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https://tokutei-noriai.blog/gokai-10/ 印刷日:2026年10月15日

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外国人採用のよくある誤解10|「安く雇える」「すぐ辞める」は本当か

思い込みの多くは「半分だけ正しい」。数字で確かめると、備えるべき点がはっきりします

「外国人なら安く雇える」「外国人はすぐ辞める」。外国人採用には、こうした思い込みがいくつもあります。誤解したまま始めると、費用の見込みが外れたり、受け入れの準備が足りなかったりして、後悔につながります。この記事では、外国人採用、とくに特定技能でよく聞く誤解10を取り上げ、出入国在留管理庁・厚生労働省・日本政策金融公庫などの公的データと、制度のルールで1つずつ確かめました。本当のデメリットと、その備え方もあわせて整理しています。数字にはすべて時点と出典を付けています(2026年10月時点で確認)。

この記事の結論
  • 「安く雇える」は誤解:報酬は日本人が同じ仕事をする場合と同等以上が必要です。紹介料や支援の委託費が加わるため、1人あたりの費用はむしろ増えることがあります。
  • 「すぐ辞める」は半分だけ本当:2021〜2024年に1号の資格を得た人の22.4%が転職を経験し、77.6%は転職していません(2025年8月末・暫定値)。分野によって9.0%〜32.9%と差があります。
  • 本当のデメリットは「費用・手続き・年数」:外国人を雇う企業の困りごとの上位は、採用費用27.8%、入管の手続き26.9%、在留できる年数24.2%でした。どれも事前に備えられます。
  • 中小企業でも受け入れは広がっている:外国人を雇う事業所の63.1%は従業員30人未満です(2025年10月末)。全部を委託すれば、支援体制の基準は満たしたものとみなされます。

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この記事の目次

結論:外国人採用の誤解は「お金・人・制度」の3種類。多くは半分だけ正しい

外国人採用の誤解は、「お金」「人」「制度」の3種類に分けられます。多くは半分だけ正しく、残りの半分を数字とルールで確かめると、備えるべき点が見えてきます。

下の図は、この記事で確かめる10の誤解と、その結果の要約です。根拠となる数字とルールは、続く章で1つずつ示します。

図1外国人採用(特定技能)のよくある誤解10と、確かめた結果

  • 外国人なら安く雇える報酬は日本人と同等以上が必要です。紹介料や委託費が加わり、費用はむしろ増えることがあります。
  • 外国人はすぐ辞める1号の転職経験者は22.4%で、77.6%は転職していません。分野と地域で差が大きく出ます。
  • 試験に受かっているから日本語は大丈夫要件の水準は「基本的な日本語を理解することができる」程度です。現場の会話は別に確かめます。
  • 5年たったら必ず帰国する2号に移れば更新の上限はありません。介護は介護福祉士を取れば在留資格「介護」に移れます。
  • 受け入れ人数は会社の規模で決まる原則として上限はありません。上限があるのは介護と建設です。
  • 派遣で受け入れ、合わなければ替えればいい直接雇用が原則で、派遣ができるのは農業と漁業だけです。
  • 手続きが複雑で、中小企業には無理外国人を雇う事業所の63.1%は従業員30人未満です。
  • 登録支援機関に任せれば責任はなくなる届出・雇用契約・報酬の責任は会社に残ります。
  • どの分野でも、海外からすぐ呼べる外食業は在留資格認定証明書の交付が一時停止されています。
  • 国籍で選べば失敗しない国籍で条件を付けることは避けるべきとされています。比べるのは手続きの経験と言語です。
10のうち、完全に正しいものはありません。ただし「すぐ辞める」「日本語」は、半分は当たっているからこそ備えが要ります。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末・暫定値)、厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(2025年10月末)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)

誤解のまま始めると、「想定外」が後悔に変わる

日本政策金融公庫総合研究所は、外国人を雇う企業に困りごとを聞いています(2025年2月21日公表)。1位は「採用費用(渡航費や手数料など)が想定よりも高い」27.8%でした。問題は費用の高さそのものより、「想定よりも」の部分です。思い込みを先に正しておけば、同じ費用でも「予定どおり」に変わります。

お金の誤解:「外国人なら安く雇える」は本当か

「安く雇える」は誤解です。報酬は日本人と同等以上が必要で、そこに日本人の採用にはない費用が加わります。外国人採用の得は、安さではなく「人が来ない仕事に、一定の技能と日本語力を持つ人を迎えられること」にあります。

誤解1:外国人なら安く雇える

特定技能の報酬は、日本人が同じ業務をする場合と同等以上にする必要があります。外国人であることを理由に、報酬の決め方、教育訓練、福利厚生施設の利用で差をつけることも、省令で禁じられています。所定労働時間も、ほかの社員と同等でなければなりません。

そのうえで、採用と支援の費用が加わります。考え方は次のとおりです。

図2外国人(特定技能)を1人雇うときの費用の考え方

1人あたりの費用=給与・社会保険日本人と同等以上+採用の費用紹介料・渡航費・申請の準備など+支援の費用月額の委託費 × 在籍した月数

給与で差をつけられない以上、採用と支援の費用の分だけ、日本人を1人雇う場合より費用は増えやすくなります。出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月時点)

金額の目安も公表されています。職業紹介を通じた介護職の平均手数料は全国で59.7万円、北陸ブロックでは87.8万円でした(厚生労働省、令和6年度実績、特定技能に限らない)。登録支援機関などへの月額委託費は、1人あたり「2万円以上3万円未満」が31.5%で最も多い区分です(福岡県、令和7年度、在留資格を問わない)。

福岡県の同じ調査では、受入れ準備段階の課題の1位も「採用費用(人材紹介の手数料等)が高額」65.5%でした。

計算例:採用と支援の費用を3年で見る

仮に、紹介料を60万円、月額の委託費を2.5万円として、3年間で計算してみます。紹介料は介護職の全国平均59.7万円、月額は最も多い区分「2万円以上3万円未満」をもとにした仮の値です。

  • 紹介料:60万円
  • 委託費:2.5万円 × 36か月 = 90万円
  • 合計:150万円(1か月あたり約4.2万円)

給与と社会保険は日本人と同じなので、この約4.2万円が、日本人を雇う場合との差の目安です。日本人の採用でも求人広告費や紹介料がかかるなら、差はその分だけ縮まります。渡航費や住まいの準備がかかるなら、差は広がります。費用を抑える工夫と、削ってはいけない費用の線引きは特定技能の費用を抑える方法で整理しています。

人の誤解:「すぐ辞める」「日本語ができる・できない」を数字で確かめる

「すぐ辞める」も「日本語は大丈夫」も、半分だけ当たっています。転職は一定の割合で起き、日本語の要件は基本的な水準です。どちらも、数字を知ったうえで備えれば対処できます。

誤解2:外国人はすぐ辞める、は本当か

出入国在留管理庁は、2021〜2024年に1号の資格を得た341,253人の転職状況を公表しています。転職を経験した人は22.4%、転職していない人は77.6%でした(2025年8月末・暫定値)。資格を得た年が早いほど割合は高く、2021年に得た人では29.2%です。

図31号特定技能外国人のうち転職を経験した人の割合(分野別)

  • 農業32.9%
  • 飲食料品製造業27.1%
  • ビルクリーニング23.7%
  • 全分野の合計22.4%
  • 外食業22.2%
  • 介護20.3%
  • 工業製品製造業19.6%
  • 建設10.8%
2021〜2024年に1号の資格を得た人が対象です。建設と農業では、転職を経験した人の割合に3倍の差があります。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末・暫定値)

延べ90,029人の転職者のうち66.0%は、都道府県をまたいで住む場所を移しています。東京都や大阪府などの大都市圏は、いずれも転入が転出を上回っています。日本政策金融公庫の調査では、外国人の退職理由の1位は「日本で転職するため」51.0%でした。「母国で働くため」30.2%、「家族の事情のため」26.0%が続きます。

同じ分野の中なら本人の意思で転職できる制度なので、賃金や地域の差は移動につながります。ただ、早く辞めるのは外国人に限った話でもありません。職業紹介で就職した介護職の6か月以内の離職率は19.9%でした(厚生労働省、令和5年度実績、特定技能に限らない数字)。定着を高める打ち手は特定技能外国人の定着率を上げる方法で紹介しています。

誤解3:試験に受かっているから、日本語は大丈夫

1号の日本語の要件は、国際交流基金日本語基礎テストか、日本語能力試験N4以上です(介護は介護日本語評価試験も必要。関連する技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除)。N4の目安は「基本的な日本語を理解することができる」で、聞く力は「ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」水準とされています。

つまり、「日本語がほとんどできない」も「試験に受かったから大丈夫」も、どちらも外れです。早口の指示、方言、電話、専門用語は、試験とは別に面接で確かめます。自社の場面に近いやりとりで確かめる方法は、特定技能人材の日本語力の見極め方にまとめています。

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制度の誤解:在留できる年数・受け入れ人数・雇い方

制度の誤解は、技能実習など別の制度のイメージを当てはめることから生まれがちです。特定技能のルールは、年数・人数・雇い方のそれぞれで、思われているのと違う点があります。

誤解4:5年たったら必ず帰国する

1号は通算5年までです。1回の許可で認められる期間は、3年を超えない範囲で個別に決まり、更新しながら働きます。一方、熟練した技能を求める2号に移れば、更新の上限はなく、要件を満たせば家族の帯同もできます。2号の在留者は18,295人で、1号は425,961人でした(2026年6月末・速報値)。

介護には2号がありません。代わりに、介護福祉士の資格を取って在留資格「介護」に移る道があります。日本政策金融公庫の調査では「在留できる年数が短い」が困りごとの3位(24.2%)でした。年数の壁は本当にありますが、越える道も用意されています。

誤解5:受け入れ人数は会社の規模で決まる

出入国在留管理庁のQ&Aによると、受入れ機関ごとの受け入れ人数に上限はありません。例外は2つです。介護は事業所の常勤介護職員の総数まで、建設は常勤職員(技能実習生、育成就労外国人、1号特定技能外国人を除く)の総数までとされています。

ほかの分野では、人数の上限より「支えられる人数」が実際の上限になります。教える人、住まい、面談の時間が、人数に見合っているかで決めます。

誤解6:派遣で受け入れ、合わなければ替えればいい

特定技能は直接雇用が原則で、派遣で受け入れられるのは農業と漁業だけです。逆に本人の側は、同じ分野の中であれば自分の意思で転職できます。会社が一方的に「替える」ものではなく、お互いに選び合う関係だと考えたほうが実態に合います。なお、技能実習は2027年4月1日に始まる育成就労制度に置き換わる予定で、制度の違いはこれからも変わります。

会社の誤解:「中小企業には無理」「任せれば責任はない」

「中小企業には無理」は、データで見ると誤解です。一方で「任せれば責任はない」も誤解で、会社に残る仕事ははっきり決まっています。

誤解7:手続きが複雑で、中小企業には無理

図4外国人を雇用する事業所の規模(2025年10月末)

  • 371,215所外国人を雇用する事業所前年から29,128所増え、届出の義務化以降で最多
  • 63.1%そのうち従業員30人未満の事業所規模別で最も多い
  • 9.6%30人未満の事業所の増加率規模別で最も大きい伸び
  • 36.1%30人未満の事業所で働く外国人の割合外国人労働者全体に占める割合
外国人を雇う事業所の6割強は30人未満です。小さな会社ほど、受け入れが伸びています。出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(2025年10月末)

手続きの手間は本当にあります。日本政策金融公庫の調査でも「入管の手続きに時間や手間がかかる」が26.9%でした。ただし、1号の支援は登録支援機関に全部を委託でき、その場合は会社が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます。自社で支援するか委託するかの損得は、自社支援と委託はどちらが得かで比べています。

誤解8:登録支援機関に任せれば、会社の責任はなくなる

委託できるのは支援の実施です。随時届出は会社しか出せず、出入国在留管理庁は「登録支援機関が届出を行うことはできません」と明記しています。雇用契約、日本人と同等以上の報酬の支払い、労務管理の責任も会社に残ります。採用から支援まで1社にまとめる場合の注意点は、特定技能の採用から支援まで一括で任せるを参考にしてください。

進め方の誤解:「海外からすぐ呼べる」「国籍で選べばいい」

採用の進め方にも誤解があります。分野によっては海外から呼べない時期があり、国籍で選ぶことは避けるべきとされています。

誤解9:どの分野でも、海外からすぐ呼べる

分野ごとに受入れ見込数(上限)があり、上限に近づくと受け入れが止まります。外食業は2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付が一時停止されています。2026年9月10日掲載の情報では、交付の対象は受付日が2026年1月31日までの申請に限られています。同じ外食業の中での転職は、審査が続いています。

図5受入れ見込数(上限)に対する在留者数の割合(2026年7月末・速報)

  • 外食業49,290人/50,000人(98.6%)
  • 飲食料品製造業101,922人/133,500人(76.3%)
  • 建設52,366人/76,000人(68.9%)
  • 介護81,436人/126,900人(64.2%)
  • 工業製品製造業63,032人/199,500人(31.6%)
  • 特定技能1号の合計432,016人/805,700人(53.6%)
受入れ見込数は2029年3月末までの数字です。分野によって、残りの枠には大きな差があります。出典:出入国在留管理庁「受入れ見込数と在留者数(2026年7月末速報)」(2026年7月末)、出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の審査状況」(2026年9月10日掲載)

海外から呼ぶのが難しい分野や、急ぐ場合は、日本に住んでいる人を採用する道もあります。探し方と確認の手順は国内在住の外国人を特定技能で採用する方法で説明しています。

誤解10:国籍で選べば失敗しない

職業安定法3条は、職業紹介などで国籍を理由に差別的な取扱いをしないことを定めています。外国人雇用管理指針も、募集にあたって「国籍による条件を付すなど差別的取扱いをしないよう十分留意すること」を求めています。年齢の上限を設けることも、労働施策総合推進法9条で原則として禁じられています。

比べるべきは国籍ではありません。その国の送出し手続きに慣れた会社か、本人の言語で支援できるか。そして本人の技能・日本語・仕事への理解です。人権への配慮について取引先から求められることへの備えは、外国人労働者の人権リスクと取引先からの確認で扱っています。

特定技能のデメリットは本当か:本当の4つと備え方

誤解を外したあとに残る、本当のデメリットは4つです。費用、手続き、在留できる年数、転職の可能性。どれも公的データで裏付けがあり、そのぶん事前に備えられます。

図6特定技能の本当のデメリットと備え方

本当のデメリット4つ(根拠の数字と備え方)
デメリット根拠となる数字備え方
採用・支援の費用がかかる困りごとの1位「採用費用が想定よりも高い」27.8%3年総額で予算を組み、見積もりの形式をそろえる
手続きと届出に手間がかかる「入管の手続きに時間や手間がかかる」26.9%届出の担当と期限を一覧にし、書類づくりは委託先と分担する
1号は通算5年まで「在留できる年数が短い」24.2%2号や介護福祉士への道を、入社時に示す
同じ分野なら転職できる1号の転職経験者22.4%(2021〜2024年の取得者)手取りの事前説明と3か月ごとの面談で、不満を早く拾う
4つとも、知らずに始めると「後悔」、知って始めると「予定どおり」になります。出典:日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末・暫定値)

反対に、「中小企業には無理」「日本語がまったくできない」「人数に厳しい上限がある」は、思い込みのデメリットです。ここに時間を使うより、本当の4つへの備えに時間を使うほうが、受け入れはうまくいきます。

「よく聞く話」を確かめる3つの問い

業者の説明や同業者の体験談を聞いたら、次の3つを確かめると、誤解をつかまずに済みます。

  • その数字は、いつ時点で、誰を対象にしたものか。特定技能に限った数字か、外国人全体か、国籍を問わない数字か。
  • それは制度のルールか、その会社の方針か。ルールなら、出入国在留管理庁の資料やQ&Aに書いてあります。
  • 反対側の数字はないか。「22.4%が転職」の裏には、「77.6%は転職していない」があります。

デメリットへの備えが不十分だと、具体的な失敗やトラブルになります。段階ごとの失敗は特定技能の受け入れでよくある失敗10、業者や本人とのもめごとは特定技能の契約トラブル事例で確認できます。受け入れを終えるときの手続きは特定技能の受け入れをやめるときにまとめています。

想定ケース:金属加工業(従業員25人)の社長が、「安く雇える」前提を捨てて採用を立て直した理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

当初は「外国人なら人件費を抑えられる」と考えていた金属加工会社の社長(60代)に、前提を見直してからの1年を聞きました。

  • 採用と支援の費用を、賃金とは別に1人あたり初年度約100万円で予算化した
  • 2人を日本人と同じ賃金表で採用し、1年後も2人とも在籍している
  • 作業の段取り表をやさしい日本語に書き換え、指示の聞き返しが月10回ほどから3回ほどに減った

――受け入れて1年、何が変わりましたか。

夜勤明けの段取り替えを、若手2人に任せられるようになりました。2人とも日本人と同じ賃金表で、去年の秋に1回昇給しています。費用は賃金とは別に、1人あたり初年度で約100万円を見込んで、ほぼそのとおりでした。予算どおりに進んだので、社内で文句が出なかったのが大きいですね。

――検討を始めたきっかけは。

旋盤のベテランが2人続けて定年を迎えたんです。ハローワークに1年出しても、応募は1人だけでした。同業の集まりで「外国人を入れたら助かった」と聞いて、うちもと思いました。

――最初は、どんな前提で考えていたのですか。

お恥ずかしい話ですが、人件費を抑えられると思っていました。それと、どうせ数年で辞めるだろうから、教え込むのはほどほどでいい、と。最初に相談した会社の担当者には、そこを正面から言われました。報酬は日本人と同等以上が決まりで、紹介料と支援費の分、費用はむしろ増えます、と。正直、がっかりしました。

――それでも進めた決め手は何でしたか。

その担当者が、転職の数字も隠さずに見せてくれたことです。転職を経験した人は2割強、残りの8割近くは転職していない。辞めるかどうかは、職場しだいの部分が大きいと。安く雇う話をされていたら、たぶん断っていました。高くつく理由を先に聞いたので、かえって信用できたんです。比べた3社のうち、費用を「3年でいくら」と出してきたのもそこだけでした。

――実際に受け入れて、つまずいたことはありますか。

日本語です。2人とも試験には受かっていますが、現場の早口や略語はまったく通じませんでした。「バリ取って面取りしといて」では伝わらない。そこで、段取り表を写真つきのやさしい日本語に直しました。聞き返しは、最初の月の10回ほどから、半年で3回ほどに減っています。教える側の言い方が変わったのは、思わぬ収穫でした。

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よくある質問

特定技能のデメリットを正しく知るには?

公的データと制度のルールで、1つずつ確かめることです。本当のデメリットは、費用、手続きの手間、1号の年数の上限、転職の可能性の4つで、いずれも数字が公表されています。営業の説明や体験談だけで判断せず、出入国在留管理庁や厚生労働省の資料と照らし合わせてください。

外国人の給料は、日本人より低くしてもよいのですか?

いいえ。特定技能の報酬は、日本人が同じ業務をする場合と同等以上にする必要があります。外国人であることを理由に、報酬や福利厚生で差をつけることも省令で禁じられています。

特定技能の人には、最長で何年働いてもらえますか?

1号は通算5年までです。2号に移れば更新の上限はなく、長く働いてもらえます。介護には2号がないため、介護福祉士を取って在留資格「介護」に移る道があります。

特定技能の人は、ほかの会社に転職できるのですか?

同じ分野の中であれば、本人の意思で転職できます。2021〜2024年に1号の資格を得た人のうち、転職を経験したのは22.4%でした(2025年8月末・暫定値)。分野によって9.0%(航空)から32.9%(農業)まで差があります。

日本語能力試験のN4は、どのくらいの日本語力ですか?

「基本的な日本語を理解することができる」水準です。聞く力は「日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」とされています。現場の早口の指示や専門用語は、面接で別に確かめてください。

特定技能と技能実習は、何が違うのですか?

特定技能の大きな特徴は、同じ分野の中であれば本人の意思で転職できることと、1号の受入れ機関に10項目の支援の義務があることです。技能実習は、2027年4月1日に始まる育成就労制度に置き換わり、発展的に解消される予定です。

外国人を雇う会社が使える助成金はありますか?

あります。厚生労働省の人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)です。2026年10月1日の改定後の支給額は20万円で、上乗せの措置を行うと25万円になります。就業規則などの多言語化、雇用労務責任者の選任と3か月ごとの面談などが要件で、離職率の条件もあります。自治体の補助金もあるので、申請の前に最新の要件を確かめてください。

外国人採用の数字は、どこで確かめればよいですか?

制度のルールは出入国在留管理庁の「特定技能制度」のページとQ&A、在留者数や転職の状況は同庁の公表資料で確かめられます。外国人を雇う事業所の数や規模は、厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況まとめに毎年載っています。この記事の出典一覧も参考にしてください。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
  2. 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
  3. 出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」(2026年10月)
  4. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末・暫定値)
  5. 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和8年6月末・速報値)」(2026年6月末)
  6. 出入国在留管理庁「受入れ見込数と在留者数(2026年7月末速報)」(2026年7月末)
  7. 出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の審査状況」(2026年9月10日掲載)
  8. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年10月)
  9. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人に対する支援・登録支援機関」(2026年10月)
  10. 出入国在留管理庁「育成就労制度に関するQ&A」(2026年10月)
  11. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月時点)
  12. 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」本文(2025年10月末)
  13. 厚生労働省「地域ブロック別の職種別平均手数料額・分布について」(令和6年度実績)
  14. 厚生労働省「地域ブロック別の職種別離職率について」(令和5年度実績)
  15. 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)
  16. 福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(令和7年度)
  17. 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」(2026年10月1日改定)
  18. 日本語能力試験「N1〜N5:認定の目安」(2026年10月確認)
  19. e-Gov法令検索「職業安定法」(2026年10月時点)
  20. e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(2026年10月時点)
  21. 労働政策研究・研修機構「外国人雇用管理指針」改正告示(2026年5月29日)

最終更新:(2026年10月版)

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