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特定技能の受け入れでよくある失敗10|原因と防ぎ方
失敗の多くは制度の難しさより「確かめる順番」で起きる。段階ごとに、先回りの方法をまとめました
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
「費用が見積もりより膨らんだ」「届出は委託先がやると思っていた」「1年たたずに転職された」。特定技能の受け入れで聞く失敗は、制度の難しさより、確かめる順番や役割の思い込みから起きるものが多くあります。この記事では、よくある失敗10を「会社選び」「手続き」「受け入れ後」の3つの段階に分け、原因と防ぎ方を表で整理しました。届出の期限、支援の義務、転職の実態などの数字とルールは、出入国在留管理庁・厚生労働省などの公表資料(2026年10月時点)で確かめたものです。これから受け入れる会社も、すでに受け入れている会社も、自社の状況と照らし合わせて使ってください。
- 失敗は3つの段階で起きる:会社選びで3つ、手続きで4つ、受け入れ後で3つ。どの段階の失敗かが分かれば、確かめる相手と時期が決まります。
- 委託しても会社に残る仕事がある:随時届出は受入れ機関だけが出せるもので、委託先の登録支援機関は代わりに届け出られません。期限は事由が生じてから14日以内です。
- 転職は「起きうるもの」として備える:2021〜2024年に1号の資格を得た341,253人のうち、22.4%が転職を経験しています(2025年8月末・暫定値)。3か月に1回以上の面談で不満を早く拾うことが予防になります。
- 会社選びは月額より「3年総額」と「分野の実績」:委託先を選んだ理由は「実績がある」51.8%、「費用が安い」9.8%という調査もあります。同じ質問で2〜3社を比べると差が見えます。
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この記事の目次
結論:特定技能の失敗は3つの段階で起き、防ぎ方も段階ごとに違う
特定技能の受け入れで起きる失敗は、「会社選び」「手続き」「受け入れ後」の3つの段階に分けられます。段階が分かれば、誰に・いつ確かめればよいかが決まり、同じ失敗を繰り返さずに済みます。
公的調査で企業が挙げる困りごとと制度のルールを照らし合わせると、よくある失敗は次の10個にまとまります。原因の多くは「知らなかった」ことより、「確かめる順番を間違えた」ことにあります。
図1特定技能の受け入れでよくある失敗10(段階・原因・防ぎ方)
| よくある失敗 | 段階 | 主な原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|---|
| 1 月額の安さで委託先を決め、総額が膨らむ | 会社選び | 見積もりの形式が会社ごとに違う | 初期費用・月額・追加料金を分け、3年総額で比べる |
| 2 自社の分野に慣れていない会社に頼む | 会社選び | 全体の支援人数だけを見た | 同じ分野で何人を何年支援したかを数字で聞く |
| 3 許可・登録と書類の作成者を確かめない | 会社選び | 営業の説明をそのまま信じた | 許可番号・登録番号と、申請書類を作る人を確認する |
| 4 受け入れの基準を確かめずに内定を出す | 手続き | 会社側にも基準があると知らない | 内定の前に、省令の基準を自社で点検する |
| 5 分野ごとの手続きと受け入れ状況を見落とす | 手続き | 制度を全分野共通だと思った | 協議会への加入と、分野の受け入れ状況を最初に確かめる |
| 6 届出を委託先任せにして漏らす | 手続き | 「全部委託」の範囲の思い込み | 届出の担当者と期限を一覧にし、社内で持つ |
| 7 手取りや控除の説明が足りない | 手続き | 日本語の書面を渡しただけ | 本人が分かる言語で、手取りの計算例まで示す |
| 8 現場に教える人と相談役がいない | 受け入れ後 | 配属先に任せきり | 配属前に、教える人と相談役を1人ずつ決める |
| 9 面談が形だけで、転職のサインを見逃す | 受け入れ後 | 面談を「届出のための作業」と考えた | 3か月に1回以上の面談で、不満と対応を記録する |
| 10 5年後の道筋を示さない | 受け入れ後 | 1号の上限と、その先の道を知らない | 2号や介護福祉士への道を入社時から話す |
段階が変わると「確かめる相手」が変わる
会社選びの失敗は、紹介会社や登録支援機関に聞く質問で防ぎます。手続きの失敗は、自社の基準の点検と、届出の担当決めで防ぎます。受け入れ後の失敗は、現場の上司と本人との面談で防ぎます。
相手が違うので、1人の担当者がすべてを抱える必要はありません。社長は会社選び、事務担当は届出、現場の班長は日々の声かけ、と分ければ、兼務の会社でも回せます。
特定技能で後悔する理由:公的調査に出ている「想定とのずれ」
受け入れた企業が後悔する理由は、費用・手間・在留できる年数の3つの「想定とのずれ」に集まっています。どれも、契約や内定の前に数字で確かめられるものです。
外国人を雇う企業の困りごと上位3つ
図2外国人を雇用する企業が困っていること(上位3つ・三つまで回答)
- 採用費用(渡航費や手数料など)が想定よりも高い27.8%
- 入管の手続きに時間や手間がかかる26.9%
- 在留できる年数が短い24.2%
日本政策金融公庫総合研究所の調査では、外国人を雇う企業の困りごとの1位が「採用費用が想定よりも高い」でした。介護の事業所を対象にした福岡県の調査(令和7年度)でも、受入れ準備段階の課題の1位は「採用費用(人材紹介の手数料等)が高額」65.5%です。費用の見込みが甘いと、最初の1年で後悔が生まれます。
受け入れをためらう理由の1位は「指導できる人がいない」
岡山県の調査(2023年9月1日時点)は、外国人介護人材の受入予定がない1,345事業所に理由を聞いています。1位は「外国人介護職員を指導できる職員がいない」41.6%でした。「外国人介護人材の受入制度が分からない」22.5%、「費用の相場が分からない」18.4%、「どの監理団体や登録支援機関を選んでいいか分からない」16.2%も続きます。
これらは、受け入れた後に「教える人がいない」「選んだ会社が合わない」という失敗にそのままつながる不安です。受け入れ前にこの4点を解消しておけば、後悔の種を減らせます。
転職は2割強。「辞めない前提」が後悔のもと
出入国在留管理庁は、2021〜2024年に1号の資格を得た341,253人の転職状況を集計しています。転職を経験した人は76,338人、22.4%でした(2025年8月末・暫定値)。延べ90,029人の転職者のうち66.0%は、都道府県をまたいで住む場所を移しています。東京都・大阪府などの大都市圏は、いずれも転入が転出を上回っています。
一方で、77.6%は転職していません。同じ分野の中であれば本人の意思で転職できるのが特定技能の仕組みです。「辞めない前提」で人員計画を組むと、1人の退職で現場が止まります。転職は起きうるものとして、面談と条件の見直しを組み込むほうが現実的です。
会社選びの失敗3つ:月額・分野の経験・許可の確認
会社選びの失敗は、比べる物差しを決めないまま営業の説明を聞くことから始まります。「3年総額」「分野の実績」「許可と登録」の3点を、同じ質問で比べれば防げます。
失敗1:月額の安さで委託先を決め、総額が膨らむ
登録支援機関などへの月額委託費には幅があります。福岡県の調査(令和7年度)では、1人あたり月額「2万円以上3万円未満」が31.5%で最多でした。「1万円以上2万円未満」と「3万円以上4万円未満」も13.0%ずつあります(在留資格を問わない数字)。
月額が低くても、初期費用、通訳の同行、面談の追加、在留期間の更新の補助などが別料金なら、3年の総額は逆転します。防ぎ方は、見積もりを「初期費用」「月額×36か月」「追加料金の条件」に分けて出してもらうことです。出入国在留管理庁のQ&Aでも、支援委託契約には支援業務の内容と、費用の額・内訳を盛り込む必要があるとされています。削ってよい費用の見分け方は特定技能の費用を抑える方法で整理しています。
失敗2:自社の分野に慣れていない会社に頼む
特定技能は、分野ごとに試験、協議会、上乗せの基準が違います。全体の支援人数が多い会社でも、自社の分野が初めてなら、申請の準備や現場への説明でつまずきます。
岡山県の調査(2023年9月1日時点)では、委託先を選んだ理由は「実績がある」51.8%、「サポートが手厚い」50.0%でした。「費用が安い」は9.8%にとどまります。受け入れの経験がある事業所ほど、分野の実績と支援の中身を見ています。質問は「この分野で、何人を何年支援していますか」のように、数字で答えられる形にします。
失敗3:許可・登録と、申請書類を作る人を確かめない
人材紹介を頼むなら有料職業紹介事業の許可番号、支援を頼むなら登録支援機関の登録番号を最初に確かめます。登録支援機関は11,660件が登録しています(2026年10月8日時点)。ただし2023年4月末には、登録8,137機関のうち支援委託契約を持つのは約50%でした。登録の有無に加え、実際に支援している人数も聞きましょう。
紹介会社は、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で調べられます。紹介で就職した人の数、6か月以内に離職した人の数、手数料、返戻金制度の有無が分かります(宮城労働局の案内)。
申請書類にも注意が要ります。2026年1月1日施行の改正行政書士法で、行政書士でない者が名目を問わず報酬を得て官公署に出す書類を作ることはできないと明記されました。「申請は全部こちらで」と言われたら、誰が作るのかを確かめます。比べ方の全体は登録支援機関の選び方と人材紹介会社の選び方にまとめています。
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手続きの失敗4つ:基準・分野・届出・条件の説明
手続きの失敗は、「会社側の基準」と「届出の担当」を確かめないまま進めることで起きます。内定の前と入社の前に、確認の場を1回ずつ設ければ防げます。
失敗4:受け入れの基準を確かめずに内定を出す
受け入れる会社にも基準があります。省令では、労働・社会保険・租税の法令を守っていることが求められます。さらに、雇用契約を結ぶ前1年以内に、同じ種類の業務の労働者を離職させていないことも条件です(定年や自己都合の退職などは除く)。会社の責任で外国人の行方不明者を出していないことも求められます。
たとえば、直前に同じ業務の社員を会社都合で辞めさせていた場合は、この条件に触れるおそれがあります。内定を出す前に、社会保険料と税の納付状況、過去1年の退職者の内訳を点検しておきます。基準の全体は特定技能の受入れ機関の基準で確認できます。
失敗5:分野ごとの手続きと受け入れ状況を見落とす
多くの分野で、受け入れる会社は分野ごとの協議会の構成員になる必要があります。出入国在留管理庁のQ&Aでは、在留の申請の前に構成員となる必要があるとされています。加入の手続きを後回しにすると、その分だけ入社が遅れます。
分野の受け入れ状況も変わります。外食業は受入れ見込数(5万人)に近づき、2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付が一時停止されています。同じ外食業の中での転職は審査が続いているものの、海外から新たに呼ぶ計画は立てにくい状況です。人数にも注意が要ります。受け入れ人数の上限は原則ありませんが、介護は事業所の常勤介護職員の総数、建設は常勤職員(技能実習生や1号特定技能外国人などを除く)の総数が上限です。
失敗6:届出を委託先任せにして漏らす
「全部委託したから届出も任せた」は、よくある思い込みです。出入国在留管理庁は、登録支援機関と委託契約を結んでいても、登録支援機関が随時届出を行うことはできないと明記しています。書類づくりを手伝ってもらうことはできても、出す責任は会社にあります。
図3受け入れ後の主な届出と期限、出す人
| 届出 | 期限 | 出す人 |
|---|---|---|
| 雇用契約の変更・終了・新たな締結(随時届出) | 事由が生じてから14日以内 | 受入れ機関 |
| 支援委託契約の締結・変更・終了(随時届出) | 事由が生じてから14日以内 | 受入れ機関 |
| 定期届出(年1回) | 毎年4月1日〜5月31日に前年度分(4月〜翌3月)を提出 | 受入れ機関(支援の状況の書類は委託先が用意) |
| 外国人雇用状況の届出(ハローワーク) | 雇用保険の被保険者は、雇い入れが翌月10日まで、離職が翌日から10日以内。被保険者でない人は、いずれも翌月末日まで | 事業主 |
届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりすると、指導や罰則の対象になります。届出が適正に行われない場合は、特定技能外国人を受け入れられなくなります。外国人雇用状況の届出を怠った場合は、30万円以下の罰金の対象です。入社前に、この表を自社の担当者名入りで作っておきます。
失敗7:手取りと控除の説明が足りない
入社後の不満で多いのが、「聞いていた手取りと違う」というずれです。報酬は、日本人が同じ業務をする場合と同等以上にする必要があります。外国人であることを理由に、報酬や福利厚生で差をつけることも省令で禁じられています。
寮費などを給与から差し引くには、法令の定めか、労働者の過半数代表などとの書面の協定が必要です(労働基準法24条)。総支給額から税・社会保険料・寮費を引いた「手取りの計算例」を、本人が分かる言語で示します。説明不足が契約トラブルに発展する流れは特定技能の契約トラブル事例で紹介しています。
受け入れ後の失敗3つ:教える人・面談・5年後
受け入れ後の失敗は、「現場」「面談」「将来」の3つの空白から起きます。教える人を決め、面談で不満を拾い、5年後の道筋を示すことで防げます。
失敗8:現場に教える人と相談役がいない
先に見たとおり、受け入れをためらう理由の1位は「外国人介護職員を指導できる職員がいない」でした。この不安を解消しないまま配属すると、新人は質問の相手が分からず、現場の先輩は通常業務と指導の両方を抱えます。
配属前に「仕事を教える人」と「困ったときに相談する人」を1人ずつ決めます。教える人は同じ工程の先輩、相談役は別の部署の人にすると、上司に言いにくいことも話しやすくなります。最初の3か月は、週1回15分の振り返りを予定に入れておくと、小さなつまずきを早く拾えます。日本語の試験の点数だけでは現場の会話力は分かりません。確かめ方は日本語力の見極め方を参考にしてください。
失敗9:面談が形だけで、転職のサインを見逃す
1号の外国人との定期面談は、3か月に1回以上の実施が義務です。2025年4月からは、本人の同意や録画の保存などの条件を満たせば、オンラインでも行えます。面談を「届出のための作業」と考えると、不満は記録されず、ある日の退職の申し出として表に出ます。
日本政策金融公庫の調査では、最近5年間に外国人従業員の退職があった484社の退職理由の1位は「日本で転職するため」51.0%でした。面談では「残業」「手取り」「住まい」「職場の人間関係」の4つを毎回同じ順で聞き、前回からの変化と会社の対応を記録します。支援を怠った場合に会社が負うリスクは支援が不十分だった場合のリスクで詳しく説明しています。
失敗10:5年後の道筋を示さない
1号は通算5年までです。先の調査でも、困りごとの3位は「在留できる年数が短い」24.2%でした。2号は更新の上限がなく、要件を満たせば家族の帯同もできます。2号の在留者は18,295人です(2026年6月末・速報値)。介護には2号がなく、介護福祉士を取って在留資格「介護」に移る道があります(介護の特定技能)。
入社時に「3年目に2号の試験を目指す」などの目安を示すと、本人は自分の将来を描けます。会社も、育てた人に長く働いてもらう計画を立てられます。それでも受け入れを終えるときは、届出と帰国・転職の支援が必要です。手順は特定技能の受け入れをやめるときで確認できます。
保証金を取る、途中で辞めたら違約金を払う契約を結ぶ、パスポートや在留カードを預かる、給与の一部を会社が管理して貯金させる。これらは転職を防ぐ方法ではなく、法令で禁じられた行為です。特定技能では保証金の徴収や違約金の契約が認められていません。旅券などの取り上げは、受け入れが認められなくなる不正行為の1つに挙げられています。労働基準法も、違約金や損害賠償額を予定する契約(16条)と、貯蓄の契約をさせることや貯蓄金を管理する契約(18条)を禁じています。
特定技能の失敗を防ぐ確認手順:内定の前から入社1年後まで
10の失敗は、7つの確認を決まった時期に行えば防げます。確認する時期を先にカレンダーへ入れておくと、忙しい時期でも抜けません。
図4失敗を防ぐ7つの確認(時期と中身)
- 自社の基準を点検する(内定の前)
社会保険料と税の納付、過去1年に同じ業務の社員を会社都合で離職させていないか、分野の協議会への加入の要否を確かめます。ここで問題が見つかれば、内定を出す前に止められます。
- 候補の会社を2〜3社に絞り、同じ質問で比べる
許可番号・登録番号、自社の分野での実績、担当者1人あたりの受け持ち、3年総額の見積もりを、同じ形式で出してもらいます。
- 雇用条件を本人の言語で説明する(内定のとき)
手取りの計算例、控除の内訳、残業の見込み、住まいの費用を、書面と口頭の両方で伝えます。質問を受ける時間も取ります。
- 届出の担当と期限を一覧にする(入社の前)
随時届出は14日以内、定期届出は毎年4月1日〜5月31日、ハローワークへの届出も含めて、担当者の名前を書き込みます。
- 教える人と相談役を決める(配属の前)
同じ工程の先輩を教える人に、別の部署の人を相談役にします。最初の3か月の振り返りの予定も入れます。
- 3か月ごとの面談を記録し、対応を決める
同じ項目を同じ順で聞き、前回からの変化を残します。不満が出たら、誰がいつまでに何をするかまで決めます。
- 年1回、条件と将来の道筋を見直す
定期届出の時期に合わせて、昇給、資格、2号への挑戦の予定を本人と確認します。委託先の評価もこのときに行います。
入社の前に、次の4点がそろっているかを最後に確かめます。
- 届出の一覧に、担当者の名前と期限が書かれている
- 支援委託契約に、支援の内容と費用の額・内訳が書かれている
- 本人に渡す雇用条件の説明に、手取りの計算例が入っている
- 配属先で、教える人と相談役が決まっている
失敗しない会社選び:契約前に聞く8つの質問と危ないサイン
契約前の面談では、質問を固定し、2〜3社に同じことを聞きます。答えの中身だけでなく、答え方の具体性に差が出ます。
そのまま使える8つの質問
- 自社と同じ分野で、これまで何人を何年支援(紹介)してきましたか。
- 担当者1人が、何社・何人を受け持っていますか。
- 見積もりを、初期費用・月額・追加料金に分けて出せますか。
- 定期面談は誰が、何語で、どこで行いますか。記録はもらえますか。
- 随時届出の書類づくりは、どこまで手伝ってもらえますか。
- 在留の申請書類は誰が作りますか。行政書士が関わりますか。
- 早く退職した場合の返金の規定はありますか。条件は何ですか。
- 2027年4月からの新しい支援体制の基準への準備は進んでいますか。
最後の質問には理由があります。2027年4月1日から、登録支援機関は常勤の支援責任者・支援担当者を置く必要があります。担当者1人の受け持ちも、受入れ機関10未満・1号外国人50人未満が上限です。基準を満たせないと登録の更新ができず、支援が途中で止まるおそれがあります。
契約を見送るべき危ないサイン
- 費用の内訳を出さない、または「一式」としか書かない
- 支援の費用を本人に負担させる仕組みがある
- 許可番号・登録番号を聞いても示さない
- 「すぐ来られる」「辞めない人を選べる」と言い切る
- 国籍や年齢で人を選ぶよう勧める
義務的支援の費用は、直接・間接を問わず本人に負担させられません。国籍で人を選ぶことは、職業安定法3条や外国人雇用管理指針の考え方から避けるべきとされています。比べるのは、その国の送出し手続きの経験と、本人の言語で支援できるかどうかです。
想定ケース:飲食料品製造業(従業員45人)の工場長が、委託先を見直して立て直した理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
総菜工場で特定技能の2人を受け入れ、1年目に委託先を変えた工場長(50代)に、変えた後の変化と、見直しで迷った点を聞きました。
- 届出の担当と期限を一覧にしてからの1年間、随時届出の遅れは0件
- 3か月ごとの面談を通訳つきで年4回行い、記録を毎回受け取るように
- 委託費は1人あたり月2.5万円から3万円に上がったが、追加料金がなくなり、2人分の年間の支払いは約10万円減った
――委託先を変えて、何が一番変わりましたか。
届出で冷や汗をかかなくなったことです。いまは事務の担当者の机に、届出の種類と期限、担当者の名前を書いた一覧が貼ってあります。この1年、遅れは1件もありません。面談の記録も3か月ごとに届くので、2人が何に困っているかを私が読めるようになりました。
――最初に受け入れたときは、どんな状況でしたか。
朝の盛り付けの工程で、日本人のパートさんが集まらなくなったのがきっかけです。求人を半年出しても応募は2件でした。知り合いの社長に紹介された会社に、紹介も支援もまとめて頼みました。月額が安かったので、それで決めたんです。比べたのはその1社だけでした。
――何に困っていたのですか。
1人の担当を盛り付けから加熱の工程に変えたとき、雇用契約の変更の届出が要ると気づかなかったことです。委託先がやっていると思い込んでいました。後で、随時届出は会社しか出せないと知って、正直ぞっとしました。それと、通訳の同行や面談の追加が毎月のように別料金で請求され、1年で20万円を超えていました。面談の記録も、こちらから頼まないと出てきませんでした。
――新しい委託先は、どう選びましたか。
今度は3社に、同じ8つの質問を紙で渡しました。差が出たのは「届出はどこまでやってもらえますか」という質問です。1社は「全部やります」と答えました。別の1社は「随時届出は御社にしか出せません。その代わり、期限の2日前に書類の案を送ります」と言いました。できないことを先に言ってくれた。それで、ここなら任せられると思いました。費用の内訳も、初期・月額・追加の3つに分けて出してくれたのはその会社だけでした。
――切り替えてから、つまずいたことはありますか。
現場の班長に任せきりにしていたことです。委託先から「教える人と相談役は分けたほうがいい」と言われ、相談役を品質管理の女性社員にお願いしました。最初は班長が「自分の仕事を取られる」と嫌がりましたが、教えることに集中できると分かってからは、むしろ楽になったと言っています。面談で2人が挙げた困りごとは、1年で7件。シフトの組み方や寮のゴミ出しの話など、小さいうちに片づけられました。
――これから受け入れる会社に伝えたいことは。
委託は「丸投げ」ではなく「分担」だということです。届出と現場は会社の仕事で、そこが決まっていれば、委託先の力も生きます。来年は2人のうち1人が2号の試験に挑戦したいと言っています。そう言ってもらえる職場になったのは、見直しをしたからだと思います。
相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。
よくある質問
特定技能の採用でよくある失敗は?
多いのは、月額の安さだけで委託先を選ぶこと、届出を委託先任せにすること、面談が形だけになることの3つです。どれも、契約前の比べ方と、入社前の役割分担で防げます。この記事では、10の失敗を「会社選び・手続き・受け入れ後」に分けて、原因と防ぎ方を表にしています。
特定技能外国人の採用で失敗しないためには?
内定の前に、自社の基準の点検と届出の担当決めを済ませることです。そのうえで候補の会社を2〜3社に絞り、同じ質問と同じ形式の見積もりで比べます。入社後は、3か月に1回以上の面談で不満を記録し、対応まで決めます。
特定技能の受け入れで失敗しない会社の選び方は?
月額ではなく、自社の分野での実績、担当者1人あたりの受け持ち、3年総額の3点で比べることです。許可番号・登録番号と、申請書類を誰が作るかも確かめます。特定技能のりあい窓口では、条件に合う会社を最大3社まで無料で紹介し、順位は付けず、選ぶのは御社です。なお、掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。
登録支援機関に全部委託すれば、会社は何もしなくてよいですか?
いいえ、会社に残る仕事があります。全部委託すると支援体制の基準は満たしたものとみなされますが、随時届出は受入れ機関だけが行えます。雇用契約、日本人と同等以上の報酬の支払い、労務管理の責任も会社に残ります。
採用した人が1年以内に転職するのは防げますか?
完全には防げませんが、減らすことはできます。2021〜2024年に1号の資格を得た341,253人のうち、資格を得てから1年未満で最初の転職をした人は33,963人で、約1割でした(2025年8月末・暫定値、割合は編集部の計算)。手取りの事前説明、教える人と相談役の配置、3か月ごとの面談の記録の3つで、不満を早く拾うことが有効です。
委託先の登録支援機関を途中で変えることはできますか?
できます。支援委託契約を終了して新しい委託先と結ぶときは、それぞれ事由が生じてから14日以内に随時届出が必要です。面談の記録や本人の相談の経過を引き継げるよう、解約前に書類の受け渡しの方法を決めておきます。
一度失敗すると、次から受け入れができなくなりますか?
失敗の中身によります。省令では、雇用契約を結ぶ前後5年以内に支援計画にもとづく支援を怠ったことがあると、自社で支援する体制の基準を満たさないとされています。届出が適正に行われない場合も、受け入れができなくなります。行政上のリスクの全体は支援が不十分だった場合のリスクで確認してください。
失敗例を知るより先に、思い込みを確かめたいのですが。
「外国人なら安く雇える」「すぐ辞める」といった思い込みは、公的データで確かめられます。思い込みを1つずつ確かめた記事は外国人採用のよくある誤解10です。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人に対する支援・登録支援機関」(2026年10月)
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月時点)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末・暫定値)
- 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和8年6月末・速報値)」(2026年6月末)
- 出入国在留管理庁「登録支援機関登録簿」(2026年10月8日)
- 出入国在留管理庁 有識者会議資料(登録支援機関の委託状況)(2023年4月末)
- 出入国在留管理庁「登録支援機関の支援体制要件の改正(令和9年4月1日施行)」(2027年4月1日施行)
- 出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の審査状況」(2026年9月10日掲載)
- 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)
- 福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(令和7年度)
- 岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)
- 宮城労働局「紹介会社を利用する場合の留意点」(2026年10月確認)
- 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(2026年10月)
- e-Gov法令検索「行政書士法」(2026年1月1日施行の改正を含む)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月時点)
- e-Gov法令検索「職業安定法」(2026年10月時点)
- 労働政策研究・研修機構「外国人雇用管理指針」改正告示(2026年5月29日)
最終更新:(2026年10月版)
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