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https://tokutei-noriai.blog/nyusha-mae-kenshu/ 印刷日:2026年10月15日

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外国人の入社前研修|日本語・生活研修の内容と費用の決め方

制度で決まっている研修と、会社が足す研修を分けて考える。研修の時間と費用、本人に負担させてはいけないもの

外国人の入社前研修で、何を、いつ、誰の費用で行えばよいのか。特定技能では、入国前の事前ガイダンスと入国後の生活オリエンテーションが義務的支援として決まっていて、その費用を本人に負担させることはできません。一方、日本語や仕事の研修をどこまで足すか、研修中の給料をどう扱うかは、会社が決めることです。この記事では、入国前・入国直後・配属前の3段階で研修の内容を整理し、費用負担のルールと決め方、よくある失敗を、出入国在留管理庁の運用要領など2026年10月時点の公的資料にもとづいて示します。

この記事の結論
  • 制度で決まっている研修は2つ:入国前(申請前)の事前ガイダンスは3時間程度、入国後の生活オリエンテーションは8時間以上が必要とされています(出入国在留管理庁の運用要領)。
  • 支援の費用は本人に負担させない:義務的支援の費用は、直接・間接を問わず本人に負担させられません。研修費を「辞めたら返す」と約束させることもできません(労働基準法16条)。
  • 義務にした研修の時間は労働時間:会社が参加を義務づけた研修は労働時間に当たります。入社前の日本語学習は任意で勧め、義務の研修は在留資格の許可と入社のあとに組むと安全です。

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この記事の目次

外国人の入社前研修は「入国前・入国直後・配属前」の3段階で組み立てる

外国人の入社前研修は、入国前・入国直後・配属前の3段階に分けると、内容と費用の決め方がはっきりします。このうち特定技能の制度で決まっているのは、入国前の「事前ガイダンス」と、入国直後の「生活オリエンテーション」です。どちらも1号の義務的支援で、費用を本人に負担させることはできません。

図1入社前研修の3段階と、制度で決まっている部分

  • 入国前:事前ガイダンス+任意の学習在留資格の申請前に、労働条件や生活の準備を本人が分かる言語で説明します(3時間程度)。日本語や仕事の予習は、会社が任意で足します。
  • 入国直後:生活オリエンテーション入国後すぐに、銀行・病院・交通・災害時の行動などを説明します(8時間以上)。役所の手続きへの同行もこの時期です。
  • 配属前:安全衛生と仕事の基礎雇い入れ時の安全衛生教育は、労働安全衛生法による事業者の義務です。作業の手順や職場のルールを、写真や母語の資料で教えます。
事前ガイダンスと生活オリエンテーションは特定技能1号の義務的支援、安全衛生教育はすべての労働者に共通する義務です。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日改正版)、e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(2026年10月確認)

3段階で、費用の考え方が違う

入国前と入国直後の2つは「支援」なので、費用は会社が持ちます。登録支援機関に委託する場合は、委託費の中で賄います。配属前の研修は入社後の「仕事」なので、研修の時間には給料を払います。その外側にある日本語講座などは、会社が出すかどうかを決める「任意」の部分です。この記事では、この3つの区別を軸に説明します。

日本に住む人を雇う場合も、2つの説明は必要

技能実習や留学から特定技能に移る人を雇う場合も、事前ガイダンスと生活オリエンテーションは行います。違うのは、入国時の空港の送迎がないことです。生活オリエンテーションは省けず、生活環境に変化がない人でも4時間未満では不十分とされています。住む地域や職場が変わる人には、新しい地域の情報を中心に説明します。

研修のねらいは「初日の不安を減らすこと」

入社前研修の目的は、知識を詰め込むことではありません。入社の初日に「どこへ行けばいいか」「誰に聞けばいいか」「何が危ないか」が分かっている状態をつくることです。内定から入社までの連絡の計画や、送る資料の例は内定後のフォローの記事で扱っています。

特定技能の入国前の研修:事前ガイダンスと、会社が足す学び

入国前に必ず行うのは、事前ガイダンスです。在留資格の申請の前に、対面かテレビ電話で、本人が十分に理解できる言語で行います。出入国在留管理庁の運用要領は、所要時間を3時間程度が必要とし、1時間に満たない場合は適切な実施とはいえないとしています。文書の郵送や電子メールの送信だけで済ませることは認められません。

事前ガイダンスで説明する主な事項

  • 仕事の内容、報酬などの労働条件
  • 日本で行える活動の内容(特定技能1号と業務の区分)
  • 入国と在留の手続き(在留資格認定証明書、査証、変更許可の前は特定技能の仕事に就けないことなど)
  • 保証金の徴収や違約金の契約がないこと、今後も結ばせないこと
  • 送出機関などへの費用の支払いの有無、その額と内訳
  • 支援の費用を本人に負担させないこと
  • 空港での出迎え、住居(広さ・家賃など)、相談の窓口、支援担当者の氏名と連絡先

現地での研修の内容:外国人本人が入国前に学んでおきたいこと

事前ガイダンスのほかに、会社が任意で「現地研修」を足すことがあります。送出機関の教室に頼む場合も、会社がオンラインで行う場合も、内容は次の4つに絞ると本人の負担が軽くなります。

図2現地研修で扱う4つの内容(任意で足す部分の例)

  • 日本語あいさつ、職場で使う20語、聞き返す言葉。教材は、国際交流基金の「いろどり 生活の日本語」のように無料で使えるものから選べます。
  • 仕事の予習工程や作業場の動画、道具の名前と写真。初日に「見たことがある」状態をつくります。
  • 生活の予習気候と服装、ごみの出し方、交通のルール、病院のかかり方。入国後のオリエンテーションの予告編です。
  • お金と契約手取りの試算、送金の方法、保証金や違約金の契約がないこと。家族と一緒に確かめてもらいます。
「いろどり」は入門(A1)から初中級(A2/B1)まであり、世界のどこからでも無料でダウンロードできます。出典:国際交流基金「いろどり 生活の日本語」について(2026年10月確認)

送出し国の手続きと、入国前の健康診断

海外から呼ぶ場合、国によっては送出し国側の手続きが加わり、送出機関が独自の講習を行うこともあります。その費用を本人が払っている場合は、事前ガイダンスで額と内訳を確かめます。新しく入国する人は、申請日からさかのぼって3か月以内の医師の診断も必要です(運用要領)。国ごとの手続きの例はウズベキスタンから受け入れる手続きの記事、期間の目安は申請から就労開始までの期間の記事を参考にしてください。

入国直後の研修:生活オリエンテーション8時間以上と、最初の1週間

入国の直後は、生活オリエンテーションを遅滞なく行います。運用要領は、所要時間を少なくとも8時間以上が必要としています。日本ですでに暮らしていて生活環境に変化がない人でも、4時間未満では不十分とされています。

図3入社前後の説明・研修に関わる公的な目安

  • 3時間程度事前ガイダンス申請前。1時間未満は適切な実施といえない
  • 8時間以上生活オリエンテーション入国後(変更後)、遅滞なく
  • 4時間これ未満は不十分生活環境に変化がない人の場合でも
  • 3か月以内入国前の健康診断新規入国は申請日からさかのぼって
時間の目安は運用要領に示された数字です。実際は、本人が十分に理解できるまで行います。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日改正版)、出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」(2026年8月20日改正版)

説明する主な事項と、記録の残し方

扱うのは、銀行や病院の使い方、交通のルールと交通機関の使い方、生活のルールとマナー、日用品の買い方です。気象・災害の情報の入手方法や、日本で違法になる行為の例も伝えます。届出や社会保険・税の手続き、相談・苦情の窓口、防災・防犯と緊急時の対応、法的な保護も含まれます。テレビ電話や動画でも行えますが、質問に答えられる体制が必要です。終わったら「生活オリエンテーションの確認書」(参考様式第5-8号)で本人の確認と署名を得ます。項目ごとの進め方は生活オリエンテーションの記事で詳しく説明しています。

最初の1週間の組み方(例)

入国後1週間の予定の例(海外から呼ぶ場合)
日午前午後主な担当
1日目(入国)空港での出迎え住居の案内、近所の店、夕食支援担当者
2日目生活オリエンテーション①(4時間)役所の手続きへの同行委託先・通訳
3日目生活オリエンテーション②(4時間)銀行口座・携帯電話の手続き委託先・通訳
4日目雇い入れ時の安全衛生教育職場の案内、制服とロッカー現場リーダー
5日目作業手順の研修(見学が中心)先輩と昼食、1週目の振り返り指導役

入国時の空港の送迎は義務的支援で、実費は受入れ側が負担します。技能実習2号などから移る、すでに日本にいる人は入国時の送迎の対象外です。研修の日が入社日(雇用契約の開始日)より後なら、会社が参加を指示した研修の時間は勤務時間として扱います。日程と契約の開始日をそろえて決めましょう。

会社の人が自分で話したい3つのこと

生活オリエンテーションを委託しても、会社のルールは会社の人が話すほうが伝わります。1つ目は、遅刻や欠勤の連絡の仕方(誰に、何時までに、どの手段で)。2つ目は、給料日と給与明細の見方。3つ目は、寮や社宅のルール(ごみ、来客、騒音)です。30分ほどの枠を、オリエンテーションの中に取っておきます。

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配属前の研修:安全衛生と仕事の基礎を、分かる言葉で

配属前に必ず行うのが、雇い入れ時の安全衛生教育です。労働安全衛生法59条は、事業者は労働者を雇い入れたとき、従事する業務に関する安全・衛生のための教育を行わなければならないと定めています。国籍を問わず、すべての労働者が対象です。

  1. 危ない場所と、安全の言葉を覚える

    「止めて」「危ない」「離れて」など、命に関わる言葉を先に教えます。危険な場所は写真に母語と日本語を並べて示します。

  2. 道具と機械の扱いを、実物で見せる

    止め方、非常停止の場所、保護具のつけ方は、説明より実演が伝わります。1つずつ、やって見せてから、やってもらいます。

  3. 作業の手順を、写真つきの手順書で教える

    1枚に1工程、写真と短い文で示します。文は「〜してください」で言い切る形にそろえます。

  4. 「分かりましたか」ではなく「やってみてください」で確かめる

    「はい」は理解の合図とは限りません。手順を本人にやってもらい、できたところとできないところを一緒に確かめます。

母語での導入研修と、日本語能力への配慮

外国人雇用管理指針は、母国語での導入研修の実施など、働きやすい職場環境の整備に努めることを求めています。2026年5月29日告示の改正では、日本語能力に配慮した教育訓練の実施などにも努めることが加わりました(2026年6月14日から適用)。通訳を入れる、母語の動画を使う、日本語は短く言い切る。この3つを組み合わせます。

日本人の新人と同じ研修を受けられるようにする

特定技能の基準省令は、外国人であることを理由に、教育訓練の実施などで差別的な取扱いをしないことを求めています。日本人の新人が受ける研修は、外国人社員も受けられるようにします。言葉への配慮は、中身を減らすことではなく、伝え方を変えることです。迎える日本人社員への説明は社内説明の記事を参考にしてください。

経験者は「前の職場との違い」に絞る

研修の期間は、職場の危険の大きさと、同じ仕事の経験があるかで変えます。技能実習で同じ作業をしていた人なら、機械の型、手順、品質の基準など、前の職場との違いに絞ると短く済みます。研修を行ったら、日付・内容・時間・担当者を記録に残します。給料の計算の根拠になり、次の人の研修計画にも使えます。

入社前研修の費用は誰が払うか:負担のルール

費用の原則は2つです。1つ目に、義務的支援の費用は、直接・間接を問わず本人に負担させられません(特定技能基準省令2条1項8号)。2つ目に、会社が参加を義務づけた研修の時間は労働時間で、給料の対象です(厚生労働省のガイドライン)。

入社前研修の費用は誰が負担するか(2026年10月時点の制度にもとづく)
費用の項目負担する人根拠・注意
事前ガイダンス(通訳を含む)会社(委託する場合は委託費)義務的支援。本人の負担は不可(基準省令2条1項8号)
入国時の空港の送迎会社送迎の実費は受入れ側が負担(運用要領)
生活オリエンテーション(通訳を含む)会社(委託する場合は委託費)義務的支援。本人の負担は不可
日本語学習の機会の提供会社教室の案内や手続きの手伝いは義務的支援
日本語講座の受講料(本人の希望で受ける)会社が出すかを決める教室の費用の補助などは任意的支援の例
会社が受講を義務づけた研修会社(時間には給料も)義務の研修は労働時間(ガイドライン)
雇い入れ時の安全衛生教育会社(時間には給料も)事業者の義務(労働安全衛生法59条)
送出機関などの講習費(本人が払ったもの)本人が払っている場合がある事前ガイダンスで額と内訳を確かめる

入社前の日本語研修の費用は、会社が出すかを決める

日本語学習の「機会の提供」は義務的支援です。運用要領は、その方法として3つを挙げ、いずれかで行うとしています。地域の日本語教室の案内、自主学習の教材やオンライン講座の情報提供、登録日本語教員などとの契約による講習の機会の提供です。教室の費用の補助などは、任意的支援の例です。つまり受講料まで会社が払う決まりはありません。ただし会社が受講を義務づけるなら、費用は会社が持ち、時間の扱いも決めます。

本人に負担させてはいけないもの

  • 事前ガイダンス、送迎、生活オリエンテーションなど、義務的支援の費用
  • 「1年以内に辞めたら研修費を返す」といった約束(労働基準法16条は違約金や損害賠償額の予定を禁止)
  • 研修の前に保証金を預けさせること
  • 会社が義務づけた研修の時間を、無給にすること

研修中の給料の扱いは、日本人の新人と同じルールにそろえます。基準省令は、報酬の決定や教育訓練で、外国人であることを理由に差をつけないことを求めているためです。

研修費用の決め方:委託費に含まれる部分と、追加で払う部分

研修の費用は「委託費に含まれる支援」「追加の研修費」「研修時間の賃金」の3つに分けて見積もります。まとめて「研修費」と呼ぶと、二重に払ったり、払うべき給料が抜けたりします。

図4入社前研修の費用の考え方

研修の費用=委託費に含まれる支援事前ガイダンス・生活オリエンテーションなど(契約の範囲を確認)+追加の研修費日本語講座・教材・通訳・講師+研修時間の賃金入社後の研修、会社が義務づけた研修

渡航費や住居の準備費は研修費とは別に整理します。給与は日本人が同じ仕事をする場合と同等以上が必要です。

委託費の目安:福岡県の介護事業所の調査では「月2万円台」が最多

事前ガイダンスや生活オリエンテーションは、支援の委託費に含まれる場合があります。委託費の相場も確かめておきましょう。福岡県の令和7年度調査は、外国人介護人材を受け入れている(予定を含む)県内362事業所に、1人あたり月額の委託費を聞いています。最も多かったのは「2万円以上3万円未満」でした。

図5登録支援機関・監理団体への1人あたり月額委託費(福岡県・362事業所)

  • 2万円以上3万円未満31.5%
  • 委託していない26.8%
  • 1万円以上2万円未満13.0%
  • 3万円以上4万円未満13.0%
在留資格を問わない介護分野の数字です。委託費に研修や通訳がどこまで含まれるかは、会社ごとに違います。出典:福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(令和7年度)

社内で行う場合は「時間」で見積もる

支援を自社で行う場合、費用の中心は担当者の時間です。事前ガイダンス3時間程度と生活オリエンテーション8時間以上に、それぞれの準備と通訳の手配が加わります。役所や銀行への同行と配属前の研修も、日程表に落として時間を数えます。担当者が通常業務から抜ける時間を、月の作業量として先に示しておくと、社内の調整がしやすくなります。

見積もりで確かめる4つの質問

  • 事前ガイダンスと生活オリエンテーションは、月額の委託費に含まれますか。通訳の費用は別ですか。
  • 生活オリエンテーションは何時間、何語で、対面で行いますか。
  • 日本語の講座を足す場合、1回あたりの費用と回数はどうなりますか。
  • 研修で使う多言語の資料は、次の採用でも会社が使ってよいですか。

入社後も続ける日本語の支援の方法と費用は日本語学習支援の記事、研修中を含む給料の決め方は給料の決め方の記事で整理しています。

入社前研修でよくある失敗と、準備のチェックリスト

入社前研修の失敗は、「急ぎすぎ」と「伝えたつもり」から起きます。次の6つは、研修の前日ではなく、内定の段階で手を打てば防げます。

よくある失敗6つ

  • 入国の翌日から現場に出す:銀行や役所の手続きが終わらず、仕事の合間に走り回ることになります。最初の3〜5日は、手続きと研修に充てます。
  • 研修を日本語の口頭説明だけで行う:「はい」と答えても、分かっているとは限りません。やって見せて、やってもらいます。
  • 変更許可の前に「研修」として働かせる:許可が出るまでは特定技能の仕事に就けません。実習のような研修は、許可と入社のあとに行います。
  • 研修費の返還を約束させる:違約金や損害賠償額の予定は、労働基準法16条で禁じられています。
  • 委託先に任せきりにする:本人が会社の人の顔を覚えないまま配属されます。研修のどこかに、会社の担当者が必ず出ます。
  • 資料を毎回、一から作る:通訳や翻訳の費用が採用のたびにかかります。多言語にした資料は社内に保存し、次の人にも使います。

準備のチェックリスト

  • 事前ガイダンスの日程・言語・通訳を決め、申請の前に終える計画になっている
  • 入国日から5日間の予定表を、本人が分かる言語で作った
  • 空港の出迎えの担当者と車、到着日の食事を手配した
  • 生活オリエンテーション(8時間以上)の担当と場所を決めた
  • 雇い入れ時の安全衛生教育の内容と、写真つきの資料を用意した
  • 研修の日と雇用契約の開始日の関係を整理し、給料の扱いを決めた
  • 委託費に含まれる研修と、追加で払う費用を書面で確かめた
  • 技能実習などで同じ仕事の経験があるかを確かめ、研修の長さを調整した

研修のあとの振り返り

研修は終わってからが本番です。配属の1週目と1か月目に、本人と指導役の両方から話を聞きます。聞くのは「研修で役に立ったこと」「現場で初めて知って困ったこと」「もっと早く知りたかったこと」の3つです。答えは次の人の研修計画に足していきます。この振り返りは、3か月に1回以上の定期面談とは別に、15分ほどで行えば十分です。

経験や試験の合格の確かめ方は候補者の確認方法の記事で説明しています。

想定ケース:旅館(従業員40人)の総支配人が、入国後5日間の研修を組んだ理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

  • 入国から配属までを5日間に組み、生活オリエンテーション8時間と安全・接客の研修を終えてから現場に出た
  • 客室の清掃を1人で仕上げられるまでの期間が、前回の約6週間から約4週間に縮んだ
  • 入国前のオンライン日本語講座(任意・会社負担)に、2人とも全12回のうち11回ずつ参加した

宿泊業の旅館で、総支配人を務める40代の女性を想定したインタビューです。

――いちばん変わったことは何ですか。

客室を1人で仕上げられるまでが、前回より2週間ほど早くなりました。前回の人も今回の2人も、旅館の仕事は初めてです。前回は入国の翌日から現場に出てもらい、銀行も役所も仕事の合間に回っていました。本人は覚えることが多すぎて、疲れ切っていたと思います。

――研修を見直したきっかけは。

前回の人が3週目に体調を崩したことです。話を聞くと、銀行口座がまだできていなくて、給料をどう受け取るのか不安で眠れなかったと。生活の手続きを後回しにしたつけが、本人に回っていました。

――費用の分け方で、迷ったことはありますか。

入国前の日本語講座を義務にするかどうかです。社会保険労務士に相談したら、義務にするなら研修の時間の扱いを決める必要がある、と言われました。それで任意にして、受講料は会社が出すことにしました。中身を接客の言葉に寄せたら、2人とも12回中11回参加してくれました。

――委託先は、どう選びましたか。

3社に見積もりを頼みました。比べたのは月額の安さより、研修や同行の何時間分が含まれているかです。決め手は、月額に含まれる支援と、追加料金になるものを表で分けて出してくれた1社です。生活オリエンテーションの通訳が別料金になることも、最初に説明がありました。あとから追加の請求が来るかを心配しなくてよい、というのは大きかったです。

――研修で、つまずいたことはありますか。

安全の研修で「分かりましたか」と聞くと、全部「はい」なんです。でも、浴場の清掃に入ると、滑りやすい場所で走ってしまう。それからは、やって見せて、やってもらう形に変えました。滑りやすい場所は写真に撮って、母語と日本語を並べて貼っています。

――研修を入社日のあとに置いたのは、なぜですか。

給料の扱いをはっきりさせたかったからです。入社日を入国の翌日にして、研修の時間はすべて勤務時間にしました。本人にも「研修の日も給料が出ます」と先に伝えたので、遠慮せずに質問してくれるようになりました。5日間の研修で出た質問は、2人で40件を超えました。

――次の受け入れに向けて、変えることはありますか。

1か月目の振り返りで、「お客様に道を聞かれたときの言い方を、もっと早く知りたかった」と言われました。次は入国前の講座に、その場面を足すつもりです。研修の中身は、来た人に聞いて育てていくものだと思っています。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

入社前研修の期間の給料は?

入社後に会社が参加を義務づける研修は労働時間なので、通常の勤務と同じく給料を払います。厚生労働省のガイドラインも、業務上義務づけられた研修の受講を労働時間の例に挙げています。入社前(内定期間)に研修を義務にすると、労働時間に当たるかどうかの問題が生じます。在留資格の許可が出る前は特定技能の仕事に就けないこともあり、義務の研修は許可と入社のあとに組み、それまでは任意の学習にとどめるのが安全です。

事前ガイダンスと入社前研修は、同じものですか?

同じではありません。事前ガイダンスは、在留資格の申請前に行う義務的支援の「説明」で、3時間程度が目安です。入社前研修は、日本語や仕事の予習、配属前の安全教育などを含む広い言葉で、多くは会社が任意で組み立てます。

入国前の日本語講座を、本人の費用で受けてもらってもいいですか?

本人が自分の意思で受ける講座の費用まで、会社が払う決まりはありません。ただし、日本語学習の機会の提供(教室の案内や手続きの手伝い)は義務的支援で、その費用は本人に負担させられません。会社が受講を義務づけるなら、費用は会社が持ち、時間の扱いも決めてください。

生活オリエンテーションは、オンラインでもできますか?

テレビ電話や動画の視聴でも行えます。ただし運用要領は、質問に答えられる体制を求めています。銀行や役所の手続きは実際に同行するほうが確実なので、説明はオンライン、手続きは対面、と組み合わせる会社もあります。

技能実習から移る人にも、生活オリエンテーションは必要ですか?

必要です。運用要領は、生活環境に変化がない場合でも4時間未満では不十分としています。一方、すでに日本にいる人は、入国時の空港の送迎の対象外です。住む地域が変わる場合は、新しい地域のごみの出し方や病院の情報を中心に説明します。

研修費を「1年以内に辞めたら返す」と約束してもらえますか?

できません。労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定したりする契約を禁じています。特定技能の基準省令も、違約金を定める契約を結ばないことを求めています。研修は、定着してもらうための投資として位置づけます。

入社前研修は、登録支援機関に任せられますか?

事前ガイダンスと生活オリエンテーションは、義務的支援として登録支援機関に委託できます。配属前の安全衛生教育や作業の研修は、職場を知る会社が行う部分です。委託する範囲と、通訳などの追加費用を契約の前に書面で確かめておきましょう。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日改正版)
  2. 出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」(2026年8月20日改正版)
  3. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
  4. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)
  5. e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月確認)
  6. e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(2026年10月確認)
  7. 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(2026年10月確認)
  8. 労働政策研究・研修機構「外国人雇用管理指針」改正告示(2026年5月29日)
  9. 国際交流基金「いろどり 生活の日本語」について(2026年10月確認)
  10. 福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(令和7年度)

最終更新:(2026年10月版)

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