

    日本人労働者の理解と協力、日本語能力に配慮した教育訓練などが加わりました。2026年10月1日に第二段階を適用。

  4. 育成就労の開始・不法就労助長罪の厳罰化決定済み

    改正法の施行日に、指針の残りの改正も適用されます。不法就労助長罪は「5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金」へ引き上げの予定です。

2026年10月14日時点で確認できた公表資料にもとづきます。出典:ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」(2026年10月確認)、労働政策研究・研修機構「外国人雇用管理指針」改正告示(2026年5月29日)、出入国在留管理庁「育成就労制度に関するQ&A」(2026年10月確認)

指針は「求人の申込み」での国籍の条件を戒めている

外国人雇用管理指針は、募集の項目の中で、職業紹介事業者などが国籍を理由に差別的取扱いをすることは職業安定法上禁止されていると述べています。そのうえで事業主に対し、職業紹介事業者などに求人を申し込むときは、国籍による条件を付すなど差別的取扱いをしないよう十分留意することを求めています。指針は2026年5月29日に一部改正が告示され、2026年6月14日、10月1日、2027年4月1日と段階的に適用されます。改正後の項目全体は外国人雇用管理指針の記事でチェックリストにしています。

「国籍を知ること」と「国籍で選ぶこと」は違う

外国人を雇うときは、在留カードで在留資格や就労制限の有無を確かめる必要があります。在留カードには国籍・地域も記載されているため、確認の過程で国籍を知ることになります。問題になるのは、知ったうえで国籍を理由に選んだり外したりすることです。就労できない人を雇うと、不法就労助長罪に問われるおそれがあります。法定刑は現在「3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり)」です。2027年4月1日に予定される改正法の施行で、「5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金(併科あり)」へ引き上げられることが決まっています。防ぎ方は不法就労助長罪の記事で説明しています。

面接で集めない情報

職業安定法5条の5と平成11年労働省告示第141号により、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報の収集は原則として認められていません。厚生労働省は、この「職業紹介事業者等」には労働者の募集を行う者も含まれると説明しています。本籍・出生地、家族の職業、宗教、支持政党などは、外国人の候補者にも聞きません。

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国籍の代わりに書く条件:言語・経験・在留資格の言い換え例

国籍で書きたくなる条件は、仕事に必要なことに分解すると、確かめられる条件に変わります。下の表は、求人票や紹介会社への依頼でよく見かける書き方と、言い換えの例です。言語の条件を書くときは、仕事のどの場面で使うのかまで書くのがコツです。

国籍で書いた条件と、仕事に必要な条件への言い換え例
避けたい書き方言い換えの例書くときのコツ
「〇〇人限定」「〇〇語で日常会話ができる方歓迎(先輩社員が〇〇語で作業を補助します)」言語は「必須」か「歓迎」かを分け、理由を添える
「日本人のみ」「お客様からの電話に日本語で応対できる方」日本語を使う場面と、求める水準を書く
「外国人不可」「日本で就労できる在留資格をお持ちの方(採用時に在留カードで確認します)」心配の正体が就労の可否なら、確認の方法を書く
「技能実習を終えた〇〇人」「同じ分野の技能実習2号を良好に修了した方、または技能試験に合格した方」経験は制度上の区分や資格で書く
「日本人と同じように話せる方」「日本語の2段階の作業指示を聞いて、動ける方」あいまいな言葉を、確かめられる行動に置きかえる
「若い方(20代まで)」「立ち作業が中心で、20kgの箱を運ぶ作業があります(年齢不問)」年齢ではなく、仕事の負荷を具体的に書く
「〇〇人が多い職場なので〇〇人で」「〇〇語を話す社員が2人います。困ったときは〇〇語でも相談できます」職場の環境は、応募者への情報として書く

言語の条件は「どの場面で、何語で、どこまで」

言語の条件そのものは、仕事に必要な理由があれば書けます。ただし、本当に必須かは慎重に決めます。「先輩が〇〇語で教えられるので早く覚えられる」なら歓迎条件で十分です。日本語の水準は、試験のレベルより場面で書くほうが伝わります。日本語力の見極め方は日本語力の見極め方の記事を参考にしてください。

経験の条件は「何の作業を、どれくらい」

「経験者」とだけ書くと、国籍や前の職場の印象で判断しがちです。「フォークリフトの運転を1年以上」「同じ分野の技能実習2号を良好に修了」のように、作業と期間、制度上の区分で書くと、誰にでも同じ物差しを当てられます。

採用での年齢制限と、認められる例外

募集・採用で年齢の制限を設けることは、労働施策総合推進法9条で原則として禁止されています。2007年(平成19年)10月1日から義務になりました。例外は、同法の施行規則1条の3第1項に定められた事由に当たる場合だけです。

採用で年齢制限ができる例外は6つ

図3年齢制限が認められる例外事由(施行規則1条の3第1項)

  • 1定年を上限にする(1号)

    定年年齢を上限に、それ未満の人を期間の定めのない労働契約で募集・採用する場合。

  • 2法令で制限がある(2号)

    労働基準法などの法令で、特定の年齢の人の就業が禁止・制限されている業務。下限のみ設定できます。

  • 3長期勤続によるキャリア形成(3号イ)

    若年者などを期間の定めのない労働契約で募集・採用する場合。上限のみ設定できます。

  • 4技能・ノウハウの継承(3号ロ)

    特定の職種で人数が相当程度少ない年齢層に限り、期間の定めのない契約で募集。30〜49歳の範囲で設定します。

  • 5芸術・芸能(3号ハ)

    表現の真実性などのために、特定の年齢の人が必要な場合。

  • 6国の施策を活用する(3号ニ)

    60歳以上の高年齢者、就職氷河期世代(35歳以上55歳未満)など、国の施策の対象の年齢層に限る場合。

例外に当たる場合も、どの事由に当たるかを示して募集します。出典:ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」(2026年10月確認)

特定技能の「18歳以上」は在留資格の要件

特定技能1号の申請人は「18歳以上であること」が求められます(運用要領)。18歳未満の人も在留資格認定証明書の交付申請はできますが、上陸の時点で18歳以上である必要があります。これは在留資格の要件で、会社が年齢で人を選ぶこととは別の話です。求人に書くなら「特定技能の要件(18歳以上)を満たす方」と、理由が分かる形にします。

有期契約では「キャリア形成」の例外は使えない

特定技能の雇用契約を有期で結ぶ場合、「長期勤続によるキャリア形成」(3号イ)の例外は使えません。この例外は、期間の定めのない労働契約で募集・採用することが条件だからです。「若い人がいい」と思ったら、年齢ではなく、仕事の負荷や勤務の形を具体的に書きましょう。

紹介会社や送出し機関に条件を伝えるときの注意

紹介会社に頼むときは、「〇〇人」ではなく、言語・経験・資格・入社時期を条件として伝えます。指針が求めるとおり、求人の申込みに国籍の条件を付けないことが出発点です。

海外から呼ぶとき、「どの国で募集するか」は手続きで決める

海外から呼ぶ場合は、どの国の送出し手続きを使うかを決める必要があります。これは人を国籍で選ぶ話ではなく、手続き・期間・費用・支援できる言語の話です。国ごとに、政府間の取決めや送出機関のルールが違います。「その国の人だから真面目」といった理由ではなく、次の3つで判断します。

図4海外から呼ぶとき、送出し国の手続きを選ぶ3つの物差し

  • 手続きの経験紹介会社や登録支援機関が、その国の送出し手続き(政府間の取決め、送出機関の認定など)を何件扱ってきたか。
  • 期間と費用その国の手続きを含めて、入国までにかかる期間の見込みと、会社が負担する費用の内訳。本人が送出機関に払う費用の有無と額。
  • 入社後に支援できる言語生活の相談や定期面談を、本人が十分に理解できる言語で行えるか。通訳の体制と費用。
どれも「国の人柄」ではなく、手続きと支援の体制を比べる物差しです。

紹介会社から国籍の提案を受けたら

「〇〇人なら定着しやすい」と勧められたら、根拠を聞きましょう。比べるべきは、紹介会社がその国の送出し手続きにどれだけ慣れているか、入社後にその言語で相談に乗れるかです。特定技能のりあい窓口も、紹介会社を国籍ではなく、対応できる言語や送出し国の手続きの経験で比べる方針です。条件に合う会社を、最大3社まで無料でご紹介しています。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。会社の比べ方は登録支援機関の選び方の記事にまとめています。

本人から手数料を取る紹介は使わない

職業安定法では、職業紹介で求職者(外国人本人)から手数料を取ることは原則禁止です。一方で、母国の送出機関に費用を払って来日する人もいます。特定技能では、その有無と額・内訳を事前ガイダンスで確かめます。費用の流れの確かめ方は二重契約・中間搾取の記事、本人に負担させてはいけない費用は負担禁止の費用の記事を参考にしてください。

採用後の待遇と、求人を出す前のチェックリスト

採用のあとも、国籍で差をつけないルールは続きます。労働基準法3条は、国籍、信条または社会的身分を理由に、賃金や労働時間などの労働条件で差別的取扱いをすることを使用者に禁じています。

特定技能では「同等以上」と「差別的取扱いの禁止」が基準

特定技能基準省令は、雇用契約の基準として2つを定めています。1つは、報酬が日本人の場合と同等以上であること(1条1項3号)。もう1つは、外国人であることを理由に、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用などで差別的な取扱いをしないこと(1条1項4号)です。給料の決め方は給料の決め方の記事、雇用の形の要件は雇用形態の記事、会社がしてはいけないことの一覧はやってはいけないことの記事で確認できます。

求人の条件を作る4つのステップ

図5国籍を使わずに求人の条件を作る手順

  1. 心配を書き出す「〇〇人がいい」と思った理由を、言葉・経験・就労の可否・職場の雰囲気などに分けて書き出します。
  2. 確かめられる条件に分解する言葉は場面と水準、経験は作業と期間、就労の可否は在留カードでの確認、に置きかえます。
  3. 必須と歓迎を分ける入社時にないと仕事にならないものだけを必須にし、残りは歓迎や入社後の育成に回します。
  4. 文面を確かめてから出す国籍・年齢・出身地の表現が残っていないかを、下のチェックリストで確かめます。
条件ごとに「仕事のどの場面で必要か」を1行で説明できれば、言い換えは完成です。

求人を出す前のチェックリスト

  • 求人票・依頼文に、国籍・出身地・人種を条件にした表現がない
  • 言語の条件は、使う場面と理由を書き、「必須」と「歓迎」を分けた
  • 経験の条件は、作業の内容と期間、資格・試験・制度の区分で書いた
  • 就労の可否は「在留カードで確認」と書き、国籍で代用していない
  • 年齢の条件がない。ある場合は、どの例外に当たるかを確かめた
  • 応募書類に、本籍・家族・宗教など仕事と関係のない項目がない
  • 面接の質問項目と評価基準を、事前に決めた
  • 給与・休日・教育の条件が、日本人の同じ仕事と同じルールになっている

迷ったときの相談先

求人の書き方はハローワークの窓口、労働条件は労働基準監督署、在留資格の要件は出入国在留管理庁の窓口で確かめられます。紹介会社や登録支援機関に頼む場合も、書面の条件案を見せて、国籍の表現が残っていないかを一緒に確認してもらいましょう。

想定ケース:内装工事会社(従業員25人)の社長が、求人の条件を書き直した理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

  • 紹介会社に出す条件を国籍から「言語・経験・資格」の8項目に書き直し、候補者が前回の2人から6人に増えた
  • 面接の評価表を作り、6人を同じ基準で比べた。面接官2人の評価は6人中5人で一致した
  • 採用した2人は出身国が違うが、2人とも入社6か月の時点で在籍している

建設分野の会社で、社長を務める60代の男性を想定したインタビューです。

――いちばん変わったことは何ですか。

比べられる候補者が増えたことです。前回は「〇〇人で」と頼んで、紹介されたのは2人でした。今回は条件を書き直して、6人と面接できました。

――なぜ、最初は国籍で頼んだのですか。

前に雇った〇〇出身の人が、よく働いてくれたんです。それで「〇〇人なら間違いない」と思い込んでいました。正直に言うと、国籍で頼むことに問題があるとは知りませんでした。

――何がきっかけで、考えが変わったのですか。

紹介会社の担当者に「国籍では選べません。社長が求めているのは、何語で、どんな経験ですか」と聞かれたことです。最初はむっとしましたが、法律の条文まで見せて説明してくれました。ごまかさずに言ってくれる会社だと思い、そこから一緒に条件を作り直しました。

――条件は、どう書き直しましたか。

前の人の何がよかったのかを分解しました。安全の言葉にすぐ反応できた、図面の記号が読めた、高い所の作業に慣れていた。そこから「安全の言葉が分かる」「内装の作業経験1年以上、または技能試験の合格」「建設の特定技能の要件を満たす」など、8項目にしました。紹介会社3社には、その8項目を1枚の紙にして同じものを渡しています。候補者の情報も、8項目に沿って返ってくるようになりました。

――迷ったところはありましたか。

言語の条件です。現場の職長が〇〇語を少し話せるので、「〇〇語ができる方」を必須にしたかった。でも、それでは結局、国籍で選ぶのと変わらないのではと悩みました。職長に聞くと、「〇〇語は助かるけれど、なくても教えられる」という答えでした。それが決め手になって、「歓迎」にとどめ、必須は日本語の場面の条件だけにしました。

――面接は、どう変えましたか。

8項目をそのまま評価表にしました。安全の言葉は、私が「危ない」「止めて」と言って、手を止めてもらう。図面の記号は、写真を見せて答えてもらう。前は雑談で人柄を見るだけでしたが、職長と2人で同じ表に丸をつけるようにしたら、6人中5人で評価が一致しました。

――採用してみて、どうですか。

採用した1人は日本語の場面の課題でいちばん評価が高く、もう1人は内装の経験がいちばん長い人でした。2人は出身国が違うので、休憩時間は日本語で話しています。それが日本語の練習になっているようです。指示は写真つきの手順書と短い日本語にそろえました。国籍で選んでいたら、この2人には会えていなかったと思います。

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よくある質問

紹介会社に「〇〇人希望」と伝えてもいい?

避けてください。職業安定法3条は、職業紹介で国籍などを理由に差別的取扱いをすることを禁じています。外国人雇用管理指針も、事業主が職業紹介事業者に求人を申し込むときに、国籍による条件を付けないよう十分留意することを求めています。代わりに「〇〇語で日常会話ができる方歓迎」「同じ分野の経験1年以上」のように、仕事に必要な言語や経験で伝えましょう。

求人票に「日本人のみ」と書いてもいいですか?

国籍で応募者を限る書き方は避けます。心配が日本語の力なら、「お客様からの電話に日本語で応対できる方」のように、日本語を使う場面と水準を書きます。適性と能力にもとづく条件にすると、条件に合う人を広く集められます。

就労できるかが心配で「外国人不可」と書きたいときは?

心配の正体が就労の可否なら、「日本で就労できる在留資格をお持ちの方(採用時に在留カードで確認します)」と書きます。在留カードには在留資格や就労制限の有無が記載されています。確認を怠って就労できない人を雇うと、不法就労助長罪に問われるおそれがあります。

特定技能の求人に「18歳以上」と書くのは年齢制限になりますか?

特定技能1号は在留資格の要件として18歳以上が求められるため、18歳未満の人は特定技能では雇えません。求人に書くなら、会社が年齢で選ぶ条件ではないと分かるよう「特定技能の要件(18歳以上)を満たす方」と理由を添えます。扱いに迷うときは、求人を出す前にハローワークに確かめてください。一方、「35歳まで」のような上限は、例外に当たらない限り設けられません。

面接で、国籍や出身地を聞いてもいいですか?

国籍は在留カードの確認で分かるため、あらためて採否の材料として聞く必要はありません。厚生労働省は、本籍・出生地を就職差別につながるおそれのある事項に挙げています。出身の地域、家族、宗教などは聞かず、仕事に必要な言語や経験を確かめる質問にします。

「若い人がいい」と言われたら、どう書けばいいですか?

年齢ではなく、仕事の中身を書きます。「立ち作業が中心」「20kgの荷物を運ぶ作業がある」「夜勤を含むシフト」などです。募集・採用での年齢制限は原則禁止で、例外は施行規則に定められた6つの事由に限られます。

国籍によって、給料や休日を変えてもいいですか?

できません。労働基準法3条は、国籍を理由に賃金や労働時間などの労働条件で差別的取扱いをすることを禁じています。特定技能では、報酬が日本人の場合と同等以上であることも雇用契約の基準です。最低賃金との関係は最低賃金の記事で確認できます。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. e-Gov法令検索「職業安定法」(2026年10月確認)
  2. 労働政策研究・研修機構「外国人雇用管理指針」改正告示(2026年5月29日)
  3. 厚生労働省「公正な採用選考の基本」(2026年10月確認)
  4. e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月確認)
  5. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)
  6. ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」(2026年10月確認)
  7. 出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」(2026年8月20日改正版)
  8. 出入国在留管理庁「在留カードとは?」(2026年10月確認)
  9. 出入国在留管理庁「育成就労制度に関するQ&A」(2026年10月確認)
  10. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)

最終更新:(2026年10月版)

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