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https://tokutei-noriai.blog/jichitai-chousa/ 印刷日:2026年10月15日

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外国人材の受け入れに関する自治体調査まとめ|企業の本音と課題

5つの公的調査を横に並べると、壁は「費用・日本語・指導の手間」に集約される。受け入れた施設の8割は人手不足が和らいだと答えた

外国人材の受け入れを考えるとき、「実際に受け入れた他社はどう感じているのか」は、制度の説明よりも知りたい情報かもしれません。県や公的機関は、事業所や企業へのアンケートでその声を集めています。ただ、調査ごとに時期も対象も違い、1つだけ読むと偏った印象になりがちです。この記事では、福岡県・岡山県・山形県の介護事業所の調査、栃木県の企業調査、日本政策金融公庫の中小企業調査の結果を横に並べ、共通する課題と、受け入れ前にできる対策を整理します。

この記事の結論
  • 受け入れた施設の多くは続けたい:岡山県の調査では、受け入れている介護事業所の80.8%が「人手不足が軽減・解消された」と答え、今後は「拡充する」41.9%・「現状維持」52.1%でした。栃木県でも雇用中の事業所の42.0%が「増やしたい」と回答しています。
  • 共通する壁は3つ:採用費用(福岡県の準備段階の課題1位65.5%)、日本語とコミュニケーション(福岡県の受入後の課題1位44.8%)、指導や生活支援の手間(岡山県の未受入の理由1位「外国人介護職員を指導できる職員がいない」41.6%)です。
  • 受け入れの前後で悩みが変わる:山形県では、外国人がいない事業所は「受入前後の作業、継続したフォローが大変」、いる事業所は「採用に高額な費用が発生する」を最も多く挙げました。
  • 委託先は実績とサポートで選ばれている:岡山県で委託先を選んだ理由は「実績がある」51.8%、「サポートが手厚い」50.0%で、「費用が安い」は9.8%でした。

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この記事の目次

外国人材アンケートに見る企業の本音:続けたい、ただし壁は3つ

公的な調査を並べると、外国人材を受け入れた企業や施設の多くは「受け入れてよかった」「続けたい」と答えています。そのうえで、どの調査にも共通して出てくる壁が、採用費用、日本語とコミュニケーション、指導や生活支援の手間の3つです。

受け入れていない事業所の多くは、これらの壁を前に足踏みしています。逆に言えば、3つの壁に先に手を打てば、受け入れの判断はしやすくなります。

図1調査に表れた企業の本音を4つの数字で

  • 80.8%「人手不足が軽減・解消された」岡山県・受け入れている介護事業所234の回答(2023年)
  • 42.0%外国人の雇用人数を「増やしたい」栃木県・雇用している事業所348の回答(2025〜26年)
  • 65.5%準備段階の課題「採用費用が高額」福岡県・受け入れている介護事業所362の回答(2025年)
  • 41.6%受け入れない理由「外国人介護職員を指導できる職員がいない」岡山県・受入予定のない事業所1,345の回答(2023年)
いずれも複数回答です。調査ごとに時期と対象が違うため、数字の大小をそのまま比べることはできません。出典:岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)、栃木県「令和7年度 外国人の雇用に関するアンケート調査結果報告書」(2026年3月31日)、福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(2025年7月調査)

なぜ調査を横に並べるのか

1つの調査だけを読むと、その地域や業種の事情が全国の傾向のように見えてしまいます。複数の調査で同じ課題が上位に来るなら、それは多くの会社が直面する壁だと考えてよいはずです。全国の雇用の数字は外国人労働者数の最新データ、特定技能の在留者数は特定技能の最新統計で確かめられます。

外国人の雇用に関する調査結果を横並びで見る:5つの調査の概要

この記事で比べるのは、次の5つの調査です。3つは介護事業所、2つは業種を問わない企業が対象です。

比較する調査の時期・対象・回答数
調査時期対象回答
福岡県(令和7年度)2025年7月県内の介護サービス事業所4,3401,122事業所(25.9%)
岡山県(令和5年度)2023年9月県内の介護サービス事業所2,4981,621事業所(64.9%)
山形県(令和6年度)2024年8〜9月県内の介護事業所と、そこで働く外国人223法人(303事業所)、外国人232人
栃木県(令和7年度)2025年12月〜2026年1月県内の企業・事業所(任意の調査)742社(延べ794事業所)
日本政策金融公庫2024年9〜10月公庫の融資先の中小企業など16,000社3,948社(24.7%)

読むときの3つの注意

1つ目は時期です。岡山県は2023年、栃木県は2025年末からの調査で、その間に制度も変わっています。2つ目は対象で、栃木県は任意の回答、公庫は融資先が対象のため、どちらも県内や全国の企業全体を代表するとは限りません。3つ目は設問です。同じ「日本語」でも、聞き方や選択肢が違います。数字の大小ではなく、どの課題が上位に来るかという順番に注目するのが安全です。

受け入れている割合は調査によって大きく違う

外国人を受け入れている割合は、福岡県32.3%(予定を含む)、岡山県14.4%、栃木県44.1%、公庫の調査では17.9%でした。山形県は223法人のうち51法人です。対象の選び方が違うため、この差は地域の差とは言えません。それぞれの調査の中での傾向として読みます。

調査ごとに分かること

5つの調査は、得意な情報がそれぞれ違います。福岡県は委託費や初期費用の金額の分布と、退職の理由まで聞いています。岡山県は回収率64.9%と高く、受け入れた効果や委託先を選んだ理由が分かります。山形県は事業所に加えて、働く外国人本人232人の声を集めました。栃木県は業種を問わない最新の調査で、制度の認知度も聞いています。公庫の調査は全国の中小企業が対象で、困りごとと退職理由を比べられます。知りたいことに合わせて、読む調査を選ぶと効率的です。

介護の外国人材の調査を都道府県で比べる:福岡・岡山・山形

介護事業所を対象にした3県の調査では、受け入れている在留資格の中心が、技能実習から特定技能へ移ってきた様子が見えます。2023年の岡山県では技能実習と特定技能がほぼ同じ割合でしたが、2024年の山形県では特定技能が3分の2を占めました。

図2介護事業所で働く外国人の在留資格(3県の調査)

在留資格別の内訳(岡山・山形は人数の割合、福岡は受け入れている事業所数)
在留資格岡山県(2023年・825人)山形県(2024年・268人)福岡県(2025年・事業所数)
特定技能30.5%66.4%241事業所
技能実習31.5%15.7%97事業所
在留資格「介護」12.6%0.4%148事業所
EPA(特定活動)16.6%6.0%15事業所
留学5.2%—49事業所
山形県のEPAは候補者5.6%と介護福祉士0.4%の合計です。福岡県は、受け入れている(予定を含む)362事業所の「在留資格毎の受入状況」の表を在留資格ごとに合計した事業所数(当方計算)で、EPAは介護福祉士候補者です。1つの事業所が複数の在留資格で数えられることがあり、特定技能を受け入れている事業所が最も多くなっています。出典:岡山県(令和5年度調査)、山形県「令和6年度外国人介護人材実態調査結果概要」(2025年2月17日)、福岡県(令和7年度調査)

3県で共通する、介護ならではの悩み

介護の調査では、利用者との会話や記録の読み書きへの不安が繰り返し出てきます。福岡県では受入後の課題として「日本語のコミュニケーション」44.8%、「日本語の読み書き・読解力の不足により業務に支障がある」44.2%が上位でした。夜勤時や緊急時の対応に支障があるという回答も24.9%あります。

介護福祉士への道を求める声

山形県の調査で、外国人を雇用している事業所が求める支援の1位は「雇用後の介護技術(介護福祉士)の勉強」(75.8%)でした。働く外国人本人に日本で働きたい期間を聞くと、「10年程度」37.1%、「5年程度」29.7%、「永住したい」22.8%です。長く働いてもらう前提で、資格取得まで見据えた育成が求められています。

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外国人材の受入れの課題:調査に共通する3つの壁

5つの調査の上位の回答を並べると、課題は「費用」「日本語」「指導・生活支援の手間」の3つに集約されます。業種や地域が違っても、この3つは繰り返し上位に現れます。

図3調査に共通する3つの壁と、主な回答

  • 1採用にかかる費用

    福岡県:準備段階の課題「採用費用(人材紹介の手数料等)が高額」65.5%。山形県:外国人がいる事業所の「採用に高額な費用が発生する」60.6%。公庫:困りごと「採用費用(渡航費や手数料など)が想定よりも高い」27.8%(1位)。

  • 2日本語とコミュニケーション

    福岡県:受入後の課題「日本語のコミュニケーション」44.8%。岡山県:受け入れない理由「利用者等とのコミュニケーションに支障があると思う」32.4%。栃木県:雇用の困難「日本語能力の不安」557件(最多)。

  • 3指導と生活支援の手間

    岡山県:受け入れない理由「外国人介護職員を指導できる職員がいない」41.6%(1位)。山形県:外国人がいない事業所の「受入前後の作業、継続したフォローが大変」62.4%(1位)。福岡県:「住居手配の労力が大きい」42.5%。

いずれも複数回答です。栃木県は回答数の件数のみ公表されています。出典:福岡県、山形県、岡山県、栃木県の各調査、日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)

受け入れる前と後で、悩みの順番が変わる

山形県の調査は、外国人がいる事業所(66事業所)といない事業所(237事業所)を分けて聞いています。いない側では「受入前後の作業、継続したフォローが大変」62.4%が最も多く、「外国人介護人材を雇用するルートが判らない」も21.1%ありました。いる側で最も多いのは「採用に高額な費用が発生する」60.6%で、ルートが分からないは3.0%です。受け入れる前は手間と分からなさが、受け入れた後は費用が重く感じられることが分かります。

定着も見過ごせない課題

福岡県では、受け入れている事業所の26.0%で、2024年度に外国人の退職者がいました(在留期間の満了による退職を除く)。退職の理由(複数回答)は「介護職として県外の別の法人に転職」34.0%、「介護職以外の他業種へ転職」34.0%です。公庫の調査でも、外国人の退職理由の1位は「日本で転職するため」51.0%でした。栃木県では「長期雇用が望めない、定着しない」が240件ありました。

受け入れた企業の本音:多くは続けたい・増やしたい

課題を挙げつつも、受け入れた企業の多くは受け入れを続ける意向です。岡山県で受け入れている234事業所の今後の方針は、「拡充する」41.9%、「現状維持」52.1%で、「縮小する」「中止する」は合わせて6.0%にとどまりました。

図4外国人介護人材を受け入れた効果(岡山県、複数回答・234事業所)

  • 人手不足が軽減・解消された80.8%
  • 職場の雰囲気が明るくなった44.0%
  • 国籍を問わず優秀な人材の確保が可能になった43.2%
  • 異文化への理解が進んだ41.9%
  • 他の職員の意識が高まった39.7%
人手の面だけでなく、職場の雰囲気や職員の意識の変化を挙げる事業所も4割前後ありました。出典:岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)

業種を問わない調査でも同じ傾向

栃木県の調査で外国人を雇用している事業所(348)の今後の意向は、「雇用人数を増やしたい」42.0%、「現在の外国人数を維持したい」35.9%で、「外国人数を減らしたい」は1.1%でした。公庫の調査でも、外国人を雇用する企業で外国人正社員を「増やしたい」31.8%、「維持したい」30.8%に対し、「減らしたい」は1.0%です。雇用している理由の1位は「人手が足りないから」66.5%でした。

受け入れていない会社にも「条件しだい」の層がある

岡山県で受入予定のない事業所に、課題が解決したらどうするかを聞くと、57.5%が「受け入れる」と答えました。栃木県で雇用していない事業所は「条件が合えば雇用したい」20.2%、「積極的に雇用したい」4.5%です。足りないのは意欲より、課題を解く手段と情報だと読めます。

委託先と相談先:調査に表れた選び方と費用

受け入れた事業所が頼っている相談先と、委託先を選んだ理由も、調査から読み取れます。委託先は「安さ」より「実績」と「サポート」で選ばれていました。

委託先を選んだ理由と、相談先

岡山県で監理団体・登録支援機関を選んだ理由(164事業所、複数回答)は、「実績がある」51.8%が最多でした。「実習生及び実習先のサポートが手厚い」50.0%が続き、「費用が安い」は9.8%です。福岡県で受け入れや雇用の相談先(3つまで)は、「登録支援機関」43.4%、「監理団体」26.5%が上位で、「出入国在留管理庁」は9.9%です。登録支援機関の役割は登録支援機関とは?で解説しています。

図5登録支援機関・監理団体に払った1人あたりの初期費用(福岡県、240事業所)

  • 10万円未満6.3%
  • 10万〜20万円未満17.5%
  • 20万〜40万円未満27.1%
  • 40万〜60万円未満22.9%
  • 60万〜100万円未満10.0%
  • 100万円以上3.8%
  • 把握していない12.1%
登録支援機関・監理団体を利用して受け入れた240事業所に、受け入れるときに登録支援機関または監理団体へ最初に支払った1人あたりの費用を聞いたもので、在留資格を問わない数字です。「費用を支払っていない」0.4%は図から省いています。60万〜100万円未満は、60万〜80万円未満5.8%と80万〜100万円未満4.2%の合計です。出典:福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(2025年7月調査)

月額の委託費は「2万〜3万円未満」が最多

同じ福岡県の調査で、1人あたりの月額の委託費は「2万円以上3万円未満」31.5%が最も多く、「1万円以上2万円未満」と「3万円以上4万円未満」が13.0%ずつでした。「委託していない」は26.8%、「把握していない」も9.1%あります。初期費用と月額を合わせた総額で比べることが、費用の壁を下げる第一歩です。育成就労の費用の考え方は育成就労の受け入れ人数枠と費用で扱っています。

調査から見える対策:受け入れ前に進める6つの手順

3つの壁は、受け入れの前に準備できる部分が大きい課題です。調査で上位に来た課題に対応させて、手を打つ順番を整理しました。

  1. 費用を総額で見積もる

    紹介料・初期費用・月額の委託費・住居の準備費を分けて書き出し、3年間の総額で比べます。福岡県で行政に求める支援の1位は「採用費用(人材紹介の手数料等)の補助」73.2%でした。

  2. 自治体の補助金を確かめる

    たとえば鳥取県は、県内の介護・障害福祉の事業者に、紹介料・義務的支援の経費・住居費などの初期経費の2分の1(1人15万円まで、1法人年4人まで)を補助しています。令和8年度の申請期限は2026年12月25日です。

  3. 指導役を先に決める

    「外国人介護職員を指導できる職員がいない」が受け入れない理由の1位でした。日々の仕事を教える職員を1〜2人決め、教える時間を勤務表に組み込みます。

  4. 業務で使う日本語を洗い出す

    申し送り、記録、緊急時の連絡など、仕事で必ず使う言葉と書式を先に整理します。夜勤や緊急時の対応の手順も、図や定型文にしておくと安心です。

  5. 生活支援の分担を決める

    特定技能1号では、住居の確保や生活オリエンテーションなど10項目の義務的支援があり、登録支援機関に委託できます。社内と委託先の分担を表にします。

  6. 長く働ける道筋を示す

    介護なら介護福祉士の取得、2号がある分野なら2号への移行など、入社時に将来の見通しを伝えます。転職による退職を減らす手立てになります。

制度の情報不足も、調査に表れている

栃木県の調査では、特定技能制度を「よく知っている」は8.8%、育成就労制度は2.6%でした。岡山県でも、受け入れない理由に「受入制度が分からない」22.5%、「どの監理団体や登録支援機関を選んでいいか分からない」16.2%が挙がっています。受け入れの条件は特定技能の受入れ機関の基準、県の支援は都道府県の外国人材受入れ支援制度一覧で確かめられます。

調査を読むときの注意と、よくある思い込み

アンケートの数字は、読み方を誤ると逆の結論にもつながります。調査の結果と、よく聞く思い込みを照らし合わせました。

  • 外国人材は人件費を抑えるために雇われている公庫の調査で雇用の理由の1位は「人手が足りないから」66.5%でした。困りごとの1位は「採用費用(渡航費や手数料など)が想定よりも高い」で、費用面の負担はむしろ大きく感じられています。
  • 委託先は安さで選ぶのが普通岡山県で委託先を選んだ理由は「実績がある」51.8%、「サポートが手厚い」50.0%で、「費用が安い」は9.8%でした。
  • 受け入れた施設は苦労して後悔している岡山県で受け入れている事業所の方針は「拡充する」41.9%、「現状維持」52.1%で、「縮小する」「中止する」は合わせて6.0%でした。
  • 制度のことは、どの会社もよく知っている栃木県の調査で特定技能制度を「よく知っている」のは8.8%、「あまり知らない」「全く知らない」は合わせて42.8%でした。

自社の判断に使うときのコツ

調査は、自社と近い業種・規模・地域のものを中心に読みます。そのうえで、上位の課題が自社にも当てはまるかを1つずつ確かめると、準備の優先順位が決まります。制度の先行きは特定技能の今後、2026年の変更は2026年の特定技能の主な動きで確認できます。仕事内容によっては、技術・人文知識・国際業務など別の在留資格が合う場合もあります。

想定ケース:特別養護老人ホーム(従業員24人)の総務部長が、調査を読み比べて受け入れ準備を進めた理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

  • 2026年5月に介護分野の特定技能1号を2人受け入れ、半年たった今も2人とも勤務を続けている
  • 指導担当の職員を2人決め、最初の3か月は週1回30分の振り返りの時間を取った
  • 申し送りの記録をふりがな付きの定型文に変え、1件あたりの記入時間が約5分短くなった

――受け入れから半年、何が変わりましたか。

日中のフロアに、介護職員を常に1人多く配置できるようになりました。2人とも辞めずに続けてくれています。思わぬ効果は、申し送りの書き方を見直したことです。外国人の職員に合わせてふりがな付きの定型文にしたら、日本人の職員の記入も早くなりました。

――そもそも、なぜ調査を読み比べたのですか。

理事会で「外国人材は本当に大丈夫なのか」と聞かれたからです。私たちは定員の小さな施設で、職員も24人しかいません。感想ではなく、他の施設の実情を数字で示す必要がありました。そこで県の調査をいくつか読み比べました。

――読んでみて、何が意外でしたか。

受け入れていない施設の不安の1位が「指導できる職員がいない」だったことです。うちの理事会で出た心配と、まったく同じでした。一方で、受け入れた施設の8割が人手不足が和らいだと答えていて、続ける意向の施設が9割を超えていた。この2つを並べて見せたら、理事会の空気が変わりました。

――委託先は、何を決め手に選びましたか。

調査でも、選ぶ理由は実績とサポートが上位でした。うちも費用より、介護の受け入れの実績と、夜間に本人から相談があったときの対応を聞きました。ある登録支援機関は、夜間は翌朝の折り返しになることがあると、できないことを先に説明してくれたんです。その正直さで、こちらの体制の弱いところも相談しやすくなり、そこに決めました。

――準備で、つまずいたことはありますか。

住まいです。福岡県の調査で「住居手配の労力が大きい」が4割を超えていたのを読んでいたので、早めに動いたつもりでした。それでも、法人で借り上げる部屋が決まるまで6週間かかりました。家電や寝具の準備も、思った以上に手間がかかりました。

――これからの目標を教えてください。

2人とも、介護福祉士を目指したいと言っています。調査でも、資格取得の学習の支援を求める施設が多かった。施設としても、資格の勉強を応援する仕組みを来年度の予算に入れるつもりです。

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よくある質問

外国人を受け入れた他社はどう感じている?

多くは前向きです。岡山県の調査では、受け入れている介護事業所の80.8%が「人手不足が軽減・解消された」と答え、今後の方針は「拡充する」41.9%・「現状維持」52.1%でした。一方で、採用費用や日本語、指導の手間を課題に挙げる声も多く、課題を抱えながら続けている姿が見えます。

外国人材の受入れで多い課題は何ですか?

採用費用、日本語とコミュニケーション、指導や生活支援の手間の3つです。福岡県では準備段階の課題の1位が「採用費用が高額」65.5%、受入後の課題の1位が「日本語のコミュニケーション」44.8%でした。

外国人を受け入れていない事業所は、なぜ受け入れないのですか?

岡山県の調査では「外国人介護職員を指導できる職員がいない」41.6%が最も多く、コミュニケーションや日本語への不安が3割台で続きました。福岡県では、今後も受け入れないと答えた事業所(524)の1位が「採用費用(人材紹介の手数料等)が高額」30.9%です。岡山県では、課題が解決すれば57.5%が「受け入れる」と答えています。

介護の外国人材は、どの在留資格が多いですか?

最近の調査では特定技能が中心です。山形県(2024年)では外国人介護職員の66.4%が特定技能でした。福岡県(2025年)でも、特定技能を受け入れている事業所が241と最も多くなっています。2023年の岡山県では、技能実習31.5%と特定技能30.5%がほぼ並んでいました。

登録支援機関などの委託先は、何を基準に選ばれていますか?

岡山県の調査では「実績がある」51.8%、「サポートが手厚い」50.0%が上位で、「費用が安い」は9.8%でした。料金だけで比べず、自社の業種での実績と、入社後の支援の中身を確かめる事業所が多いことが分かります。

登録支援機関への委託費は、いくらくらいですか?

福岡県の調査(在留資格を問わない)では、1人あたりの月額は「2万円以上3万円未満」31.5%が最多でした。初期費用は「20万〜40万円未満」27.1%、「40万〜60万円未満」22.9%が多くなっています。実際の金額は委託の範囲で変わるため、見積もりで内訳を確かめてください。

受け入れた外国人の退職は、どれくらいありますか?

福岡県の調査では、受け入れている事業所の26.0%で2024年度に退職者がいました(在留期間の満了による退職を除く)。理由(複数回答)は「介護職として県外の別の法人に転職」と「介護職以外の他業種へ転職」がともに34.0%でした。

自分の県の調査結果は、どこで見られますか?

この記事で取り上げた4県の調査は、県や県の協議会のウェブサイトで公開されています。介護分野の調査は県の福祉の担当部局、全業種の調査は県や県の協議会が行っている例がありますが、数値を公表していない県もあります。見つからないときは県の担当課に問い合わせてください。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(2025年7月調査)
  2. 岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)
  3. 山形県 健康福祉部「令和6年度外国人介護人材実態調査結果概要」(2025年2月17日)
  4. 栃木県(とちぎ外国人材活用促進協議会)「令和7年度 外国人の雇用に関するアンケート調査結果報告書」(2026年3月31日)
  5. 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)
  6. 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(2026年1月30日公表)
  7. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
  8. 鳥取県「特定技能外国人材受入支援事業補助金」(令和8年度)

最終更新:(2026年10月版)

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