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特定技能の契約トラブル事例|業者・本人との間で起きやすいこと
業者とも本人とも、もめる原因は「書いていない」と「残していない」。条項と記録で先回りする
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
特定技能の受け入れで起きるトラブルは、業者との「費用」「支援の範囲」と、本人との「退職」に集中しています。どれも、契約書に何を書き、日々どんな記録を残すかで、起きる前に防げるものです。この記事では、登録支援機関・紹介会社・本人との間で起きやすいトラブルを想定例で示し、原因と、防ぐための条項・記録を整理しました。困ったときの相談先も、内容別にまとめています。制度のルールは、出入国在留管理庁・厚生労働省などの公表資料(2026年10月時点)で確かめたものです。
- トラブルは3つに集中する:業者との「費用」「支援の範囲」、本人との「退職」です。想定例の多くは、契約書の空白から始まります。
- 支援委託契約には費用の額・内訳が要る:出入国在留管理庁のQ&Aは、支援業務の内容と費用の額・内訳を委託契約に盛り込む必要があるとしています。「一式」の見積もりは追加請求のもとです。
- 紹介料の返金は契約しだい:返戻金制度は、紹介会社が「設けることが望ましい」とされるもので、法律上の義務ではありません。対象期間・割合・条件を契約前に書面で確かめます。
- 本人と違約金の約束はできない:労働基準法16条は違約金や損害賠償額の予定を禁じています。退職のときに会社がすべきなのは、14日以内の届出などの手続きです。
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この記事の目次
結論:特定技能のトラブルは「費用・支援の範囲・退職」に集中し、条項と記録で防げる
特定技能のトラブルは、業者との「費用」「支援の範囲」と、本人との「退職」の3つに集中します。原因の多くは、契約書に書いていないことと、記録を残していないことです。
裏を返せば、契約の前に条項をそろえ、日々の記録を残す仕組みを作れば、多くは起きる前に防げます。次の表は、この記事で取り上げる9つの想定例を、相手と種類で整理したものです。
図1特定技能のトラブル早見表(想定例・防ぐ条項・残す記録)
| 想定例 | 相手・種類 | 防ぐ条項 | 残す記録 |
|---|---|---|---|
| 1 月額のほかの別料金で請求が膨らむ | 登録支援機関・費用 | 月額に含む支援と、別料金の業務・単価 | 毎月の請求明細と支援の実施記録 |
| 2 面談の記録が届かず、不満が伝わらない | 登録支援機関・支援の範囲 | 面談の実施者・言語・報告の期限 | 面談記録の写し |
| 3 解約の予告期間が長く、引き継ぎもない | 登録支援機関・支援の範囲 | 解約の予告期間と、引き渡す書類 | 支援の経過の記録 |
| 4 早期退職の返金を求めたら対象外 | 紹介会社・費用 | 返金の対象期間・割合・条件 | 入社日・退職日・退職理由 |
| 5 本人も母国で手数料を払っていた | 紹介会社・費用 | 本人から手数料を取らないこと | 本人への聞き取りの記録 |
| 6 紹介した人に転職の誘いが来る | 紹介会社・退職 | 紹介した人に転職を勧めないこと | 本人からの相談の内容 |
| 7 「聞いていた手取りと違う」 | 本人・費用 | 手取りの計算例と控除の協定 | 説明した日時・言語・資料 |
| 8 突然の退職の申し出 | 本人・退職 | 退職の手続き(違約金は定めない) | 申し出の日付と面談の記録 |
| 9 寮のルールや家賃でもめる | 本人・支援の範囲 | 本人の言語の寮の規則 | 規則への同意と立て替えの記録 |
会社が結ぶ契約は3つ。トラブルは「すき間」で起きる
特定技能で会社が結ぶ契約は3つあります。登録支援機関との支援委託契約、紹介会社との紹介の契約、本人との雇用契約です。トラブルの多くは、この3つのすき間で起きます。たとえば住まい探しを誰が手伝い、初期費用を誰が払うのかは、どの契約にも書かれていないことがあります。
紹介会社と登録支援機関の役割の違いは、人材紹介会社と登録支援機関の違いで図解しています。
登録支援機関とのトラブル事例:費用・面談・解約(想定例)
登録支援機関とのトラブルは、委託費の追加請求、面談と報告の不足、解約の3つが典型です。いずれも、契約書に「何を」「いくらで」「いつまでに」が書かれていれば防げます。
想定例1:月額のほかの別料金が続き、半年で請求が増えた
月額2万円台で契約したA社。役所への同行、面談の通訳、夜間の電話対応が別料金として請求され、半年で請求額は月額の倍近くになりました。契約書には「支援業務一式」としか書かれていませんでした。
出入国在留管理庁のQ&Aでは、支援委託契約に支援業務の内容と、費用の額・内訳を盛り込む必要があるとされています。義務的支援は10項目あり、公的手続きへの同行や定期面談もその中に入ります。月額に含む範囲と別料金の範囲を、項目ごとに書いてもらいます。
図2委託費の請求額が膨らむ仕組み
毎月の請求額=月額の委託費契約で決めた基本料金+別料金単価 × 回数(通訳の同行・追加の面談など)+臨時の費用更新の補助・転居の手伝いなど
契約の前に、次の4点が書面にあるかを確かめます。月額の水準そのものは登録支援機関の月額委託費の相場を参考にしてください。
- 月額に含む支援が、義務的支援の10項目ごとに書かれている
- 別料金になる業務と、1回あたりの単価が一覧になっている
- 料金を改定するときの予告期間が決まっている
- 支援の費用を本人に負担させないことが明記されている
想定例2:面談の記録が届かず、本人の不満が伝わらなかった
B社では、3か月ごとの面談は行われていたものの、記録が会社に届いていませんでした。本人が残業の多さを訴えていたことを、会社は退職の申し出で初めて知りました。
定期面談は3か月に1回以上が義務です。定期届出を出すのは会社で、登録支援機関は支援の状況の書類を会社に渡す役割です。報告の期限と形式を契約で決めておかないと、会社は届出の時期まで中身を知らないままになります。なお、面談で労働基準法違反などが分かれば、行政機関へ通報することも義務的支援に含まれます。
想定例3:委託先を変えたいのに、解約の予告期間が6か月だった
C社は対応の遅さに不満を持ち、委託先を変えようとしました。ところが契約書には「解約は6か月前に通知」とあり、面談記録の引き渡しも決まっていませんでした。
委託先を変えるときは、支援委託契約の終了と新たな締結について、それぞれ14日以内に随時届出を出します。出すのは会社で、登録支援機関は代わりに届け出られません。委託先の登録の状態も確かめます。登録の有効期間は5年です。2027年4月1日からは支援体制の基準が変わり、満たせない機関は更新を受けられません。解約と引き継ぎの条項は、支援委託契約書のチェックポイントで詳しく確認できます。
紹介会社とのトラブル:返金の条件・本人の手数料・転職の誘い
紹介会社とのトラブルで多いのは、早く退職したときの紹介料の返金です。返金は法律で決まった義務ではなく、契約で決まります。だからこそ、契約の前に条件を書面で確かめる必要があります。
想定例4:入社2か月で退職。返金を求めたら「対象外」だった
D社は紹介料を払って1人を採用しましたが、本人は入社2か月で退職しました。返金を求めると、紹介会社の規定は「入社1か月以内の自己都合退職のみ」でした。
労働局の案内では、短期間で離職した場合に手数料を返す「返戻金制度」を、紹介会社が設けることが望ましいとされています。望ましい、であって義務ではありません。制度の有無や内容は、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で事業者ごとに確かめられます。
図3職業紹介で就職した人の6か月以内の離職率(職種別)
- 介護19.9%
- 保育14.5%
- 看護12.9%
紹介料は小さな金額ではありません。厚生労働省の集計では、職業紹介を通じた介護職の平均手数料は全国で59.7万円でした(令和6年度実績、特定技能に限らない)。返金の条項では、次の4点をそろえます。
- 返金の対象期間(入社後何か月まで)と、期間ごとの返金割合
- 自己都合・会社都合・在留資格が不許可のときの扱い
- 入国前・入社前に辞退したときの扱い
- 返金を求める期限と、支払われる時期
想定例5:本人も母国で手数料を払っていた
E社の社員が面談で本人と話すと、「日本で働くために、母国で多額のお金を払った」と打ち明けられました。
職業紹介で、求職者である本人から手数料を取ることは原則禁止です。さらに省令の基準では、本人や家族が保証金などで財産を管理されていると知りながら、雇用契約を結んではならないとされています。海外から受け入れるときは、送出し機関に本人が何を払ったかを確かめ、記録に残します。危ない業者のサインは悪質な特定技能業者の見分け方にまとめています。
想定例6:紹介した人に、別の会社への転職の誘いが来た
本人から「紹介会社の人に、もっと給料のいい会社を紹介すると言われた」と相談がありました。
労働局の案内では、紹介会社は自社の紹介で無期雇用で就職させた人に、就職から2年間は転職を勧めてはいけないとされています。気になる働きかけがあれば、まず紹介会社に事実を確かめます。解決しなければ、労働局に相談します。契約には、紹介した人に転職を勧めないことを書いておきます。
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本人との間で起きやすいトラブル:手取り・退職・住まい
本人とのトラブルは、条件の理解のずれ、退職の進め方、住まいの3つが典型です。「説明した」ことを後から示せる記録があれば、話し合いで解決しやすくなります。
想定例7:「聞いていた手取りと違う」
寮費と社会保険料が引かれた初めての給与明細を見て、本人が「話が違う」と訴えました。雇用条件の説明では、総支給額しか伝えていませんでした。
報酬は、日本人が同じ業務をする場合と同等以上が必要です。寮費などを差し引くには、法令の定めか、労働者の過半数代表などとの書面の協定が要ります(労働基準法24条)。内定のときに手取りの計算例を本人の言語で示し、説明した日、説明者、通訳者、資料の版を記録します。明細の説明の仕方は外国人社員の給与トラブルの防ぎ方で扱っています。
想定例8:突然「来月で辞めたい」と言われた
入社10か月の本人が、同じ分野の別の会社へ移りたいと申し出ました。社長は「途中で辞めるなら違約金を」と考えました。
違約金は定められません。労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定したりする契約を禁じています。特定技能でも違約金の契約は認められていません。同じ分野の中であれば、本人の意思で転職できます。
会社がすべきなのは手続きです。退職などで受け入れの継続が難しくなったときは、その事由が生じた日から14日以内に届け出ます。雇用契約が終わったときも14日以内の届出が要り、ハローワークへの届出もあります。本人が帰国の旅費を負担できないときは、会社が負担します。会社の都合で契約を解除するなら、転職の支援も会社の義務です。禁止事項の一覧は特定技能で会社がやってはいけないこと一覧で確認できます。
想定例9:寮のルールと家賃の立て替えでもめた
同じ寮の住人から夜の騒音の苦情が入り、家賃の支払いも1か月遅れました。寮の規則は日本語版しかありませんでした。
住居の確保の支援は、義務的支援の1つです。滞納した家賃を会社が立て替えた場合、その分を本人に請求することは差し支えないとされています(出入国在留管理庁のQ&A)。ただし給与から差し引くなら、先の協定が必要です。寮の規則は本人の言語で渡し、同意の署名と、立て替えの記録を残します。言葉の行き違いを減らす工夫は日本語力の見極め方も参考になります。
特定技能のトラブルを防ぐ条項:3つの契約で確かめる12項目
条項は、3つの契約ごとに4項目ずつ確かめれば足ります。契約書の文言がそろっていれば、相手が変わっても同じ物差しで比べられます。
図4契約ごとに確かめる12の条項
| 条項 | 契約 | 確かめること |
|---|---|---|
| 1 支援の範囲 | 支援委託契約 | 義務的支援10項目ごとに、月額に含むかどうか |
| 2 別料金 | 支援委託契約 | 業務の名前と1回あたりの単価の一覧 |
| 3 報告 | 支援委託契約 | 面談の報告の期限・形式、緊急時の連絡方法 |
| 4 解約 | 支援委託契約 | 予告期間、解約金の有無、引き渡す書類 |
| 5 手数料 | 紹介の契約 | 金額、支払う時期(内定・入国・入社のどれか) |
| 6 返金 | 紹介の契約 | 対象期間、返金割合、退職理由ごとの扱い |
| 7 不許可・辞退 | 紹介の契約 | 在留資格が不許可のとき、入社前に辞退したとき |
| 8 勧誘の禁止 | 紹介の契約 | 紹介した人に転職を勧めないこと |
| 9 報酬 | 雇用契約・説明資料 | 手取りの計算例(本人の言語) |
| 10 控除 | 雇用契約・説明資料 | 差し引く項目と、書面の協定の有無 |
| 11 退職 | 雇用契約・説明資料 | 申し出の手続き。違約金は定めない |
| 12 住まい | 雇用契約・説明資料 | 寮の規則と費用(本人の言語) |
契約書は「費用→解約→報告」の順に読む
忙しいときは、契約書を頭から読まず、費用、解約、報告の順に条項を探します。費用は請求のもめごとに、解約は乗り換えの自由に、報告は会社の届出に直結するからです。3つのうち1つでも空白なら、署名の前に追記を頼みます。口頭の約束は、メールでもよいので文字に残します。
業者に聞く質問をそのまま使いたい場合は、登録支援機関・紹介会社への質問リスト50が役立ちます。
残しておく記録:誰が・いつ・何を・どれだけの期間
記録は、もめたときのためだけでなく、制度の基準を満たすためにも必要です。省令は、外国人の活動内容に関する文書を作り、雇用契約の終了から1年以上備えておくことを受入れ機関の基準にしています。自社で支援する場合は、支援の状況に関する文書も同じく1年以上備えておきます。
図5トラブルに備えて記録を残す6つの手順
- 契約書と見積もりを1か所にまとめる(契約のとき)
支援委託契約、紹介の契約、雇用契約、それぞれの見積もりと説明資料を、相手ごとのフォルダに入れます。改定のたびに日付を付けて残します。
- 雇用条件の説明記録を作る(内定のとき)
説明した日時、説明者、通訳者、使った資料の版、本人の質問と答えを1枚にまとめ、本人の署名をもらいます。
- 請求明細と支援の実施記録を突き合わせる(毎月)
別料金の請求があれば、いつ・誰に・何をした分かを記録と照らします。合わないものはその月のうちに問い合わせます。
- 面談記録の写しを受け取る(3か月ごと)
本人の困りごとと、会社がとった対応を並べて残します。次の面談では、前回の困りごとがどうなったかから聞きます。
- 相談・苦情と対応を1行ずつ残す(その都度)
日付、相談の中身、対応した人、結果を書きます。寮の苦情や家賃の立て替えもここに入れます。
- 退職・解約の経緯を記録し、保存する(終了のとき)
申し出の日付、理由、届出の提出日を残し、雇用契約の終了から1年以上保管します。
記録は凝る必要はありません。表計算のファイル1つに「日付・相手・中身・対応・担当」の5列を作るだけで、半年後の自分が助かります。
特定技能のトラブルの相談先:中身で窓口が変わる
相談先は、トラブルの中身で変わります。制度と届出は入管、紹介会社のことは労働局、労働条件やもめごとは総合労働相談コーナー、と覚えておけば迷いません。
図6困りごと別の相談先
| 困りごと | 相談先 | 知っておくこと |
|---|---|---|
| 在留の手続き・届出・制度の扱い | 地方出入国在留管理局、外国人在留総合インフォメーションセンター | センターは0570-013904、平日8時30分〜17時15分、日本語を含む11言語。個別の審査の見通しには答えられません |
| 登録支援機関の支援が行われない | まず委託先と協議し、解決しなければ地方出入国在留管理局へ | 支援の状況の書類が出されない場合、登録支援機関の登録が取り消されることがあります |
| 紹介会社の手数料・返金・転職の誘い | 都道府県労働局 | 許可の有無や返戻金制度は人材サービス総合サイトで確認できます |
| 労働条件・退職・職場のもめごと | 総合労働相談コーナー | 全国378か所。予約不要・無料で、労働者・事業主のどちらも相談でき、外国人労働者には多言語で対応 |
| 契約の解釈・損害の請求 | 弁護士など | 総合労働相談コーナーで、法テラスなど他の紛争解決機関の情報も得られます |
| 在留の申請書類の作成 | 行政書士 | 報酬を得て官公署に出す書類を作れるのは行政書士です(2026年1月1日施行の改正行政書士法) |
トラブルが起きたら、最初の1週間でやる4つのこと
- 事実を時系列で書き出す。いつ、誰が、何を言い、何をしたかを、推測と分けて書きます。
- 契約書と記録を照らす。どの条項の話か、記録はあるかを確かめます。条項がなければ、そのことも書き留めます。
- 相手に書面で伝える。口頭で話した後も要点をメールで送り、回答の期限を書き添えます。
- 届出の期限を確かめる。退職や契約の終了が絡むなら、14日以内の随時届出が要るかを確認します。
本人とのトラブルでは、会社の結論を伝える前に、通訳を交えて本人の言い分を聞く場を設けます。言葉の行き違いが原因なら、それだけで片づくこともあります。
本人が母語で相談できる窓口も伝えておく
本人が会社に言いにくい悩みを外で相談できることは、結果として大きなもめごとを防ぎます。都道府県労働局などには外国人労働者相談コーナーがあります。対応言語は局ごとに確かめが必要です(たとえば千葉労働局は英語・中国語・ベトナム語)。生活オリエンテーションの資料に、窓口の名前と電話番号を入れておきましょう。
支援の不備が行政上どう扱われるかは、支援が不十分だった場合のリスクで詳しく説明しています。
想定ケース:ビルクリーニング業(従業員35人)の総務部長が、契約を結び直して請求のもめごとを止めた理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
特定技能の2人を受け入れ、2年目に支援委託契約を結び直した総務部長(40代)に、結び直した後の変化と、そこに至るまでの迷いを聞きました。
- 月平均3件あった別料金の請求の問い合わせが、結び直してからの半年で0件に
- 面談の報告が、面談から5営業日以内に毎回届くように
- 2人目の紹介の契約で、入社6か月以内の退職について返金の割合を書面で決めた
――契約を結び直して、何が変わりましたか。
請求書を見て首をかしげることがなくなりました。以前は毎月のように「この通訳同行費は何の分ですか」と問い合わせていました。いまは義務的支援の10項目ごとに、月額に含むかどうかが契約書の別表に書いてあります。面談の報告も、面談から5営業日以内に届きます。
――受け入れのきっかけは、何だったのですか。
病院とオフィスビルの清掃を請け負っていて、早朝の人手が足りなくなりました。求人を出しても来るのは60代以上の方ばかりで、体力的に続かない。社長の判断で特定技能を決め、紹介と支援を別々の会社に頼みました。
――何がきっかけで、見直したのですか。
1年目の決算で、支援の費用が見積もりより3割多かったことです。明細を並べると、役所への同行や夜の電話対応が別料金になっていました。委託先に聞くと「契約書の『一式』には含まれません」との答えでした。そこで初めて、どこまでが一式なのか、こちらも分かっていなかったと気づきました。
――結び直す相手は、どう決めましたか。
いまの委託先と、ほかの2社の計3社に、同じ別表の形式で見積もりを頼みました。1社は「全部込みです」と言うだけで、別表は出てきませんでした。いまの委託先は、通訳の同行は月2回まで月額に含め、それを超えると1回いくら、と書いてきた。正直、全部込みのほうが楽に見えて迷いました。でも、どこからが別料金かを先に言ってくれるほうが、後でもめないと思ったんです。結局、条件をはっきりさせたうえで同じ会社と結び直しました。
――いまは、記録をどう残していますか。
表計算のファイル1つに、日付・相手・中身・対応・担当の5列です。請求明細が来たら、その月の支援の記録と突き合わせます。1回5分もかかりません。寮の苦情や家賃の立て替えもここに書くので、何かあっても経緯をたどれます。2人目を紹介してもらうときは、返金の条件を最初に聞きました。入社6か月以内の退職なら割合を決めて返す、という条項を入れてもらっています。
――同じ立場の人に伝えたいことは。
「一式」と「全部込み」は、言葉としては安心できますが、中身を聞くまでは何も決まっていないのと同じでした。書いてもらうのは、相手を疑うことではありません。お互いのためだと説明すれば、まともな会社は嫌がりませんでした。
相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。
よくある質問
特定技能のトラブルを防ぐ契約のコツは?
費用・解約・報告の3つの条項を、署名の前に必ず書面でそろえることです。支援委託契約には支援業務の内容と費用の額・内訳を盛り込む必要があり、「一式」で済ませないことが出発点になります。紹介の契約では返金の条件を、雇用契約では手取りの計算例と退職の手続きを、本人の言語で確かめます。
登録支援機関とのトラブルは、まずどこに相談すればよいですか?
最初は契約書と記録をもとに、委託先と直接話し合います。それでも支援が行われない場合は、地方出入国在留管理局に相談します。制度の一般的な扱いは、外国人在留総合インフォメーションセンター(0570-013904、平日8時30分〜17時15分)でも案内しています。
紹介した人がすぐ辞めたら、紹介料は返金されますか?
返金されるかどうかは、契約の条件しだいです。返戻金制度は紹介会社が設けることが望ましいとされるもので、法律上の義務ではありません。対象期間、返金の割合、退職理由ごとの扱いを、契約前に書面で確かめてください。
委託契約を途中で解約したら、届出は必要ですか?
必要です。支援委託契約の終了と、新しい委託先との締結について、それぞれ事由が生じてから14日以内に随時届出を出します。届け出るのは受入れ機関で、登録支援機関は代わりに届け出られません。
途中で辞めたら違約金を払う、と本人と約束してもよいですか?
いいえ、できません。労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金を定めることや損害賠償額を予定することを禁じています。特定技能でも違約金の契約は認められていません。退職を減らしたいなら、条件の説明と面談の仕組みを見直すほうが効果があります。
本人が家賃を滞納したら、給与から差し引けますか?
立て替えた分を本人に請求することは差し支えないとされていますが、給与から差し引くには手続きが要ります。法令の定めがない控除は、労働者の過半数代表などとの書面の協定があって初めてできます(労働基準法24条)。協定がない場合は、本人と話し合って別の方法で返してもらいます。
本人が母語で相談できる窓口はありますか?
あります。総合労働相談コーナーは外国人労働者に多言語で対応しており、都道府県労働局などには外国人労働者相談コーナーもあります。在留の手続きなら、外国人在留総合インフォメーションセンターが日本語を含む11言語で電話を受けています。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人に対する支援・登録支援機関」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「登録支援機関の支援体制要件の改正(令和9年4月1日施行)」(2027年4月1日施行)
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月時点)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月時点)
- e-Gov法令検索「職業安定法」(2026年10月時点)
- e-Gov法令検索「行政書士法」(2026年1月1日施行の改正を含む)
- 宮城労働局「紹介会社を利用する場合の留意点」(2026年10月確認)
- 厚生労働省「地域ブロック別の職種別離職率について」(令和5年度実績)
- 厚生労働省「地域ブロック別の職種別平均手数料額・分布について」(令和6年度実績)
- 厚生労働省「人材サービス総合サイト」(随時)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「外国人在留総合インフォメーションセンター等」(2026年10月)
- 千葉労働局「外国人労働者相談コーナー」(2026年10月確認)
- 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(2026年10月)
最終更新:(2026年10月版)
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