特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/nihongo-mikiwame/ 印刷日:2026年10月15日

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特定技能人材の日本語力の見極め方|試験の点数と会話力の違い

試験は「読む・聞く」の最低ラインを示すだけ。会話力は、職場の場面に合わせた質問と課題で確かめる

特定技能の候補者が日本語能力試験N4に合格していても、現場の指示が通じるとは限りません。試験は主に「読む・聞く」を測るもので、話す力は直接測っていないからです。日本語力の見極めは、試験の点数を最低ラインとして確かめたうえで、職場で日本語を使う場面ごとに、面接で質問と課題を出して判断するのが確実です。この記事では、日本語能力試験と国際交流基金日本語基礎テストで分かること・分からないこと、N4とN3の違い、場面別の面接の質問と課題の例、評価の付け方を、2026年10月時点の公的資料にもとづいて示します。

この記事の結論
  • 試験の点数は「最低ライン」の確認に使う:特定技能1号の日本語の要件は、国際交流基金日本語基礎テスト(200点以上でA2)か日本語能力試験N4以上です。どちらも会話を直接は測りません。
  • 職場の日本語を場面で分ける:指示を聞く、報告する、安全の言葉、読む、書く、お客様と話す。場面ごとに「入社時に必須」と「入社後に育てる」を決めると、求める水準がはっきりします。
  • 面接は同じ課題・同じ基準で:2段階の指示、聞き返し、写真つき手順書の読み取りなどの課題を、全員に同じ順で出し、3段階で評価して記録します。質問項目と評価基準は事前に決めておきます。

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この記事の目次

特定技能の日本語力の見極めは「試験の点数+場面の確認」で行う

特定技能の候補者の日本語力は、試験の点数で最低ラインを確かめ、職場の場面に合わせた面接の課題で仕上げに確かめます。試験は主に「読む・聞く」を測るもので、話す力や書く力を直接測る科目はありません。現場で困るのは、多くが「指示が通じない」「困ったと言えない」といった会話の場面です。

制度が求める日本語の水準

特定技能1号では、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)か、日本語能力試験(JLPT)N4以上で日本語力を確かめます。介護分野は、これに加えて介護日本語評価試験が必要です。関連する分野の技能実習2号を良好に修了した人は、試験が免除されます。運用要領は、求める水準を「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本」としています。そのうえで、分野ごとに業務上必要な水準を求めています。

図1特定技能1号の日本語の試験に関する主な数字

  • N4以上日本語能力試験の要件「基本的な日本語を理解することができる」水準
  • 200点以上JFT-BasicのA2の基準得点の範囲は10〜250点
  • 年2回日本語能力試験の実施7月と12月(2026年は7月5日・12月6日)
  • 原則毎月JFT-Basicの実施国によって実施日数は異なる
どちらの試験にも、会話や作文を直接測る科目はありません。出典:出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)、日本語能力試験「よくある質問」(2026年10月確認)、国際交流基金「JFT-Basic」パンフレット(2026年8月)

この記事で示す見極めの手順

図2日本語力を見極める3つのステップ

  1. 試験で最低ラインを確かめる試験の種類、レベルや点数、受験した時期を確かめます。読む・聞くの基礎があるかの確認です。
  2. 職場の場面を決める自社で日本語を使う場面を書き出し、入社時に必須の場面と、入社後に育てる場面に分けます。
  3. 面接の課題で確かめる必須の場面の質問と課題を、全員に同じ形で出し、事前に決めた基準で評価します。
この順で進めると、「N3なら安心」「会話が上手そう」といった印象だけで決めずに済みます。

読む・聞くの点数が高くても、話すのが苦手な人はいます。逆に、点数はN4でも、職場の決まった言葉ならすぐに使える人もいます。点数と会話力は別のものとして、両方を確かめましょう。

試験の点数で分かること、分からないこと

試験の点数で分かるのは、決まった形式の問題で「読む・聞く」ができるかどうかです。話す力、書く力、職場の専門用語、方言や早口への慣れは、点数からは分かりません。2つの試験の違いを先に押さえておきましょう。

図3日本語能力試験とJFT-Basicの違い

日本語能力試験(JLPT)

  1. N1〜N5の5段階。特定技能はN4以上
  2. マークシートの多肢選択式。会話・作文の試験はない
  3. 年2回(7月・12月)。海外ではどちらか一方だけの都市もある
  4. 結果の通知は、国内の7月実施分で9月上旬が目安

合格の証明は、認定書や合否結果通知書などで確かめます。

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)

  1. 就労のために来日する人の、生活場面のコミュニケーション力を測る
  2. コンピューターで解答。60分で「文字と語彙」「会話と表現」「聴解」「読解」
  3. 原則毎月。日本を含む14か国で実施
  4. 結果は受験後すぐ画面に表示。200点以上でA2

「会話と表現」は、場面に合う表現を選ぶ問題で、話す力を直接測るものではありません。

どちらも「話す」は面接で確かめる必要があります。出典:日本語能力試験「よくある質問」(2026年10月確認)、国際交流基金「JFT-Basicとは」(2026年6月更新)、国際交流基金「JFT-Basic」パンフレット(2026年8月)

JFT-Basicの「A2」でできるとされること

国際交流基金は、A2の目安を3つ挙げています。

  • 家族、買い物、近所、仕事など、身近な領域でよく使われる文や表現が理解できる
  • 身近で日常的な話題について、簡単な範囲で情報を交換できる
  • 自分の背景や身の回りのこと、直接必要な事柄を、簡単な言葉で説明できる

つまり「簡単なやりとり」が目安で、早口の指示や専門用語は入社後に覚えていく前提です。なお、JFT-Basicは175〜199点を「A2.1」、200点以上を「A2.2(A2)」と判定します。特定技能の要件は200点以上なので、A2.1の結果では要件を満たしません。

合格の証明は、書類と受験した時期を見る

日本語能力試験の合格者には日本語能力認定書が送られ、国内の受験者には合否結果通知書も届きます。海外の受験者には、認定結果と成績に関する証明書が受験地の実施機関を通じて送られます。書類では、氏名・生年月日・レベル・受験した回を、パスポートや在留カードと照らし合わせます。受験から時間がたっていれば、その後に日本語を使ってきたかも聞きましょう。

試験が免除された人は、会話で確かめる

技能実習2号を良好に修了して試験が免除された人は、日本語の試験の結果を持っていないことがあります。日本の職場で3年近く働いた経験があっても、日本語力は人によって大きく違います。点数がない分、面接の課題で確かめる比重を上げましょう。

日本語能力試験のN4とN3の違い:仕事でできることの差

N4とN3の差は、「ややゆっくり話してもらえば分かる」と「やや自然に近い速さでも、だいたい分かる」の差です。日本語能力試験の認定の目安を、職場の場面に置きかえると次のようになります。右の列は、目安から編集部が整理した職場での例です。

日本語能力試験の認定の目安(要約)と、職場での例
レベル認定の目安(要約)職場での例(編集部の整理)
N5基本的な日本語をある程度理解できる。短く、ゆっくりした会話から必要な情報を聞き取れるあいさつ、決まった言葉での返事。特定技能の要件には届かない
N4「基本的な日本語を理解することができる」。日常の場面で、ややゆっくり話される会話はおおむね分かる短い指示を、ゆっくり言われれば分かる。写真つきの手順書なら読める
N3「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」。やや自然に近い速さのまとまった会話も、おおむね分かる朝礼の連絡や、2〜3段階の指示を聞いて動ける。簡単な掲示を読める
N2日常に加え、より幅広い場面の日本語をある程度理解できる。自然に近い速さのニュースや会話の要点が分かる新人への説明の補助、記録の読み書きの幅が広がる

N4とN3の差が最も出やすいのは、話す速さへの慣れです。自社の現場で、指示がふだんどれくらいの速さで出ているかを、面接官が自分の耳で確かめておくと、必要な水準を判断しやすくなります。

N3以上が求められる業務もある

分野や業務によっては、要件そのものがN4より高く設定されています。自動車運送業分野では、トラック運送業はJFT-BasicかN4以上です。一方、タクシーとバスの運送業はN3以上が求められます(2025年7月15日現在)。鉄道分野の運輸係員も、他の区分より高い水準が定められています(2026年9月4日現在)。どちらも、お客様と直接話す業務です。

「N3必須」にする前に考えること

要件がN4の分野で「N3以上」を必須にすると、候補者が限られる可能性があります。本当にN3が必要なのか、どの場面で必要なのかを先に確かめましょう。安全に関わる指示だけなら、N4の人でも、決まった言葉を入社前後に覚えてもらう方法があります。N3の人を採用しても、職場の言葉を教える必要がある点は変わりません。必須と歓迎の分け方は採用基準の決め方の記事で詳しく説明しています。

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職場で必要な日本語を、6つの場面に分ける

職場の日本語は、「聞いて動く」「報告する」「安全の言葉」「読む」「書く」「お客様と話す」の6つの場面に分けると、確かめ方が決まります。試験で一部が分かる場面と、面接でしか分からない場面があるからです。

図4職場で日本語を使う6つの場面

  • 1指示を聞いて動く

    「この箱を3つ、右の棚に置いてください」。速さ、語の数、指示の段階数で難しさが変わります。

  • 2報告・相談する

    「終わりました」「分かりません」「もう一度お願いします」。試験では測れない、話す力の中心です。

  • 3安全の言葉に反応する

    「止めて」「危ない」「離れて」。聞いた瞬間に動けるかが大事で、数は少なくても入社時に必須です。

  • 4書かれたものを読む

    作業手順書、掲示、シフト表。写真や図があると、N4の人でも読める範囲が広がります。

  • 5記録を書く

    日報、チェック表、介護記録。試験では測られないため、必要なら面接で短く書いてもらいます。

  • 6お客様・利用者と話す

    接客、介護、運送など。相手が日本語に慣れていない人を想定しない場面で、求める水準が上がります。

どの場面が自社の仕事にあるかで、求める日本語力は変わります。1〜3は多くの職場に共通します。

場面ごとに「入社時に必須」と「入社後に育てる」を分ける

6つすべてを入社時に求めると、条件が高くなりすぎます。安全の言葉と、「分かりません」と言えることは入社時に必須にし、書く力や専門用語は入社後に育てる、といった分け方が現実的です。現場リーダーと30分ほど話し、自社の仕事で各場面がどれだけ出てくるかを書き出します。

業種による違いの例を挙げます。製造の現場なら、安全の言葉と2段階の指示が中心です。介護なら、利用者の「痛い」「苦しい」に気づくことと、申し送りの聞き取りが加わります。外食や宿泊なら、お客様への決まった案内の言葉が必須に入ります。

現場の不安も「会話」と「読み書き」に集中している

岡山県の介護事業所の調査(2023年9月1日時点)は、外国人介護人材の受入予定がない1,345事業所に理由を聞いています(複数回答)。「利用者等とのコミュニケーションに支障があると思う」が32.4%、「日本語文章力・読解力の不足により業務に支障があると思う」が32.3%でした。場面で分けて確かめることは、こうした不安に具体的に答える方法でもあります。

面接での日本語の確認方法:場面別の質問と課題の例

面接では、準備できる自己紹介より、準備できない質問と、実際の仕事に近い課題で確かめます。下の表は、6つの場面ごとの質問・課題と、見るところの例です。1人あたり20〜30分で収まる量にしてあります。

場面別の質問・課題の例と、見るところ
場面質問・課題の例見るところ
指示を聞いて動く「このペンを右の箱に入れてください。それから、紙に名前を書いてください」2段階の指示を、順番どおりにできるか
報告・相談する課題が終わったら「終わりました」と言ってもらう。わざと少し速く話し、聞き返せるかを見る自分から報告できるか。「もう一度お願いします」が言えるか
安全の言葉「止めて」「危ない」と言ったら、手を止めてもらう。絵カードから意味を選んでもらうすぐに体が反応するか
読む写真つきの手順書(5行程度)を読み、作業の順番を答えてもらう順番と数字を読み取れるか
書く日報の欄に「今日したこと」を1〜2文で書いてもらうひらがなで要点を書けるか(漢字は問わない)
お客様と話す面接官がお客様役になり、「トイレはどこですか」と聞く短い案内と、分からないときの対応ができるか

準備できない質問を混ぜる

自己紹介は事前に覚えてくる人が多く、日本語力の見極めには向きません。その場で考える質問を2〜3問混ぜます。たとえば「今日はここまで、どうやって来ましたか」「前の仕事で困ったことを1つ教えてください」「休みの日は何をしていますか」です。家族や宗教など、仕事に関係のない事柄は聞きません。

課題の難しさは「段階・速さ・言葉」で調整する

課題が難しすぎると全員ができず、やさしすぎると差が出ません。指示の段階の数(1つ→2つ→3つ)、話す速さ(ゆっくり→ふつう)、言葉(日常の言葉→職場の言葉)の3つで調整します。必須の場面は、入社初日に実際に言われる形に近づけます。

オンライン面接では、通信と日本語を切り分ける

海外の候補者とのオンライン面接では、音声の遅れや途切れが、聞き取りの問題に見えることがあります。最初に「聞こえますか」と確かめ、写真を使う課題は画面共有で示します。聞き返しが多いときは、通信のせいか日本語のせいかを、同じ文を文字でも示して確かめます。

面接課題の進め方と、評価の付け方

課題は、全員に同じ順番・同じ言い方で出し、決めておいた基準で評価します。厚生労働省の「公正な採用選考の基本」も、面接ではあらかじめ質問項目や評価基準を決めておき、適性と能力に関係のない事項を尋ねないよう求めています。

  1. 職場の場面を書き出す

    現場リーダーと、6つの場面のうち自社にあるものと、その頻度を整理します。

  2. 必須の場面を決める

    入社時に必須の場面を2〜3個に絞ります。残りは入社後に育てる場面にします。

  3. 課題と評価基準を先に作る

    課題の言い方を紙に書き、全員に同じ文で読み上げます。評価の基準も面接の前に決めます。

  4. 面接官は2人で評価する

    1人が課題を出し、もう1人が記録します。終わってから、それぞれの評価を照らし合わせます。

  5. 結果を入社後の学習計画につなげる

    できなかった課題は、採用の可否だけでなく、入社後に何を教えるかの材料にします。

評価は3段階で、記録を残す

図5課題の評価の3段階と、判断の目安(例)

  • A:1人でできた必須の場面でAなら、その場面は入社時の基準を満たしています。
  • B:言い直しや身ぶりがあればできた入社前後の学習で伸びる見込みが高い段階です。入社後に教える項目として記録します。
  • C:できなかった必須の場面でCなら、入社までに覚えられる内容かを面接官2人で話し合います。
  • 判断の順番点数を足し合わせる前に、必須の場面にCがないかを先に見ます。
評価の言葉を紙に書き、面接の前に面接官どうしで読み合わせると、評価のずれが小さくなります。

点数を足し合わせるより、必須の場面ができるかを先に見るほうが、判断がぶれません。記録は採用の結果にかかわらず保管し、次の面接の課題の見直しに使います。

面接官の話し方も、基準の一部にする

面接官の早口や方言で、結果が変わってしまうことがあります。出入国在留管理庁と文化庁は、やさしい日本語の話し言葉のポイントとして「短くはっきり言い切る」ことなどを挙げています。課題はこの話し方で読み上げ、面接官ごとの差を小さくします。入社後、現場でも同じ話し方ができるかも、あわせて考えましょう。

面接で使った課題と評価の記録は、配属先の指導役にも共有します。「この人は2段階の指示まではできる」と分かっていれば、最初の1か月の教え方を決めやすくなります。

日本語力の見極めでよくある失敗と、紹介会社への伝え方

見極めの失敗の多くは、点数か印象のどちらかだけで決めることから起きます。紹介会社に頼む場合も、伝える条件が「N3以上」だけだと、職場に合う人を探してもらえません。

よくある失敗

  • 合格証のレベルだけで決め、面接で話す力を確かめない
  • 自己紹介が上手だったことで、日本語力が高いと判断する
  • 面接官によって質問を変え、候補者を同じ基準で比べられない
  • 必要以上に高い水準を必須にし、候補者がほとんど集まらない
  • 入社後の日本語の支援を考えず、採用時の力だけで判断する
  • オンライン面接の音声の途切れを、日本語力の不足と取り違える

どれも、面接の前に「何を、どの基準で見るか」を決めていないことが原因です。課題と基準を紙1枚にまとめておけば、面接官が替わっても同じ見方ができます。

紹介会社に伝えること・聞くこと

  • 入社時に必須の場面(例:2段階の指示で動ける、聞き返せる、安全の言葉に反応できる)
  • 候補者の試験の種類・レベル・点数と、受験した時期を示してもらえるか
  • 会社の面接で、場面の課題を出すことに協力してもらえるか
  • 入国前に日本語の学習を続ける支援があるか、その中身と費用
  • 入社後の相談に、候補者の母語で対応できるか
  • 候補者に、面接の課題の内容を母語で事前に説明してもらえるか

条件は「N3以上」と書くより、「2段階の指示で動ける」「分からないときに聞き返せる」のように、場面の言葉で書いて渡します。紹介会社も、候補者に何を準備してもらえばよいかが分かります。

入社後の伸びを前提に考える

採用の時点の日本語力は、入社後の環境で伸び方が変わります。特定技能1号では、日本語学習の機会の提供が義務的支援に含まれています。面接で「B」だった課題を入社後3か月の学習目標にすると、採用と育成がつながります。給与明細や労働条件のように誤解が起きると困る説明は、日本語力に頼らず母語の資料で補いましょう。給与の説明の仕方は給与トラブルの防ぎ方の記事を参考にしてください。

失敗の全体像は受け入れでよくある失敗の記事、紹介会社や本人とのトラブルの例は契約トラブル事例の記事にまとめています。日本語の要件そのものは特定技能の日本語要件の記事を参考にしてください。

想定ケース:特別養護老人ホーム(職員70人)の施設長が、面接に「申し送り」の課題を入れた理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

  • 「N3以上」の条件を「N4以上+場面の課題」に変え、2か月で面接できた候補者が1人から5人に増えた
  • 面接を6つの課題・1人30分にそろえ、面接官2人の評価が分かれた課題は全体の1割ほどに減った
  • 採用した2人の入職3か月目の申し送りで、聞き返しが1日10回前後から3回程度に減った

介護分野の施設で、施設長を務める50代の男性を想定したインタビューです。

――いちばん変わったことは何ですか。

面接できる人が増えたことです。以前は「N3以上」を条件にしていて、2か月で面接できたのは1人でした。N4以上に戻して、代わりに面接の課題で確かめるようにしたら、同じ2か月で5人と話せました。

――なぜ、N3以上を条件にしていたのですか。

前に、N4の人の受け入れで苦労したと思い込んでいたんです。でも振り返ると、困ったのは申し送りの聞き取りと、「分かりません」が言えないことでした。試験のレベルより、そこを確かめていなかったのが問題でした。実はN3の合格証を持っていても、会話はゆっくりでないと難しい人もいました。

――課題は、どう作りましたか。

介護リーダーと30分話して、場面を6つ書き出しました。必須にしたのは3つです。申し送りを聞いて要点をメモする、利用者さんの「痛い」「苦しい」に反応して職員を呼ぶ、聞き返す。申し送りの課題は、実際の文を少しやさしくして、私が読み上げています。

――迷ったところはありましたか。

紹介会社に、課題を出す面接をお願いしてよいのか迷いました。断られるかと思ったら、担当者が「候補者にも、入職後の仕事が分かってよい」と言って、課題を候補者の母語で事前に説明してくれたんです。こちらの考え方を分かってもらえたと感じて、その会社に続けてお願いすることにしました。

――申し送りの課題で、気づいたことはありますか。

点数と結果が一致しない人がいたことです。N3の人が要点を1つしか書けず、N4の人が3つとも書けた、ということがありました。後者の人は、母国の病院で働いていたそうです。仕事の場面を知っているかどうかで、聞き取れる量が変わるんだと分かりました。

――実際に面接してみて、どうでしたか。

最初の数回は、面接官2人の評価がよく分かれました。「身ぶりがあればできた」をどう付けるかで割れたんです。基準の言葉を紙に書いて、面接の前に2人で読み合わせるようにしてから、ずれは小さくなりました。いまは面接の記録を、配属先の介護リーダーにそのまま渡しています。

――これから同じことをする施設に、伝えたいことはありますか。

試験の点数は入口の確認で、職場で使えるかは別に見る必要があります。面接でできなかった課題は、入職後に何を教えるかのリストにもなります。採用と育成をつなげて考えると、見る場所がはっきりします。課題そのものも、年に1回、現場の声を聞いて見直しています。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

特定技能で日本語能力の高い人材を紹介してくれる会社は?

特定の会社を挙げるより、「日本語力をどう確かめているか」を基準に選ぶのが確実です。聞くのは3点です。候補者の試験の種類・点数・受験時期を示せるか。会社独自の場面の課題を、面接で出すことに協力してくれるか。入国前の日本語学習を支援しているか。特定技能のりあい窓口では、必要な日本語の場面などの条件を伺い、合う人材紹介会社・登録支援機関を最大3社まで無料でご紹介しています。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。

特定技能で日本語能力の高い人材を探せる会社は?

人材紹介会社のほか、ハローワークや求人媒体でも探せます。日本に住む人を採用する方法もあり、生活の中で日本語を使ってきた人に出会える場合があります。どの方法でも、「日本語能力が高い」を場面の言葉で定義して伝えることが近道です。日本に住む人の採用の進め方は国内在住の外国人を採用する記事、1人だけ採用したい場合は1人だけ採用したい場合の記事を参考にしてください。

N4に合格していれば、仕事の指示は分かりますか?

短い指示をゆっくり言えば分かる、というのがN4の目安に近い姿です。日本語能力試験はN4を「基本的な日本語を理解することができる」水準としています。早口の指示や専門用語は、入社後に覚えていく前提で考え、面接で2段階の指示の課題を出して確かめましょう。

日本語能力試験とJFT-Basicは、どちらを重視すべきですか?

特定技能1号の要件としては、どちらでも認められます。日本語能力試験は年2回の多肢選択式、JFT-Basicは原則毎月のコンピューター試験で、生活場面のコミュニケーション力を測ります。どちらも話す力は直接測らないため、試験の種類より、面接の課題の結果を重く見ましょう。

面接で日本語力を確かめるとき、聞いてはいけないことはありますか?

本籍・出生地、家族の職業、宗教、支持政党など、適性や能力に関係のない事柄は聞きません。厚生労働省は、就職差別につながるおそれがある事項を示し、面接の質問項目と評価基準をあらかじめ決めておくよう求めています。日本語の確認は、仕事の場面の課題で行えば十分です。

技能実習を修了した人は、日本語の試験に合格していなくても採用できますか?

関連する分野の技能実習2号を良好に修了した人は、日本語の試験が免除されます。ただし日本語力は人によって違うため、面接の課題で確かめます。日本の職場の言葉に慣れている人も多いので、前の職場との言葉の違い(道具の呼び名など)を中心に見るとよいでしょう。

入社後に日本語力を伸ばすには、何をすればよいですか?

特定技能1号では、日本語学習の機会の提供が義務的支援に含まれます。外国人雇用管理指針も、2026年6月14日から、日本語能力に配慮した教育訓練などに努めることを求めています。面接でできなかった課題を学習の目標にし、3か月ごとに同じ課題で確かめると、伸びが見えます。定着につなげる工夫は定着率を上げる方法の記事にまとめています。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
  2. 出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」(2026年8月20日改正版)
  3. 日本語能力試験「N1〜N5:認定の目安」(2026年10月確認)
  4. 日本語能力試験「よくある質問」(2026年10月確認)
  5. 国際交流基金「JFT-Basicとは」(2026年6月更新)
  6. 国際交流基金「JFT-Basic」パンフレット(2026年8月)
  7. 出入国在留管理庁「自動車運送業分野」(2025年7月15日現在)
  8. 出入国在留管理庁「鉄道分野」(2026年9月4日現在)
  9. 岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)
  10. 厚生労働省「公正な採用選考の基本」(2026年10月確認)
  11. 出入国在留管理庁・文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン~話し言葉のポイント~」概要版(2026年10月確認)
  12. 労働政策研究・研修機構「外国人雇用管理指針」改正告示(2026年5月29日)

最終更新:(2026年10月版)

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